カテゴリー: BIOLOGICS

  • [Bio-Equip] リアルタイム緩衝液作成装置 – Allegro Connect buffer management system (BMS) [2020/12/16]*

    [Bio-Equip] リアルタイム緩衝液作成装置 – Allegro Connect buffer management system (BMS) [2020/12/16]*

    はじめに

    バイオ医薬品をつくるには,種々の高価な装置が必要です.MRHARIKIRは,バイオの専門家なので,皆さんには,バイオ医薬品の製造や品質分析方法,それ以外にも分析装置,製造装置などについても紹介しています.

    バイオ医薬品(バイオロジクス)の製造には、水が大量に必要です。大量の水を使って食塩やその他pH干渉能がある無機/有機を含む塩を低濃度に溶かして、緩衝液(バッファー)と呼ばれる水溶液を大量に且つ多種類を必要とします。これらバッファーの用途は、液体クロマトグラフィと呼ばれる処理に使用されます。

    予め、これらバッファーを作って置くのが一般的ですが、製造能力を拡大する場合、そのバッファーの保管場所の切迫が生じます。

    それで、考えられたのが、高濃度のバッファーを作っておき、液体クロマトグラフィに使用する直前に、水と適切比率で混ぜることで、バッファーの保管面積の削減を図り、製造能力の拡大が可能となります。

    Allegro Connect buffer management system (BMS)

    Pall社の製品です。写真の左側にあるソフトバッグが高濃度に調整したバッファーです。例えば、10倍濃度にしておきます。右側にあるソフトバックには、左側の10倍濃度バッファーを1容量、水を9容量を混合すると目的の濃度のバッファーが調整されます。この目的の濃度のバッファーは、液体クロマトグラフィに送られ、減ったら前述の手順で補充されます。

    Allegro™ Connect バッファーマネジメントシステム

    https://shop.pall.com/jp/ja/biotech/fluid-control/zidgriacbms

    編集履歴

    2022/03/14, Mr. Harikiri

  • [用語] AHP ; 急性肝性ポルフィリン症 (遺伝子疾患)

    [用語] AHP ; 急性肝性ポルフィリン症 (遺伝子疾患)

    AHP; 急性肝性ポルフィリン症

    ポルフィリン症の1つ。AHPの他に、光線過敏症の皮膚症状を示す「皮膚型ポルフィリン症(CP)」がある。

    • 気象遺伝性疾患
    • 急な激しい腹痛
    • 肝臓で「ヘム」を作る過程で働く酵素に遺伝的な変異があることが原因
    • 4つの病型
      • 急性間欠性ポルフィリン症(AIP)
      • 遺伝性コプロポルフィリン症(HCP)
      • 異型ポルフィリン症(VP)
      • アミノデプリン脱水素酵素欠乏症ポルフィリン症(ADP)

    急性肝性ポルフィリン症

    https://www.alnylam.jp/for-patients/acute-hepatic-porphyria-information

    編集履歴

    2020/07/12 Mr.HARIKIRI

  • [Bio-Education] Cohn Factionation – コーンのエタノール分画

    [Bio-Education] Cohn Factionation – コーンのエタノール分画

    エタノール分画とは

    エタノール分画は、取得したいタンパク質を不純物を含む原材料から分画精製する方法です。物理化学的性質の違いを利用し、エタノールというタンパク質やその他DNA、糖などの沈澱化を促進する溶剤と水を用いて、目的とするタンパク質を高濃度に分画する歴史的に実績のある手法です。

    溶剤としては、その他にアセトンなども使われていました。

    コーンのエタノール分画は、ヒトの血漿由来タンパク質を分画精製するために考案されました。エタノール濃度とpHおよび電気伝導度などを指標にして、アルブミン、IgGなどの治療薬となるタンパク質を効率的に分画精製することが可能です。

