カテゴリー: BIOLOGICS

  • [Bio-Edu] バイオ医薬品の製造で使用するTFF膜の管理 / バリデーションについて[2023/11/12]

    [Bio-Edu] バイオ医薬品の製造で使用するTFF膜の管理 / バリデーションについて[2023/11/12]

    はじめに

    バイオ医薬品(biopharmaceutical)では,限外ろ過膜によるプロダクトの濃縮やバッファー置換が,必ず1つは,プロセスとして組み込まれている.TFF膜は高価であり再利用されて,繰り返し製造がおこなわれる.TFF膜の性能や洗浄不十分によるキャリーオバーなどが生じるリスクがあるが,プロダクトの品質を一定に保つためには,TFF膜の性能,キャリーオーバー管理は重要な項目である.

    TFFの使用期限に関わる評価パラメータは,キャリーオーバーと性能です.キャリーオーバー(carryover)とは,前回の使用でクリーニングしきれなかった物質の持ち越しです.性能(performance)はろ過するものはろ過し,補足するものは補足する,というろ過能力とろ過流速です.

    TFF膜の寿命(lifespan)を確認するアプローチには,前向き評価,同時評価があります.

    1. 前向き評価(prospective validation) : 製造承認申請前にデータを取得する.
    2. 同時評価(concurrent validation) : 実製造スケジュールに組み込まれる.

    どちらのアプローチをとるかはを判断しなければなりません.

    1. 実製造スケジュールがタイトである場合は,予め評価データを取得する(prospective validation).その場合,製造承認申請データとして取得する期間が余分に必要となる.
    2. 同時評価(concurrent validation)とする場合は,実製造スケジュールに影響を及ぼさない場合に採用できる

    評価パラメータ

    1. 洗浄条件(薬剤,蒸気など各種パラメータ)
    2. 経年劣化
    3. プロダクト,エンドトキシン,不純物残存量(carryover)
    4. ろ過性能

    評価項目と方法など

    1. NWP (Normalized Water Permeation)
    2. バイオバーデン
    3. Host Cell DNA
    4. Host Cell Protein
    5. 収率
    6. 完全性試験(巨大な穴によるリーク)
    7. TMP(膜貫通圧; TMP対フラックス曲線)
    8. FTIR(フーリエ変換赤外)やラマン分光法による膜の状態分析(タンパク質蓄積など)
    9. 定期的なブランク分析(例えば水により運転し,リークする物質の分析,上記に記載の試験の実施,HPLC分析,ELISA,SDS-PAGE分析,TOC分析)

    前向きバリデーション

    前向き評価(prospective validation)小規模の膜システムを使用して寿命(lifetime)を評価パラメータから評価するアプローチです.その評価を使用後20回毎に行ったとします.その結果120回が使用可能(resusable)と判断された場合,実製造スケールでの使用には,その回数以内での使用期限を規定できます.例えば100回の使用が可能と規定します.

    同時バリデーション

    同時バリデーション(concurrent validation)は,例えば,他の事例から100回の使用が可能である情報があったとします.そこで使用目標回数を100回と定めて実製造を開始し,同時に同時バリデーションをスケジュールに組み込みます.

    用語

    NWP: Nomalized Water Permeability

    NWPとは、ノーマライズド・ウォーター・パーミアビリティ(Normalized Water Permeability)の略で、TFFのメンブレンの透過性を表す指標です.NWPは、メンブレンの孔径や材質、水の流量や圧力,温度などによって変化します。NWPが高いほど、メンブレンの透過性が高く、ろ過流量が大きくなります。NWPが低いほど、メンブレンの透過性が低く、ろ過流量が小さくなります。NWPは、メンブレンの性能や劣化の評価に用いられます.NWPの計算式は以下の通りです。

    NWP=PJ​×Sμ​

    J: 水の透過流速(単位面積あたりの水の流量,L/h/m2)
    P: メンブレンにかかる圧力(bar)
    μ: 水の粘度(?, この式に納得できないので,後日調べて訂正予定)
    S: メンブレンの有効面積(m2)
    NWPの単位は、L/m2/h/bar

    参考文献

    Lifetime Studies for Membrane Reuse: Principles and Case Studies – BioPharm, 2007

    Lifetime Studies for Membrane Reuse: Principles and Case Studies (biopharminternational.com)

    Protein Concentration and Diafiltration by Tangential flow Filtration – MILLIPORE

    MILLIPORE_TFF.pdf (huji.ac.il)

    KrosFlo® KMPi TFF System – REPLIGEN

    KrosFlo® KMPi Tangential Flow Filtration (TFF) Systems | Repligen

    MF / UF技術の進展と展望

    MF / UF技術の進展と展望 (jst.go.jp)

    Validation Guide.

