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  • [特許調査] – ネット検索で得られた特許文献はオリジナルですか? / やっぱり原典にあたらないとね! – ID2577 [2023/10/21]

    [特許調査] – ネット検索で得られた特許文献はオリジナルですか? / やっぱり原典にあたらないとね! – ID2577 [2023/10/21]

    あじめに

    ネット検索で,特許を検索すればすぐに目当ての特許の内容を探すことはできます.例えば,Googleがまとめた特許などです.しかし,引っかかってきた特許文書は,オリジナルでなかったり,オリジナルの翻訳であったりして,図が無かったり,翻訳ミスなどがあったりするので注意が必要です.

    例えば,特許検索するときは,知りたい技術があったとして,その主たる目的は技術内容が大きな目的であり,その権利関係については不随的なことも多いと思います.それでもネット検索して得られた特許の内容を根拠にすると誤解した理解をしてしまう可能性があります.是非,原文に当たるようにしましょう.

    以下には,特許の原文の得るためのサイトをリストアップしましたが,先ずは,特許制度につい理解するために参考となるサイトへのリンクを張っておきました.

    特許出願制度の概要についての解説

    1. 特許手続きに関するガイドラインと概要
    2. 特許出願の願書の作成方法や出願日の認定、補正や審査請求の手続きなど、特許出願に関する基本的な手続き.
    3. 実用新案登録出願や意匠登録出願、商標登録出願など、特許以外の産業財産権に関する出願の手続き.
    4. 出願書類等の閲覧や交付、証明や謄本の請求など、出願の補助的な手続き.
    5. 出願手続きに関するよくある質問と回答のQ&A.

    出願制度の概要(特許庁、H30)

    PCT国際出願の流れ(フロー)

    1. PCT国際特許の権利発生までのフローが記載されている.
    2. PCT国際出願の提出:優先日から12ヶ月以内に、自国の特許庁に対して国際出願願書を提出する.この出願願書は、PCT加盟国であるすべての国に対して同時に出願したことと同じ効果を与える.
    3. 国際調査:PCT国際出願に対して、国際調査機関が発明の特許性に関する調査と見解を作成する.出願人は、出願から約4ヶ月後にその結果を受け取る.
    4. 国際公開:PCT国際出願は、優先日から18ヶ月後に公開されます。公開された出願書類は、WIPOのウェブサイトで閲覧できる.
    5. 補充国際調査:出願人が希望すれば、別の国際調査機関が補充的な調査を行うことができる.これは、国際調査機関がカバーしない文献や特許庁のデータベースを調査するため.
    6. 国際予備審査:出願人が希望すれば、国際予備審査機関が発明の特許性に関する予備的な審査を行うことができる.これは、各国で行われる特許付与のための審査ではなく、出願人が自分の発明の評価をするため.
    7. 国内移行手続:PCT手続の最終段階で、出願人は特許を取得したい国を選択し、その国の特許庁に対してPCT国際出願を移行させる手続きを行うこの手続きは、通常優先日から30ヶ月以内に行われる.移行先の各国では、その国の法令や手続に従ってPCT国際出願が処理される.

    PTC国際特許の権利発生までのフロー

    http://www.yakupat.jp/ip_information_pct_application_procedure.html

    米国特許商標局(USPTO)データベース

    米国特許商標局(USPTO)が提供している無料デー タ ベ ー ス

    Patent Fulltext Database (PatFT/AppFT)

    日本の特許検索サイト

    日本の特許検索

    J-Plat Pat

    国際特許検索サイト

    このサイトでは,WOから始まる管理番号でる国際特許出願を検索できます.

    国際特許検索サイト、使用方法は、このリンクを参照.

    https://patentscope2.wipo.int/search/ja/search.jsf

    欧州特許庁(EPO)サイト

    欧州特許庁(EPO)

    ESPACENT

    編集履歴

    2019/10/05, Mr.Harikiri
    2020/10/01,文言整備
    2023/10/21,追記(はじめに,特許出願制度の概要,PTC国際出願フローの概要)

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  • [rAAV-Edu] rAAV9の精製方法 – 特許, 2017 – ID2566 [2023/10/23]

    [rAAV-Edu] rAAV9の精製方法 – 特許, 2017 – ID2566 [2023/10/23]

    概要

    リコンビナントAAV(rAAV)の大規模精製方法に関する方法特許(Method Patent)です.

