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  • [Kw] Roche社の製造ストラテジー

    [Kw] Roche社の製造ストラテジー

    医薬品

    の開発が完了して製造承認を取得できれば市場に投入(Lounch)されます.その後は市場の需要が高まるにつれて製造量が増加します.当初の製造は内製で行われますが,需要の定常状態に移行するタイミングで外部での製造も進めて内製と外製の両体制に移行していきます.内製での効率的な製造が低下してくれば外製の割合を増やしてゆきます.一般的には,内製の割合はゼロとなり外製のみで製品寿命が尽きるまで製造されます.

    これがRoche社の製造戦略です.

    Ensuring the Supply of Quality Biopharmaceuticals: Integrated Manufacturing Network & Continual Improvement of Manufacturing Process (Roche)

    chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://pqri.org/wp-content/uploads/2015/11/Moore.pdf
  • [用語] ADC :  – Antibody Drug Conjugates – 抗がん効果を高める技術 [2023/10/14]

    [用語] ADC : – Antibody Drug Conjugates – 抗がん効果を高める技術 [2023/10/14]

    ADC

    Antibody-Drug-Conjugatesの略号である.抗体は目的の癌細胞の表面に対して結合力を持つモノクローナル抗体が使用される.ドラッグには,目的の癌細胞を殺すために効果がある毒素が使用される.すなわち,がん細胞への毒素のデリバリーによる効果的な抗がん効果を目指す薬剤の形である.

    ドラッグの結合反応では,タンパク質である抗体(Antibody)と化学物質の毒素である抗がん剤を結合させる結合反応工程が必要である.抗体のどこかにあるアミノ酸のアルギニンがあれば,その高い反応性を利用して化合物を結合させることができる.なければ,抗体の結合活性に影響がでない箇所のアミノ酸をアルギニンに置換するのが一般的である.

    以上,効率的な結合反応と結合量,抗体や抗がん剤の効果を低下させない条件など,医薬品の開発会社の腕のみせどころである.

    Ambrx社

    Ambrx社は,非天然アミノ酸をタンパク質に導入する技術を持っている.その技術により抗がん剤と特異的に反応できる反応基を持つ非天然アミノ酸を抗体の生産時に導入することで,その後精製した非天然アミノ酸を含む抗体に抗がん剤を特異的に結合させてADCを効率よく作ることが可能である.

    Ambrx Inc.

    About | Ambrx

    編集履歴

    2021/10/16,Mr.HARIKIRI
    2023/10/09,追記 (ドラック結合反応について)
    2023/10/14,追記 (Ambrx社)
  • [用語] CMC; Chemistry, Manufacturing and Control

    [用語] CMC; Chemistry, Manufacturing and Control

    はじめに

    CMCということば,医薬品メーカーにおける部署に使われている.医薬品開発では,創薬開発を担う研究所が最初に思い浮かぶが,その開発段階として臨床試験に入る前からレイトステージでの工業化検討など,コマーシャルに向けて必要な検討は,研究所では難しい.そこで,専門性を分離させ,CMCという部署がつくられることが多い.

    CMCでは,GMPにも準拠した活動が必要である.なぜなら,臨床試験はGMP準拠で製造された医薬品を使う必要があるためだ.GMPの準拠のしかたも,レイトな開発段階,即ち,コマーシャルに近づいていけば行くほど,GMPへの準拠の度合いは,どんどん強く深くなっていかなければならない.

    コマーシャル品が市販されてからも,cGMPといってcurrent GMP,すなわち,最近の技術・知見なども積極的に自分たちのGMP活動に取り入れていく必要がある.これが医薬品メーカーの責任である.

    CMC

    CMCとは、Chemistry, Manufacturing and Controlの略です。治験薬製造と製造承認申請、商用製造に関わる仕事全判を示している.

    • 原薬・製剤のChemistry(化学): 製造法開発
    • 原薬・製剤のManufacturing(製造): GMP製造
    • 原薬・製剤のControl(品質管理): 品質規格の設定、試験法開発

    編集履歴

    2021/10/13,Hr.HARIKIRI
    2023/10/03,追記(はじめに)
  • [用語] pharmacovigilance; ファーマコビジランス; 安全性情報管理 [2021/01/19]

    [用語] pharmacovigilance; ファーマコビジランス; 安全性情報管理 [2021/01/19]

    はじめに

    医薬品の開発が終了し承認審査された直後では、その医薬品の安全性情報は不十分であるため、市販後のPV活動が重要となる。最近では、開発段階から市販後においてもPV活動の実施が求められる時代となった。そのためには、医薬品リスク管理計画(RMP)の作成と実行によりリスク・ベネフィットのバランスを最大化することも重要な活動となってきた。