    基本的に、エタノールはタンパク質を変性させるため、4℃から氷点下以下で行われ、変性させない工夫が必要です。

    基本的な原理は以下の通りです。

    1. エタノール分画は、タンパク質の精製方法である
    2. エタノール濃度やpHなどの溶液条件に応じて、タンパク質が沈澱化する
    3. 一般的には、エタノール濃度が高いほど沈澱化効果が高まり、タンパク質の分子量が高いほど沈澱化しやすい
    4. 一般的には、pHが低いほど沈殿化効果が高まり、現状のpHを下げて行くことで、ある種のタンパク質は沈澱化する
    5. アルブミン(分子量約60kDa)は、IgG(分子量約150kDa)よりも沈澱化しにくい

    コーンのエタノール分画法は、ヒト血漿を出発原材料として、上記の原理に従い、エタノール濃度、pHなどの条件を断続的に変化させ、都度、遠心器などを使用して沈澱と上清とに分画していく効率性の高い手順となっています。

    History of Plasma Fractination

    https://marketingresearchbureau.com/plasma-industry/history-of-plasma-fractionation/

    編集履歴

    2022/03/12, Mr. Harikiri

  • [COVID-19] ファイザーが開発している飲むCOVID-19治療薬 ritonavir (Paxlovid) – EUの当局(EMA)が臨床データ検討を開始 [2021/11/19]

    [COVID-19] ファイザーが開発している飲むCOVID-19治療薬 ritonavir (Paxlovid) – EUの当局(EMA)が臨床データ検討を開始 [2021/11/19]

    ID35108

    EMAはCOVID-19患者を治療するためのPaxlovidのレビューを開始します

    EMAは、ファイザーが開発したCOVID-19の経口治療であるパクスロビッド(Paxlovid/PF-07321332/ritonavir)の使用に関する現在利用可能なデータを検討しています。これは、マーケティング承認前に、緊急使用設定など、COVID-19の早期使用を決定する可能性のある国家当局を支援するためのものです。

    EMAの人間医薬品委員会(CHMP)は、重篤な病気に進行するリスクが高い軽度から中等度のCOVID-19の非入院患者におけるダミー治療(プラセボ)の効果を比較する研究のデータを調べます。予備結果は、パクスロビッドが症状の開始から3〜5日以内に治療を受けたときのプラセボと比較して入院または死亡のリスクを減らしたことを示しています。CHMPはまた、薬の品質と安全性に関するデータを確認します。

    より包括的なローリングレビューは、マーケティング承認の申請に先立って開始されると予想されますが、この現在のレビューは、可能な限り最短時間でEU全体の推奨事項を提供し、医薬品の早期使用に関するエビデンスベースの決定を下したい国家当局が使用できます。

    EUの当局は、EUの高い安全性と有効性基準を満たしていることを確認しながら、非常に必要なCOVID-19治療とワクチンの評価を促進することに引き続きコミットしています。EMAは、このレビューが終了したら、このレビューの結果について通知します。

    薬についてもっと

    パクスロビッドは、SARS-CoV-2(COVID-19を引き起こすウイルス)が体内で増殖する能力を低下させる経口抗ウイルス薬です。活性物質PF-07321332は、増殖するためにウイルスに必要な酵素の活性をブロックします。パクスロビッドはまた、PF-07321332の分解を遅らせるリトナビル(プロテアーゼ阻害剤)の低用量を含み、ウイルスに影響を与えるレベルで体内に長く滞在することを可能にする。この薬は、COVID-19患者の入院の必要性を減らすことが期待されている。

    手順の詳細

    EMAのエグゼクティブディレクターは、欧州医薬品規制ネットワーク全体の専門家を集めたEMAのCOVID-19パンデミックタスクフォース(COVID-ETF)との予備的な議論の後、規制726/2004の第5条(3)に基づくレビューを要求しました。

    このレビューは、EMAの人間用医薬品に関する質問を担当するEMAの人間用医薬品委員会(CHMP)によって実施されています。委員会は、正式なマーケティング許可が発行される前に、EU加盟国が国内レベルでこの薬の使用に関する決定を下す際に考慮すべき最短期間内に科学的意見を発行します。