    精製のためのスタート原材料は,rAAVを発現した細胞培養上清です.

    精製ステップは,2段のクロマトグラフィーになっています.1段目には,高い塩濃度で吸着が可能な疎水クロマト,2段目には,低塩濃度で吸着が可能な陰イオンクロマトです.

    以上のステップにより,目的遺伝子を包含していな不要なウイルス粒子を効率的に除去可能であるとしています.

    rAAV9の精製条件

    当該特許は、現時点では「国際調査報告公開」です。

    特徴的なのは、pH10.2を採用していることです。タンパク質にとってpH8以上のアルカリ性は、タンパク質に良い条件ではありません。それと、システイン残基のSS結合が緩むのが、pH8から上のpHです。それをpH10.2を使っているのは、それでしか精製できないからでしょう。ある程度のタンパク質の劣化を許容しているということですが,劣化も精製度もコントロールできるのであれば,品質上問題ではありません.ただし,その結果が効力や副作用などに影響する場合は,投与の仕方を工夫する必要性が生じるでしょうか,それも臨床試験で確認していけばいよのです(Mr.Harikir, 2020/10/01)

    • Buffer A: 20mM Bis-Tris propane (BTP), pH10.2
    • washing: 10mM NaCl, 20mM BTP, pH10.2
    • gradient: 10mM to 190mM NaCl
    • correct rAAV9 by A260/A280 ratio monitoring

    クレーム

    1. AAV9の分離方法.pH10.2条件下の陰イオン交換クロマトグラフィーに吸着し、塩濃度勾配で溶出させA260とA280でモニタリングし、A280/A280の比率でAAV9 full capsideを回収
    2. A260/A280比が1未満から1以上になる
    3. 溶出ピークにおける伝導度が20mMから190mN NaCl相当となる
    4. AAV9中間体は50nM(50mMばはないのか、typo? 各所み見られる) NaCl相当で溶出する
    5. 不純物が10%未満
    6. 純度は少なくとも95%
    7. many more

    国際特許の権利発生までのフローは、このリンクを参照のこと。

    国際特許検索は、このリンクを参照のこと。使用方法は、このリンクを参照.

    特許庁 実務者向け説明資料は、このリンクを参照のこと.

    文献

    特許

    WO 2017/160360 A9, SCALABLE PURIFICATION METHOD FOR AAV9

    https://patents.google.com/patent/WO2017160360A9/en

    編集履歴

    2019/10/15 Mr.HARIKIRI
    2020/10/01 追記(pH10.2について)
    2023/10/23 追記(pH10でウイルスの品質に影響はあるだろうが,開発段階では問題にせずに,先に進むのが良い)
    2023/10/24 追記(概要)
  • [rAAV-Edu] rAAV9の精製方法 (ウイルスの一般的な精製方法を理解できる) – 特許,2018 – ID2559 [2023/10/23]

    [rAAV-Edu] rAAV9の精製方法 (ウイルスの一般的な精製方法を理解できる) – 特許,2018 – ID2559 [2023/10/23]

    rAAV9 vectorの精製方法

    培養液のバッファ組成をTFF処理で調整、硫安(AmSo4)沈殿処理と第4級アンモニウム陰イオン交換クロマトグラフィー(HiPrep Q XL)によるFlow through mode、最後にSECによる精製でrAAV9を得る

