FMEAとは?
FMEA = Failure Mode and Effects Analysis(故障モード影響解析)
製品・プロセス・業務などの中で、
- どのような不具合(故障モード/Failure Mode)が起こり得るかを洗い出し、
- それが起きた場合の影響(Effect)や深刻度を評価し、
- リスクの高い要因を特定して、優先的に対策を講じる
という予防的リスク評価手法です。
FMEAの目的
- 潜在的な不具合・リスクの早期発見
- 問題発生前に予防措置(PA)を計画・実施
- CAPAの“PAフェーズ”における正当な根拠付け
FMEAの基本構成
FMEAでは主に以下の3つの視点から、リスクの大きさを評価します:
項目 | 意味 | スケール例(1〜10) |
---|---|---|
発生度(Occurrence) | 問題が起こる頻度 | 1:非常にまれ〜10:非常に頻繁 |
重大度(Severity) | 問題が起こった際の影響の深刻さ | 1:軽微〜10:生命に関わる |
検出度(Detection) | 問題を未然に検出できる可能性 | 1:確実に検出〜10:全く検出できない |
この3つを掛け算したものが **RPN(Risk Priority Number:リスク優先数)**です:
RPN = 発生度 × 重大度 × 検出度
RPNが高い項目ほど、リスクが高く、早急な対策が必要と判断されます。
FMEAの簡易表(例)
工程 | 故障モード(不具合) | 発生度 | 重大度 | 検出度 | RPN | 対策 |
---|---|---|---|---|---|---|
充填工程 | 充填量の過不足 | 6 | 8 | 5 | 240 | 設備センサー調整、点検強化 |
包装工程 | ラベル貼付ミス | 4 | 5 | 7 | 140 | ダブルチェック導入 |
試験工程 | 試薬劣化による誤判定 | 3 | 7 | 6 | 126 | 試薬管理ルール強化 |
RPNが一定以上(例:150以上)ならPA対象とする、などSOPで基準を設けると運用しやすいです。
FMEAはどのタイミングで使う?
タイミング | 活用内容 |
---|---|
CAPA開始時(RCA) | 原因特定のため、工程や業務のリスク分析として |
PAの検討時 | 同様の問題が他に潜在しないか、横展開先の評価として |
新規製品/設備導入時 | 初期設計段階でのリスク評価として(特に医療機器では必須) |
継続的改善(PQR/APRなど) | 定期レビューでの再評価材料として |
FMEAとCAPAの関係まとめ
項目 | 役割 | CAPAとの関係 |
---|---|---|
FMEA | リスクを数値化し、対策の優先順位を明確化 | RCAまたはPAの判断根拠として非常に有効 |
5 Whys | 発生原因を掘り下げる | RCA(原因分析)の手法 |
Fishbone(特性要因図) | 原因の構造を視覚化 | RCA(原因分類)の補助 |
FMEA導入時のポイント
- フォーマットはExcelで作成されることが多い
- RPNの基準値(例:150以上で要対応など)をSOPで規定する
- 部門横断でのレビュー体制を構築(QC・製造・QAなど)
- (古い文献ではあるが,バイオ医薬の開発にかんしてバイブルである”A-MAB”には具体的な事例があるので,リスク評価に関するFMEAやRPNをExcelを使用して表にするには意義・原理を理解できるので非常に参考になる)
編集履歴
2025/04/03 Mrはりきり
2025/04/05 ファクトチェック,訂正,追記