カテゴリー: BIOLOGICS

  • CTD – 製剤安定性 2.3.P.8 [2024/05/22]

    CTD – 製剤安定性 2.3.P.8 [2024/05/22]

    製剤の安定性は,2.3.P.8に記載します.

    後発医薬品に係るCTD 第2部 (モジュール2) 記載事例 (モックアップ)

    https://www.iga.gr.jp/assets/pdf/ctd02.pdf

    脱アミド,酸化,スルホキシド化,凝集,断片化など物質変化を的確に検出するには,電気泳動法,高分離能クロマト法,ペプチドマッピングほうなどがある.

    生物薬品 (バイオテクノロジー応用製品/生物起源由来製品)の安定性試験について

    000156460.pdf (pmda.go.jp)

    編集履歴

    2024/05/22 Mr.Harikiri

  • mAb ファリシマブ [2024/05/22]

    mAb ファリシマブ [2024/05/22]

    ファリシマブ

    は,以下の特色がある.

    1. 眼科領域の抗体医薬
    2. 眼内注射薬
    3. 投与間隔 : 最長16週間
    4. バイスペシフィック抗体 (VEGF-AとAng-2への結合性)
    5. 対象疾患 : 糖尿病性黄斑浮腫 (DME),カレイオウンは変性症(nAMD)
    6. FDAにより承認
    7. 製造販売 : 中外製薬

    KEGGより

    総証明 : パビースモ
    一般名 : ファリシマブ(遺伝委組換え); Faricimab (Genetical Recombination)

    医療用医薬品 : バビースモ (バビースモ硝子体内注射液120mg/mL) (kegg.jp)

    副作用

    眼圧上昇,硝子体浮遊物,高眼圧症,角膜擦過傷,眼痛,眼部不快感,結膜出血,白内障,焼死体剥離,眼充血,霧視,視力低下

    抗体発生率 11%

    編集履歴

    2024/05/22 Mr.Harikiri
    2024/07/14 概要追記

  • [GMP] OOS/OOTについて、いずれも規格品質試験の結果の態様、対処方法が異なる

    [GMP] OOS/OOTについて、いずれも規格品質試験の結果の態様、対処方法が異なる

    先ずは、規格

    とは,specificationのことです.OOS/OOTを説明するためには,最初に規格について説明をする必要があります.以下、バイオ医薬品に関して説明を進めます。

    規格を検査するための試験があります。

    この規格試験とは,医薬品の品質をできるだけ網羅的に把握するために一般的には複数の試験で構成されています.

    ある医薬品の製造ロットが完成すれば,QC部門で規格試験が実施されます。設定されている全ての規格試験で合格すれば,その製造ロットは使用可能,即ち出荷可能との判定が得られます.

    一方,構成されている規格試験の内の1つでも試験結果が規格範囲内に収まらない場合,その製造ロットは使用も出荷されず廃棄されることになります.

    OOS/OOT

    1. * OOS : out of specification
    2. * OOT : out of trend

    OOS

     とは、検査結果が規格外となった試験検査結果のことです。公定書、または社内で定められた許容基準の外側となった試験結果を指します.もしも.規格試験に組み込まれた試験項目の内,1つの試験項目でその分析結果が「不適」と判断されれば、そのロットは廃棄されなければなりません.
     OOS結果への対処法としては、「欠陥調査」と呼ばれる手法があります。この手法はFDAのガイダンスに基づいて、実験室の欠陥を明確に立証できれば、再試験を実施して「適」の判定結果がでると,前回のOOS結果を無効にすることも可能です.
     OOS結果の調査には、「実験室の調査」、「製造工程の調査」、「再試験の実施」などのフェーズがあります.OOS結果は、製品の品質に影響を与える重要な問題なので、適切な対応が必要です.

    OOT

     とは,検査結果がこれまでに製造してきたロットの検査結果のトレンド(傾向)に合致しないことを指します.