    T-Series TFF Cassettes with Delta Membrane USTR 2661 – PALL – For use with Centramate™ and Centrasette™ TFF Systems

    12.8028_USTR2661(2)_T-Series_Cassettes_Delta_TS_VG_EN.pdf

    TangenX® TFF Cassette Air Integrity Testing – REPLIGEN

    IF.UG.027.pdf (repligen.com)

    Protocol Guide

    Pellicon(R) Ultrafiltration (UF)/Diafiltration (DF) Operations – Millipore

    rf1159en-mk.pdf (sigmaaldrich.com)

    Evaluation of Novel Large Cut-Off Ultrafiltration Membranes for Adenovirus Serotype 5 (Ad5) Concentration (2014)

    Summary: 500kDa cut-off used for Ad5 concentration, 10-fold concentration factor with 100% recovery.

    Evaluation of Novel Large Cut-Off Ultrafiltration Membranes for Adenovirus Serotype 5 (Ad5) Concentration | PLOS ONE

    編集履歴

    2023/11/12, MR.HARIKIRI

  • 気になる企業 – NOVA Bio-Pharma Holdings Ltd – ID24741 [2023/11/12]

    気になる企業 – NOVA Bio-Pharma Holdings Ltd – ID24741 [2023/11/12]

    NOVA Bio-Pharma Holdings Ltd.

    NOVA Bio-Pharma Holdingsは、イギリスの医薬品ベンチャー企業です。2008年5月22日に設立され、レスターシャーのウィグストンに本社を置いています1。同社は、ヘッドオフィスの活動を主な事業としている.

    DateEvent
    2008/05/22設立
    2022/3/31純資産 (1,000万ポンド)

    1 find-and-update.company-information.service.gov.uk

    以下のグループ会社を構成するが,機能を分社化して構成会社が結果的に増えているものと考えられる(MR.HARIKIRI).

    • Nova Laboratories Ltd
      • CDMO
      • 前臨床から大規模第三相試験をサポート
    • Nova Bio-Pharma Technologies Ltd
      • バイオテクノロジーに関する研究開のコンサルティング会社
      • (おそらく創薬開発)
    • Nova Pharma Product Development Ltd
      • バイオテクノロジーに関する研究開発会社
      • (おそらく後期開発/CMC)
    • Nova Immunotherapeutics Ltd
      • 癌,感染症
    • Martin House Properties Ltd
      • 不動産会社
    • Nova Laboratories Ireland Ltd (Non Trading)
    • Nova Advanced Material Therapies Ltd (Non Trading)
    • Nova Advanced Tissue Engineering Ltd (Non Trading)

    Nova Laboratories Ltd

    • CDMO
    • 前臨床から大規模第三相試験をサポート
    • 医薬品,バイオ医薬品,医療用機器製品
    • 独自のクリーンルーム,アイソレーター,プロセス機器を持つ
    • 具体的対応プロダクト (低分子,ペプチド,タンパク質,mAb, 免疫複合体,DNAプラスミド,カテゴリー1,2の最近,ウイルス,ファージ)
    • 能力 (注射バイアル: 1mL~200mL, アンプル: 1mL~30mL, ブレフィルドシリンジ: 0.5mL~50mL, bag, インジェクターデバイス,吸入,点眼)
    • 各国規定当局との交渉や申請書類の作成
    • 品質試験に関する分析・試験・安定性試験およびバリデーションなどの業務
    • スプレイ・ドライとパウダー・フィリング

    編集履歴

    2023/11/12, MR.HARIKIRI

  • [用語] UNA; unlocked nucleic acid [health] [2023/10/14]

    [用語] UNA; unlocked nucleic acid [health] [2023/10/14]

    はじめに

    UNAは,人工的に作られたヌクレオチドであり,構造フレキシビリティが高いため,核酸医薬開発における有用なツールである.

