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  • [Bio-Edu] mAbの薬物動態(PK)  [2020/10/17]

    [Bio-Edu] mAbの薬物動態(PK) [2020/10/17]

    モノクローナル抗体の薬物動態

    薬物動態(PK; pharmacokinetics)は、薬物の体内における濃度と消失の速度過程

    薬力学(PD; pharmacodynamics)は、薬物の作用部位における薬物濃度と薬理効果を定量

    • IgGの一般的な投与経路 (用語説明 wikipedia)
      • iv (Intravascular; 静脈投与)
      • sc (Subculaneous; 皮下投与)
      • im (Intramuscular; 筋肉内投与)
    • 小さい < リンパ管のリンパ液の流れ << 血管の血液の流れ <大きい
    • 血中半減期
      • 生理的IgG濃度が12mg/mLの場合、IgGの半減期は21日
      • 高濃度に投与するなどするとクリアランスは高まる
      • 薄い濃度であるほど、クリアラスンスは低くなる
    • mAbのpI (等電点)
      • pIが高くなると全身クリアランスが高くなる
      • pIが高くなるとバイオアベイラビリティも低くなる
      • pIが高くなると細胞表面の不電荷とインタラクションする

    グリコシル化

    グリコシル化は、エフェクター活性と半減期に影響を与える。

    • グリコシルパターン (Glycosylation) 1)
      • 小胞体(ER)では、Mannose (Man)が付くだけ付加される
      • 次のGolgiでは、Manが外され、3つになり、Glactose, Fucose, シアル酸が付加される
      • 5個以上のHigh Mannoseでは、Fucoseが付かないことが原因の可能性も否定できないが、FcγRIIIaとの結合親和性が高まりADCC活性が強くなる
      • Fucosylationは、FcγRIIIaとの親和性を弱めることでADCC活性を低下させる。これを狙った抗体を生産させる産生株がある
      • CDCに影響
      • Asn297アミノ酸
      • アフコシル化 (脱フコース)
        • ADCC活性が高まる
        • クリアランスが高まる
      • ガラクトシル化型
        • FcγRIへの結合性増大する
      • 高Man5, Man8, Man9
    • IgGは腎臓でろ過するには大き過ぎる
      • 腎臓でのクリアランスは無い
    • トランスサイトーシス
      • 血管上皮細胞(neonatal Fc receptor)
      • FcRn
    • エンドサイトーシス
    • ピノサイトーシス
      • 内皮細胞による比較的非特異的な液相エンドサイトーシス
    • 間質空間
      • 細胞外マトリックスで満たされている
      • ゲル状
      • 正電荷
      • 成分は、グリコサミノグリカン(ヒアルロン酸など)、コラーゲンなどの構造タンパク質
    • IgGの排除体積(excluded volume) : ~50%
    • FcRnと結合親和性があるIgG1, IgG2, IgG4の消失半減期は、18~21日で、これは、同等の分子量を持つ他のタンパク質よりかなり長い。
    • IgG3は、FcRnと結合親和性が低く、半減期は、7日と短い
    1)

    小胞体(ER)での糖鎖修飾、Golgiの各部位での修飾について解説がある。Gorgiの特にくTrans Golgiでは、Galactose、更にシアル酸が付加される。
    シアル酸が多い程、血中濃度Cmaxが高くなる。

    IgGサブクラス毎のFc受容体タイプとの結合性の強さ。

    ヒト血清のIgGのシアル酸付加率は、一般的に10未満であるが、CHO細胞の組換えIgGでは、殆どシアル酸は付加されない。マウス・ハイブリドーマで得たIgGでは、シアル酸比率は50%を超える。



    Antibody Glycosylation and Its Impact on the Pharmacokinetics and Pharmacodynamics of Monoclonal Antibodies and Fc-Fusion Proteins (2020)

    https://www.researchgate.net/publication/274967692_Antibody_Glycosylation_and_Its_Impact_on_the_Pharmacokinetics_and_Pharmacodynamics_of_Monoclonal_Antibodies_and_Fc-Fusion_Proteins

    Biosmilarを作る場合、Glycationのコントロールは重要である。糖鎖付加について、培養添加物を詳細に検討している文献である。

    Impact of cell culture media additives on IgG glycosylation produced in Chinese hamster ovary cells (2019)

    https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6590254/

    Pharmacokinetics of Monoclonal Antibodies, 2017

    https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5613179/
    編集履歴
    2020/07/08 Mr.HARIKIRI
  • [Bio-Edu] Man5化抗体 (mAb)のPKクリアランスは2倍高い  [2020/07/04]

    [Bio-Edu] Man5化抗体 (mAb)のPKクリアランスは2倍高い [2020/07/04]

