カテゴリー: HEALTH

  • IPF ; 突発性肺繊維症 (指定難病85)

    IPF ; 突発性肺繊維症 (指定難病85)

    IPF: 特発性肺線維症; Idiopathic Pulmonary Fibrosis

    • 損傷した肺の傷の再生がうまくできずにコラーゲンなどが増加し過ぎて間質が分厚くなる
    • 咳、肺が硬くなって膨らみづらくなって酸素がうまく取り込めず息苦しくなる
    • 病状は進行性
    • 肺線維症の約半数は発症原因が不明であり、「特発性肺線維症」と呼ぶ
    • 喫煙は、特発性肺線維症を発症する危険因子であると考えられる
    • 50歳以上で発症することが多く、男性に多い傾向
    • 特発性肺線維症は、「特発性間質性肺炎」の一種
    • 国の指定難病に指定されてるので、一定の条件を満たせば、医療費助成制度が受けられる。

    シオノギ

    http://www.shionogi.co.jp/IPF/about/

    特発性肺線維症 (指定難病85) – 難病情報センター –

    https://www.nanbyou.or.jp/entry/156

    編集履歴

    2021/11/28, Mr. Harikiri

  • [用語] SLE ; 全身性エリテマトーデス

    [用語] SLE ; 全身性エリテマトーデス

    SLE; systemic lupus erythematosus

    SLE: 全身性エリテマトーデス 参考1)

    アメリカのSLE患者数は、CDCの推計では、確定患者数は、16万人、可能性のあるSLE患者数は、32万人 source

    日本の患者数は、~7万人

    特徴

    基本的に、T細胞やB細胞による自己抗体の出現に端をなす。細胞の核内分子に対する抗核抗体のコンプレックスが、血管に沈着し、補体系の活性化により血管炎や組織の損傷を起こす。男/女比は、1/10とされる。

    • 自己抗原に対する自己抗体が産生されている
    • 全身臓器の炎症・損傷が進む
    • 自己抗体は、濾胞性T細胞 (follicular helper T cell : TFH)で活性化されたB細胞の分化の結果から誘導される
    • 濾胞性B細胞 (germinal center B; GCB)の関わりも重要
    • regulatory T cell; Tregは、自己免疫寛容の維持に重要
      • 樹状細胞抑制
      • CD4+/CD25+/CXCR5+ Treg (TFR)
      • CD4+/CD25+/CD69- Treg
    • 参考 2)

    女性に多く思春期から40歳代に多い。発症には、以下の要因が考えられている。

    分類期樹は、何度か改定され、2012年に提唱されたsystemic lupus international collaborating clinics (SLICC)に落ち着いている。

    • 遺伝要因
    • 女性ホルモン
    • ウイルス感染

    症状

    • 蝶型の紅斑 (erythematosus) が頬に現れる
    • 病名の「lupus」はラテン語の「狼」を意味し、その発疹(紅斑)が狼に噛まれた跡に似ていることから端を発している

    除外しなければ成らない他の疾患

    • シェーグレン症候群 (SjS; Sjogren’s syndorome)
      • その他の膠原病
    • 精神・神経症状
      • SLEの精神・神経ループスと以下の症状の区別
      • 副腎皮質ステロイドの副作用
      • 腎不全
      • 血栓性血小板減少性紫斑病 (thrombotic thrombocytopenic purpura; TTP)
      • 抗リン脂質抗体症候群 (antiphospholipid syndrome; APS)
    • 薬剤誘発性ループす
    • 感染症

    検査所見

    • 主要項目の抜粋
    項目基準値測定値
    Alb
    白血球数(リンパ球)
    血小板
    血清BUN↗︎
    クレアチニン↗︎
    コレステロール↗︎
    筋筋原性酵素↗︎
    γグロブリン↗︎
    rheumatoid factor, RF↗︎
    CRP↗︎
    抗SS-A抗体↗︎
    抗dsDNA抗体 (ANA)↗︎
    抗Sm抗体 (ANA)↗︎
    抗リン資質抗体↗︎
    抗U1-RNP抗体↗︎
    抗リポソームP抗体↗︎
    補体
    anti-nuclear antibody, ANA