    rAAV9 vectorの調製方法

    1. Transfection by 3 plasmid (with PEI, FBS-free)
      • 遺伝子治療用としてウイルス・ベクターを使用するはに,目的遺伝子,ウイルスの殻,それてHelper因子,など必要なコンポーネントとしてそれぞれの遺伝子をウイルス増殖用の細胞内に挿入させる.
    2. Post culture
      • 遺伝子を挿入した生産用細胞を培養する.
    3. Harvest supernatant
      • 培養上清からウイルスを取得する場合は,遠心上清を回収する.細胞内に存在するウイルスを取得する場合は,遠心の沈殿画分を回収する.
    4. TFF process
      • バッファ組成を整えたり,ウイルス濃度を高めたり,更に,ろ過液に不純物を透過させて不純物除去したりする.
    5. 1/3 sut. concentration AmSO4 precipitation
      • 疎水性を高くして不純物の沈殿化させる工程(塩析)
    6. centrifuge
      • 33%飽和濃度の硫酸アンモニウム処理して遠心により沈殿化した不純物を沈殿へ分離し上清を回収する.
    7. 1/2 sut. concentration AmSO4 precipitation
      • 更に,硫酸アンモニウムを添加して50%飽和濃度にすることで,更に分割沈殿化させる.
      • 急な塩濃度の上昇は,共沈するのでそれを避けるために分割操作を行う.
    8. centrifuge
      • 遠心して上清を回収する.
    9. Dilution to 7.3 mS/cm
      • カラムクロマトで処理できる条件に整えるために,上清を水(でよい)で希釈して伝導度を下げる
    10. AEX
      • HiPress Q XL 16/10 column chromatograph with flow through mode
    11. TFF process
      • 30kDa : ウイルスの濃縮
    12. SEC column chromatography
      • HiLoad 16/60 Superdex 200, MNH pH6.5, 300mM NaCl, 0.01% F-68

    Highly Efficient Ultracentrifugation-free
    Chromatographic Purification of Recombinant
    AAV Serotype 9

    https://www.cell.com/molecular-therapy-family/methods/pdfExtended/S2329-0501(18)30111-6

    Improved methods for purification of recombinant aav vectors, EP2443233A1, 2009

    https://patents.google.com/patent/EP2443233A1/en

    編集履歴

    2019/10/15, Mr. Harikiri
    2023/10/23, 追記(永木の精製ステップについて日本語でコメント追加)

  • [血液凝固因子] Fibrinogen – ID2549 [2023/10/23]

    [血液凝固因子] Fibrinogen – ID2549 [2023/10/23]

    はじめに

    Fibrinogen (フィブリノゲン)は,巨大分子であること,タンパク分解酵素に分解されやすいこと,などから遺伝子組換え技術による医薬品レベルの製造がコストを度外視しても難しいタンパク質である.

    Fibrinogen

    フィブリノゲンは、血液中にある血液凝固因子である。血液の凝固の最終段階に関与している.フィブリノゲンは血液中では溶けているが,出血時にトロンビンと言う酵素からある部位に切断を受ける事で巨大な部分分子同士が絡むことが可能となり、不溶性のFibrin (フィブリン)線維となり物理的に出血を止める.

    検査

    フィブリノゲンの検査は、血液凝固の異常や出血傾向を調べるために行われる.フィブリノゲンの正常値は、約150~400mg/dL.フィブリノゲンの値が高いと、血栓ができやすくなり、心筋梗塞や脳卒中などの動脈硬化性疾患のリスクが高まる.フィブリノゲンの値が低いと、出血が止まりにくくなり、貧血や出血性ショックなどの危険が高まる.

    高値になる原因

    1. 炎症性疾患(感染症、関節リウマチ、潰瘍性大腸炎など)
    2. 妊娠
    3. 喫煙
    4. 高コレステロール血症
    5. 糖尿病
    6. 肥満
    7. 避妊薬やホルモン補充療法の使用

    低値になる原因

    1. 先天性低フィブリノゲン血症(遺伝的にフィブリノゲンが少ない状態)
    2. 後天性低フィブリノゲン血症(出血や消費性凝固障害(DIC)などでフィブリノゲンが減少する状態)
    3. 肝機能障害(肝臓でフィブリノゲンが合成されるため)
    4. フィブリノゲン製剤や抗凝固剤の使用

    フィブリノゲン製剤

    フィブリノゲン製剤とは、先天性低フィブリノゲン血症や産科危機的出血に伴う後天性低フィブリノゲン血症に対する治療薬.人の血液のプラズマ成分から精製されたフィブリノゲンを医薬品としたもの.点滴静注で投与される.