    参考

    EMA starts review of Paxlovid for treating patients with COVID-19 (2021/11/19, EMA)

    https://www.ema.europa.eu/en/news/ema-starts-review-paxlovid-treating-patients-covid-19

    編集履歴

    2021/11/22,はりきり(Mr)
  • [COVID-19] 飲む治療薬 Molnupiravir (Lagevrio) – EUの当局(EMA)が各国に対して使用に関するアドバイスを発行した [2021/11/19]

    [COVID-19] 飲む治療薬 Molnupiravir (Lagevrio) – EUの当局(EMA)が各国に対して使用に関するアドバイスを発行した [2021/11/19]

    ID35044

    CODIV-19の飲む治療薬

    先日、イギリスの当局 (Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) )は、COVID-19の飲む治療薬 Lagevrio (molnupiravir)を世界で初めて承認しました。

    EUからも、イギリスに続いてCOVID-19感染症法治療薬である、この飲む治療薬: Lagevrio (molnupiravir)に関して、緊急使用する場合のアドバイスを各国に対して発表しました。

    European Medicines Agency (EMA)のヒト医薬品委員会(CHMP)は、COVID-19の治療にLagevrio(モルヌピラビルまたはMK 4482としても知られる)の使用に関するアドバイスを発行しました。現在EUで認可されていないこの薬は、酸素補給を必要とせず、重度のCOVID-19を発症するリスクが高いCOVID-19の成人の治療に使用できます。Lagevrioは、COVID-19の診断後できるだけ早く、症状が現れてから5日以内に投与する必要があります。カプセルとして入手できる薬は、1日2回5日間服用する必要があります。

    EMAは、EU全体でのCOVID-19による感染率と死亡率の上昇を考慮して、たとえば緊急使用環境で、販売承認の前に医薬品の早期使用の可能性を決定する可能性のある各国当局を支援するためにこのアドバイスを発行しましたRef

    アドバイスは、薬の品質に関するデータや、完了した進行中の研究の結果など、データのレビューに続きます。このアドバイスの一部として、少なくとも1つの基礎疾患があり、重度のCOVID-19のリスクにさらされている、入院していないワクチン未接種の患者を対象とした本研究の中間結果を評価しました。

    • Lagevrioは、800 mgを1日2回投与すると、症状が現れてから5日以内に治療を開始した場合の入院と死亡のリスクを軽減
    • 治療開始から約1か月後、Lagevrio (ラゲブリオ)を服用した患者の7.3%(385人中28人)が、プラセボ(ダミー治療)を服用した患者の14.1%(377人中53人)が入院または死亡したのに対し、プラセボ群の8人の患者と比較して、Lagevrio群の患者は誰も死亡しませんでした。

    安全性の観点から、治療中およびラゲブリオの最終投与後14日以内に報告された最も一般的な副作用は、

    • 下痢、悪心、めまい、および頭痛であり、これらはすべて軽度または中等度でした。

    Lagevrioは、妊娠中および妊娠する可能性があり、効果的な避妊を使用していない女性にはお勧めしません。妊娠する可能性のある女性は、治療中およびラゲブリオの最後の投与後4日間は効果的な避妊を使用する必要があります。

    母乳育児は、治療中および治療後4日間は中断する必要があります。これらの推奨事項は、動物での実験室研究により、高用量のラゲブリオが胎児の成長と発達に影響を与える可能性があることが示されているために与えられています。

    EMAが提案する使用条件は、EMAのWebサイトで公開されています。

    当局のアドバイスは、販売承認の前に薬の使用の可能性に関する国の推奨事項をサポートするために使用できるようになりましたRef

    並行して、より包括的なローリングレビューが、販売承認の申請の可能性に先立って進行中です。EMAは、このレビューの進捗状況についてさらに連絡が予定されています。

    薬についての詳細

    Lagevrioは、SARS-CoV-2(COVID-19を引き起こすウイルス)が体内で増殖する能力を低下させる経口抗ウイルス薬です。これは、SARS-CoV-2の増殖能力を損なう方法で、ウイルスの遺伝物質(RNAとして知られる)の変化(突然変異)の数を増やすことによって行われます。