    機序

    • 自己の核酸に対する自己抗体が血中に存在する
    • 自己の核酸に自己抗体が結合した免疫複合体が、全身に至る所で沈着して症状を引き起こすと考えられている
    • 発熱、倦怠感、炎症(関節、皮膚、腎臓、肺、中枢神経)

    治療薬

    • 非ステロイド抗炎症薬 (NSAIDs)
    • 抗マラリヤ薬 (プラケニル: ヒドロキシクロロキン (HCQ))
    • ステロイド (ソル・メドロール:メチルプレドニゾロン)
    • 免疫抑制剤 (アザニン/イムラン: アザチオプリン、エンドキサン: シクロホスファミド)
    • リツキサン (抗体医薬, Biogen社)は、開発中断(2018)
    • ベンリスタ: ベリムマブ (抗体医薬, GSK社, 日本では2017承認,その後小児への適応承認)
    • 血管拡張薬 (リプル/バルクス: あるプロスタジル)は、皮膚潰瘍の改善

    1) SLEの臨床所見について詳細な記載がある

    全身性エリテマトーデスsystemic lupus erythematosus, SLE – 順天堂大学

    https://www.juntendo.ac.jp/hospital/clinic/kogen/about/disease/kanja02_04.html

    2)

    制御性T細胞による全身性エリテマトーデスの病態制御 – 日本臨床免疫学会 (2015) 第42回総会ポスター受賞賞記念論文 –

    https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsci/38/1/38_69/_pdf

    3)

    指定難病49

    https://www.nanbyou.or.jp/entry/53
    編集履歴
    2020/05/15 Mr.Harikir
    2020/10/02 追記(検査所見の抜粋および鑑別~順天堂大学)
    2022/11/14 追記(機序)、文言整備
  • [COVID-19] 新型コロナウイルス – イベント記録 [2020/05/01~ 05/25、08/14]

    [COVID-19] 新型コロナウイルス – イベント記録 [2020/05/01~ 05/25、08/14]

    2020/09/08

    • SanofiとRegeneronにより実施(2020/03~)されていた、抗IL-6抗体医薬であるケブラザ(サリムマブ)のCOVID-19重症患者に対する臨床試験P2/P3の結果が発表され、有意さを示せなかったと報じた source: 日経バイオテク

    2020/08/24

    • アメリカのFDAは、新型コロナウイルス感染症の回復者血漿療法を緊急使用として許可したと発表した。すでに7万人以上に投与されている(NHKニュース,7時)

    2020/08/14

    • 新規感染者数は、世界で25万人以上。時間あたりにすると1万人以上。落ち着いていたドイツでは、規制緩和により1日あたり1千人以上の新規感染者に増加との報道あり

    2020/05/25

    • 政府は、最後まで残った1都3県と北海道の緊急事態宣言を解除した
    • 神奈川県、北海道感は、染者が10万人あたり0.5未満を満たさなかったが解除された

    2020/05/21

    • 政府は、大阪府、京都府および兵庫県の緊急事態宣言を解除した
    • 大阪府は、5/23から独自基準で大幅解除NKH WEB NES
    • 大阪モデル

    2020/05/14

    • 8都道府県を除く39県の緊急事態宣言が解除された
      • 基準は、(1)感染状況、(2)医療提供体制、(3)監視体制
      • 感染者が10万人あたり0.5未満(東京の場合、新規感染者10人/日に相当)
    • 大阪府では、大阪モデルの達成により、グリーンフラグが点灯
      • 5/16(土曜日)から段階的緩和(業種ごとに細かなルールが示される)が開始される
    • 非解除の8都道府県の見直しは、一週間後を予定

    2020/05/07

    • レムデシビル、新型コロナウイルス治療薬として、申請から3日で承認
    • 日本全体の新規感染者数は、3/30以来100未満となった
    • 大阪府のパチンコ店の数は、677店舗あり、その組合に所属している店舗は休業要請に従っていいるが、所属していない店舗はこの日に数店が開店した

    2020/05/06

    • ドイツの規制緩和を開始発表

    2020/05/05

    • 大阪モデルを発表
      (1) 感染経路不明の新規感染者数(<10人)
      (2) RCR陽性率
      (3) 重症患者が病床使用率(<60%)