    立体構造

    下図に示すようにAα鎖,Bβ鎖およびγ鎖の3本のタンパク質が絡まった構造で真ん中にEドメインと呼ばれる球状部分と,両端にDドメインと呼ばれる小球状部分で,コイルドコイルという棒状部分で連結された構造を取っている.

    Aα鎖とBβ鎖のN末端には、それぞれフィブリノペプチドAとフィブリノペプチドBという小さなペプチドが付いいる.これらのペプチドはトロンビンによって切断されると、フィブリノゲンはフィブリンに変化し、重合反応を起こす.

    • Fibrinogen 3D structur : PDB

    文献

    Fibrinogen:

    https://www.jstage.jst.go.jp/article/jat1973/23/9/23_9_505/_pdf/-char/ja

    低フィブリノゲン血症の患者数:

    https://www.shouman.jp/disease/details/09_22_037/

    フィブリノゲン – QLIFE –

    フィブリノゲンとは|病気の検査法を調べる – 医療総合QLife

    3. 血液凝固因子の分子進化 – フィブリノーゲンとvon Willebrand因子を中心に – 2008, 決戦止血誌

    日本血栓止血学会誌 第19巻 第2号 (jst.go.jp)

    編集履歴

    2019/10/14, Mr.Harikiri
    2023/10/23, 追記

  • [rAAV] rAAVの精製方法 – 澄明ろ過及び膜による  – ID2532 [2019/11/05]

    [rAAV] rAAVの精製方法 – 澄明ろ過及び膜による – ID2532 [2019/11/05]

    rAAVの精製方法

    2016年の文献よりAAVの精製について解説する。また、Pall製品による精製についても解説する。

    文献によれば、最終的には超遠心によりAAVベクターを濃縮精製するが、その超遠心では、CsCl濃度勾配を使用しない方法を提供する。遠心操作を多用したAAVベクター精製は、遠心機があれば簡単に行える。

    • Transfection of HEK293, and post culture
      • 20 Flasks of T-150, Three (3) Plasmid PEI
      • (説明: フラスコでHEK293細胞を培養した後,ポリエイレンイミンでプラスミドを細胞内にトランスフェクションスル)
    • Centrifugation
      • 3,000 xg 10 min
      • (説明: 遠心で細胞画分を回収する)
    • (A) Lysis by Freeze-thaw, and (B) Nuclease, (C) sodium deoxycholate
      • (A) 50mM Tris-HCl, 0.15M NaCl, 2mM MgCl2, pH8, Dry ice – ethanol ←→ 37℃ 交互に細胞破砕
      • (B) Benzonase: 50 u/mL, RNase: 10U/mL, 37℃、30min
      • (C) 0.5% sodium deoxycholate, 37℃, 30min
      • (説明: 回収した細胞を凍結融解して破砕,Nucleaseで核酸を切断,Sodium deoxycholate処理する)
    • Centrifugation
      • 2,500 g x 10min/sup
      • Pooling with cell culture supernatant
      • (説明: 遠心して上清を回収する)
    • PEG 8000, NaCl Treatment / ppt
      • 8% PEG 8000, 0.5M NaCl by 40% PEG 8000, 2.5M NaCl
      • Incubation 1h , RT
      • (説明: 最終8% PEG, 0.5M NaClに調整し1時間室温で静置して沈殿化)
    • Centrifugation 2,000 g x 30min
      • Re-suspend with HEPES buffer
      • (説明: 遠心して沈殿を回収しHEPES バッファで沈殿を懸濁および融解する)
    • Chloroform Extraction / cfg-sup / Evaporate
      • Add equal volume of chroroform
      • Vortex going , 2min, RT
      • cfg (370 g x 5min)/supernatnat
      • Evaporate 30min, RT
      • (説明: HEPESバッファで懸濁・融解した液に対して,クロロホルム添加により,(おそらく)水相にAAVを抽出する)
    • PEG 8000, AmSO4 Treatment / AAV in sup
      • 10% PEG 8000, 13.2% AmSO4 pH8.0 adjusted by stocked solution
      • Incubation at RT
      • (Impurity salt out ppt), HEPES buffer pH has to be kept at pH8.0, AAV stable is Alkaline that acid
      • (説明: PEG8000と硫酸アンモニウムで不純物を沈殿化し,AAVを上清に回収する)
    • Dialysis using 50kDa
      • diluent: PBS or MEMEM media with 0.001% puluronic F68 for preventing the aggregation
      • (説明: 分画分子量50kDaのUF膜を用いてPBSまたはMEMEMにバッファ置換する.プルロニックF68は凝集抑制に効果がある)