    Lagevrioは、RidgebackBiotherapeuticsと共同でMerckSharp&Dohmeによって開発されています。

    手順の詳細

    EMAのエグゼクティブディレクターは、下の見直しを要求した第5条(3)規制の2004分の726全体から一緒に専門家をもたらしますEMAのCOVID-19パンデミックタスクフォース(COVID-ETF)、との予備的協議以下の欧州の医薬品規制ネットワーク、およびにヘッド医薬品庁(HMA)の。

    このレビューは、ヒト用医薬品に関する質問を担当するEMAのヒト用医薬品委員会CHMP)によって実施されました。委員会の科学的見解は、販売承認の前に国レベルでこの薬の使用を決定する際に、EU加盟国が使用できるようになりました。

    参考

    EMA issues advice on use of Lagevrio (molnupiravir) for the treatment of COVID-19

    https://www.ema.europa.eu/en/news/ema-issues-advice-use-lagevrio-molnupiravir-treatment-covid-19

    編集履歴

    2021/11/19,はりきり(Mr)
  • [COVID-19] 飲む治療薬 Molnupiravir イギリスで世界初承認、日本にも承認申請 [2021/11/06]

    [COVID-19] 飲む治療薬 Molnupiravir イギリスで世界初承認、日本にも承認申請 [2021/11/06]

    ID34477

    CODIV-19の飲む治療薬

    イギリスの当局 (Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) )は、COVID-19の飲む治療薬を世界で初めて承認しました。

    新型コロナウイルスの複製プロセスにおいて、遺伝子をミスさせる機構によりウイルスの増殖を抑えることで体内でのウイルス濃度を低く維持させる働きです。

    開発は、Ridgeback Biotherapeutics and Merck Sharp & Dohme (MSD)です。

    日本では、2021/12/03に承認申請されました。

    2024年現在,グローバルに売れている.

    参考

    First oral antiviral for COVID-19, Lagevrio (molnupiravir), approved by MHRA

    https://www.gov.uk/government/news/first-oral-antiviral-for-covid-19-lagevrio-molnupiravir-approved-by-mhra

    編集履歴

    2021/11/06,はりきり(Mr)
  • [抗体医薬] COVID-19治療用抗体医薬カクテル[2021/09/13]

    [抗体医薬] COVID-19治療用抗体医薬カクテル[2021/09/13]

    ID31303

    はじめに

    新型コロナウイルスの感染拡大を抑制するには、ワクチンが有効です。しかし、ワクチンを投与しても感染予防効果が得られるまで1ヶ月以上必要です。

    感染予防を投与直後から得られる薬剤があります。それが、「抗体医薬」です。ワクチンによって体内に出来てくる抗体の代わりに、人為的につくった抗体「抗体医薬」を補充するというのがその原理です。感染予防効果をより高める方策が補完的に異なる抗体を複数カクテルする方法が考案されました。

    抗体カクテル療法

    抗体カクテル療法は、COVID-19治療で本格化しました。抗体医薬を複数使用して治療する方法です。抗体医薬は、モノクローナル抗体(mAb)と呼ばれ1つの抗原に対する結合性能を持っています。そのため、ウイルスなどの病原性を効率的に中和するには限定的です。

    そこで、異なる抗原に対するmAbを複数混ぜて投与することで、病原性の中和効率を改善させる試みがあります。

    COVID-19の治療薬として、mAbを複数製剤を投与する治療方法が進められています。それを抗体カクテル療法と言います。

    2021年04月16日皮下投与によるcasirivimabとimdevimabの抗体カクテル療法が、予防目的の第III相臨床試験で症候性COVID-19の発症リスクを81%減少 – 中外製薬 ホームページ

    https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20210416160000_1101.html