    2020/05/04

    • 非常事態宣言は、医療崩壊と経済活動のバランスから5/31まで延長することとし、5/中旬での見直しも予定する
    • 生活様式の具体的な変更について指針が示された
    • COVID-19は、いろんな臓器に感染しサイトカイン・ストーム(IL-6を中心とする炎症反応)を起こす。血管炎症では、足の指で血栓を生じさせ「霜焼け」の症状が報告されている。
    • 抗IL-6抗体(中外製薬のアクテムラ点滴静注用(一般名:トシリズマブ(遺伝子組換え))は、重症の新型コロナウイルス肺炎( COVID-19肺炎)を対象とした国内フェーズ3を実施すると発表している)の効果が期待される
    • イタリアの外出規制等の規制緩和を開始

    混乱期の2020/03上旬から05末の記録は、以下参照。

  • [Edu] 間質という組織は間質液を蓄えていて、細胞も含めた体組織を衝撃から守る緩衝材になってい

    [Edu] 間質という組織は間質液を蓄えていて、細胞も含めた体組織を衝撃から守る緩衝材になってい

    間質とは

    これまで、間質という組織構造については、正しく捉えられていなかったというお話です。

    以下の論文には、間質は、いろいろな機能を持っているということから、「器官」として格上げの必要性を述べています。

    • 間質や細胞は、コラーゲンで作られた網目構造の中にある
    • 間質液の成分は何らかの状態情報を持っているかもしれない
    • 間質に入り込んだ癌細胞は、自由に動き回れることが観察された
    • これまで、組織の観察は、ホルムアルデヒドなどの固定により水分が除去された状態で行われていたため、実体像は分かっていなかった。
    • 今回、共焦点レーザー内視鏡で患者の胆管を観察している際に間質液に満たされた間質を発見した。その他、肺、腎臓、筋肉、胃などに存在している。

    以上

    人体で最大の「新しい器官」は、なぜいまになって“発見”されたのか , 2018

    https://wired.jp/2018/04/04/found-a-new-human-organ/
  • [用語] 片頭痛; migraine

    [用語] 片頭痛; migraine

    片頭痛

    • 片頭痛という名称は頭の片側が痛むことに由来
    • 4割の片頭痛患者さんは両側性の頭痛を経験
    • 片頭痛は前兆の有無あり
    • 「前兆のある片頭痛」と「前兆のない片頭痛」などに細分類
    • 疑も含め年間有病率は8.4%と推定
    • 女性に多い
    • 前兆
      • 頭痛より前に起こる症状で、キラキラした光、ギザギザの光(閃輝暗点)などの視覚性前兆は最も多く、通常は60分以内に終わり、引き続いて頭痛が始まる
    • 予兆
      • 漠然とした頭痛の予感や、眠気、気分の変調などは前兆と区別して予兆という
    • 発作
      • 片頭痛発作は通常4~72時間続く
      • 片側の拍動性頭痛が特徴
      • 頭痛の程度は中等度~高度で日常生活に支障をきたす
      • 階段の昇降など日常的な運動により頭痛が増強する
      • 悪心(吐き気)、嘔吐を伴うことが多い
      • 頭痛発作中は感覚過敏となって、ふだんは気にならないような光、音、においを不快に感じる方が多い

    片頭痛 ; Migraine

    片頭痛 – 日本神経学会

    https://www.neurology-jp.org/public/disease/zutsu_detail.html

    片頭痛治療の現状 – 急性期療法と予防療法 (2018)

    https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnt/35/3/35_303/_pdf/-char/ja

    編集履歴

    2022/01/08, Mr.HARIKIRI

  • 日本版のCOVID-19 ダッシュボード – 累積陽性者/累積退院者/累積死者

    日本版のCOVID-19 ダッシュボード – 累積陽性者/累積退院者/累積死者

    はじめに

    公的発表

    COVID-19ダッシュボード

    日本のCOVID-19 ダッシュボードで提供されている重要な情報は、都道府県別に現在の患者数(A)と対応する病床数(B)を閲覧できることです(A/Bの割合)。Aが超過していると「医療崩壊のリスク」が高いことを示していると考えられます。

    図1. COVID-19 Japnaサイトのトップ画面

    COVID-19 Dash Board

    アメリカの大学が、COVID-19の感染情報について行った追跡調査が始まりのようです。COVID-19の発生状況をリアルタイムで追跡・可視化するサイトです。アメリカでは、この情報をもとに重要な意思決定もされていると聞きます。日本にもあります。