    以下は,CoPilotの説明をもとに添削した説明です.

    とは、傾向外試験結果のことです.試験結果が規格外にはならないが、それまでに得られている試験結果の傾向から外れていることを意味します.OOSに対して、OOTは試験結果の逸脱となります.OOTの処理手順については,こちらをご覧ください。OOTは、医薬品の品質管理において重要な概念です。
     OOT結果の対処法としては,以下の手順があります.

    対処手順

    OOSへの対処

    1. OOSが発生した場合、まず分析担当者と監督者による初期調査(Phase Ia)を行う
      • 明確なエラーがないか
      • 試験方法や機器、試料、標準品などに問題がないか
    2. 試験結果に疑わしいピークやデータが含まれていないかなど
    3. 明確なエラーが認められた場合
      • 試験自体を無効としてOOSデータも無効とし、再試験を実施する
      • エラーが認められなければ、更なる調査を行う
    4. 更なる調査(Phase Ib)
      • 試験担当者と監督者による詳細な調査を行う.
      • 原因の特定が可能かどうか
      • 根本原因の特定が可能かどうか
      • 試験結果の傾向や差異
      • 潜在的な他の成分や干渉などの傾向など
    5. 原因の特定が可能であれば
      • CAPA(是正措置・予防措置)を発動し試験結果を記録する。
    6. 原因の特定が出来ない、またはエラーの証拠が不明瞭である場合
      • 製造部門やQAなどの関係者と連絡を取り、製造に関する調査(Phase II)に進む.
    7. 製造に関する調査(Phase II)
      • 製品の品質に影響を与える可能性のある工程や操作、設備、原材料など問題の調査
    8. もしも、製造で原因が特定されれば
      • CAPAを発動し試験結果を記録する.
    9. 製造で原因が特定されなければ
      • 製品へのインパクト調査(Phase III)に進む
    10. 製品へのインパクト調査(Phase III)
      • OOS結果が製品の品質や安全性、有効性に影響を与えるかどうかを判断
      • この判断には、科学的な根拠や統計的な分析などが必要
    11. もしも、製品に影響がないと判断されれば
      • 試験結果を記録し調査を終了します
    12. 製品に影響があると判断されれば
      • バッチの廃棄やリコールなどの適切な処置を行う。

    OOTへの対処

    1. OOTの処理手順は、OOSの処理手順と似ているが、OOTの場合は、試験結果が規格内であることを考慮し、再試験や再サンプリングは行わないことが推奨される.
    2. OOTの場合は、試験結果の傾向や変動を分析することが重要.そのため、品質照査やトレンド分析などの手法を用いて、通常値管理幅や予測される区間範囲などを設定し、試験結果の潜在異常を推定することが必要.

    https://industrymedicine.com/c10/42.html

    https://www.jstage.jst.go.jp/article/pda/10/2/10_2_43/_pdf/-char/ja

    https://toyama-kusuri.jp/data/file/file2_0245.pdf

    http://www.ph-s.com/uploads/technical_documents/2019/10/OOS%E3%81%A8OOT_OOS-Phase-1-%E5%88%9D%E6%9C%9F%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E3%81%AE%E9%80%B2%E3%82%81%E6%96%B9.pdf
  • [BIOLOGICS] 「essentical QbD」の進め方からバイオ医薬品におけるプロセス開発(QTPP/ CQA/ CPP/P PA/ IPQA, PC/PPQ batch位置づけも含めて)その方法を学ぶ

    [BIOLOGICS] 「essentical QbD」の進め方からバイオ医薬品におけるプロセス開発(QTPP/ CQA/ CPP/P PA/ IPQA, PC/PPQ batch位置づけも含めて)その方法を学ぶ

    世界で初めて

    バイオ医薬品が承認されたのは1982年,人インスリンは大腸菌培養プロセスで生産されたものである.以後,酵母や動物細胞,昆虫細胞を用いた生産系も現れた.いずれの場合でも,安全性と有効性の観点から品質を保証できるかが重要なポイントである.メーカー側からは「生産性」の高さも同列に扱わなければならない経済性の観点である.

    essential QbD

    の手順は,以下の通りである.essential QbDは,バイオ医薬品におけるプロセス開発の最低限の活動である.