    効果のある抗体医薬

    2021/11現在、日本で新型コロナウイルス感染への効能効果が認められているのは、以下の4つの抗体医薬です(GemMed)。

    (1)レムデシビル(販売名:ベクルリー点滴静注液100mg、同点滴静注用100mg)
    (2)バリシチニブ(販売名:オルミエント錠2mg、同錠4mg)
    (3)カシリビマブ(遺伝子組換え)およびイムデビマブ(遺伝子組換え)(販売名:ロナプリーブ点滴静注セット300、同点滴静注セット1332)—による「コロナ感染症治療への一定の効果」が認められ、
    (4)ソトロビマブ(遺伝子組換え)(販売名:ゼビュディ点滴静注液500mg)

    コロナ感染症治療薬「ロナプリーブ」、重症化リスクのある濃厚接触者等の発症予防にも使用可―厚労省 – GemMed –

    https://gemmed.ghc-j.com/?p=44127

    ロナプリープ

    ロナプリープは、中外製薬株式会社が製造販売業者です。新型コロナウイルス感染症の患者を対象とした中和抗体薬で、以下の2種類の抗体医薬がカクテルされています。販売名は、「ロナプリーブTM点滴静注セット300、ロナプリーブTM点滴静注セット 1332」です。2021年(令和3年) 7月19日、新型コロナウイルス感 染症の治療薬として特例承認されました。

    • カシリビマブ
    • イムデ ビマブ

    厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部、事務連絡 (2021/7/20)

    https://www.mhlw.go.jp/content/000808472.pdf

    編集履歴

    2021/09/13,はりきり(Mr)
    2021/12/02,追記(はじめに、ロナプリープ)
  • [用語] ADC :  – Antibody Drug Conjugates – 抗がん効果を高める技術 [2023/10/14]

    [用語] ADC : – Antibody Drug Conjugates – 抗がん効果を高める技術 [2023/10/14]

    ADC

    Antibody-Drug-Conjugatesの略号である.抗体は目的の癌細胞の表面に対して結合力を持つモノクローナル抗体が使用される.ドラッグには,目的の癌細胞を殺すために効果がある毒素が使用される.すなわち,がん細胞への毒素のデリバリーによる効果的な抗がん効果を目指す薬剤の形である.

    ドラッグの結合反応では,タンパク質である抗体(Antibody)と化学物質の毒素である抗がん剤を結合させる結合反応工程が必要である.抗体のどこかにあるアミノ酸のアルギニンがあれば,その高い反応性を利用して化合物を結合させることができる.なければ,抗体の結合活性に影響がでない箇所のアミノ酸をアルギニンに置換するのが一般的である.

    以上,効率的な結合反応と結合量,抗体や抗がん剤の効果を低下させない条件など,医薬品の開発会社の腕のみせどころである.

    Ambrx社

    Ambrx社は,非天然アミノ酸をタンパク質に導入する技術を持っている.その技術により抗がん剤と特異的に反応できる反応基を持つ非天然アミノ酸を抗体の生産時に導入することで,その後精製した非天然アミノ酸を含む抗体に抗がん剤を特異的に結合させてADCを効率よく作ることが可能である.

    Ambrx Inc.

    About | Ambrx

    編集履歴

    2021/10/16,Mr.HARIKIRI
    2023/10/09,追記 (ドラック結合反応について)
    2023/10/14,追記 (Ambrx社)
  • [rAAV-Edu] rAAVベクターのFull/Empty ratioの改善のヒント [2021/10/15]

    [rAAV-Edu] rAAVベクターのFull/Empty ratioの改善のヒント [2021/10/15]

    はじめに

    AAVを活用した遺伝治療薬では,AAVの殻の中に封入させる遺伝子をいかに効率よくできるかが重要な品質項目となる.

