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  • [Gene Therapy] Valrox –  血友病Aの遺伝子治療法薬として世界で初めて市販なるか – 200~300万ドルを予定 [2020/06/22]

    [Gene Therapy] Valrox – 血友病Aの遺伝子治療法薬として世界で初めて市販なるか – 200~300万ドルを予定 [2020/06/22]

    ID23142

    Valrox

    Valroxは、アメリカのBIOMARIN社が開発した血友病Aに対するrAAV(遺伝子組換えAAVベクター)を使用する遺伝子治療薬です。

    遺伝子治療薬は、1回の治療で症状が改善または完治することを前提にしている治療薬です。

    臨床試験では良好な成績を得て、今年、当局の承認を得そうです。現在、同様の遺伝子治療薬として、ROCHE-SPARKも臨床試験を継続しています。

    BIOMARINは、Valroxの価格を200~300万ドルを想定していると言っているようです。

    世界で最初に当局に承認されたrAAVを使用する遺伝子治療薬は、2019に承認されたZolgensmaという脊髄性筋萎縮症の治療薬ですが、その価格は、2億1,250万ドルです。日本では、2020/05/20に薬価収載され1億6707万7222円になりました。

    詳しい価格設定のスキームは理解していませんが、日本では、薬の価格は当局が一定の算定基準により決めますが、このような他に類を見ない医薬品は原価積み上げ方式で設定されます。アメリカなど外国では、企業が価格を設定しているようですが、詳細は把握していません。

    Valrox, Potential Hemophilia A Gene Therapy, May Cost Up to $3 Million, BioMarin Says (2020/01/20)

    https://hemophilianewstoday.com/2020/01/20/biomarin-weighing-2-million-to-3-million-price-for-valrox-hemophilia-a-gene-therapy/

    編集履歴

    2020/06/11 はりきり(Mr)
    2020/06/22 追記 (Zolgensmaの薬価)
  • [Bio-Edu] Plasmid – バイオロジクスには欠かせない遺伝子組換え技術、そして rAAVを作るまで! – AAV Vector配列の例 [2020/08/05]

    [Bio-Edu] Plasmid – バイオロジクスには欠かせない遺伝子組換え技術、そして rAAVを作るまで! – AAV Vector配列の例 [2020/08/05]

    はじめに

    rAAV: recombinant Adeno Associated Virus による遺伝子治療薬の開発には、遺伝子組換え技術が使われている為、この知識がなくてはならい。

    rAAVを作るには、これまでのタンパク質を作ることとは、何倍も複雑かつ多数の手間が掛かっている。

    遺伝子組換え技術からrAAVを作るまでの基礎知識を解説する。

    編集履歴
    2020/04/07 はりきり(Mr) まずは、遺伝子組換え技術
    2020/06/21 追記(rAAV作成に必要なベクター製品)
    2020/08/04 追記(必要なPlasmidとその機能)

    まずは、遺伝子組換え技術

    1) 遺伝子工学の技術

    遺伝子工学の技術 – 福岡大学 –

    http://www.sc.fukuoka-u.ac.jp/~bc1/Biochem/genetech.htm

    以下の用語は、同義である。

    • 遺伝子工学 (gene technology, genetic engineering)
    • 遺伝子操作 (gene manipulation)
    • 遺伝子組換え技術 (recombinant DNA technique)

    これら技術は、1970年代に発見された以下の要素で構成されている

    • 制限酵素 (遺伝子の特定部位を切断する酵素)
    • 逆転写酵素 (DNAからmRNAが作られるが、逆に、mRNAからDNA(cDNA)を作る(転写する)酵素
    • リガーゼ (別々のDNA断片にそれぞれ、認識特異配列を認識してDNAを繋ぐ酵素)

    ベクター

    有用と考えた遺伝子配列を細胞に組込む場合、先ず、ベクターという器にその遺伝子配列を載せなければならない。ベクターには、以下のものがある。

    • ファージ
    • ウイルス
    • プラスミド (Plasmid) : 多くのバクテリアの核外の遺伝子で、組換技術用にデザイン・改変された鋳型となるPlasmidが市販されている)
    • コスミド
    • 酵母人工染色体