    1. 目的 : 原薬を製造するプロセスについて開発する
    2. 前提 : 製剤の特性は,原薬の特性と同一である
    3. 手順 : 目標をさだめてその前段階の必要要件を設定していくというボトムアップで進める
    4. (1) QTPPの設定 : 製剤(最終製品)の目標製品品質プロファイル(QTPP)
    5. (2) QTPPを保証できる適切な「限度内」,「範囲内」,「分布内」に,管理すべき特性を重要品質特性(CQA)としてリストする.具体的には規格試験項目に相当する.
      • 純度
      • 含有量
      • pH
      • conductivity
      • 規制要件(無菌皮下注射剤要件: 薬局方,ICHQ6)を含む
    6. (3) 管理範囲
      • 全プロセスに一貫して管理されるもの
      • 培養工程のみで管理されるもの
      • 原材料として管理されるもの
      • など
    7. (4) 製造プロセスのessential QbD
      • FDAが提唱するPVのアプローチに従う.
      • これは3つのステージで構成される.
      • (1) プロセス設計 ステージ
        • 原薬CQAの設定
        • 製造プロセスの設計
        • IPQA/PPA選定と重要度評価 (critical, key, non-key,後述)
        • Process Characterization (PC)試験
      • (2) プロセス検証 ステージ
        • 管理戦略の提案
        • プロセス検証
      • (3) 継続的プロセス検証のステージ
        • 承認申請時管理戦略の確定
        • 継続的プロセス検証
    1. *QTPP : quality target product profile
    2. *CQA : ciritical quality attribute

    ステージの詳細

    は,以下の3のステージに分けられる.

    (1) プロセス設計

    抗体医薬品のperformance attributeとは,工程毎に管理すべき管理特性のことである.

    • IPQA : in-process quality attribute
      • 原薬品質保証のために工程中で逐一,試験/管理する品質特性である.
      • 選定手順 : 「原薬CQA」の抽出 → 「IPQA」(工程毎の重要度評価により**)の選定 → IPQAを工程で管理する.
      • 重要度評価 :
      • ** 精製ステップがStep 1からStep 3あった時,Step 2での重合物の除去率がデータから高いとすると,Step 2がクリティカル(critical)であると評価し,Step 2をIPQAとして選定する.
      • ** また,データには反映されていなくても,原理的に重合体の生成/除去に関わりがあると考えられる場合は「key」,そうでない場合は「non-key」とする.
    • PPA : process performance atribute
      • 製造プロセスの恒常性保証の指標である.
      • ある工程が期待通りに終了したことを確認できる項目である.
      • 重要度評価 : 安全性に直接的に関与すると考えられる場合は「critical」,そうでなければ「key」とする(欧米規制当局ではこの3つの分類方法は否定的とある)
    1. *CQA : critical quality attribute
    2. *PA : performance attribute
    3. **PPA : process performance attribute
    4. **IPQA : in-process quality attribute
    分類performance attribute
    IPQA目的実質由来撫順物: 重合体,分解物,糖鎖非結合体
    工程由来不純物 : 宿主由来DNA,異種タンパク質,バイオバーデン,エンドトキシン
    精製工場製確認のための品質特性 : 糖鎖多様性
    原薬での管理が必要な一般特性 : 政治用,活性
    処方関連品質特性 : pH, 添加剤濃度
    PPA生細胞数,生細胞密度,目的物質濃度,収率

    PC

    とは,process characterizationの略であり,開発したプロセスの頑健性を評価する試験である.