    清澄ろ過

    Pall製品による清朝濾過。

    • PHD11 : cellulose based capsule
    • PDP8 + Bio 10 : Bio 10のみではろ過量が少ないが、PDP8の組み合わせで良好にろ過が可能

    AEX Membrane

    Pall 製品とこれらを用いたPallとのCo-Developingがサービスとして可能です。

    • Mustang Q membrane chromatography for enriched full capsids
      • Labの超遠心の代替
      • Mustang Membrane: 8000A pores vs polymer matrix:Packed 40-90μm beads 300-1000A pores
    • AAV5 gradient Elution by Mustang Q XT Membrane in Acrodisc Capsule
      • Step elution : Empty in 1st elution, full in 2nd elution
      • Peak 1 : 10 mS/cm, 13E11
      • Peak 2 : 14 mS/cm, 7E11
    • TFF
      • 100kDa for AAV, 300kDa for LV
      • TMP : 0.5 ~ 0.8 bar
      • Shear rate : <4,000 second-1 for hollow fibers; <4 L/min/m2 for cassettes.
      • J=K*ln(Cbulk/Cconc)

    文献

    Inexpensive, serotype-independent protocol for native and bioengineered recombinant adeno-associated virus purification

    http://www.jbmethods.org/jbm/article/download/102/90

    編集履歴

    2019/10/04 Mr.Harikiri
    2020/10/01 文言整備
    2020/11/05 追記 (Pall膜製品による精製 Pall Webinarより)
    2023/10/24 追記 (説明を追加)
  • [rAAV] Parvovirusに属するアデノ随伴ウイルス(AAV)をベクター(rAAV)にして遺伝子治療を行う — rAAVの特徴と臨床 (2003) – ID2516 [2019/10/02]

    [rAAV] Parvovirusに属するアデノ随伴ウイルス(AAV)をベクター(rAAV)にして遺伝子治療を行う — rAAVの特徴と臨床 (2003) – ID2516 [2019/10/02]

    AAVベクター

    Adeno associated virus (AAV) ベクター(rAAV : recombinant AAV)作成に関する現在の技術 (2019現在でも)では、Rep/Cap遺伝子と目的の治療用遺伝子(GOI)とは、別々のPlasmidで作り、それを混合体として細胞にトランスフェクションする方法が一般的である.即ち、野生型のAAVの感染状況とは異なる人為的な方法でウイルスが作られる.

    野生型(Wild type)のAAVの感染の場合、高い確率でターゲットとなっている染色体のある特定の位置に、そのAAVの遺伝子が組み込まれる。その位置は同定されている。

    しかし、rAAVによるGOIの染色体DNAへの組み込みは、Wild Type AAVの場合とは異なり、染色体に組み込まれたとしても稀で、しかもランダムの位置に導入される考えられている。

    AAVの血清型

    今回紹介する文献(2003年)では、当時で1から8型が知られていたようだ。血清型2, 3および5はヒトより分離されたもので、2型が最もよく研究されている。

    現在(2020)では、血清型9と10も知られており、血清型9では、脊髄性筋萎縮症(SMA)の遺伝子治療薬であるZolgensmaに使われている(2020/07/17追記)。