    大腸菌とPlasmid

    • 大腸菌(E.coli)は、2μmのソーセージの形をしていて、至適な環境では25分で2倍に分裂増殖する。4μmに成長すると中央がくびれて2個になる。菌の中央に位置する染色体DNAは、4000個の遺伝子をコードしており2本鎖で環状である
    • 多くの大腸菌株には、染色体DNA以外に小さい環状の2本鎖DNAを持ち、これをPlasmidといいい、染色体DNAと同様に分裂増殖する際に複製される
    • Plasmidの種類として大きく分けてR (resistant)-Plasmid, F (fertility)-Plasmid (雄株が持つ)がある。
      • Rプラスミド: 薬剤耐性の遺伝子を含む
      • Fプラスミド: 雌株に接合してFプラスミドを伝達する機能
    • 雄の大腸菌は、雌の大腸菌の細胞内に自分のPlasmidを挿入する過程で自分の染色体DNAを伝達することがあり、遺伝子の交雑が起こる
    • 以上の現象などから、遺伝子組換え技術が考案され、大腸菌間の遺伝子組換えを人為的に行える技術が確立されできた。
      • 自然界にPlasmidが存在する
      • そのPlasmidの機能を利用するのが、遺伝子組換え技術

    制限酵素

    遺伝子組換え技術における「ハサミ」である。ThermoFisherには概説。制限酵素の一覧は、TaKaRaを参照

    • それぞれ種々の配列を認識して切断する多数の制限酵素が知られている
    • EcoRI (図1参照)は、GAATTCと相補的(CTTAAG)に結合しているDNAを選択的に、「のり代」のある形に切断する
      • G-AATTC (CTTAA-G) : ‘-‘で切断
    2) 大腸菌と組み換えDNA技術

    大腸菌と組み換えDNA技術

    京都 WEB マガジン 現代アートとサイエンス No.11

    https://plasmid.med.harvard.edu/PlasmidRepository/file/map/pAAV-MCS.pdf

    DNAリガーゼ (ligase)

    遺伝子組換え技術における「のり;糊」であるsource

    • Plasmid (環状DNA)の一部の領域に制限酵素により「のりしろ」付き状態にしたところに、目的遺伝子(同様に「のりしろ」状態)を結合させて、環状DNA(Plasmind)にする酵素
    • DNAの末端同士をリン酸ジエステル結合させる

    大腸菌にタンパク質を作らせる

    • 最も初期の遺伝子組換え技術の応用例として、糖尿病治療薬のインスリン、ウイルス抑制因子のインターフェロンの大腸菌による生産がある
    • 天然のPlasmidを鋳型として、適切な位置にインスリンやインターフェロンをコードした遺伝子配列を挿入し、デザインしたPlasmidを作る
      • まず、

    Competent Cell

    Competent Cellとは、Plasmidを細胞内に導入しやすいようにダメージ処理が施され安定保存された細胞のことsource、wikipedia

    • カルシウムイオン存在下で冷却処理(膜透過性の増大)
    • 凍結保存(-80℃以下)

    製品

    XL-Blue Competent Cells(Agilent)

    • XL2-Blue UltraCompetent Cells
    • XL1-Blue SuperCompetent Cells
    • XL1-Blue Electroporation-Competent Cells
    • XL1-Blue Competent Cells
    • XL-2-Blue Subcloning Grade Competent Cells

    特徴

    • プラスミドベクター/ラムダファージベクターの両ベクターの増幅に両できる菌株
    • 表現系: EndA(-)
    • Plasmid DNAの増幅/回収に適したCompetent Cell
    • Blue/White スクリーニング、ファージミドDNAのsingle-strandレスキューが可能
    • F7エピソームは、抗生物質耐性
    • XL1-Blue : エレクトロポレーション・コンピテント・セル(>=1e9)
      • 遺伝子型: recA1 endA1 gyrA96 thi-1 hsdR17 supE44 relA1 lac [F’proAB lacIqZ△M15 Tn10 (Tetr)]
    • XL2-Blue : ウルトラコンピテント・セル(>=5e9)
      • 遺伝子型: recA1 endA1 gyrA96 thi-1 hsdR17 supE44 relA1 lac [F’proAB lacIqZ△M15 Tn10 (Tetr) Amy Camr]a
    • カルタヘナ対応が必要

    rAAVを作る

    必要なPlasmidとその機能

    ベクタープラスミドとヘルパープラスミドには、共通する塩基配列があると、相同性組換えによって野生型のウイルスの出現の可能性が高まるため、共通配列が存在しないようにデザインする。