    各工程には操作パラメータ(process parameter: PP)があり,このPPの組み合わせによりperformance attributeに影響を与える.PPの値とperformance attributeとの因果関係とバランスについて確認される.

    確認する方法は,small-scaleおよびpilot-scaleでのPC試験が用いられる.その試験法としてOFATまたはdesign of experiments(DoE)がある.試験結果から重要度を評価する.これらの結果は「commercial-scale」の製造条件として評価するのであるから,そのsmall-scaleやpilot-scaleは適格性が検証されていなければならない.PC試験の結果が不良である場合,プロセスの再設計も検討する必要性もあり得る.

    1. *PP : process parameter
    2. *PA : performance attribute
    3. 重要度評価には,リスクベースアプローチを含む
    4. 重要度評価は品質管理戦略の構築に大きな影響を与えるためスキームが重要

    QTPP → PP →

    (2) プロセス検証

    このステージでは,管理戦略の設計も含まれる.

    前ステージまでにperformance attribute (PP)が設計されている.この基準がcommercial-scale製造において適合しているかを「process performance qualification (PPQ)」という製造バッチで検証する.不備が確認されれば,プロセスの再設計も検討する.

    1. 設計したPPを用いる
    2. PPQを実施する
    3. 結果を検証する

    (3) 継続的プロセス検証

    とは,管理戦略に従い市販後の製品についてPPQで検証された状態が維持されていることを継続的に確認することである.更に,このステージにより製造プロセスの理解を深化させ知識管理体験を充実させることができる.

    より進んだQbD

    1. 管理戦略を製品ライフサイクルを通じて製品と製造プロセスに適合させるアプローチ
    2. 市販後に想定される変更も管理戦略に含まれる
    3. 適応拡大,製造需要増大,剤形追加,
    4. 生産性やコスト

    まとめ

    1. QbDとは,科学者が科学的に妥当だと考えられる範囲を正当に認可させ,その範囲内で柔軟に変更管理ができるようにするための基本的概念である.
    2. essential QbDは,バイオ医薬品開発における最低限の活動である.
    3. 医薬品の製造は,原薬の製造と製剤の製造の大きく2つに分類できる.
    4. 原薬の組成や特性は,そのまま製剤に受け継がけるため,バイオ医薬品の製剤のほとんどの特性は原薬の設計と製造プロセスの結果であると言える.
    5. バイオ医薬品では品質特性の多くで安全性/有効性への影響を完全に評価することはできない
    6. そのため,既に得られている情報/知識を活用する
      • 期間は,製品のライフサイクル全体
      • 対象は,開発初期で行うプロセス設計,プロセス性能,製品の評価などの品質とその戦略
    7. QbDとessential QbD
    8. QbDのためのデータ取得 (enhanced approach)にはコストがかかる.
    9. QbDで承認された「Gazyva」では相当量のdata packageが必要だった.
    10. Design Space (DS)の設計
    11. traditional approach
      • プロセス管理戦略の採用は必要
      • リスクベースアプローチの採用は必要
    12. enhanced approach
      • traditional approachをベースとしなから
      • QbD, DS
    13. 製品ライフサイクルを見据えたQTPPの設定は,Phase 2での有効性確認ができていない段階では難しい.すなわち,現状では,Phase 2の結果がでてから,QTPPが設定される.
    14. 現実的なプロセス開発は,当初に仮のQTPPと仮のCQAに従い開発をすすめてPC試験前のタイミングで長期的製品戦略に基づくQTPPの再設定の実施となる.そのためにプロセス開発機能と製品戦略機能の連携が必須である.
    15. 医薬品開発におけるPhase 3 pivotal ロットの製造プロセスは,市販後のものと同じである必要がある.

    ガイダンス

    ICHや各国規制当局は,医薬品開発の基本的な考え方としてQbDがまとめられている.

