[GMP] CAPAとは?GMP/QMSにとって重要なツール/プロセスである.是正措置のみに止まっていないか? – 運用体制を含め具体的にどうするか [2025/04/03]

Gmp

FMEAとは?

FMEA = Failure Mode and Effects Analysis(故障モード影響解析)

製品・プロセス・業務などの中で、

  • どのような不具合(故障モード/Failure Mode)が起こり得るかを洗い出し、
  • それが起きた場合の影響(Effect)や深刻度を評価し、
  • リスクの高い要因を特定して、優先的に対策を講じる

という予防的リスク評価手法です。


FMEAの目的

  • 潜在的な不具合・リスクの早期発見
  • 問題発生前に予防措置(PA)を計画・実施
  • CAPAの“PAフェーズ”における正当な根拠付け

FMEAの基本構成

FMEAでは主に以下の3つの視点から、リスクの大きさを評価します:

項目意味スケール例(1〜10)
発生度(Occurrence)問題が起こる頻度1:非常にまれ〜10:非常に頻繁
重大度(Severity)問題が起こった際の影響の深刻さ1:軽微〜10:生命に関わる
検出度(Detection)問題を未然に検出できる可能性1:確実に検出〜10:全く検出できない

この3つを掛け算したものが **RPN(Risk Priority Number:リスク優先数)**です:

RPN = 発生度 × 重大度 × 検出度

RPNが高い項目ほど、リスクが高く、早急な対策が必要と判断されます。


FMEAの簡易表(例)

工程故障モード(不具合)発生度重大度検出度RPN対策
充填工程充填量の過不足685240設備センサー調整、点検強化
包装工程ラベル貼付ミス457140ダブルチェック導入
試験工程試薬劣化による誤判定376126試薬管理ルール強化

RPNが一定以上(例:150以上)ならPA対象とする、などSOPで基準を設けると運用しやすいです。


FMEAはどのタイミングで使う?

タイミング活用内容
CAPA開始時(RCA)原因特定のため、工程や業務のリスク分析として
PAの検討時同様の問題が他に潜在しないか、横展開先の評価として
新規製品/設備導入時初期設計段階でのリスク評価として(特に医療機器では必須)
継続的改善(PQR/APRなど)定期レビューでの再評価材料として

FMEAとCAPAの関係まとめ

項目役割CAPAとの関係
FMEAリスクを数値化し、対策の優先順位を明確化RCAまたはPAの判断根拠として非常に有効
5 Whys発生原因を掘り下げるRCA(原因分析)の手法
Fishbone(特性要因図)原因の構造を視覚化RCA(原因分類)の補助

FMEA導入時のポイント

  • フォーマットはExcelで作成されることが多い
  • RPNの基準値(例:150以上で要対応など)をSOPで規定する
  • 部門横断でのレビュー体制を構築(QC・製造・QAなど)
  • (古い文献ではあるが,バイオ医薬の開発にかんしてバイブルである”A-MAB”には具体的な事例があるので,リスク評価に関するFMEAやRPNをExcelを使用して表にするには意義・原理を理解できるので非常に参考になる)

編集履歴

2025/04/03 Mrはりきり
2025/04/05 ファクトチェック,訂正,追記

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