タグ: ラクダ抗体

  • [Bio-Equip] Thermo Fisher 「CaptureSelect」 – AAV1~AAXをキャプチャリングできるAffinity resin – [2019/09/21]

    [Bio-Equip] Thermo Fisher 「CaptureSelect」 – AAV1~AAXをキャプチャリングできるAffinity resin – [2019/09/21]

    ID2320

    CaptureSelect

    CaptureSelectは、複数種類のアデノ随伴ウイルス(AAV)に対応するアフィニティ精製用の樹脂(resin)です。

    抗体医薬での精製方法がプラットフォーム化されているように、遺伝子治療薬のデリバリーシステムであるAAVの精製に欠かせない担体です。

    CaptureSelectは、抗体医薬のキャプチャリングとして使用するProtein Aレジンに相当するステップに使用します。

    動画による説明 : CaptureSelect

    ラクダ抗体を利用したAffinity Resin技術

    Binding Capacity: >10e13~10e14

    ウイルスベクター精製用 POROS CaptureSelect 樹脂および試薬 , より

    再生処理

    吸着・溶出してAAVを精製した後は、レジンの再生処理が必要です。十分な洗浄を行って、再利用することで実製造でのコスト低減が可能でなければなりません。0.5M NaOHなどのアルカリ再生処理が可能であることに越したことはありませんが、リガンドがタンパク質なのでアルカリ洗浄には対応していないようです。3M GuHClでの再生処理が可能であるので、取り敢えずは合格というところでしょうか。本当はアルカリ耐性が欲しいところですが。

    • Resistance: 4M Ures, 3M GuHCl

    文献

    1) データシート

    Enabling technologies for efficient downstream processing of biosimilars, vaccines and gene therapy vectors:

    https://www.thermofisher.com/content/dam/LifeTech/latin-america/promotions/pdf/bioproducao/12-Shelly-Parra-Efficient-downstream-processing-of-biosimilars-vaccines.pdf

    編集履歴

    2019/09/21, Mr.Harikiri
    2021/11/02,追記(解説、再生処理)

  • [Bio-Edu] ラクダが持っている抗体は、一般的なIgGとは異なる構造の重鎖抗体 – ID2300 [2019/09/21]

    [Bio-Edu] ラクダが持っている抗体は、一般的なIgGとは異なる構造の重鎖抗体 – ID2300 [2019/09/21]

    ラクダの重鎖抗体

    一般的にラクダ抗体は、通常の抗体IgGとは異なる構造の重鎖抗体と呼ばれる少し分子量が小さい抗体をある比率で持っている。

    特にラクダ科のアルパカでは抗体の内50%は、この重鎖抗体を占めるという。結合ドメインは一般的な抗体では2本鎖なので2個のドメインだが、重鎖抗体は、軽鎖がないので1個のドメインで結合ドメインとして機能する。

    重鎖抗体の構造

    重鎖抗体の形状は、一般的なIgGから軽鎖(CL-VL)が外れて、更に重鎖のCH1ドメインが欠落したY字構造である。

    分子量は150kDa(各ドメインの分子量を単純割合で12.5kDaとする)から軽鎖の50kDa(2x(2×12.5)kDa)を引いて100kDaとなり、更にCH1の2×12.5kDa = 25kDaを引いて、75kDaであると簡単に推定される。

    • IgGの分子量 : 150kDa
    • 重鎖抗体の分子量 : 75kDa

    nanobody/VHH抗体

    重鎖抗体を産業上の利用を容易にする目的で、可変領域のみに改変したものを、VHH抗体又はNanobodyと呼ぶ.

