特許「JP2012143233A」は、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターの凝集を防ぐための組成物およびその方法に関するものです。Google Patents
発明の概要
この発明は、AAVベクターの製造および保存におけるウイルス粒子の凝集を防ぐための高イオン強度の組成物およびその使用方法を提供する。具体的には、クエン酸ナトリウムなどの多価イオンを含む溶液を用いて、粒子の凝集を抑制し、高濃度での保存や凍結融解サイクル後でも安定性を維持することが可能。Google Patents
技術的背景と課題
AAVベクターは、遺伝子治療において有望なツールですが、高濃度で保存する際に粒子が凝集しやすく、その結果、感染効率の低下や免疫応答の誘発などの問題が生じます。従来の緩衝液では、粒子密度が10^13 vg/mLを超えると凝集が顕著になり、これが臨床応用の障壁となっていました。Google Patents
解決手段と特徴
本発明では、以下の方法でAAVベクターの凝集を防ぎます:Google Patents
- 高イオン強度の溶液の使用:クエン酸ナトリウムなどの多価イオンを含む溶液を用いることで、粒子間の静電的相互作用を抑制し、凝集を防ぎます。Google Patents
- 界面活性剤の添加:Pluronic F68などの界面活性剤を低濃度で添加することで、粒子の表面への吸着を防ぎ、安定性を向上させます。Google Patents
- ヌクレアーゼ処理:粒子表面に残存する核酸を除去することで、凝集の原因となる因子を排除します。Google Patents
これらの方法により、最大6.4×10^13 vg/mLの高濃度でAAVベクターを保存しても、凝集が観察されず、凍結融解サイクル後でも安定性が維持されます。Google Patents
実施例と効果
- 高イオン強度の溶液を用いることで、AAVベクターの凝集を効果的に防ぎ、精製および保存中の損失を最小限に抑えることができます。Google Patents
- ヌクレアーゼ処理を組み合わせることで、粒子表面の核酸を除去し、さらなる安定性の向上が期待できます。Google Patents
- 界面活性剤の添加により、粒子の表面への吸着を防ぎ、操作中の損失を減少させます。
これらの方法は、AAVベクターの製造および保存において、凝集を防ぎ、高濃度での保存や凍結融解サイクル後でも安定性を維持するために有効です。Google Patents
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