タグ: 黄斑

  • [健康] 目の機能を保護し維持するアントシアニンとは – ID3209 [2019/11/16]

    [健康] 目の機能を保護し維持するアントシアニンとは – ID3209 [2019/11/16]

    1. アントシアニンは配糖体

    アントシアニン(anthocyanin)は色素の一種です。ポリフェノール(ベンゼン環の2つ以上のHがOHに置換された分子)である色素本体のアントシアニジンに糖が付加した物質の総称です.

    基本骨格の修飾 : アグリコン型(配糖されていない) <-> グリコシド型 (配糖体ともいう)

    アントシアニン = アントシアニジン+糖

    アントシアン = アントシアニンとアントシアニンジンを合わせた総称

    2. 色素成分アントシアニジンの構造

    色素成分の分類で説明すると、図1にあるようにアントシアニジンは、色素のグループ全体を総称する。すなわち自然界では配糖体として存在するアントシアニンもグループ全体を同様に総称している。

    さらに,デルフィニジンがデルフィニンとなる.したがって,糖の種類や結合の仕方で多数のアントシアニンが存在する.

    アントシアニジンの構造
    図1. アントシアニンの色素成分であるアントシアニジンの構造(参考文献7)
    図2. デルフィニンの色素成分であるデルフィニジン

    デルフィニジン

    図3. ヘラルゴニンの色素成分であるヘラルゴニジンの構造

    ラルゴニジン

    3. アントシアニンに属している個別の具体例

    *百科事典マイペディアより

    ベラルゴニン (ヤグルマギク)
    シアニン (青色花)
    クリサンテミン (エゾギク,色づいたカエデ類)
    デルフィニン (ヒエンソウの花)は、最も青いいろであるとのこと

    4. 効能

    4-1. アントシアニンの抗酸化作用はビタミンCより持続的

    色素は一般的に抗酸化作用があり活性酸素の低減化作用があり,その機能により血管やその他の臓器の酸化による機能劣化を抑制できるため,毛細血管などの保護作用があります.(参考文献1)

    4-2. アントシアニンのコラーゲン合成促進作用

    また,コラーゲンの合成促進作用があるとされ,網膜の角膜,水晶体などの構造を維持するために必要なコラーゲンを補強する作用により,これらの保護作用があるとされています.(参考文献1)

    4-3. アントシアニンの抗炎症作用はアスピリンの10倍

    デルフィニジンは,毛細血管のトラブルに効果かあるとされています.(参考文献1)

    5. アントシアンの作用機序:

    網膜には紫色の色素成分のロドプシンが局在している.目に入ってきた光は,網膜にあたり,そのロドプシンがビタミンAに変化する.その際,出る信号が視神経を通って映像として脳に映し出される.このロドプシンから変化したビタミンAを再度ロドプシンに再合成するためにアントシアニンが使われる(参考文献1)

    (1)網膜内のアントシアニン → (2)網膜内のビタミンAをロドプシン再合成使われる → (3)合成されたロドプシン → (4)目に入ってきた光でビタミンAに変化するとともに信号を発す → (5)信号は視神経を通り脳に映像を映す(参考文献1の情報からまとめた)

    6. アントシアニンの即効性: 

    接種後4時間で回復がみられ,24時間程度で焼失するといわれており,ウサギの実験では,アントシアニンの接種とロドプシン濃度の試験結果があり,投与後10分で2倍のロドプシン濃度になるとのこと,ヒトでの調査結果はなさそうです.(参考文献1)

    7. 最近の学術論文

    参考文献5 : アントシアニンによる網膜変性の抑制について,試験管レベルでは,網膜色素上皮(RPE)細胞への可視光誘導損傷の抑制,動物実験では,ウサギを用いた網膜でのHO-1(ヘムオキシゲナーゼ-1)遺伝子の発現増加の指標,光酸化誘導によるIL-6の誘導抑制の指標,及び炎症関連核内遺伝子NF-κBの発現抑制の指標において,それぞれ確認され,網膜の光酸化損傷を抑制することが示唆された.

    過度の可視光を目で見る行為は,網膜上皮細胞の光受容体の損傷の可能性が高まり,視力の中心的役割を担う黄斑部分の変性を引き起こす(Nakamura et al. 2018; Wang et al, 2018)

    8. 雑感

    科学的にアントシアニンの効能について全体像を知りたかったので専門家の意見も一部調べてみた(参考文献6).その結果,アントシアニンの効能は臨床試験的には,根拠がないと述べられており,片やルテインについては,臨床試験の結果があり,科学的にもその効能が示されているとある.そこで,アントシアニンについて論文を調べてみたのが,7.最近の学術論文である.それによれば,臨床試験ではないが,動物実験による網膜の保護について作用機序的には効能があることが示されている.まあ,臨床的な証明の有無の問題であるが,アントシアニンに効能が無いとは言い切れない,ただ,臨床試験の数が無いか、あるいは少ないので判断ができないということである.

    by はりきり(Mr), 2019/11/16調査

    7. 参考文献

    1. アントシアニンの機能」自然健康食品・通信販売 ぐりーんユアサ 株式会社ユアサ
    2. コトバンク: 百官辞典マイペディア,ブリタニカ国際大百科事典
    3. Vision preservation during retinal inflammation by anthocyanin-rich bilberry extract: cellular and molecular mechanism, 2011
    4. Neuroprotective effect of bilberry extract in a murine model of photo-stressed retina, 2017
    5. Bilberry anthocyanin-rich extract protects against retinal photooxidative damage via activation of HO-1 and inhibition of NF-κB
    6. おおや眼科クリニック
    7. 植物色素アントシアニンのサイエンス-化学、機能と活用-
    8. 色の基礎知識 農研機構
    9. アントシアニン、アントシアン、アントシアニジンの違い