    • nanobodyの分子量 : 12.5kDa(上記の計算による理論値)

    一般的な抗体(IgG)では、2個のドメイン(Y字の1の手に2つの指:(VHとVL)で抗原に結合する。

    ラクダ抗体では、軽鎖がないので、1個のドメイン(VH)で抗原と結合できるシンプルな構造となっているため、産業利用が進められてきた。

    最近では、更に抗原結合部位のみ、即ち、VHのみを使った研究が多く進められている。

    遺伝子治療などのバイオ医薬品(バイオロジクス)の開発には、欠かせないアフィニティ(Affinity)として、nanobodyが製品がされている(参照)。

    ラクダ抗体の産業利用

    参考文献

    アルパカが持つ不思議な抗体の魅力: https://www.sbj.or.jp/wp-content/uploads/file/sbj/9604/9604_index.pdf

    編集履歴

    2020/04/28 文言整備、追記(産業利用製品)
    2021/11/02 追記(アイキャッチ画像変更)

  • [rAAV-Edu] POROS CaptureSelect (AAV精製 resin) の性能とAEXによるfull/emptyの分離 – ID2271 [2019/09/18]

    [rAAV-Edu] POROS CaptureSelect (AAV精製 resin) の性能とAEXによるfull/emptyの分離 – ID2271 [2019/09/18]

    AAVX Resinの特徴

    複数の血清型AAVを吸着

    POROSは、Thermo Fisherのブランドです。以前は独立したメカーでしたが、M&Aで傘下になっています。POROSプランドでAAVをキャプチャー精製する製品は、CaptureSelect(TM)というものがあります、そのラインナップは、AAV8, AAV9, AAVXです。AAVXレジンは特別で、血清型の違いに関係なく高い吸着性能を持っています。すなわち、1つのレジンで精製方法をプラットフォーム化することが可能です。

    これは、抗体医薬で使用されるていProtein Aレジンと同様の位置付けに等しい将来性のあるレジンです。

    • Binding Capacity: >10e14 (vg/mL)

    CaptureSelectとは

    ラクダの重鎖抗体を応用したnonobody技術により、AAVに対する結合性のあるLigandをPorosレジンにカップリングした製品である。

    AAVXレジンの吸着性能をバッチ法で評価

    CaptureSelectのラインナップの内、AAVXは殆どのAAVの血清型に対して高い親和性を有している。

    AAVXレジンと各血清型のAAV (培養、抽出、清澄化したサンプル液)を混合し、チューブ内で10分間の吸着反応させる系で、溶出バッファー(0.1M citric acid, pH2)により回収した溶出液をqPCRでvgを測定し、その回収率を評価している。

    その結果、AAV1(99.63%), AAV2(97.8%), AAV2_HSPG(98.33%), AAV4(98.05%), AAV5(97.88%), AAV6(97.45%), AAV6.2(98.93%), AAV7(98.37), AAV8(97.76%), AAVrh10(96.28%), AAVrh32.33(99.29%), AAV9PHPB(98.51%), AAV7m8(98.39%)、と多数の血清型のAAVを高い効率で吸着・溶出が可能であることが示されている。

    AAVXレジンとその他のレジンとの比較

    比較に使用したレジン

    1. AVB: GE Healthcare
    2. Poros AAV8
    3. Poros AAV9
    4. Poros AAVX

    その結果、下図のように、AABレジンでは、AAV8, AAV9、AAV10を吸着できるものの60%から80%程度の吸着能しかないことが示されている。AABレジンの製品仕様ではAAV1, AAV2, AAV3及びAAV5で使用できるとあることから、当然の結果である。

    AAV2のemptyとfullのHQカラムによる分離

    CsCl2密度勾配の超遠心処理で精製した遺伝子が封入されていないempty AAVと封入されているfull AAVを混和して、AEXカラムであるPOSOR HQカラムにアプライしてクロマトグラフィーを行うと、emptyとfullを分離できる。

    • emptyの溶出位置: 10mS/cm
    • fullの溶出位置: 12mS/cm

    参考文献

    Overcoming downstream purification challenges for viral vector manufacturing: enabling advancement of gene therapies in the clinic: https://pdfs.semanticscholar.org/935c/2e2ee928ba35ebbe22bf43c2e5e1ebe1a4f0.pdf

    Separation of adeno-associated virus type 2 empty particles from genome containing vectors by anion-exchange column chromatography: https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0166093406004022?via%3Dihub

    Review – ラクダが持つ不思議な抗体の魅力:https://harikiri.diskstation.me/myblog/biologics/2300/

    編集履歴

    2019/09/18, Mr. Harikiri
    2021/11/02,記載整備