    • ベクタープラスミド (Vector Plasmid)
      • 目的は、目的遺伝子の挿入
      • 両端のITRのみを残し、目的遺伝子を挿入
    • Rep/Cap プラスミド (Rep/Cap Plasmid)
      • 目的は、DNA複製タンパク質とカプシドタンパク質をコードする遺伝子の挿入
    • ヘルパープラスミド (Helper Plasmid)
      • 目的は、AAVの増殖に必要なadenovirus由来遺伝子の挿入 (宿主のHEK293には、更に必要となるE1A, E1Bを持っているため、これらは必要ない)
      • E2A, VA, E4 or f6
    3) AAVを利用した遺伝子治療

    4. AAVを利用した遺伝子治療 – ウイルス 第57巻 第1号 pp.47-56, 2007 –

    http://jsv.umin.jp/journal/v57-1pdf/virus57-1_047-056.pdf

    Vector製品

    Vectorは、Plasmid構造になっています。「運び屋」の別名を特に付けている訳です。

    Agilent社のベクター製品

    recombinant AAVを生産させるための材料として、どのようなものが必要なのか理解することができる。

    (1)目的遺伝子ベクター、(2)rep/capベクター、および(3)Helperベクター、の3つのベクターを、感染性AAV粒子を作るために必要な補間遺伝子をコードするHEK293細胞に同時感染させ、感染性recombinant AAV (rAAV)を作成するための製品群。

    • pCMV-MCSベクター
      • 4.5kb
      • クローニング・ベクター
      • マルチクローニングサイトに目的遺伝子をクローニング → 「pAAV-CMV-MCSベクター」作成
        • 同時トランスフェクション
      • pAAV-MCS、pAAV-LacZへサブクローニグ可能
    • pAAV-LacZベクター
      • 7.3kb
      • クローニング・ベクター/コトロール・ベクター
      • LacZはレポーター
      • pAAV-MCSを作るため自立複製能を持たないAAVベクター
      • Not IでLacZカセットの切り出し、pCMV-MCSベクターから取り出した目的遺伝子カセットクローニングできる →「pAAV-MCSベクター」作成
        • 同時トランスフェクション
    • pAAV-RCベクター
      • 感染性があるrAAV2粒子を作るのに必要
      • rep/cap遺伝子 (DNA複製タンパク質/カブシドタンパク質)
      • 同時トランスフェクション
    • pHelperベクター
      • rAAV2発現用
      • AAV-293細胞との組み合わせで機能する
      • Adenovirus由来遺伝子(E2A, E4, VA RNAs)
      • AAVのlytic phaseの誘発
      • 同時トランスフェクション
    • AAV-293細胞
      • Adenovirus由来の遺伝子をコード(E1A, E1B)
      • トランスフェクション用細胞
    • AAV-HT1080細胞
      • ウイルスのタイター測定用細胞
    4) AAV Helper-Free System

    AAV Helper-Free System

    Agilent (ストラタジーン)

    https://www.chem-agilent.com/contents.php?id=300079

    AAV Vector

    Example

    図1. pAAV-MCS ベクター
    TypeNameDescriptionStart PositionEnd Position
    viral LTRITRAAV inverted terminal repeat00
    promoterCMVpCMV promoter for mammalian expression00
    gene fragmentbgexIIbeta-globin exon II fragment00
    gene fragmentbhIVSIIbgIVSII fragment00
    MCSMCSMCS (EcoRI, NotI, BamHI, SalI, XhoI, BlgII)00
    gene fragmentbgexIIIbgexIII fragment00
    viral LTRITRAAV inverted terminal repeat00
    ssDNA originF1 oriF1 origin for ssDNA production00
    selectable markerampRampicillin resistance gene00
    bacterial originColE1ColE1-type bacterial origin00
    https://plasmid.med.harvard.edu/PLASMID/GetVectorDetail.do?vectorid=221
    5) AAV – wikipedia

    AAV – wikipedia

    https://ja.wikipedia.org/wiki/アデノ随伴ウイルス
  • [Bio-Edu] ウイルスベクターの比較 – AAV – Adenovirus – Lentivirus – by Vigene Biosciences社 [2020/6/15]

