SLE; systemic lupus erythematosus
SLE: 全身性エリテマトーデス 参考1)
アメリカのSLE患者数は、CDCの推計では、確定患者数は、16万人、可能性のあるSLE患者数は、32万人 source
日本の患者数は、~7万人
特徴
基本的に、T細胞やB細胞による自己抗体の出現に端をなす。細胞の核内分子に対する抗核抗体のコンプレックスが、血管に沈着し、補体系の活性化により血管炎や組織の損傷を起こす。男/女比は、1/10とされる。
- 自己抗原に対する自己抗体が産生されている
- 全身臓器の炎症・損傷が進む
- 自己抗体は、濾胞性T細胞 (follicular helper T cell : TFH)で活性化されたB細胞の分化の結果から誘導される
- 濾胞性B細胞 (germinal center B; GCB)の関わりも重要
- regulatory T cell; Tregは、自己免疫寛容の維持に重要
- 樹状細胞抑制
- CD4+/CD25+/CXCR5+ Treg (TFR)
- CD4+/CD25+/CD69- Treg
- 参考 2)
女性に多く思春期から40歳代に多い。発症には、以下の要因が考えられている。
分類期樹は、何度か改定され、2012年に提唱されたsystemic lupus international collaborating clinics (SLICC)に落ち着いている。
- 遺伝要因
- 女性ホルモン
- ウイルス感染
症状
- 蝶型の紅斑 (erythematosus) が頬に現れる
- 病名の「lupus」はラテン語の「狼」を意味し、その発疹(紅斑)が狼に噛まれた跡に似ていることから端を発している
除外しなければ成らない他の疾患
- シェーグレン症候群 (SjS; Sjogren’s syndorome)
- その他の膠原病
- 精神・神経症状
- SLEの精神・神経ループスと以下の症状の区別
- 副腎皮質ステロイドの副作用
- 腎不全
- 血栓性血小板減少性紫斑病 (thrombotic thrombocytopenic purpura; TTP)
- 抗リン脂質抗体症候群 (antiphospholipid syndrome; APS)
- 薬剤誘発性ループす
- 感染症
検査所見
- 主要項目の抜粋
項目 | 基準値 | 測定値 | |
Alb | ↓ | ||
白血球数(リンパ球) | ↓ | ||
血小板 | ↓ | ||
血清BUN | ↗︎ | ||
クレアチニン | ↗︎ | ||
コレステロール | ↗︎ | ||
筋筋原性酵素 | ↗︎ | ||
γグロブリン | ↗︎ | ||
rheumatoid factor, RF | ↗︎ | ||
CRP | ↗︎ | ||
抗SS-A抗体 | ↗︎ | ||
抗dsDNA抗体 (ANA) | ↗︎ | ||
抗Sm抗体 (ANA) | ↗︎ | ||
抗リン資質抗体 | ↗︎ | ||
抗U1-RNP抗体 | ↗︎ | ||
抗リポソームP抗体 | ↗︎ | ||
補体 | ↓ |
機序
- 自己の核酸に対する自己抗体が血中に存在する
- 自己の核酸に自己抗体が結合した免疫複合体が、全身に至る所で沈着して症状を引き起こすと考えられている
- 発熱、倦怠感、炎症(関節、皮膚、腎臓、肺、中枢神経)
治療薬
- 非ステロイド抗炎症薬 (NSAIDs)
- 抗マラリヤ薬 (プラケニル: ヒドロキシクロロキン (HCQ))
- ステロイド (ソル・メドロール:メチルプレドニゾロン)
- 免疫抑制剤 (アザニン/イムラン: アザチオプリン、エンドキサン: シクロホスファミド)
- リツキサン (抗体医薬, Biogen社)は、開発中断(2018)
- ベンリスタ: ベリムマブ (抗体医薬, GSK社, 日本では2017承認,その後小児への適応承認)
- 血管拡張薬 (リプル/バルクス: あるプロスタジル)は、皮膚潰瘍の改善
1) SLEの臨床所見について詳細な記載がある
全身性エリテマトーデスsystemic lupus erythematosus, SLE – 順天堂大学
https://www.juntendo.ac.jp/hospital/clinic/kogen/about/disease/kanja02_04.html
2)
制御性T細胞による全身性エリテマトーデスの病態制御 – 日本臨床免疫学会 (2015) 第42回総会ポスター受賞賞記念論文 –
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsci/38/1/38_69/_pdf
3)
指定難病49
https://www.nanbyou.or.jp/entry/53
編集履歴 2020/05/15 Mr.Harikir 2020/10/02 追記(検査所見の抜粋および鑑別~順天堂大学) 2022/11/14 追記(機序)、文言整備