    ベクター種ごとの特徴

    • adeno associated virus( AAV )ベクターは、非分裂細胞への効率的な遺伝子導入と長期の遺伝子発現。他のウイルスベクターと比較してAAVの方が安全性に優れている。ただし、未分化な幹細胞への導入効率は低い。
    • レンチウイルスベクター(HIVベクターが代表的)は、AAVベクター同様に非分裂細胞への効率的な遺伝子導入と長期の遺伝子発現。静止期にある幹細胞に適しており、ES細胞に効率よく遺伝子導入できる
    • レトロウイルスベクター: 分裂細胞にしか遺伝子導入ができないため、造血系細胞への導入に絞られる
    • アデノウイルスベクター: 非分裂細胞への効率的な遺伝子導入が可能であるが、遺伝子発現は長期持続しない
    ウイルス種ターゲット発現持続性安全性
    AAVAAV1~10非分裂細胞長い高い
    LentivirusHIV非分裂細胞
    (ES細胞)
    長い
    Retrovirus分裂細胞
    (造血系)
    Adenovirus非分裂細胞短い

    AAVのウイルス学的特徴

    • AAVは、動物ウイルスの中で最も小型の線状1本鎖DNAウイルスであるパルボウイルス科(Parvoviridae)に属し、20-26nmの大きさで、ヒト成人での感染率は85%である。物理学的に極めて安定。
    • AAV2のReceptorはヘパラン硫酸が想定され、FGF receptorやαVβ5インテグリンなどもreceptorとして示唆されている。
    • AAV5のReceptorは、PDGF receptorであることが分かっている。

    Parvoviridaeは3属

    ここでは,AAVがどのウイルスに属しているのか,どんな特徴があるのか,について理解するために,その他のウイルスと比較する.

    1. Autonomous Parvovirus
      • バルボウイルス属
      • 複製にヘルパーウイルスを必要としない
    2. Dependovirus
      • ディペンドウイルス属
      • AAVのこと。複製にヘルパーウイルスを必要とする
      • 病原性は認められていおらず、血清型は1から8が知られている
    3. Erythrovirus
      • エリスロウイルス属
      • 人に感染するB19と猿パルボウイルスは、赤血球への特異性と特徴的な転写機構から区別されている

    AAVベクターとしての特徴

    ウイルスゲノムは約5kbの線状1本鎖DNA.ブラス鎖とマイナス鎖は半々。ゲノムの両端に145b長のITR (inverted terminal repeat)がT型ヘアピン構造で存在し、プライマーの役割となり複製時に機能すると共に、ウイルス粒子へのPackagingと宿主細胞染色体DNAへの組込みにも機能する。

    • AAVウイルスゲノム : 5kb,1本鎖DNA
    • ゲノムの両端に145bのinverted terminal repeat (ITR)を有する.
    • ITRは,T型ヘアピン構造をとっている.
    • ITRは,複製時にプライマー機能,ウイルス内へのPackaging,宿主染色体DNAへの組込機能を有する.具体的には,以下の通り.
    • p5プロモータからRep78, Rep68 (large Rep)のmRNAが転写: endonuclease, helical, ATPase は、プロモータ活性調節、ゲノム複製、宿主 第19版染色体長腕AAVS1領域(共通配列GAGCにRep78/Rep68が結合)へのゲノム組込み.
    • ただし、AAVベクターでは、ITRに続けてRepはコードさせず、GOIを配置するため、特定箇所への組込み機能は享受できないが、稀に組み込まれるとそれはランダムになる傾向があり、且つ、アクティブな遺伝子領域に起こりやすい.非分裂の場合、挿入変異を心配する必要はないと考えられる
    • p19プロモータからRep52, Rep40 (small Rep)のmRNAが転写: VP1, VP2, VP3のカプシド蛋白
    • 単独感染では、(A)潜伏感染のみで済むが、アデノウイルスなどのヘルパーウイルスが重感染するとAAVが複製されることになり、(B)溶解感染となる
    • AAVベクターで導入された遺伝子は、ほとんどがエピソームとして存在していると考えられているため、増殖細胞の場合では、失われやすい.
    • ゲノムが1本鎖であることから遺伝子発現には2本鎖になるStepが必要であり、その効率が高くない場合は、大量のベクターを必要とする
    • 小型の粒子であることから、挿入できる遺伝子は小さくなる
    • 重複関連が可能なため、別々のベクターを使って足りないものを導入することが可能 (コンカタマー形成が可能であるため、別々に導入(スプリットベクター)しても細胞内で連結される性質を利用できる)

