[GMP] 医薬品に関わる試験記録書の保管は5年間または使用期限後1年 [2025/04/10]

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はじめに

**GMP(Good Manufacturing Practice)GCTP(Good Gene, Cellular, and Tissue-based Products Manufacturing Practice)**は、どちらも医薬品等の品質を保証するための製造管理・品質管理の基準ですが、対象とする製品の性質が異なるため、その内容や運用にも違いがあります。


GMPとGCTPの比較一覧表

項目GMPGCTP
正式名称Good Manufacturing PracticeGood Gene, Cellular, and Tissue-based Products Manufacturing Practice
対象製品一般の医薬品(化学合成品、バイオ医薬品など)再生医療等製品(細胞・遺伝子治療・組織加工品など)
根拠法令医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)同上(ただし再生医療等製品に関する条項)
省令名医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準(GMP省令)再生医療等製品の製造管理及び品質管理の基準(GCTP省令)
目的品質の均一性、安全性、有効性の確保(バリデーション重視製品ごとの個別性を踏まえた安全性確保(柔軟な管理重視
品質の考え方一定の製法により均質な製品を連続的に製造原材料(細胞など)の個別性があるため製品ごとの変動を考慮
バリデーションプロセスバリデーションが必須原材料や製法の多様性により、完全なバリデーションが困難な場合がある
トレーサビリティロット単位の管理が基本ドナー由来細胞や患者ごとの個別管理が必要(ドナー→製品→患者)
無菌性保証滅菌工程+無菌試験などの管理が基本無菌操作(A/Bグレード)と閉鎖系操作の徹底が重視される
教育訓練一般的なGMP教育とSOP順守無菌操作技術、細胞取扱いの専門教育が必要
監督機関PMDA・厚生労働省同左(ただし再生医療担当部門)

特徴的な違いの解説

製品の性質の違い

  • GMP対象製品:化学的に合成された医薬品やバイオ医薬品 → 一定のプロセスで大量製造が可能。
  • GCTP対象製品:患者自身の細胞やドナー細胞を利用 → 原材料やプロセスが個別性・変動性が高い

「一律の規格」vs「柔軟な運用」

  • GMPでは一つの製品に対し一つの規格・製法・検証済プロセスが前提。
  • GCTPでは個別性が前提のため、「規格内に収める」のではなく「逸脱がないこと」を評価

ドナーや患者単位での管理(GCTP独特)

  • ドナー由来細胞の取り扱いに始まり、移植・投与に至るまでトレーサビリティと記録管理が極めて重要
  • → 例えば製品ロットだけでなく「患者IDごとの管理」が求められる。

どちらも「品質を作る仕組み」だが、思想が違う

GMPGCTP
製品の同質性・均一性を担保する個別製品の安全性と工程の適正性を確保する
「一定の条件下で常に同じ品質」「条件が異なっても適正に管理・記録されていればよい」

用途の違いのイメージ

製品タイプ適用される基準
通常の化学合成医薬品GMP
ワクチン・抗体医薬品(バイオ医薬品)GMP
CAR-T細胞療法、iPS細胞治療などGCTP

編集履歴

2025/04/10 Mrはりきり