    Full & Empty ratio

    rAAV Vectorの実製造にあたって、ウイルス粒子に封入させたい目的の遺伝子をパッケージングしている完全体粒子(full)と遺伝子をパッケージングしていない、又は部分的である不完全体(empty)の比率を改善するすることは、生産性の効率化に避けては通れない課題である。

    今回参照する文献によると、図1に示す実験条件で、Full/Empty比率を培養工程において確認した結果がある。

    表1のようにTransfectionから時間が経過するほどFull particlesの絶対数はMediaとPelletを合計しても低下した。

    • MediaにおけるFull particles数は、Transfectionから日数が経過するほど増加した(1)
    • PelletにおけるFull particles数は、Transfectionから日数が経過するほど減少した(2)
    • MediaとPelletを混合してrAAVベクターを製造する場合を想定すると、Empty particles数は、日数が経過するほど増加、すなわち、Full particles数は、減少した(3)
    https://www.researchgate.net/profile/Matthew_Benskey/publication/293825466_Continuous_Collection_of_Adeno-Associated_Virus_from_Producer_Cell_Medium_Significantly_Increases_Total_Viral_Yield/links/56e0583208ae9b93f79c2d8e/Continuous-Collection-of-Adeno-Associated-Virus-from-Producer-Cell-Medium-Significantly-Increases-Total-Viral-Yield.pdf?origin=publication_detail
    図1. TransfectionからHarvest期間

    Sample(1) Full in Media(2) Full in PelletEmpty in MediaEmpty in Pellet% Empty in Pellet% Empty in Media(3) %Empty in Pellet & Media
    3 day1384151818417210%12.1%11%
    5 day1466133728117219.1%16%13%
    7 day1512118122840625.3%13.2%19%

    Continuous Collection of Adeno-Associated Virus from Producer CellMedium Significantly Increases Total Viral YieldMatthew J. Benskey,1Ivette M. Sandoval,1and Fredric P. Manfredsson

    https://www.researchgate.net/publication/293825466_Continuous_Collection_of_Adeno-Associated_Virus_from_Producer_Cell_Medium_Significantly_Increases_Total_Viral_Yield

    考察

    MediaとPelletでのFull Particle数の合計が、Transfection後の3日後が最も高かったが、その後、7日後まで減少が続いた。この減少する原因について以下のように考察する。

    • Pellet内のFull Particleの減少傾向は、Full Particleの合成効率が低下している
    • 又は、Pellet内でのFull Particleの安定性が不良である
    • Full ParticleのTransfectionからHarvest工程までの期間での安定性が不良である

    編集履歴

    2019/09/18 はりきり(Mr)
    2020/06/12 整備(Gutenberg blockに変換)
    2021/10/15,追記(考察)
    2023/10/05,追記(はじめに)
  • [用語] CMC; Chemistry, Manufacturing and Control

    [用語] CMC; Chemistry, Manufacturing and Control

    はじめに

    CMCということば,医薬品メーカーにおける部署に使われている.医薬品開発では,創薬開発を担う研究所が最初に思い浮かぶが,その開発段階として臨床試験に入る前からレイトステージでの工業化検討など,コマーシャルに向けて必要な検討は,研究所では難しい.そこで,専門性を分離させ,CMCという部署がつくられることが多い.

    CMCでは,GMPにも準拠した活動が必要である.なぜなら,臨床試験はGMP準拠で製造された医薬品を使う必要があるためだ.GMPの準拠のしかたも,レイトな開発段階,即ち,コマーシャルに近づいていけば行くほど,GMPへの準拠の度合いは,どんどん強く深くなっていかなければならない.

    コマーシャル品が市販されてからも,cGMPといってcurrent GMP,すなわち,最近の技術・知見なども積極的に自分たちのGMP活動に取り入れていく必要がある.これが医薬品メーカーの責任である.

    CMC

    CMCとは、Chemistry, Manufacturing and Controlの略です。治験薬製造と製造承認申請、商用製造に関わる仕事全判を示している.

    • 原薬・製剤のChemistry(化学): 製造法開発
    • 原薬・製剤のManufacturing(製造): GMP製造
    • 原薬・製剤のControl(品質管理): 品質規格の設定、試験法開発

    編集履歴

    2021/10/13,Hr.HARIKIRI
    2023/10/03,追記(はじめに)