Wi-Fiルーター、NAS、防犯カメラ、スマート家電など、インターネットにつながる機器は身近な存在になりました。一方で、これらのIoT機器がサイバー攻撃の入口になるリスクも高まっています。
そこで注目されているのが、IoT製品のセキュリティ対策を共通の基準で評価し、ラベルで見える化する制度「JC-STAR」です。
JC-STARとは
JC-STARは、正式には「セキュリティ要件適合評価及びラベリング制度」と呼ばれる制度です。経済産業省が公表した方針に基づき、IPAが運営しています。
目的は、IoT製品にどの程度のセキュリティ対策が備わっているかを、利用者や企業が判断しやすくすることです。
対象となるのは、インターネットと通信できる幅広いIoT製品です。たとえば、無線ルーター、無線アクセスポイント、NAS、スマートスイッチ、防犯カメラ、各種ネットワーク機器などが該当します。
なぜIoT機器にセキュリティラベルが必要なのか
IoT機器は、パソコンやスマートフォンに比べて、利用者がセキュリティ状態を確認しにくい製品です。
特に問題になりやすいのは、次のような点です。
- 初期パスワードが推測されやすい
- ファームウェア更新が行われない
- サポート期間がわかりにくい
- 古い機器がネットワークにつながったまま放置される
- 脆弱性があっても利用者が気づきにくい
こうした機器が攻撃者に乗っ取られると、家庭や企業のネットワークに侵入されるだけでなく、他のサイトやサービスを攻撃する「ボット」として悪用される可能性もあります。
JC-STARの星の意味
JC-STARでは、製品のセキュリティ適合レベルを星の数で示します。基本的には、星が多いほど高いセキュリティ要件に対応していることを意味します。
現時点では、まず★1の運用が始まっています。★1は、すべてのIoT製品に共通して求められる最低限のセキュリティ要件に適合していることを示すレベルです。
たとえば、推測しやすい初期パスワードを避けること、適切なアクセス制御を備えること、製品内の重要情報を保護することなどが重要な要件になります。
BUFFALOの事例から見える実装内容
BUFFALOの解説ページでは、JC-STARに関連するIoT機器のセキュリティ対策例として、次のような内容が紹介されています。
- 個体ごとに異なる初期パスワード
- 初期設定時のパスワード変更
- ログイン試行回数の制限
- 設定値の暗号化
- ファームウェアの自動更新
- セキュリティアップデートの提供
- 設定初期化機能
- 製造・流通過程でのマルウェア混入リスク対策
これらは、Wi-FiルーターやNASのように家庭・企業ネットワークの中心に置かれる機器では特に重要です。
JC-STAR対応製品を選ぶメリット
利用者側のメリットは、セキュリティ対策の有無を確認しやすくなることです。
従来は、製品ごとのセキュリティ対策を購入前に比較するのが難しい状況でした。しかし、JC-STARのラベルが普及すれば、価格や性能だけでなく、セキュリティ水準も製品選びの判断材料にできます。
企業や自治体では、調達基準として使いやすくなる可能性があります。特に、重要インフラ、医療、製造業、教育機関などでは、ネットワーク機器の安全性を説明できることが重要になります。
注意すべき点
ただし、JC-STAR対応製品だからといって、絶対に安全という意味ではありません。
★1は最低限の共通要件を満たすレベルであり、高度な攻撃への完全な防御を保証するものではありません。また、制度は新しく、今後の普及や上位レベルの整備を見ながら評価していく必要があります。
利用者側でも、次の対策は必要です。
- 初期パスワードを必ず変更する
- ファームウェア更新を有効にする
- 使わない機能は無効化する
- 古い機器を放置しない
- サポート終了製品は買い替えを検討する
- 管理画面をインターネット側に公開しない
まとめ
JC-STARは、IoT機器のセキュリティ対策を見える化するための新しい制度です。
今後、Wi-Fiルーター、NAS、防犯カメラ、スマート家電などを選ぶ際には、価格や性能だけでなく、セキュリティラベルの有無も重要な判断材料になります。
特に企業や個人事業主がネットワーク機器を導入する場合、JC-STARは「安全性を説明できる製品」を選ぶための目安になります。
IoT機器は、買って終わりではありません。安全に使い続けるためには、製品側のセキュリティ対策と、利用者側の管理の両方が必要です。
【根拠】
JC-STARは、経済産業省の方針に基づき構築され、IPAが運営するIoT製品向けのセキュリティ評価・ラベリング制度です。IPAは、IoT製品のセキュリティ機能を共通の物差しで評価・可視化する目的を説明しています。
BUFFALOのページでは、JC-STARが2025年3月から運用開始された任意制度であり、無線ルーター、無線アクセスポイント、スマートスイッチ、NASなどが対象例として示されています。
【注意点・例外】
★1は「最低限の共通要件」の位置づけです。高度な防御や重要インフラ向け要件とは区別して理解する必要があります。
【出典】
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