    論文の概要

    • ほとんどの抗体のアミノ酸位置297(Fc)にはグルコシル化部位がある
    • グリコシル化のパターンによっては、薬物動態(PK)、薬力学(PD)に影響を与える
    • その種類は、(1)マンノース、(2)シアル酸、(3)フコース(Fuc)及び(4)ガラクトース(Gal)が含まれる
    • 特に、マンノシル化(Man5, Man8/9)は、PKに影響しクリアランスが高くなる。その結果、薬効が不十分になる
      • 0timeで100~200μg/mLになるように投与(i.v. 10mg/kg)
      • 99% Fuc抗体では、28日後に10μg/mL
      • 99%以上Man5抗体と99%以上Man8/9抗体は同等の半減期であり、14日後に10μg/mL (図1)
    • シアル酸、N-アセチルノイラミン酸(NANA)のレベルによっては、PKに影響する可能性がある
    • グルカンであるFuc付加は、FcRIIIaとの結合性を低下させっ、ADCC活性を低下させる
    • Galレベルが低ければ、CDC活性も低くなる
    • NS0やSP2/0細胞では、「Gal1-3Gal1-4N-アセチルグルコサンミ-R」、「N-グリコリルノイラミン酸(NGNA)」などが含まれる(ヒトには存在しない)が、NS0やSP2/0の遺伝子組換え体で作られた抗体医薬品が存在している
    図1. Fuc化抗体とMan5化及びMan8/9抗体のPK

    参考文献

    Antibody Glycosylation and Its Impact on the Pharmacokinetics and Pharmacodynamics of Monoclonal Antibodies and Fc-Fusion Proteins (2015)

    https://www.researchgate.net/profile/Liming_Liu4/publication/274967692_Antibody_Glycosylation_and_Its_Impact_on_the_Pharmacokinetics_and_Pharmacodynamics_of_Monoclonal_Antibodies_and_Fc-Fusion_Proteins/links/5a5e6026458515c03ee0b245/Antibody-Glycosylation-and-Its-Impact-on-the-Pharmacokinetics-and-Pharmacodynamics-of-Monoclonal-Antibodies-and-Fc-Fusion-Proteins.pdf?origin=publication_detail

    市販の抗体とそのpIと血中半減期に関する文献。FcRnとIgGとの結合についてシミュレーションのデータあり。FcRnと結合親和性が高い抗体ほど、血中半減期は低くなる。

    Charge-mediated influence of the antibody variable domain on FcRn-dependent pharmacokinetics (2015)

    https://www.pnas.org/content/pnas/112/19/5997.full.pdf
  • [Bio-Edu] 抗体のADCC活性は、脱フコースはもとより、マンノース化でも可能  [2020/07/02]

    [Bio-Edu] 抗体のADCC活性は、脱フコースはもとより、マンノース化でも可能 [2020/07/02]

    論文の概要

    • 抗体のグリコシレーションサイトに付加される糖鎖としてMan5は、ADCC活性を高める
    • Man5付加を促進する培養添加物の探索
    • マンノシダーゼ阻害剤であるキフネンシンによるマンノースの付加を増強した培養
    • 精製後、Man5より大きなMan7, Man8 およびMan9をMan5にトリミング
    • 以上により、ADCC活性の強化とFcγRIIIaへの結合活性増加が示された。
    • マンノシル化抗体は、フコシル化抗体よりクリアランスが高い事は知られているが、Man5は、Man8, Man9と同等の動態を示した。

    参考文献

    Production, characterization and pharmacokinetic properties of antibodies with N-linked Mannose-5 glycans

    Production, characterization and pharmacokinetic proterties of antibody , MAbs, 2012 Jul 1; 4(4): 475-487

    https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3499342/#!po=19.1176

    Marcella Yu, Darren Brown, […], and Robert Bayer

  • [用語] mannose; マンノース

    [用語] mannose; マンノース

    mannose

    マンノース; mannose

    • 分子量 : 180.156
    • 化学式は C6H12O6
    • 融点は 132~133℃
    • 単体としてD体が果実や果皮などに含まれる
    • 多糖マンナンでは,加水分解によって大量に得られる
    • L体は天然には存在しない
    • アルドン酸としては、マンノン酸
    • ウロン酸としては、マンヌロン酸
    • アルダル酸としては、マンナル酸
    • アルジトールとしては、マンニトール

    代謝

    • マンノース → (ヘキソキナーゼによって) →
    • マンノース-6-リン酸 → (マンノース-6-リン酸イソメラーゼによって) →
    • フルクトース-6-リン酸 (解糖系の中間体)
    • マンノースは人間ではあまり代謝されない
    • マンノースは糖タンパク質の糖鎖の重要な構成成分であるが、以前は糖鎖中のマンノースはグルコースから変換されると考えられていたが、近年、ラットにおいて経口摂取させたマンノースの87%が、腸で吸収された後、速やかに血中濃度が低下(半減期30分)
    • ほぼ全ての器官で糖鎖合成に使われていることが明らかとなっている
    • 生体内で利用されるマンノースは微量で、90%は30-60分で尿中に排出され、残りの内99%は8時間以内に排出される。その間、血糖値に顕著な影響はない
    • マンノースは多くのN-結合型糖鎖に存在

    wikipedia より

    https://ja.wikipedia.org/wiki/マンノース

    編集履歴

    2020/07/10 Mr.HARIKIRI