    核酸の基本単位であるヌクレオチド

    1. 先ず,「ヌクレオチド」は,5炭素糖,窒素塩基およびリン酸からなっている.このヌクレオチド1単位に1つの遺伝暗号が対応する.
      • 5炭素糖
      • 窒素塩基
      • リン酸
    2. 5炭素糖は,環状の糖分子であり,「リボース」と「デオキシリボース」の2種類が自然界には存在している.
      • リボース
      • デオキシリボース (リボースの2位の水酸基が水素に置換されている)
    3. リボースはRNAに,デオキシリボースはDNAに,それぞれ骨格形成として使われる.
    4. 窒素塩基(核酸塩基)には,アデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、チミン(T),およびウラシル(U)の5種類が存在しており,遺伝情報を担っている.
    5. AとGはプリン塩基,CとTおよびUはピリミジン塩基という.
    6. DNAにはA,G,C,Tで,RNAにはA,G,C,Uで,それぞれ構成される.
    7. AとT(またはU)は2つの水素結合,GとCは3つの水素結合でそれぞれ結びつき,核酸の特有な安定構造である二重らせん構造を作る.
    8. リン酸は,リンさ酸素からなる無機化合物で,5炭素糖の5’位に結合している.
    9. リン酸は,高エネルギー結合を持ち核酸合成・分解に関与している.
    10. リン酸は,隣合うヌクレオチド同士をホスホジエステル結合で結びつける.

    UNA

    1. Unlocked Nucleic Acid(ロックされていない核酸;UNA)モノマーは、RNAのリボース環のC2′-C3′-結合を欠く(開いている)RNAの非環式誘導体です.
    2. UNAは,リボース間が開いていることで,構造的に柔軟性が高くなっている.
    3. UNAは2本鎖を形成できるが,C2′-C3’結合を欠いているためその二本鎖構造の安定性は低下している.
    4. UNAは,DNAやRNAと同じように,核酸塩基であるアデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、およびウラシル(U)の4種類の塩基を持つが,自然界に存在しない人工的な物質である.
    5. UNAモノマーは、核酸二本鎖の安定性を付加的に減少させることができる.
    6. ミスマッチの識別の欠如を装うこともできる.
    7. 逆に,ミスマッチの識別の増加も可能となりハイブリダイゼーションなどの特異性の改善も可能となる.
    8. UNA修飾RNA二本鎖は、円二色(CD)分光法により、未修飾RNA二本鎖を構造的に模倣することが示されています。

    抗体精製をマスターしよう (1) -cytiva-

    https://www.cytivalifesciences.co.jp/newsletter/biodirect_mail/technical_tips/tips63.html

    UNAの最初の情報原は,上記のcytiva社から最初のUNA情報を取得し,キーワードを把握した後,Windows 11 の Copilot Preにより調査した (2023/10/14).

    Windows 11 > Copilot Pre

    編集履歴

    2022/09/04, Mr. Harikiri
    2023/10/14,追記(Windows11 > Copilot preによる追加調査)
  • [用語] Activin A; アクチビン A

    [用語] Activin A; アクチビン A

    細胞の増殖および分化の調節、神経細胞の生存など、様々な生物活性を有する分泌性タンパク質 (サイトカイン)で、Transforming Growth Factor-β;トランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)ファミリーに分類される。INHBA 遺 伝子にコードされた inhibin subunit beta A が 2 つ結合したホモダイマーの構造である。脳や肝臓、性腺など多くの臓器・細胞からも産生される。

    編集履歴

    2023/08/18, Mr. Harikiri (参考サイト:大阪大学)

  • [用語] 繊維芽細胞

    [用語] 繊維芽細胞

    コラーゲン・エラスチンなどの結合組織を産生する細胞で、皮膚真皮をはじめ様々な臓器に存在する。 癌や関節リウマチ、歯周病など様々な疾患に関連する線維芽細胞も存在する。

    編集履歴

    2023/08/18, Mr. Harikiri

  • [Bio-FAQ] タンパク質とは何ですか?[2022/11/16]

    [Bio-FAQ] タンパク質とは何ですか?[2022/11/16]

    Q : タンパク質とは何ですか?

    A : タンパク質とは、ヒトや動物、その他の生体内における何がしかの機能を持った最終的な機能性物資であと定義することができます。タンパク質は、アミノ酸で作られています。脂質、炭水化物とは異なる生体内の成分です。タンパク質の持つ機能を医薬品としたものが、バイオロジクスです。タンパク質の設計図は、メッセンジャーRNA (mRNA)です。mRNAはDNAを鋳型としてコビーされます。DNAは、細胞の核に保存されています。

  • [Bio-FAQ] タンパク質精製用のLab(実験室)の準備について教えてください[2022/11/16]

    [Bio-FAQ] タンパク質精製用のLab(実験室)の準備について教えてください[2022/11/16]

    Q : タンパク質精製用のLab(実験室)の準備について教えてください

    A : 目的のタンパク質の生産がどの細胞であるか,そのタンパク質は分泌系か否か,などにより準備する装置は異なってくる.

