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  • [Bio-Edu] バイオロジクス精製バルクの凍結保管に際して、その緩衝液のpHは適切か [2020/07/19]

    [Bio-Edu] バイオロジクス精製バルクの凍結保管に際して、その緩衝液のpHは適切か [2020/07/19]

    緩衝液のpH

    緩衝液の調製に際し、そのpHは3局対応の試験法に従って測定し調整される。その測定する温度は、室温付近に規定されている。しかし、リン酸緩衝液は、室温から凍結(-30℃など)までの範囲で、大きなpH変換を生じる。

    リン酸緩衝液に続いて、pH変動が大きい緩衝液は、Tris緩衝液である。抗体医薬でよく使用されているHistidine、酢酸緩衝液では、その変動は少ない。

    25℃から-30℃のpH変化

    • pH7に調整されたリン酸緩衝液の温度とpH変化
      • pH変化は激しい
      • 25℃から0℃ : pH7
      • 0℃から-5℃ : 一気にpH4.5~pH5に低下
      • -5℃から-30℃ : 徐々にpH変化率は低下してpH3.4に至る
    • pH5.7に調整された酢酸緩衝液の温度とpH変化
      • pH変化は緩やか
      • 25℃から0℃ : pH5.7
      • 0℃から-30℃ : 一定割合でpH6.1に至る

    主な緩衝液の25℃から35℃でのpH変化

    BufferpH at 25℃pH at 0℃pH at -35℃
    50 mM Sodium phosphate7.007.023.36
    20 mM Sodium acetate5.635.666.14
    20 mM L-Histidine-HCl5.375.866.19
    20 mM Histidine-acetate5.525.976.48
    20 mM Sodium citrate6.166.495.93
    20 mM Tris-HCl7.377.938.54
    20 mM sodium Succinate5.555.605.85

    Impact of Freezing on pH of Buffered Solutions and Consequences for Monoclonal Antibody Aggregation

    https://www.researchgate.net/publication/40806387_Impact_of_Freezing_on_pH_of_Buffered_Solutions_and_Consequences_for_Monoclonal_Antibody_Aggregation
    編集情報
    2020/07/19 Mr.はりきり
    ID 19312

    その他参考

    Examining the freezing process of an intermediate bulk containing an industrially relevant protein

    https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0141022915000046

    以上

  • [Bio-rAAV] AAVカプシド蛋白質VP1のpH依存的な構造変化 – エンドソーム脱出につながっているのか – ID8476 [2020/02/02]

    [Bio-rAAV] AAVカプシド蛋白質VP1のpH依存的な構造変化 – エンドソーム脱出につながっているのか – ID8476 [2020/02/02]

    VP1の機能

    カプシド蛋白質VP1の領域のうち、pH酸性(4-6)により内部にある部分が表出する、とのこと。

    要約 (Goolge翻訳より)

    感染に不可欠なカプシドの領域を特定するために、構造解析(X線結晶構造解析と低温EM)と変異原性および生化学的解析を組み合わせました。 これは、新しいベクター生産戦略の開発と標的ベクターの約束を可能にする重要な情報につながりました。 X線結晶構造解析を使用して、キャプシドが酸性pHにさらされたときに構造変化を受けるAAVカプシドの領域を特定し、円二色性(CD)を使用して、マイナーカプシドウイルスタンパク質VP1(VP1u)のユニークな領域を示しました。

    ホスホリパーゼA2(PLA2)機能を含む、同様の条件下で展開されます。

    これらのpH(pH 4〜6)は、生産的なAAV感染に不可欠であることが示されており、キャプシドが細胞侵入および輸送中にエンドソーム区画で遭遇するものに匹敵します。

    私たちの研究は、2つの予想外の新しい発見をもたらしました。

    1つ目は、カプシドが未知の酵素活性を持っていることです。つまり、カプシドと外部基質の自己分解的切断を触媒できるpH感受性プロテアーゼです。 プロテアーゼ活性のメカニズムとその機能の両方は不明であり、他のウイルスがコードするプロテアーゼと比較してユニークであるように見えます。

    2つ目は、キャプシドのpH感受性領域の変異は、ウイルスDNAが核でコーティング解除された後でも遺伝子発現に大きな影響を与えることであり、核でのDNAコーティング解除後にキャプシドが遺伝子発現に役割を果たすことを示唆しています。

    さらに、CDの研究は、通常キャプシド内部に埋もれているが、エンドソームの酸性コンパートメントを介して人身売買中に押し出されるVP1uの外部化のメカニズムを示唆しました。 この提案では、(1)プロテアーゼの活性部位とその切断ターゲットを特定することにより、(2)核の脱コーティング後の遺伝子発現におけるpH感受性キャプシド領域の役割を決定することにより、これらの新しい発見を探索したいと考えています。 (3)カプシド内の他の酵素活性であるVP1u関連PLA2に対するpHと陽イオンの影響を調べる。

    エンドサイトーシスで細胞内に入ったAAVは、エンドソーム内で、中性pHからpH5へpHが低下して行くなか、VP1の構造変化が起きること、さらに酵素活性を持っていること。このことは、エンドソームからの脱出の可能性を示唆しています。

    The role of pH and protease activity in AAV viral transduction 

    http://grantome.com/grant/NIH/R01-GM109524-01

    エンドソーム脱出モデル

    ドラッグでリバーリーとしてのナノキャリアが、エンドドームから脱出するモデルなどをまとめた論文

    Carriers Break Barriers in Drug Delivery: Endocytosis and Endosomal Escape of Gene Delivery Vectors, 2019

    https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6639780/#!po=10.2941