    [Bio-Edu] ウイルスベクターの比較 – AAV – Adenovirus – Lentivirus – by Vigene Biosciences社 [2020/6/15]

    Vigene Biosciences

    Vigene Biosciencesは、AAVのパッケージングを受託しています。Vigene Biosciencesのサイトから、遺伝子治療のVectorとしてAAV, AdenorirusおよびLentivirusの比較があります。以下、ご紹介します。

    CharacteristicAAV*1AdenovirusLentivirus
    Genome4.8 kb (ssDNA)36 kb (dsDNA)9 kb (ssRNA)
    Packaging Capacity4.7 kb7.5 kb9 kb
    InfectionMost dividing and non-dividing cellssame as leftsame as left
    Transduction EfficiencyModerateHighModerate
    IntegrationNon-integratingNon-integratingIntegrating
    ExpressionTransient or stableTransientStable
    ImmunogenicityVery LowHighLow
    BiosafetyBSL-1BSL-2BSL-2
    https://www.vigenebio.com/aav-packaging/ by Vigene社

    *1: AAVはAAVS1遺伝子座にインテグレートしますが、rAAV vectorでは、2つの遺伝子を除去しているためインテグレートされません.又、エピソーム(episomal)のままであり、非分裂細胞(non-dviding cell)内に長期間維持される可能性があります。

    AAVのtransfection戦略

    トリプル・トランスフェクション戦略 (co-transfecting)

    • GOI plasmin
    • rep/cap plasmid
    • Helper plasmid (Adenovirus由来, for genes replication)

    Cre-dependent trans-splicing approach

    reconstituted gene expression from two independent recombinant AAV vectors, however this efficiency is ~20% than single single method.

    編集履歴
    2020/06/15 Mr.HARIKIRI
  • 気になる企業 – WuXi Advanced Therapies – 遺伝子治療CDMO [2020/06/15]

    気になる企業 – WuXi Advanced Therapies – 遺伝子治療CDMO [2020/06/15]

    WuXi Advanced Therapies

    WuXi社が有名なのは、抗体医薬CDMOであることです。別会社ですが、ここ数年の世界の動きの中で、WuXi社も遺伝子治療開発のCDMOも本格稼働しています。遺伝子治療には、ウイルスベクターが世界では盛んに開発が行われています。

    ホームページ

    WuXi Advanced Therapies

    アメリカのペンシルペディア州フィラデルファイには、すでに4カ所のサイト、中国の上海にGMP施設が1カ所が近くエスタブリッシュされます。

    • LI1 (League Island 1)
      • HQ/Early Phase Clinical Manufacturing and Testing
      • Establish 2004
      • 82,000 ft2
    • LI2 (League Island 2)
      • Late Phase/Commercial Viral Manufacturing and Testing
      • Establish 2016
      • 150,000 ft2
    • CC3 (Commerce Center 3)
      • Non-Viral Cell Therapy Manufacturing
      • Establish 2015
      • 55,000 ft2
    • Center for Analytical Chemistry Solutions
      • Coming Soon
    • New GMP facilities
      • Shanghai and WuXi City

    USサイト

    China GMP facilities

    上海にもGMP製造設備がある.

    編集履歴
    2020/06/15 Harikiri(Mr)
    2024/01/02 文言整備
  • 気になる企業 – AVIGEN – Genezymeに買収 – △ID11266 [2020/03/03]

    気になる企業 – AVIGEN – Genezymeに買収 – △ID11266 [2020/03/03]

    現在は、Avigen社は存在しない。

    「気になる企業」シリーズ。バイオ医薬品に関わる企業の情報を取りまとめています。遺伝子治療薬の開発ベンチーであった「Avigen」社は、Genezymeに買収されており、現在は、存在していない。

    Genzymeは、Sanofiと合併している

    Sanofi Genezyme

    https://www.sanofi.co.jp/ja/about-us/product/genzyme

    Division of MediciNova Inc.  
    www.avigen.com : 今はもう無い

    Avigen, Inc.’s Gene Therapy Technology Acquired By Genzyme Corporation

    https://www.biospace.com/article/releases/avigen-inc-s-gene-therapy-technology-acquired-by-genzyme-corporation-/
    編集履歴
    2020/03/03 Mr.HARIKIRI
  • [ゲノム編集] デュアルAAVデリバリーシステムによるマウスのデュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療研究 (CRISPR-Cas9を補助する) – ID9877 [2020/08/22]