    フロー

    • 生産系 : 培養装置
      • 動物細胞 : 動物細胞用培養装置
      • 大腸菌 : Fermenter
      • 酵母 : Fermetner
    • 回収
      • 動物細胞,酵母では目的物は分泌されるため遠心機で培養上清を分離回収する
      • 大腸菌では,目的物はInclusion Body (IB),すなわち不溶性画分として産生されるため,遠心機に加えて細胞破砕装置が必要となる
    • 途中保管用の冷凍庫 : -20℃は凍っているとは言えない.タンパク質溶液を凍結して安定的に保管することはできない.できれば,-80℃冷凍庫がベスト.
      • できれば,-80℃冷凍庫
      • なければ,-40℃冷凍庫
      • それでも難しい場合は,安価な-20℃以下の冷蔵庫
    • Refoldingは必要か : 目的物がIBとして得られる場合,タンパク変性材,例えば尿素,塩酸グアニジンで可溶化し,さらに,アミノ酸組成にシステインを含む場合は,還元剤である2-Mercaptoethanolや酸化剤であるシスタミン塩酸塩あるいは金属塩を使用して分子内SS結合を正しく作ってやる必要がある.
      • 希釈法 : Refolding法としては一般的方法.10倍希釈に対応する容器が必要である.
      • カラム法 : カラムに目的物を結合させた状態で,Refolding 試薬であるたんぱく変性材などを取り除き,その後,カラムから抽出する方法.目的タンパク質が結合できるレジンとその量,および必要なサイズのカラムが必要である.
    • カラム精製: 使用するバッファは,できるだけStock Solutionとして用意する.
      • カラムサイズ (0.1mL~100mL)
      • Stepwise (max: 6CV) or Gradient
      • Resinの種類
      • カラム精製の順序
      • カラム再生
        • 0.1N NaOH, 6M GuHCl, 1% Acetic Acid
      • カラム保存
        • 3M NaCL
        • 次回の検討に使用するまで5℃保管 : 冷蔵庫
    • 膜処理
      • 濃縮 : タンパク質の濃縮し水分をろ過液として分離することで,体積を少なくする
      • バッファ組成交換 : 濃縮により減少した体積分を交換したいバッファで補充してやると組成が置換される.何度も行うことで目的のバッファ組成に変更できる.
      • 膜分画
        • MWCO値 : 目的の分子量(MW)を目安に適当なMWCO値の膜を選択する.
        • メーカーにより性能が異なる : メーカーによってMWCO値と性能は異なるため,実際の目的タンパク質で確認する必要がある.
        • バッファ組成ごとに性能が異なる : 伝導度,塩の種類,pHとタンパク質の物性の組み合わせにより,そのタンパク質の立体構造や表面電荷が変化することで,タンパク質の大きさとしての「膨らみ具合」,「粘度」や膜との親和性に違いが生じる.その結果,処理時間の変化,ろ過液への漏れにつながる.
    • Endotoxin除去
      • 混入リスクの低減
      • シンプルな配管
      • バッファ調製用の水
      • 限外ろ過膜による分子量カット

    材料

    • カラム : ディスポカラム(Endotoxin混入対策)
      • 0.1mLカラム : 市販のスピンカラムの中身を抜いて利用
      • 0.5mLカラム : PD-10 Emptyカラム
      • 5.0mLカラム : Millipore C10/Millipreの中身を抜いて利用
      • 50mLカラム : BioRad Econocolumn/5cmφ
        • 送液ポンプ : MasterFlex Pump
    • 限外濾過膜
      • 材質
        • 強度はPES, 低吸着はセルロース系
      • MWCO
        • 5kDa
        • 10kDa: 一般的
        • 30kDa: Albumin, IgG
        • 50kDa
        • 100kDa: 低分子量タンパク質のろ過によるEndotoxin除去
        • 1,000kDa: 清澄ろ過
      • 製品
        • VIVASPIN
        • VIVACELL
        • VIVAFLOW 50 , 200
          • 送液ポンプ : MasterFlex Pump
      • 再生
        • 6M GuHCl→0.1N NaOH→water
      • 保管
        • 3M NaCl
    • 分析装置
      • RP-HPLC
      • SDS-PAGE分析装置
      • ゲル振とう器
      • 分光光度計
      • 液体クロマトグラフィー装置(AKTA)
      • TFF System