    FDA

    : Biological Products QbD Pilot Program (2008)

    CMC Biotech Working Group (EU)

    : A-Mab (case study, 2009)

    PMDA

    : QbD評価 プロジェクト

    : EMA-FDAのQbD同時並行評価パイロットプログラムの延長に対するPMDAのオブザーバー参加について

    参考文献

    バイオ医薬品におけるQuality by Design の実践 – 協和発酵キリン(株) 生産本部バイオ生産記述研究所 - Vol.35 No.5 2017 ファルマシア, 最前線 –

    ファルマシア・53巻・5号・435頁 (jst.go.jp)

    1st ObD Approval for Biologics: Gazyva Design Space

    https://qbdworks.com/qbd-biologics-gazyva-design-space/

    )  PhRMA, CHART PACK-Biopharmaceuticals in Perspective (2016).
    2) 長部喜幸,治部眞里,情報管理,56, 611-621(2013).
    3)  西島正弘,川崎ナナ,“バイオ医薬品 開発の基礎から次世代医薬品まで”,化学同人,京都,2013, pp. 2-3.
    4) 河合浩史,化学装置,56, 17-23(2014).
    5) Joseph A. D. et al., J. Health Econom., 47, 20-33(2016).
    6) Abboud L., Scott H., The Wall Street Journal, 2003 年 9 月 3 日 .
    7)  CMC Biotech Working Group, “A-Mab:a Case Study in Bioprocess Development”, 2009.
    8) Ettore O. et al., Biologicals, 44, 332-340(2016).
    9)  ICH Harmonised Tripartite Guideline, “Pharmaceutical Development Q8(R2)”,2009.
    10)  ICH Harmonised Tripartite Guideline, “Development and Manufacture of Drug Substances (Chemical Entities and Biotechnological/Biological Entities) Q11”,2012.
    11)  FDA Office of Pharmaceutical Quality, “MAPP 5016.1-Applying ICH Q8(R2), Q9, and Q10 Principles to Chemistry, Manufacturing, and Controls Review”, 2016.

    12)  ICH Harmonised Tripartite Guideline, “Specifications: Test Procedures and Acceptance Criteria for Biotechnological/Biological Products Q6B”,1999.
    13)  FDA Guidance for industry, “Process Validation General Principle and Practice”, 2011.
    14)  ICH Harmonised Tripartite Guideline, “Pharmaceutical Quality System Q10”, 2008.
    15)  Feroz J. et al., “Quality by Design for Biopharmaceutical Drug Product Development”, Springer, 2016, pp. 17.
    16) Hirofumi K. et al., J. Pharm. Innov., 7,195-204(2012).

    編集履歴

    2024/01/25 Mr.HARIKIRI

  • [Bio] 1st QbD Approval for Biologics

    [Bio] 1st QbD Approval for Biologics

    2013年

    にバイオ医薬品として初めてQbDを用いて求めたDesin SpaceによるBLA承認を取得した.

    概要

    バイオ医薬品の品質に関するデザインスペースの概念と実践について、ジェネンテック社の経験を紹介したものです。デザインスペースとは、製品の品質属性を満たすためにプロセスパラメータ(PP)を変化させることができる範囲のことです。デザインスペース(DS)が承認されると、製造者は柔軟にプロセスを最適化(optimize)できます。しかし、DSの承認には、多くのデータや根拠が必要です。

    文書では、ジェネンテック社が二つの製品(PerjetaとGazyva)について、全面的なQbD(品質に関するデザイン)の申請を行った結果を報告しています。

    Perjetaはデザインスペースの承認を得られませんでしたが、Gazyvaはデザインスペースの承認を得ることができました。文書では、デザインスペースの承認を得るために、以下のようなポイントが重要であると述べています。

    • 品質属性(QA)やプロセスパラメータ(PP)のリストを作成し、重要度に基づいて選択しないこと
    • 規制当局と早期に相談(comunication)し、自分たちが知っていることや知らないことを透明にすること
    • 不確実性が残っていても、承認後の管理戦略をしっかりと策定すること
    • データを得た後に、リスク評価を反復することを計画すること