    日本のCOVID-19 Dash Boardは、サイト名は、「COVID-19 Japan」、アドレス名は、「www.stopcovid19.jp」となっています。

    今の日本の状況を詳細に示している

    COVID-19 JAPANでは、患者数について詳しく数値で示しています。特に「現在の患者数」「対応する病床数」が重要です。

    現在の患者数(A)と対応する病床数(B)が更に重要です。「医療崩壊のリスク」を示すと考えられるからです。A/Bの比率が、「1」より大きくなると対応する病床数(ベッド数)が不足していることを示すためです。

    都道府県別の表示

    都道府県のカラムは、色分けされています。黒色は、A/B値が「1」を超過してい都道府県を示しています。「医療崩壊のリスク」が高くなっていると考えられます。

    都道府県のカラムをクリックすると、各都道府県別のサイトに飛べます。さらに詳しい情報を得ることができます。

    一度、皆さんのお住まいの都道府県について、確認してみてください。

    編集履歴

    2020/04/27 はりきり(Mr)
    2021/05/22 追記(公的サイト)
    2021/09/20,追記(官邸新型コロナワクチンについて-リンク)
  • I型インターフェロン

    I型インターフェロン

    I型インターフェロン

    I型インターフェロン: インターフェロンα、インターフェロンβの総称 (Type I Interferon)

    • ヒト、マウスのほとんどの細胞では、Type I Interferonの受容体を発現する
    • ウイルス、細菌、寄生虫、真菌への感染において、他のメディエーター誘導を通じて直接的および/または間接的に生来および適応性免疫細胞に多様な影響を及ぼす
    • インフルエンザウイルス感染などの急性ウイルス感染で免疫病理学的症状を引き起こすことが示されている。逆に、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス感染などの慢性ウイルス感染では免疫抑制につながる可能性がある
    • 細菌感染では、細胞を介した免疫応答を開始するためには、初期段階で低レベルのIFN型が必要になる場合がる
    • 高濃度のIFNは、B細胞応答をブロックしたり、免疫抑制分子の産生につながる可能性があり (リステリア単球ゲンおよびマイコバクテリウム結核の感染症)、IFNγによる活性化に対するマクロファージ応答性を低下させる
    • 結核の実験モデルにおける最近の研究は、プロスタグランジンE2とインターロイキン-1がType I IFNの発現と、その下流の効果を阻害し、サイトカインのクロスレギュレーションネットワークが感染症中に動作し、宿主への損傷を最小限に抑える保護作用が実証されている

    更に、詳細については、以下の参考文献を参照してください。

    Type I interferons in infectious disease (2015) – nature reviews immunology –

    https://www.nature.com/articles/nri3787

    編集履歴

    2020/04/21, Mr. Harikiri
    2022/03/12,追記(Type I IFNの働きについて、参考文献から一部を概要として記載)

  • [COVID-19] 世界のCOVID-19アプリ – イギリス、アメリカ、シンガポール、韓国 (NHK 7時のニュース)

    [COVID-19] 世界のCOVID-19アプリ – イギリス、アメリカ、シンガポール、韓国 (NHK 7時のニュース)

    イギリス : 「C-19」、住所を含めた個人情報の登録と日々の体温を利用者が送信。地域ごとの感染状況等を表示するアプリ。

    アメリカ : 専用の体温計とmobileで体温の地域分布を全米100万人のデータを地図上に表示するアプリ。

    シンガポール : 政府の開発したアプリ。感染者と利用者の半径2m以内で30分間以上の接触を感知

    韓国 : 感染者の行動履歴を滞在地域と時間について、24時間以内に滞在、4日以内の滞在を色分けで表示

    2020/04/10 はりきり(Mr)

  • [Virus-Edu] WHO が、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の治療薬に関する大規模臨床を開始する –  ID13021 [2020/04/09]

    [Virus-Edu] WHO が、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の治療薬に関する大規模臨床を開始する – ID13021 [2020/04/09]

