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  • [COVID-19] オミクロン株 – 感染力が強いBA.1、更に感染力も重症化リスクも強いとされる亜型のBA.2も日本で検出さた – スパイクタンパク質に30か所の変異 [2022/02/27]

    [COVID-19] オミクロン株 – 感染力が強いBA.1、更に感染力も重症化リスクも強いとされる亜型のBA.2も日本で検出さた – スパイクタンパク質に30か所の変異 [2022/02/27]

    ID35368

    この記事は,すでに古く,新型コロナウイルスに関する当時(2021/11/29投稿)を記述しています.

    オミクロン(ο)株

    当初発見されたο株(BA.1)にも亜型とされる更に感染力が高いBA.2の感染拡大が懸念されています。ただ、東京医科歯科大学の武内寛明准教授などのグループは2021/12から2022/02中旬までに40人の患者で遺伝子配列検査を行った結果、ο株BA.1.1の感染が73%を占めていることがわかった。海外でもBA.1.1の感染が続く場合、BA.1.2の感染に置き換わる速度は低下しており、今後日本でもBA.1.2への置き換わりは鈍化すると考えられる(2022/02/27)。

    これまでに、懸念された変異株は、アルファ(α)、ベータ(β)、ガンマ(γ)およびデルタ(δ)がありましたが、今回、オミクロン(ο)株の感染が確認されのが昨年2021年の年末あたりでした。その拡大が進み欧米諸国ではο株に置き換わり、その感染が既にピークアウトしている国もあります。

    BA.2は主なPCRキットでは検出することができず、ステルスと言われています。BA.2は当初のο株のBA.1とδ株と比較してアミノ酸配列の69-70番目が欠損しており、現在のPCRキットでは検出できるようにはなっていないため、その有無を判定できません。そのため、そのように呼ばれました。

    日本では、L452R、すなわちアミノ酸配列452番目が変異しているかどうかでο株かδ株を判定しており、ο株(BA.1とBA.2)を取りこぼしすことはありませんが、ステルス(BA.2)かどうかは判定は困難です。

    また、BA.1とBA.2は、亜型として分類されていますが、実は、見つかった順番に従い「ギリシャ文字」を当てているため、そうなっています。BA.1とBA.2は変異箇所が多いものの、共通する部分は少ないとのことです。参考文献である慶應義塾大学医学部 臨床遺伝学センターの報告する「分子系統樹解析」の結果によると、BA.1とBA.2の分岐は、2021年の2~3月に変異して別れたものと推定されています。(2022/02/19, by Mr.Harikiri)

    オミクロン株 BA.1とBA.2の変異 (2022/02/10) – 慶應義塾大学医学部 臨床遺伝学センター

    https://cmg.med.keio.ac.jp/covid-19-info/20220210-2913/

    ο株は、そのスパイクタンパク質の30か所に変異があるとのことです。その他のタンパク質にも2か所の変異(根拠情報は未確認)も確認されているとされます。更に、ο株では実験データが殆どないこともあり、世界各国で懸念が広がっており、入境制限の強化を実施する国が増えています。

    日本は、水際対策として11/30から外国からの入国を原則禁止すると発表しました。

    NHKニュース7, 2021/11/29

    https://www.nhk.jp/p/news7/ts/YV1K1Z3YV8/

    スパイクタンパク質のアミノ酸変異

    ゲノムシーケンシングデータ(B.1.1.529)では、この変異体は、スパイクタンパク質への30以上の変化が含まれています。変更の多くは、デルタやアルファなどの変異株で発見されている部分で、感染力の増強、感染を防御する抗体を回避する能力に関連しているとのことです。

