はじめに
**dual AAV(2つに分割して送達)**することで,4.7kbの大きさ制限を回避して大きな遺伝子導入する技術が考えられている.
「dual AAV(デュアルAAV)」とは、AAVベクターのパッケージ容量(約4.7 kb)の制限を克服するための遺伝子導入戦略のひとつです。特に、大きな遺伝子(例:DMD遺伝子など)や大きな制御配列を含む場合に使用されます。
以下,AIに聞いてみた.
🔷 基本的な考え方
AAVは一度に搭載できる遺伝子長が約4.7 kbまでに制限されるため、それを超える遺伝子を2つのベクターに分割し、それぞれを細胞内に同時導入し、細胞内で再構築(再結合)して完全な機能を果たすように設計されます。
🔷 主な再構築メカニズムと手法の種類
手法名 | 概要 | 特徴 |
---|---|---|
重複配列(overlapping)法 | 2つのAAVに共通配列(数百bp程度)を持たせることで、相同組換えにより細胞内で一本の遺伝子として再構築される | 再構築効率は細胞依存。特に分裂細胞で有効性が高い |
トランススプライシング法(Trans-splicing AAV) | AAV1に5’配列+イントロンのドナー部位、AAV2に3’配列+アクセプター部位を含ませることで、スプライシング機構によってmRNAレベルで再構築 | 高効率かつ哺乳類細胞で再現性あり |
Inteins法(自己スプライシングタンパク質) | AAV1とAAV2に分割されたタンパク質を、**自己スプライシングするInteins(タンパク質モチーフ)**でつなぐ | DNAではなくタンパク質レベルで機能を再構築できる |
Hybrid法(上記の複合) | トランススプライシング+重複など、複数の手法を組み合わせて再構築効率を最適化 | 柔軟性があり、治療用にカスタマイズ可能 |
🔷 dual AAVの構成図(概略)
AAV1: [ITR]-[Promoter]-[Gene Part 1]-[Overlap or Donor]-[ITR]
AAV2: [ITR]-[Overlap or Acceptor]-[Gene Part 2]-[PolyA]-[ITR]
- 細胞内でAAV1とAAV2が共感染し、DNAレベルまたはmRNAレベルで連結されることで機能発現。
🔷 dual AAVの応用例
疾患 | ターゲット遺伝子 | 手法 | コメント |
---|---|---|---|
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD) | dystrophin(>11 kb) | overlapping / trans-splicing | full-lengthの導入は不可能なため、micro-dystrophinやdual AAV活用 |
網膜疾患 | ABCA4など | trans-splicing | 網膜は免疫特権部位であり、再構築効率の検討がしやすい |
中枢神経系疾患 | MECP2など | inteins / hybrid | 長期発現や効率的導入の工夫が必要 |
🔷 課題と今後の改良ポイント
課題 | 内容 |
---|---|
再構築効率 | 同時感染率、遺伝子再構成の成功率が必要条件 |
用量依存性 | 2種のAAVを高用量投与するため、免疫応答や毒性の懸念あり |
再投与困難 | 一度AAVで免疫が誘導されると、2回目の投与は困難なことが多い |
コスト・製造の複雑さ | AAVを2種類製造・評価・品質管理する必要があるため、治療製品としての開発難易度が高い |
🔷 今後の展望
- 高効率カプシド(次世代AAV)の開発による二重感染率の向上
- 非ウイルスベクターやLNPとの組み合わせによる負荷の分散
- 再構築効率を増すゲノム編集との併用(例:CRISPR+dual AAV)
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編集履歴
2025/04/17 Mrはりきり