    [ゲノム編集] デュアルAAVデリバリーシステムによるマウスのデュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療研究 (CRISPR-Cas9を補助する) – ID9877 [2020/08/22]

    はじめに

    ゲノム編集には、ウイルスベクターが必要です。小型の動物実験には、Labレベルのウイルスベクターの製造能力でも対応が可能ですが、ヒトへの臨床応用には、一般の実験室規模では対応が難しくなります。

    新しいモダリティであるウイルスベクターにも参入障壁となっています。研究者たちは、色々と試行錯誤して少ないウイルスベクターでも効率的なゲノム編集が可能な方法を模索しています。

    概要

    デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は、ジストロフィン遺伝子(DMD)に変異を持つ。これまでは、CRISPR-Cas9を介した「シングルカット」ゲノム編集を行い、DMD動物モデルの多様な遺伝子変異を修正してきた。

    効率的にin vivoゲノム編集を行うには高用量のアデノ随伴ウイルス(AAV)が必要であるため、臨床に応用するには課題となっています。

    この研究では、従来のAAV vectorに、補完するAAV vectorを用意してデュアルAAVシステムとしてデザインされています。

    DMDマウスモデルでの検討

    • Cas9ヌクレアーゼを一本鎖AAV(ssAAV)にパッケージ
    • CRISPRシングルガイドRNAを自己相補的AAV(scAAV)にパッケージ

    効率的なゲノム編集に必要なscAAVの用量は、ssAAVの場合よりも少なくとも20倍低かった。治療を受けたマウスは、ジストロフィン発現の回復と筋肉収縮性の改善を示した。これらの調査結果は、scAAVシステムを使用することで、CRISPR-Cas9を介したゲノム編集の効率を大幅に改善できることを示した。

    Enhanced CRISPR-Cas9 correction of Duchenne muscular dystrophy in mice by a self-complementary AAV delivery system, 2020 – Science Advances –

    https://advances.sciencemag.org/content/6/8/eaay6812.full

    参考

    デュジェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)の病態とビルテプソ®︎の作用機序 – 日本新薬 –

    (1)5歳ごろに運動能力のピークを迎え、10最ごろに歩行困難となる。
    (2)嚥下障害、排痰困難、消化管障害、呼吸筋や心筋障害と進み、呼吸不全、心不全で死に至る
    (3)ジストロフィン遺伝子は、79個のエクソンを有する。スプライシングにより、mRNAは14kbと小さくなる。
    (4)翻訳されたジストロフィン蛋白質のアミノ酸数は、3,685個、分子量は、427kDaと巨大分子である
    (5)ジストロフィンは、細胞室内のアクチンと結合し、細胞膜の糖タンパク質(αジストログリカン; αDG)とジストロフィン-ジストロフィン関連糖タンパク質複合体を形成し、ラミニンα2を通じて細胞外マトリックスの基底膜と連結している。すなわち、ジストロフィンは、基底膜と筋細胞の細胞骨格を固定し、筋細胞同士を固く構造を維持するしている
    (6)ジストロフィン-ジストロフィン関連糖タンパク質複合体の両端の構造は筋細胞の構造維持には必須である

    (7)発症機序 : ジストロフィンの欠損により筋細胞構造が脆弱であるため、筋細胞構造の破壊と再生が繰り返す結果、患部は瘢痕化(脂肪化、線維化)する事で、筋細胞の再生がされにくくなっていく
    (8)ジストロフィン遺伝子内にエクソンの欠失があり、その結果、塩基数が3の倍数でなくなる時、mRNAがアミノ酸へ翻訳できなくなるアウト・オブ・フレームが生じ、翻訳されるジストロフィンタンパク質は、縮小されるか欠損する
    (9)ビルテプソ®︎は、ジストロフィン遺伝子のエクソン53を標的とするアンチセンス核酸医薬品で、エクソン53に結合してスプライシング時にエクソン53をスキップさせるてアウト・オブ・フレームをさせなくする