    WHOがCOVID-19治療薬の臨床を開始

    4つの薬剤について大規模な臨床試験を開始。

    1. レムデシビル
      • エボラ出血熱など抗ウイルス化合物(ギリアドサイエンス社)
      • RNA依存性RNAポリメラーゼ阻害(エボラでの効果は確認できていない)
    2. クロロキンとヒドロキシクロロキン
      • マラリア薬
      • 中国の研究では効果があるとされているが、その根拠データは不明
      • クロロキンは細胞実験で多少の効果はあるが、用量が非常に多い
      • ヒドロキシクロロキンは、様々な副作用が知られている
    3. ロピナビルとリトナビルの組み合わせ
      • HIV薬(プロセアーゼ阻害薬)
      • 2000年、米国でHIV感染症の治療に承認されている
      • ロピナビルは、生体内での分解が早い
      • リトナビルは、比較的持続する
      • この組み合わせは、MERSのマーモセットの試験で効果があった
    4. 同じ組み合わせ(ロピナビルとリトナビル)に加えて、
      • ウイルスを不自由にするのを助けることができる免疫系メッセンジャーであるインターフェロンベータ
      • 抗ウイルス効果が期待できるインターフェロンベータの併用だが、副作用も懸念される

    WHO launches global megatrial of the four most promising coronavirus treatments

    https://www.sciencemag.org/news/2020/03/who-launches-global-megatrial-four-most-promising-coronavirus-treatments

    新型コロナウイルスの感染機序

    編集履歴
    2020/04/09 Mr.HARIKIRI
  • [健康] 忘れかけていた健康の大事さ(1) – 愚者は経験から学ぶ [2020/04/08]

    [健康] 忘れかけていた健康の大事さ(1) – 愚者は経験から学ぶ [2020/04/08]

    僕は、

    「愚者は経験から学ぶ」ことを繰り返しながら長らく生きてきました。

    COVID-19で入院する患者さん、特に重症の方のことを慮る(おもんばかる)。体はしんどくて、呼吸は息苦しくて、いつまで続くのか?この苦しさ、と。

    ICU (集中治療室)では、今が朝なのか昼なのか夜中なのか、全く分からない。僕の場合は、看護婦さんに朦朧(もうろう)としながら、いちも時間を聞いていた。重症患者さんに対して医療スタップは、24時間体制で、それぞれの患者さんの治療活動を行なっているため電灯は基本的、ONでした。

    もう何年前になるだろうか。僕がバイクで事故したのは。1991年。

    ICUには、2週間程度いたと思う。もう30年も前のことで細かいことは忘れてしまっているが、思い出しながら、以下に記録しましょう。

    僕は運が良かった。運ばれたのは、救命救急センターという、今では、そのような専門とする組織の呼び名は無くなった。

    事故では、突然に身体が拘束される。僕は、内臓破裂であったため、食事など、1ヶ月後になることも知らずに過ごしていた。

    翌日なのか数日経ったのかは分からないが、面会に来た (というか、危篤の連絡で病院に、別世帯だったファミリーが集まり、それぞれが、思い思いに待合の椅子で寝たり座ったりして待っていてくれていた)家族に対して放った一言は、

    「腹減った」

    であった。

    夕食前の事故であったので、その日の昼食が、次の食事までの最後の食事となった。

    入院中は、食事無しに付け加えて、水分も口からとってもいけなかった。

    食事無しは、何で代替しているのか? それは、鎖骨の下にある太い静脈 (鎖骨下中心静脈) に栄養点滴により供給される。

    水分補給は、点滴によって賄っているので、口からの水分補給は、基本的には必要ない。が、喉は乾くので欲求は伝えるものの、受け入れられない。

    徐々に回復して体力が戻りつつある時期、ドクターから流動食をしましょうと言われた。

    しかし、期待したものとは全然異なっていた。まずは、記憶に浅いが、その時期は、数週間から1ヶ月の間、食事をしていなかったため、「食べ物などの固定物や液体」の飲み込み方を忘れてしまっているのである。

    これまで通りに、水分を飲もうとしても飲めない。ストローで少し吸って、その少しの量を飲み込むのすら誤飲して気管に入れてしまう程だった。

    人間の能力の劣化は、身動きができず呼吸をしているだけの生活では、凄まじいほど速い。

    水の後の食事と言うべきか、最初の食事は流動食とは程遠く、

    ネクターの「ピーチ」

    でした。

    鎖骨下中心静脈カテーテル

    鎖骨下中心静脈カテーテル挿入 – 慈恵ICU勉強会 (2011) より

    http://www.jseptic.com/journal/jreview_088.pdf

    2020/04/08 はりきり(Mr)