    ストックバッファー

    • 3M NaCl (希釈して使用)
      • 0.15M NaCl (Saline) dilution by water
      • 0.3M NaCl
      • 0.5M NaCl
    • 6M GdmCl
    • 8M Urea
    • 1M Imidazole
      • 溶解時pH8
    • 1M Tris-HCl (pH7.5), 1M Tris-HCl(pH8.0)
      • 25mM Tris-HCl (dilution by water)
    • 1M Arginine, 0.25M Tris (HCl) pH9
    • 33mM Acetic Acid (pH3程度)
    • 0.1N NaOH

    精製検討の実際

    • 分析法
      • SDS-PAGE: SS結合の開裂の問題
        • 中性pHのSDS-PAGE (Bis-Tris)
        • 通常のアルカリ性のSDS-PAGE
      • BlueNativePAGE
        • 標準のサンプルバッファー
        • 1M Tris-HCl (pH7.5)
    • モニタリング
      • RP-HPLC
        • 分析時間: 5分
        • A220nm
        • PolymerLaboratorys, A4000
        • A buffer: 0.1% TFA
        • B buffer: 90% Acetonitrile, 0.1% TFA
    • スモールスケール検討
    • クロマト
    • 膜分画
      • MWCOによる分画では、バッファ組成、遠心G、クロスフロー流速とTMPにより性能が異なる
    • 沈殿法
    • Refolding
    • サンプルの状態の目視観察
      • 泡立ち
        • タンパク質濃度の推定
        • 試験管を激しく振ったりする
        • 色は不純物、タンパク質との分離の具合
      • 表面張力
        • タンパク質濃度、核酸、糖

    Eco-Study

    • 基本的は、Stepwiseによるカラム実験とRP-HPLC分析を同時並行して回し、サンプルが整えばSDS-PAGE分析に投入する。これをシームレスに慌ただしく実行する
    • マルエム・チュープSS14 (5ml)に充填カラム(0.5m)を載せる
    • Stepwiseで、サンプルアプライ(好きなだけ/3mL/tube)、バッファ(3mL)添加毎にチューブを交換しフラクションを回収(3mL/tube)
    • 得られたフラクションはその都度、次のバッファー(3mL)をカラムに載せたら、即、RP-HPLC システムに持って行き、オートサンプラーに載せ、すぐに実験室に戻る。このサイクルを回す
    • バッファ組成は、実験の前に予め定めているが、RP-HPLCの結果も同時に確認しながら、次のカラム条件のアイデアを考え、臨機応変にバッファー組成の追加、変更を試す
    • ある程度サンプルが揃えば、SDS-PAGEを同時並行的に実施する
    • リアルタイムなバッファ調整のコツ
      • 充填カラムに載せるバッファ組成の変更を思い付いたとき、素早くバッファを作る。それには、複数のストックバッファとピペットを準備しておく。
      • 3M NaClは用意している。0.15M NaClを作りたい時、20倍希釈すればいい。3mLを調製するには、1/10量は、0.3mL, 1/20量は、その半分(0.15mL)なので、tubeに3mLのwaterをとり、0.15mLを抜き取って、3mM NaClを0.15mL添加すれば良い。これを全量、充填カラムに載せる。
    
    
  • [Bio-FAQ] タンパク質濃度はどうやって求めますか?[2022/11/16]

    [Bio-FAQ] タンパク質濃度はどうやって求めますか?[2022/11/16]

    Q : タンパク質濃度はどうやって求めますか?

    A : タンパク質はアミノ基をもっているので,その特性,すなわちA280nmに高い紫外線波長の吸収を持つことを利用してタンパク質の濃度を求めます.

    最も簡単な方法は,分光高度計を用いた方法です.そのほか,高感度測定法として「ローリー法」などがあります.化学反応により発色させてから,その色を同様に分光高度計で測定するため,高感度となります.

    分光高度計の測定波長A280nmを用いた測定方法については,以下のリンクを参照できます.

    1. OD測定 (A280nm)
    2. ローリー法
    3. RP-HPLC法 (目的タンパク質を逆相(RP)カラムで分離し,そのピーク面積 (一般的な波長はA220nm)を標準タンパク質と比較して求める.不純物が含まれていても目的のタンパク質のみの濃度を求めることができる.