    https://www.nippon-shinyaku.co.jp/viltepso/pathological/

    デュシェンヌ型筋ジストロフィー(Duchenne muscular dystrophy:DMD)- JMDA ; 日本筋ジストロフィー協会

    (1)X連鎖(性染色体のジストロフィン遺伝子の変異)の劣性遺伝であるため患者は男児に多い
    (2)健常人では、筋細胞の細胞膜の構成成分の1つであるβジストログリカン(β-DG)の細胞質側に細長い縄状のジストロフィン蛋白質が結合している。ジストロフインの先端はアクチンフィラメント結合している。DMDでは、ジストロフィン蛋白質を欠損している
    (3)突然変異での発症もある(1/3)
    (4)稀に鎖染色体と常染色体の相互転座、Turner症候群があると女児にも発症
    (5)女性で遺伝子の異常を持っている場合、稀にクレアチンキナーゼ(creatine kinase; CK)が高く、軽い筋力の低下がある
    (6)DMDの発症率は、3,300人あたり1人、10万人あたり3-5人
    (7)3~5歳頃から、転びやすく走れないなどの運動能力の低下が見られる
    (8)治療は、ステロイド治療、予防はリハビリが有効
    (9)AAVを使ったシストロフィン遺伝子治療への期待

    https://www.jmda.or.jp/mddictsm/mddictsm2/mddictsm2-1/mddictsm2-1-1/
    編集履歴
    2020/02/20 はりきり(Mr)
    2020/08/22 追記(アンチセンス医薬品(日本新薬)、日本筋ジストロフィー協会)
    2021/10/31,記載整備
  • [遺伝子治療] アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターによる遺伝子治療薬 – 学者の承認済み/間近/臨床試験中 – ID1124 [2020/07/17]

    [遺伝子治療] アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターによる遺伝子治療薬 – 学者の承認済み/間近/臨床試験中 – ID1124 [2020/07/17]

    AAVベクターによる遺伝子治療

    2020/7現在、承認及び間近の品目

    • Zolgensma (骨髄性筋萎縮症; Spinal Muscular Atrophy; SMA), Novartis-AveXis
    • Valrox (血友病A; Hemophilia A), BioMarin
      • 昆虫細胞を使用

    2020/6現在、臨床中

    • SPK-8011 (血友病A; Hemophilia A), Roche-Spark
    • SB-525 (血友病A; Hemophilia A), Pfizer-Sangamo Therapeutics連携 (2017/05~)sourceしていたが、現在は、Pfizerに引き継がれているsource
      • 昆虫細胞を使用
    • AMT-061, UniQure(血友病B; Hemophilia B)
      • 昆虫細胞を使用

    2003年の文献。

    http://jsv.umin.jp/journal/v53-2pdf/virus53-2_163-170.pdf

    編集履歴
    2020/01/22 Mr.HARIKIRI
  • [GT] 遺伝子治療の課題 – H30, 経済産業省より – ID2031 [2020/01/08]

    [GT] 遺伝子治療の課題 – H30, 経済産業省より – ID2031 [2020/01/08]

    2019現在における遺伝子治療薬の製造課題

    1. Full particleとEmpty Particleの比率の改善
    2. Full Particle定量法の精度改善
    3. 効果的なスケールアップ: 浮遊培養法の開発
    4. 欧米の急進展に対して、競争力をもつ製造技術力を獲得
    5. 希少疾患の患者数は少ないため、数カ国の特許権取得ではビジネスにならない。

    H30, 経済産業省

    https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/genome/advisory_board/dai5/siryou4-2-8.pdf
  • 気になる企業 – Audentes Therapeutics – アステラス・グループ – ID4488 [2020/07/08]

    気になる企業 – Audentes Therapeutics – アステラス・グループ – ID4488 [2020/07/08]

    Audentes

    • アステラス製薬グループ (2019/12)
    • Audentes Theraeutics
    • 本社: カリフォルニア州サンフランシスコ
    • 2012設立, 2016/7 NASDAQ上場
    • 希少神経筋疾患を対象に、AAVを用いた遺伝子治療薬を開発するバイオテクノロジー企業
    • 従業員270名(50名はスタッフ)

    株価

    アステラス(Astellas) が、2019/12/3にAudentes Therapeutics Incを$3billion (3,000億円)買収すると発表した reuters.com