    臨床試験

    参考文献によれば、AAV2ベクターによる血友病Bの臨床試験: 筋肉では一部の患者で効果があった。現在、肝臓で試験中(ベクターゲノムが精液中に一過性に検出されたが、生殖細胞への遺伝子導入は確認されていない)

    以上

    参考文献

    1. ウイルス 第53巻 第2号 pp.163-170, 2003, http://jsv.umin.jp/journal/v53-2pdf/virus53-2_163-170.pdf
    2. Dependoparvovirus, ViralZone
    編集履歴 Mr.HARIKIRI
    2019/12/31 文言整備、少々追記
    2020/05/03 文言整備
    2020/07/17 追記(Zolgensma)
    2023/10/24 文言整備
  • [Town] 大阪の京橋ダイエー(今はイオン)が2019/09/30で取り壊されるため終了する – ID2480 [2019/09/29]

    [Town] 大阪の京橋ダイエー(今はイオン)が2019/09/30で取り壊されるため終了する – ID2480 [2019/09/29]

    大阪・京橋ダイエー

    京橋ダイエーさま、日本の高度成長期とバブル崩壊、そして今日まで、本当にお疲れ様でした。京橋ダイエーは、今はイオンになっていますが、建物としては47年という長い歴史を持っています。

    僕も京橋ダイエーには、成人する前から本当にお世話になりました。今はもうありませんが、1Fにはレストラン街があった頃には、あるお店のカツカレーが好きで、彼女(今は奥さん)とよく夕食として食べき行きました。

    駐車場~2F店舗

    もう日本には、ドムドムというハンバー店は、無いのかもしれませんが、そこにも若い頃よく行きました。

    大北京

    会社も近所だったので、忘年会などでは、3Fにある「大北京」とい本格的な中華料理店によく行きました。その頃は、ちょうどバブル崩壊前で、僕ら新入社員と違って職場の先輩方は、バブっていました。そのおこぼれを頂いてたいのが僕たち若手でした。

    縁の写真

    ありがとう「京橋ダイエー」

    京橋ダイエーさま、本当にお疲れ様でした。

    昭和の原風景はもう少なくなってきています。そして新しい日本が、成熟しながら形作られていくのでしょう。

    編集履歴

    2019/09/29, Mr. Harikiri

  • [Town] OBP : 大阪ビジネスパークは京橋駅からすぐ / OBPのマクドのファニチャーデザイン – ID2475 [2023/10/24]

    [Town] OBP : 大阪ビジネスパークは京橋駅からすぐ / OBPのマクドのファニチャーデザイン – ID2475 [2023/10/24]

    OBP

    OBPは,Osak Bisuness Parkの略号であり,地域でもOBPとして呼称されて親しまれています.

    OBPに行くには,JR大阪環状線で「京橋」駅で降りて大阪時用公園に向かいます.大阪城公園に入る手前がOBPです.OBP内には,IMPやTwin,富士通などのビル,ホテルモントレ,2022/9/2にオープンした山王美術館,ホテルニュー大谷,および,2019に立った竹中工務店が設計の読売テレビの新社屋ビルが,軒(のき)を並べています.

    大阪城公園に入るには,目の前を流れる川を橋で渡ります.

    目の前の右には,大阪城ホールがあり,コンサートが開催される日はに,沢山のファンが集まります.

    そんな時には,OBP内にあるIMPビル1Fにあるマクドナルドが活気を放ちます.