    スキーム

    1. 科学的安全管理
    2. 薬事関連規制
    3. 日常的なPV業務

    pharmacovigilance; 安全性情報管理

    製薬会社における薬の安全性に関わる業務を意味します。医薬品の適正管理を維持するために、市販後の調査として業務がスタートします。薬が世に出ている限り継続的に情報の収集が行われます。患者に対して広く長く使用することで、臨床試験で認められなかった新たな副作用や効果の発見があります。

    WHOによる定義:

    「医薬品の有害な作用または医薬品に関連するその他の問題の検出・評価・理解・予防に関する科学と活動」

    厚生労働省に対して医薬品や医療機器が承認申請されると製薬会社や医療機器会社は、約1年以内で当局から承認され、製造および市販することができます。その際、当然、日本では薬価、保険点数が付きます。市販された後も副作用などの実態調査が製薬会社の責任のもと実施されます。この活動をpharmacovigilance といいます。

    pharmacovigilanceのもと実施される具体的な手法に、製造販売後調査; Post marketing Surveillance (PMS)があります。

    因みに、承認申請は、厚生労働省に対して行いますが、実際に審査する実施機関は、独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA; Pharmaceuticals and Medical Devices Agency)です。

    安全性情報管理(PV・ファーマコビシランス)とは

    https://www.tempstaff.co.jp/kmenu52/faq/pharmacovigilance/
    「医薬品に関する有害な作用やその他の問題の発見、評価、理解と予防に関する科学と行動」とWHOによる定義がなされている。

    製造販売後調査(PMS)と医師の役割

    製造販売後調査; Post Marketing Surveillance

    https://japhmed.jp/PM06.pdf

    製造販売後調査(PMS)で新薬の上市後も有効性と安全性を調べます

    https://www.cro-japan.com/clinical_trial/PMS.htm

    医療機器の製造販売後調査の現場と留意点について

    https://www.pmda.go.jp/files/000203239.pdf

    編集履歴

    2021/01/19 Hr.HARIKIRI
  • [用語] Safety; 医薬品の製造から出荷における安全性 – どのように確保されているのか – GMP Compliance [2023/10/15]

    [用語] Safety; 医薬品の製造から出荷における安全性 – どのように確保されているのか – GMP Compliance [2023/10/15]

    はじめに

    医薬品は、GMPというルールに従い、予め定めた方法に従い作業を実施し、予め定めた品質に合致することを確認することで、製品として流通することが許される。直近で、医薬品の他成分混入の事件が報道されたので、ここで改めて、医薬品の安全性は、どのように構築、維持されているのかまとめてみました。

    医薬品の安全性

    医薬品の製造から出荷までの安全性は、どのように確保されているのでしょうか。医薬品は、通常、副作用があるため、厳密な用法容量を守らなければなりません。その前提となっているのは、その医薬品が設定された品質規格の通りに、製品として仕上がっていることです。それは、製造において規定通りに作業が進められることです。それは、使用可能な規格に合致した原材料や装置を使用していることです。それは、適切な作業者が作業に当たっていることです。

    医薬品においてはGMP (Good Manufacturing Practies;適格性製造規範)を守ることが求められます.GMPにおいてコンプライアンス(compliance)とは,医薬品や医薬部外品の製造管理,品質管理,関係する法律や基準に従って業務を行うことを言います.

    GMP Complianceのポイント

    1. 品質部門(QU)に権限を付与し、品質に関する決定を尊重すること
    2. 良好な文書化慣行を維持し、データの整合性を保つこと
    3. 不具合や不適合が発生した場合は、根本的原因を調査し、是正措置を実施すること
    4. 定期的に製品やプロセスのレビューを行い、バリデーションや検証を更新すること
    5. サプライチェーンパートナーの品質管理や追跡機能にも注意を払うこと