    「タンパク質濃度 測定」に関する検索結果を見る

  • [Bio-FAQ] 核酸とは何ですか?[2022/11/16]

    [Bio-FAQ] 核酸とは何ですか?[2022/11/16]

    Q : 核酸とは何ですか?

    A : タンパク質精製における核酸は不純物に他ならない。UV測定においては、A260nmに最大吸収するため、A260とA280の比で核酸の除去状況をある程度判断することができる。遺伝子組換えCHO細胞で抗体を産生させた場合、細胞由来の核酸が不純物として混入してくる。これをHost Cell DNAという。しかし、核酸を医薬品するものがある。核酸医薬においては主成分となるが、目的の核酸でない核酸は、もちろん不純物である。タンパク質の精製において、サンプルに核酸が多く含まれていると、酸性pHにすることで濁りが生じる現象を利用して核酸の混入程度を定性的に確認できる。

  • [Bio-FAQ] タンパク質の精製を始める前に、そのタンパク質についてよく考える必要があるのですか?[2022/11/16]

    [Bio-FAQ] タンパク質の精製を始める前に、そのタンパク質についてよく考える必要があるのですか?[2022/11/16]

    Q : タンパク質の精製を始める前に、そのタンパク質についてよく考える必要があるのですか?

    A : まず、精製品として取得したいタンパク質を精製するには、そのタンパク質自体の情報を理解する必要があります。分子量、アミノ酸配列、精製機材としてのレジンとして特異的なレジンがあるか、そして、3D立体構造を知ることは、精製に関わる挙動をイマジネーションすることができます。

    • 分子量
    • アミノ酸配列情報
    • 特異的な精製は可能か
    • 3D立体構造

    分子量はどれくらいか

    精製しようとしているタンパク質の物性について知ることから始めます。

    100kDaを超えると大きい分子と認識します。もしもRefoldingが必要な場合、このような高分子でのRefoldingは期待薄です。できたとしても、その歩留まりは非常に低いはずです。

    Refoldingが可能なタンパク質の分子量は、一般的に30kDa以下です。それ以上になると、分子量の増加とともにRefolding効率が低下してきます。

    アミノ酸配列情報

    等電点はどれくらいか

    イオン交換体の精製を考える場合に、その等電点を知ることは、陰イオン交換体を使用できるのか、陽イオン交換体を使用できるのか、まずは、大雑把に判断するために必要な情報です。

    ウイルスや核酸は、負電荷が強いので、陰イオン交換体による吸着/溶出法が使用できます。IgGの場合、そのpIは、中性から塩基性であることが多いので、その場合には、その抗体のpIを超えないpHのバッファー組成で、陰イオン交換クロマトグラフィを実施できます。IgGはパススルーしますが、その他、pIが低い不純物質は、吸着するので精製されるわけです。

    疎水性はどれくらいか

    分子量が大きくなるにつれて、疎水性は一般的に高くなります。大きな分子であれば疏水クロマトが使用できるでしょう。IgGの分子量は、150kDaなので、疎水クロマトが使用できます。

    疎水性が強ければ、塩析による沈殿化も容易です。容易ということは、沈殿化によるロスに注意を払う必要もあるということです。

    ただ、疎水クロマトでは、疎水レジンであっても吸着容量がイオン交換クロマトグラフィと比較して低くなるし、高分子であるほど吸着容量は低下することを考慮する必要があります。

    特異的な精製は使用可能か

    アフィニティ精製

    抗体の精製のようにProtein Aレジンによる精製が可能なら使用すれば、初期精製の苦労を回避できます。文明の力は使いましょう。そのために、試薬メーカーが開発してくれています。

    AAVのアフィニティ・レジンも開発されています。使用しない手はないでしょう。

    血液凝固系のタンパク質は、もっぱらヘパリン親和性を持っています。ヘパリン・レジンを使えるかも知れません。

    精製タグによる精製

    ラボでの精製をしやすくするために、N末またはC末にHistidine x 6を付加して、Niカラムで精製が可能にデザインすることがあります。Imidazoleの濃度で溶出できますが、おそらくHistidineでも溶出は可能なはずです。一般的には、Histidineで溶出することはないようです。私は、見たことがありません。

    最適なImidazole濃度は、必要十分な濃度を知ることが重要です。薄すぎると回収率が低下し、高すぎると不純物が多くなりがちです。ただし、この工程は、キャプチャリングなので、後の精製工程の能力が高ければ、Imidazole濃度については、それほど厳密な設定は必要ないでしょう。

    編集履歴

    2020/11/22 Harikiri(Mr) 2021/05/02