    Heavily mutated Omicron variant puts scientists on alert – Nature –

    https://www.nature.com/articles/d41586-021-03552-w

    国立感染症研究所

    • 基準株と比較して
    • スパイクタンパク質に30か所のアミノ酸置換(以下、便宜的に「変異」と呼ぶ。)
    • 3か所の小欠損と1か所の挿入部位を持つ
    • このうち15か所の変異は受容体結合部位(Receptor binding protein; RBD; residues 319-541)に存在する(ECDC. Threat Assessment Brief)。
    • オミクロン株に共通するスパイクタンパク質の変異のうち、H655Y、N679K、P681HはS1/S2フリン開裂部位近傍の変異であり、細胞への侵入しやすさに関連する可能性がある。
    • nsp6 (non-structural protein-6; ウイルスの構造に関係しないタンパク質のこと、スパイクタンパク質はウイルスの構造に関係するタンパク質)における105-107欠失はアルファ株、ベータ株、ガンマ株、ラムダ株にも存在する変異であり、免疫逃避に寄与する可能性や感染・伝播性を高める可能性がある。
    • ヌクレオカプシドタンパク質におけるR203K (配列番号203のアルギニン(R)がリジン(K)に変異)、G204R変異(同様にグリシン(G)がアルギニン(R)に変異)はアルファ株、ガンマ株、ラムダ株にも存在し、感染・伝播性を高める可能性がある(Department Health, South Africa. SARS-CoV-2 Sequencing & New Variant Update 25)。

    SARS-CoV-2の変異株B.1.1.529系統について(第1報)

    https://www.niid.go.jp/niid/ja/2019-ncov/2551-cepr/10790-cepr-b11529-1.html

    SARS-CoV-2の変異株B.1.1.529系統(オミクロン株)について(第2報)

    https://www.niid.go.jp/niid/ja/2019-ncov/2551-cepr/10792-cepr-b11529-2.html

    検査方法

    変異株の検査は、検査キットの開発が済んでいない現在、その方法の概要は、以下の手順で実施されるゲノム解析が必要です。

    1. スクリーニング(新型コロナウイルスに感染しているかどうか)
    2. 判定(新型コロナウイルスが陽性である場合は、以下の検査を実施)
    3. ゲノム解析(全ての遺伝の配列を読む)
    4. 判定(変異株の配列と比較して、変異株のいずれに当たるか判定する)

    感染が広がる国と地域

    2021/11/30現在、以下の国と地域で新型コロナウイルスのオミクロン株の感染が確認されています。同日、日本でもオミクロン株が初めて確認された。

    Australia: 2 cases, Austria: 1 case, Belgium: 1, case, Botswana: 19 cases, Canada: 3 cases, Czech Republic: 1 case, Denmark: 2 cases, Germany: 3 cases, Hong Kong: 3 cases, Israel: 1 case, Italy: 1 case, Netherlands: 13 cases, Portugal: 13 cases, South Africa: 77 cases, Spain: 1 case, United Kingdom: 9 cases

    CNN

    https://edition.cnn.com/2021/11/29/world/covid-omicron-variant-countries-list-cmd-intl/index.html

    ギリシャ文字

    No.大文字小文字英表記読み
    1Ααalphaアルファ
    2Ββbetaベータ
    3Γγgammaガンマ
    4Δδdeltaデルタ
    5Εεepsilonイプシロン
    6Ζζzetaゼータ
    7Ηηetaイータ
    8Θθthetaシータ
    9Ιιiotaイオタ
    10Κκkappaカッパ
    11Λλlambdaラムダ
    12Μμmuミュー
    13Ννnuニュー
    14Ξξxiクサイ
    15Οοomicronオミクロン
    16Ππpiパイ
    17Ρρrhoロー
    18Σσsigmaシグマ
    19Ττtauタウ
    20Υυupsilonウプシロン
    21Φφphiファイ
    22Χχchiカイ
    23Ψψpsiプサイ
    24Ωωomegaオメガ

    編集履歴

    2021/11/29, Mr.Harikiri
    2021/11/30, オミクロン株の感染が見つかった国

    2022/02/27追記(BA1.1)