    具体例

    • 原材料の受入れ
      • 医薬品の製造に使用する原材料の購入および設定された保管条件で厳密に保管されます
      • 受入試験として、規格通り(品質)のものかどうかの試験をします
      • 受入試験に合格しないものは、廃棄または、返品されます
      • 受入試験に合格し、その後保管されているものでも、使用可能な期限を超えると廃棄されます
      • 返品、廃棄されていない適切な原材料のみが、医薬品製造に使用されます
    • 医薬品の製造
      • まず、作業を実施できる各タスクの各担当者は、適切な教育と訓練を受けていることが必要です。このバックボーンは、教育・訓練の体制が組織化されていることです。
      • 原料を投入して、反応や混合して製造工程を進めます
      • 製造工程は、厳格に設定された「作業指示書」に従い実施されます。予定以外の作業は、基本的には実施してはいけません
      • 目標の品質も最初に設定されています。工程ごとの品質試験が実施され、行程毎の規格幅以内であれば、合格ですが、幅を外れれば、不合格です。
      • 基本的に不合格になれば、それ以降の製造工程は進められずに、廃棄となります。これを製造の失敗と表現することにします。
      • 作業は、「作業記録書」に必要事項のチェック、時刻や観測値および担当者などの情報を記載するようになっています。これをバッチレコードとも言います
      • 作業指示書には、あらかじめ作業の方法、条件などが記載されており、それ以外の追加的作業の実施、作業の省略は、「逸脱」といいます。逸脱は、この製造の失敗原因となる場合もあります。
      • 基本的には、逸脱はあってはなりませんが、品質に大きな影響を与えるものと、そうでないものに分類されて評価されます。
      • 大きな影響を与えると判断されると製造は失敗と判断され、ここで中止となります
      • 各製造工程での品質試験の結果で、軽微な規格値からのはみ出しでは、この製造の結果得られる医薬品の品質に影響があるのかどうかについて明確には分からない場合は、製造は継続されます。最終的に医薬品となった段階での品質試験の結果から判断されることになります
    • 製品の品質試験
      • この製造の結果得られた医薬品は、最初に設定された品質試験項目毎に規格幅と実測値が確認され、下回っても上回っても不合格になります。試験担当はQC部門です。
    • 最終判断
      • 不合格品は、医薬品として流通させてはいけません。廃棄処分など適切に処分します
      • ここで、最終的に医薬品として流通させても良いかどうかを判断する部署は、QA部門です。
      • 以下の文書から総合的に判断されます
        • 原材料の適格性 (バイオロジクスの場合、TSE, BSEなどの情報も必要)
        • 使用する装置、設備、施設 (整備、点検)
        • 製造指図書
        • 作業記録 (予定通りに行われたか? 工程ごとの品質幅、作業時間、逸脱内容、作業実施状況、数値など)
        • 品質規格値
        • 品質試験の結果

    医薬品メーカーのタイプ

    • 原材料を外部から調達して、ミックスして錠剤やボトル製品にするタイプ
    • 上記に加えて、原材料を用いて化学反応をさせて独自の原料を作る工程を持つタイプ

    製薬会社のコンプライアンスに関する5つの失敗を避けるために

    GMP(適正製造規範)とは?わかりやすく解説します!

    編集履歴

    2020/12/25 Hr.HARIKIRI
    2020/12/27、追記(医薬品メーカーのタイプ)
    2023/10/15, 追記(GMP Complianceについて)
  • [Bio-Edu] バイオロジクス製品をステンレスBioreactorおよびシングルユースBioreactorで設備設計と経済性を見積もる – ID3834 [2019/12/03]

    [Bio-Edu] バイオロジクス製品をステンレスBioreactorおよびシングルユースBioreactorで設備設計と経済性を見積もる – ID3834 [2019/12/03]

    mAb製造における

    Single Useシステムをベースとして、設備設計、経済性分析を、Biopharm Service Ltdのソフトウェア BioSolve cost-modeling software, version 4.0を使って実施した文献について紹介する。

    Single-Use Technology
    and Modular Construction Enabling Biopharmaceutical Facilities of the Future
    (2013) – BioProcess International –

    試算前提

    前提は、培養は2000Lのプロダクションスケール、Depth FilterのでHarvest、3カラム精製をデザインとする。Drug Product (DP)は10mL ガラスバイアル。培養生産性は、5g/Lの高発現として(5g/L x 2000L=10kg)、精製バルクは、7kg/batchを取得、Vial fillingで60,000 vialsを取得できるとする。

    見積もる項目

    • Stainless Steal(SS) & Single Use Bioreactor(SUB)
      • 2000L
      • Stainlessタンクでは、Clean In Place (CIP)などの洗浄システム、蒸気滅菌システムなど配管システムが必要となる
    • Media & hold tank
      • 培地調整用のhold tankについては、特に高い無菌性が必要であり、Stainlessタンクでは、洗浄・滅菌に付随する機能と作業が必要
      • 因みに、培地を液体で蒸気滅菌するには、日本では1種圧力容器が必要
    • Buffer & buffer hold tank
      • Stainlessタンクでは、洗浄・滅菌に付随する機能と作業が必要
    • process water & water for injection (WFI)
      • 自家で精製水製造システムを持つか、購入すること考慮が必要
    • 63cm diameter columns packed to 20cm bed heights
      • Pre-packedカラムでは、カラムの性能試験は済んでいるが、自家でパッキングする場合、性能試験の実施作業などが必要
    • Cell culture time is 32 days
      • Cell bankのvial thaw、拡大培養及び本培養の期間
    • SSおよびSUBで15 batch/year, 1回の培養失敗
      • 培養の失敗回数を見積もる
    • Stainless Stealでは2週間かそれ以上の洗浄と滅菌が必要
    • 2 weeks shut-down in a year
      • 定期点検の期間が必要
    • Protein A回収率 : 70%

    試算結果

    SS: $23,620,868, $1,574,725/batch, $225/g
    SUB: $18,324,748, $1,221,650/batch, $175/g

    編集履歴

    2019/12/03, Mr.Harikiri
    2024/01/02, 文言整備、一部追記