    文書は、バイオ医薬品の品質管理におけるデザインスペースの意義と課題について、実例を交えて解説しています。詳しくはこちらをご覧ください

    結論とまとめ

    1. Quality by Design (QbD)はDSの根拠である
    2. Design Space (DS)は成果物である.
    3. traditional approch (従来の手法)
    4. enhanced approach (進んだ手法)

    参考文献

    1st ObD Approval for Biologics: Gazyva Design Space (2013)

    https://qbdworks.com/qbd-biologics-gazyva-design-space/

    編集履歴

    2024/01/25 Mr.HARIKIRI

  • [BIO] 医薬品を製造するために使用する原材料の規格はどう決めるか?[2024/01/14]

    [BIO] 医薬品を製造するために使用する原材料の規格はどう決めるか?[2024/01/14]

    バイオ医薬品

    を含む医薬品全般の話ですが,医薬品の製造に使用する原材料は,その品質を管理する必要があります.管理項目として各種試験項目があり,原材料の製造過程で混入の可能性がある物質に関しては,その混入量の規定がされていたり,理化学試験の項目についても規格値が設定されています.

    例えば,シュクロース(sucrose)では,精製水(conductivityが分かっている)に溶解した時の溶液のconductivity値,エタノール(EtOH)混入量などです.

    医薬品では,品質が一定に保たれた原材料の使用により最終的に製造されるその医薬品の品質を担保しているのです.

    使用する原材料の品質項目と値は,製造者が独自で決めることも可能ですが,薬局方の規格に合致して製造された原材料を原材料メーカーから購入して,自分たちの医薬品製品の製造に使用することも多くりあります.ただし,これら原材料は試験の手間がかかるためコストは高くなります.そこで,コストを下げるために薬局方に合致していない原材料を使用することにして,自分たちで必要な試験項目のみに限定して受け入れ試験を行う方法を取ることもありますが,どちらがコスト削減になるのかは十分に検証が必要です.その場合は,必要が試験項目が漏れていない,受け入れる原材料の製造ロットが安定して受け入れ試験に合格するなどについて考慮が必要です.

    以下の表では,例示としてシュクロースの原材料規格を示しました.項目や試験の値は,それぞれの医薬品製造において独自に設定されていたり,各国の薬局方などに記載されていたりします.

    Sucrose規格試験の項目の例
    独自の試験(例示)溶解した時のConductivity
    EtOH(<5000ppm)
    MeTOH(<3000ppm)
    薬局方説明:白色の結晶性粉末である。無臭で甘味がある。水に溶けやすく、エタノールに溶けにくい。
    融点:185~187℃
    水分:0.2%以下
    灰分:0.01%以下
    還元糖:0.05%以下
    ヒ素:2μg/g以下
    鉛:0.5μg/g以下
    重金属:5μg/g以下
    紫外可視吸収スペクトル:参照紫外可視吸収スペクトルと一致する1
    赤外吸収スペクトル:参照赤外吸収スペクトルと一致する2

    編集履歴

    2024/01/14, Mr.HARIKIRI

  • [Bio-Edu] 遺伝子治療医薬品の開発におけるウイルス・ベクターの製造方法 – VigeneのHandbookをもとに解説 [2020/12/22]

    [Bio-Edu] 遺伝子治療医薬品の開発におけるウイルス・ベクターの製造方法 – VigeneのHandbookをもとに解説 [2020/12/22]

    はじめに

    Vigene Biosciences社が提供しているHandbookから、遺伝子治療医薬品の開発におけるウイルス・ベクター (AAV, Adenovirus, and Lentivirus) の製造方法について概説する。