    技術力

    • AAV vector研究・開発・GMP製造能力

    パイプライン

    • AT132は、XLMTM患者を対象とする、MTM1(ミオチュブラリン)遺伝子を包含するrAAV8ベクタ
      • 2020/06, 3例目の死亡例 (300兆vg/kg)
      • 2020/5と2020/6に2名の高用量(~3e14 vg/kg)の患者男児の死亡(DIC発症)により、clinical holding (各社news siteが伝えた)
    • AT982は、酸性αグルコシダーゼ(GAA)遺伝子包含するrAAV9ベクター
    • (by Investing.comより)

    アステラス が、30億ドルで買収すると発表した(2019/12/3)

    その他関連

    ノバルティスによるスパークの買収Spark買収

    参考

    Third patient dies in halted study of Audentes gene therapy, 2020/06/26 – BIOPHARMA DRIVE –

    https://www.biopharmadive.com/news/audentes-gene-therapy-patient-deaths/580670/

    編集履歴

    2019/12/18 Mr.HARIKIRI
    2020/09/17 文言整備
    2021/01/14 追記 ()
  • [Bio-rAAV] 遺伝⼦治療における代表的な委託製造会社 (CMO) – ID1881 [2021/02/08]

    [Bio-rAAV] 遺伝⼦治療における代表的な委託製造会社 (CMO) – ID1881 [2021/02/08]

    rAAV vectorを製造するCMOリスト

    企業サイトサイト製造サイト特徴関係
    WuXi Advanced TherapiesUS1,000L遺伝子治療医薬品の開発と製造、AAV vector suspension platformWuXi AppTec
    CatalentUS, EU,footprint(400,000ft23)10 cGMP clinical suites, 200L, 400L, 800L, 2 x iCELLis 500, 24 HYPERStack 26/CS10
    10 cGMP Commercial Campus (including fill/finish)
    >バイオ医薬品30年の経験、20クライアント, AAV vector, 60 prgrampOriginal
    BioRelianceRockville, Maryland, USA & IrelandViral/Cell banking to fill finish (2,000 v/day), Secure Biostorageウイルス・クリアランス試験、Carsbadとの遺伝子治療用製品の開発と製造BioRelianceとCarlsbad(20+ years)がサービスする, California,親会社: Millipore-SIGMA-Merck
    Oxford BiomedicaUKUK(1,200m2, SUB 200L, BSL-C3 Lab)遺伝子治療医医薬品、PCL(*1)、Gene TherapySANOFI, GSK, NOVARTIS
    Broucher
    Lonza Pharma & BiotechUSHuston,Portsmouth, Holland, Singapore, Japan(Nikon)バイオロジクス、遺伝子治療医薬品、AAV, HSV, NDV,(Anc-AAV)Original
    NovasepEUバイオロジクス、遺伝子治療医薬品、Adeno, Lenti, HSV, VSV, VEEV2021/01/15 ThermoFisherによる買収
    MolMedEU
    YposKesiFR~500L
    ~200L SUB, 24 x Cell Factory 10
    遺伝子治療医薬品2016, Genenthonからスピンオフ
    TAKARA BIOJP遺伝子治療医薬品
    IDファーマJPiPS, CRISPR-Cas9elixirgen therapeutics
    遺伝子治療研究所 (Gene Therapy Research Institution)JP遺伝子治療医薬品
    vigene biosciences (2012~)Rockville, MarylandCellSTACK; iCELLis, 50~500L bioreactor, HEK293Plasmid製造、小規模AAVから臨床(GMP)まで、AAV、レンチウイルスOriginal (Small company)
    patheonby ThermoFisher
    詳細
    Alachua, FL
    Cambridge, MA
    Lexington, MA
    Plainville, MA,
    US
    50L~2000L
    Florida Bio (2006~2016), 100 clients, 500 product released14+years, Brammer BioがPatheonに統合
    VIROVEK
    詳細
    Hayward, CA, USSF9/vaculovirus1e13 vg/$3,500 ~ >1e15 vg/$119.900 価格表あり2006~

    https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/genome/advisory_board/dai5/siryou4-2-8.pdf

    Merck Darmstadtは、Millipore (2010), Sigma-Aldrich(2015)を傘下に収めて

    https://ja.wikipedia.org/wiki/メルク_(ドイツ)

    編集履歴

    2020/07/17 Mr.Harikiri
    2021/02/08 追記 (ThermoFisherによるnovasepの買収)