    IMPでは最近,コロナ過明けくらいに,1Fエントランスをオープンにして,自由に使用してもよい空間にしてくれました.広々とした丸いスペースには,沢山の椅子とテーブルが並べられ,周りに位置するスターバックス,ミスタードーナツなどで買った飲食物を,そのスペースの椅子に座って食べることも可能になりました.近頃では,学生さんが陣取って勉強している姿を沢山みることができます.これまでは無かった活気が,このような施策でいままでに見たこともない,新しい活気の姿として見られることはうれしいものです.読売テレビの玄関前には,名探偵コナンの像もあります.一度,近くを立ち寄られた際には是非おいでください(2023/10/24,MRHARIKIR)

    話は戻って,別の行き方も紹介します.京橋の隣駅である「大阪城公園」駅でおりても,同じくらいの距離で大阪城ホールにつきます.大阪城公園駅を降りれば,飲食店,カフェなどが道の両脇で迎えてくれます.スタバもあります.

    更に,別の行き方もあります.大阪城公園駅の更に隣にある「森ノ宮」駅からでは,少し大阪城ホールは遠くなりますが,散策しながら行くのも丁度いい距離です.

    写真. OBP内にあるIMPビルの1Fにあるマクドナルド(2019/09/29)

    編集履歴

    2019/09/29, Mr. Harikiri
    2023/10/24, 追記(OBPについて紹介文章)

  • [rAAV] AVB SepharoseによるrAAVの精製, 2009 – ID2461 [2019/09/28]

    [rAAV] AVB SepharoseによるrAAVの精製, 2009 – ID2461 [2019/09/28]

    はじめに

    rAAVを特異的に精製が可能なAffinity resingの紹介です.

    rAAV (recombinant AAV)は、天然に存在するAAV(ウイルス)を遺伝子改変したものです。一般的にウイルスの電荷は負であるため、精製純度を高めるには物性を利用して陰イオン交換体に吸着・溶出(AEX)させてる手順で可能です。しかし、負の電荷を持っている物質は、精製対象となるウイルスを含む培養液には,多種多様な不純物が含まれています.そのため、このAEXは特異的な精製方法ではありません。そこで、特異的にAAVに結合性を有する精製基材が求められています。

    特異的な精製基材

    AVB Sepharose (TM) によるsf9細胞由来のrAAVの精製

    以下は,サンプルとしてバキュロウイルスで発現させたAAVを使用し,AVB Sepharoseを用いた精製手順です.

    1. Sf9 cell (10e8)のバキュロウイルスによるTransfection 1hr処理
    2. その後3daysの培養後
    3. cellをharvestして、Detergent処理して抽出液を回収
    4. capside化しなかったDNAなどをBenzonase処理により分解処理
    5. Affinity Column精製 (10 mm x 100 mm, AVB Sepharose High Performance)
    6. Washing: PBS(pH7.4)
    7. Elution: low pH glycine-HCl (pH2.7)
    8. Elution peak tiger: 1.7 x 10e13 particles/mL
    9. Purity: >90% (4-12% SDS-PAGE)
    10. AAV-1のVP1(81.4kDa), VP2(66.2kDa), VP3(59.6kDa)

    Abbreviations: NRP, nuclease-resistant paticle; TU, transduction unit.

    評価

    nuclease resistance particles/cell: 3.7 x 10e4 ~ 9.6 x 10e4

    1. ウイルス粒子内にウイルスの遺伝子が完全にパッキングされていれば,necleaseによる抵抗性があるという意味.
    2. 今回の1 step精製方法による回収量は,1つの細胞当たりに3.7 x 10e4 ~ 9.6 x 10e4のnuclease抵抗性のウイルス粒子を回収できた.

    文献

    A Simplified Baculovirus-AAV Expression Vector System Coupled With One-step Affinity Purification Yields High-titer rAAV Stocks From Insect

    https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1525001616308000

    編集履歴

    2019/09/28, Mr.Harikiri
    2022/01/12,追記(はじめに)
    2023/10/25,文言整備