CQAとは:Critical Quality Attribute(重要品質特性)

CQAとは、

目次

  1. CQAとは、
  2. CQAの定義
  3. CQAの例
  4. CQAとQTPPの関係
  5. CQAとCPPの違い
  6. CQAはどのように特定するか
  7. バイオ医薬品におけるCQAの考え方
  8. CQAと管理戦略(2ページ)
  9. CQAは固定されたものではない(2ページ)
  10. まとめ(2ページ)
  11. 用語集(2ページ)
  12. 参考文献・出典(2ページ)

Critical Quality Attribute の略で、日本語では一般に 重要品質特性 と訳されます。

医薬品、特にバイオ医薬品や無菌製剤の開発・製造では、製品の品質を「最終試験で合格すればよい」と考えるのではなく、開発段階から製品品質に影響する特性を特定し、それを工程設計・管理戦略・規格設定に反映させることが重要です。

CQAは、その中心となる考え方です。

CQAの定義

ICH Q8(R2)では、CQAは概ね次のように説明されています。

製品品質を保証するために、適切な限度値、範囲、または分布の中にあるべき、物理的・化学的・生物学的・微生物学的な性質または特性です。

簡単に言えば、CQAとは、

「その特性が外れると、医薬品としての品質・有効性・安全性に影響する可能性がある重要な品質項目」

と理解できます。

CQAの例

CQAは製品の種類によって異なります。低分子医薬品、抗体医薬品、遺伝子治療用製品、細胞加工製品では、重要となる品質特性が異なるためです。

代表的な例を挙げると、以下のような項目があります。

分類CQAになり得る項目の例品質への関係
物理的特性粒子径、外観、粘度、濁度投与性、安定性、均一性に影響
化学的特性純度、不純物、分解物、含量有効性・安全性・安定性に影響
生物学的特性力価、生物活性、結合活性薬効・作用機序に影響
微生物学的特性無菌性、エンドトキシン、バイオバーデン患者安全性に直結
バイオ医薬品特有糖鎖プロファイル、凝集体、電荷バリアント、宿主細胞由来タンパク質、残留DNA免疫原性、有効性、安全性、製造一貫性に影響

特にバイオ医薬品では、分子構造が複雑で、製造工程の変動が品質に影響しやすいため、CQAの特定と管理が低分子医薬品以上に重要になります。

CQAとQTPPの関係

CQAを考える前提として、まず QTPP(Quality Target Product Profile:目標製品品質プロファイル) を設定します。

QTPPは、開発する医薬品が最終的に備えるべき品質上の目標像です。たとえば、投与経路、剤形、含量、安定性、投与方法、有効性、安全性に関わる期待品質などが含まれます。

CQAは、このQTPPを達成するために管理すべき品質特性として特定されます。

つまり、関係性は次のように整理できます。

用語意味位置づけ
QTPP目標とする製品品質像どのような製品を目指すか
CQA重要品質特性その品質像を達成するために重要な品質項目
CMA重要物質特性原薬・添加剤・原材料などの重要な特性
CPP重要工程パラメータCQAに影響する重要な工程条件
Control Strategy管理戦略CQAを保証するための総合的な管理方法

CQAとCPPの違い

CQAと混同されやすい用語に、CPPがあります。

CPPは Critical Process Parameter:重要工程パラメータ のことです。

CQAが「製品や中間体の品質特性」であるのに対し、CPPは「工程側の管理すべきパラメータ」です。

たとえば、抗体医薬品の培養工程を考えると、次のように整理できます。

観点
CQA糖鎖プロファイル、凝集体、純度、力価
CPP培養温度、pH、溶存酸素、撹拌条件、培養時間
関係CPPの変動がCQAに影響する可能性がある

つまり、CQAは「守りたい品質」、CPPは「その品質を守るために管理すべき工程条件」と考えると理解しやすくなります。

CQAはどのように特定するか

CQAは、単に担当者の経験だけで決めるものではありません。通常は、以下のような情報を組み合わせて特定します。

情報源内容
既存知識類似製品、文献、プラットフォーム技術、過去の開発経験
作用機序有効性に関係する構造・活性・結合特性
安全性情報不純物、免疫原性、毒性、感染リスクなど
製剤特性安定性、投与経路、容器施栓系、保存条件
実験データDoE、強制劣化試験、工程変動試験、特性解析
リスク評価FMEA、HACCP、リスクランキングなど

ICH Q9(R1)では、品質リスクマネジメントを通じて、原材料、工程、製品品質に関わる重要な要素を評価し、管理する考え方が示されています。

バイオ医薬品におけるCQAの考え方

バイオ医薬品では、CQAの考え方が特に重要です。

抗体医薬品を例にすると、アミノ酸配列が同じであっても、糖鎖、電荷バリアント、酸化、脱アミド化、凝集体などの違いによって、有効性、安全性、免疫原性、体内動態に影響する可能性があります。

そのため、バイオ医薬品では、単に「主成分が存在するか」だけでなく、以下のような品質特性を総合的に評価します。

項目
構造関連一次構造、高次構造、糖鎖、ジスルフィド結合
純度関連凝集体、断片、不純物、宿主細胞由来タンパク質
活性関連結合活性、中和活性、ADCC、CDCなど
安全性関連エンドトキシン、無菌性、残留DNA、外来性感染因子
安定性関連分解、酸化、脱アミド化、粒子形成

CQAを適切に設定することは、製造工程の開発、分析法開発、規格設定、プロセスバリデーション、継続的工程確認にもつながります。

人気順