[GMP] OOS/OOTについて、いずれも規格品質試験の結果の態様、対処方法が異なる

OOTとは,

検査結果がこれまでに製造してきたロットの検査結果のトレンド(傾向)に合致しないことを指しますが,規格内なので「合格」であるものの「異常な兆候」として扱います。

OOTは品質管理において、将来の規格外結果を予防するための重要な警告指標とされています。
一方でOOSは、試験結果が既存の規格から逸脱した場合を指し、直ちに調査や対応が必要となります。OOTとOOSは異なる概念でありながら、どちらも医薬品の品質管理を維持する上で重要な役割を果たします。

◆ 例:

  • 安定性試験で、有効成分が規格内(例:95%以上)だが、以前は99%近くだったのに今回は95.1%と急に低下した。
  • 微生物数が通常「0〜2 CFU」だったのが、最近「10 CFU」が連続した。

実務上の「トレンド」は、単発値ではなく、少なくとも次の観点で見ます。

注) トレンドは,直近の製造ロットを参考にされる.

トレンドのポイント

  1. 時系列の流れ:連続的な上昇・低下があるか
  2. 過去実績との差:過去平均や通常レンジから急に外れていないか
  3. ばらつきの変化:急に散らばりが大きくなっていないか
  4. 工程・設備・原料変更との対応:変更後から動きが変わっていないか
  5. 製品の科学的妥当性:安定性上、その方向の変化が意味を持つか
    したがって「トレンドに外れる」とは、単に数値が高い/低いというより、“その製品・工程にとっていつもの挙動ではない”ことです。

OOS/OOTを管理する体制整備

OOS/OOTを効率的に管理するためには,以下の項目に示すような体制やシステムの整備が必要です.

  • SOP(標準作業手順書)によるOOS/OOTの管理手順の明確化
  • データインテグリティの強化(信頼性,記録の真正性、整合性の担保)。
  • トレンド管理のデジタル化・自動化(LIMSやMESの活用)。
  • 定期的な**品質レビュー(APR/PQR)**で全体傾向を把握。
  • 社内教育の徹底(特にQC担当者)。
解説 : APR / PQR の意味と違い

[GMP]「APR」と「PQR」は、製薬業界での定期的な品質評価に使われる専門用語で、医薬品の品質の一貫性・傾向・改善点を把握するためのレビュープロセス


対処手順

OOSへの対処

1. 初期調査(Phase Ia)

  • OOSが発生した場合、まず分析担当者と監督者が初期調査を行います。この段階で以下を確認します:
    • 試験方法、機器、試料、標準品に明確なエラーがないか。
    • 試験データに疑わしいピークや異常が含まれていないか。
    • 明確なエラーが認められた場合:
      • 試験を無効としてOOSデータも無効(棄却)とします。
      • 再試験を実施します。
    • エラーが特定できない場合、更なる詳細な調査(Phase Ib)に進みます。

2. 詳細調査(Phase Ib)

  • 試験担当者と監督者が試験結果やプロセス(*)をさらに詳細に調査します:
    • 根本原因の特定を試みます。
    • 試験結果の傾向や差異を確認します。
    • 他成分や潜在的な干渉の可能性を検討します。
  • 原因が特定された場合:
    • 是正措置・予防措置(CAPA)を策定し、試験結果を記録します。
  • 原因が特定できない場合、製造部門やQAと連携して製造に関する調査(Phase II)を行います。
  • * : プロセスとは,
    • 試験の手順
    • 試験で使用する機器の状態
      • 試験機器のキャリブレーション(校正)やメンテナンスが適切に行われていたか。
      • 機器のエラーや異常動作がなかったか。
    • 試薬や試料の取り扱い
      • 試薬や試料の保存条件や管理が適切だったか。
      • 使用した標準品や試料に劣化や汚染がなかったか。
    • 操作環境
      • 試験が実施された環境(温度、湿度、清潔度など)が適切だったか。
      • 試験室の条件が試験への影響を与えないものであったか。
    • 人為的ミス
      • 担当者が試験操作中に手順を誤った可能性。
      • 試験データの記録方法に間違いや抜け漏れがなかったか。
    • つまり、「プロセス」とは試験全体の流れや環境、手順を指し、問題が生じている箇所を特定するために、試験を構成するすべての要素を包括的に見直すことを意味しています。

3. 製造に関する調査(Phase II)

  • 製品品質に影響を与える可能性のある以下の要素を調査します:
    • 製造工程、操作方法、設備の問題。
    • 原材料の品質など。
  • 製造で原因が特定された場合:
    • 是正措置・予防措置(CAPA)を策定し、記録します。
  • 製造で原因が特定できない場合、製品の品質への影響を評価する「インパクト調査」(Phase III)に進みます。

4. 製品へのインパクト調査(Phase III)

  • OOS結果が製品の品質、安全性、有効性に影響を与えるかどうかを科学的根拠や統計的分析に基づいて評価します。
  • 製品に影響がない場合
    • 試験結果を記録し、調査を終了します。
  • 製品に影響がある場合
    • バッチ廃棄、リコール(市場からの回収)などの必要な対応を実施します。

OOTへの対処

「OOT(Out of Trend)への対処では、試験結果が規格内であることを考慮し、再試験や再サンプリングは基本的に行わないことが推奨されます。これは、OOTは規格外(OOS)とは異なり、品質基準を満たしているため、再試験を実施することでデータの一貫性を損なうリスクがあるからです。

代わりに、OOTへの対処では試験結果の傾向や変動を分析することが重要です。このため、以下の手法を活用します:

  • 品質照査: 過去の試験結果やバッチ間の一貫性を確認し、異常な傾向が繰り返されていないかを確認します。
  • トレンド分析: 通常値管理幅(Control Limits)や予測区間(Prediction Intervals)を設定し、試験結果の異常値を統計的に評価します。
  • 潜在異常の推定: 傾向からの逸脱が将来的に規格外(OOS)につながる可能性を検討し、リスク評価を行います。

これらの分析結果をもとに、必要に応じて(*1)CAPA(是正措置・予防措置)を発動し、試験結果と対応を記録します。OOTは早期警告の指標として、品質管理における予防的な役割を果たします。

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