    PD: Process Development

    cGMP Cell & Gene Therapy (16 page) – Updated Edition 2020, Vigene –

    https://www.vigenebio.com/wp/wp-content/uploads/2020/11/GMP-Handbook-2020.pdf

    Vigene – the cGMP Viral Vector Experts

    Vigene manufacturing technologies and platforms

    Vigene manufacturing services

    候補(導入遺伝子)がない

    in vivoにおける候補の特性や試験が未実施の場合は、リサーチ・グレードのマテリアルを使用してください。

    候補がある

    候補の特性や試験について、必要なスクリーニングとアッセイが実施されている場合、引き続き、前臨床用としてリサーチ・グレード・マテリアルを使用してください。

    前臨床が完了していない

    前臨床試験が完了していない場合、安全性の確認としてリサーチ・グレードのマテリアルを使用してください。

    前臨床か完了している

    前臨床試験が完了しており、患者投与量と必要となるGMPマテリアルの試算が完了している場合、市臨床試験とコマーシャルへのマテリアルとして、GMPマテリアルを使用してください。

    開発プロセス

    1. Discovery
      • 候補の導入遺伝子の特性に関する基礎研究
    2. Preclinical
      • 動物試験による、安全性(safety)と認容性(tolerability)の確認
    3. Clinical
      • Phase I, II and IIIなどの臨床試験
    4. Commercial
      • 製品の承認と出荷可能
  • [抗体医薬] Regeneron社の抗NGF抗体 fasinumab 開発中止/NGF単独では開発は難しい [2023/12/11]

    [抗体医薬] Regeneron社の抗NGF抗体 fasinumab 開発中止/NGF単独では開発は難しい [2023/12/11]

    はじめに

    神経成長因子 (nerve growth factor ; NGF)を抗体で抑制することで変形性膝関節症の疼痛治療薬として開発が進められてきたリジェネロン社 (Regeneron)のファシヌマブ (fasinumab)が中止された.2016年当初,Regeneron社は,Teva社と共同開発を開始した.日本での開発にはMTPCが加わっていた(2017/8/17).

    NGF製品の終焉

    2020/8/18, Regeneronはfasinumabの第三相試験 (安全性,有効性)のデータを取得しているが,今後,fasinumabによる積極的な治療について独立モニタリング委員会からの勧告に従い中止すると発表した.また,長期安全性試験を継続し2021年に報告するとしていた.

    関節の状態が悪化する副作用が観られNSAIDsとの比較で有意な鎮痛効果はなかったとされた.競合するのはファイザー (Pfizer)のタネズマブ (tanezumab)EUとUSで販売申請までこぎつけたものの副作用問題により当局から却下された.

    2022/11/3, Regeneronはfasinumabの開発を中止した(*4, *5)

    雑感

    NGFのみをターゲットにした疼痛治療薬の開発は世界的にも少なくなったと考えられる(*4).

    その理由として考えられることは,NGFを抑制する抗体によるOA治験では,疼痛が無くなることで被験者の行動が活発化し逆に膝への負担が増えることで症状を悪化させてしまうものと推察できる.

    NGFは神経を再生させる生体内に備わった因子である.それを抑制することは,生体にとって合理的な事象ではないのではないと考えられる.

    アストラゼネカは,NGFとTNFの2つを抑制できる2価抗体の開発を進めている.TNFは炎症因子であることから,OA治療には炎症も同時に抑制する必要性が考えられているのかも知れない(*4).

    *1, Regeneron, Teva provide update on fasinumab clinical development programs, 2016/10/17

    Regeneron, Teva provide update on fasinumab clinical development programs | Reuters

    *2, Notice of the Start of a Japanese Phase 2/3 Clinical Study of the Anti-NGF Antibody MT-5547 in Osteoarthritis – Mitsubishi Tanabe Pharma, News Release, 2017/08/17

    e_MTPC170817.pdf (mt-pharma.co.jp)

    *3, Regeneron provides update on fasinumab program, 2020/08/18

    e5ebab0a-f9b3-461c-aeaf-47fcb4e00242 (regeneron.com)

    *4, And then there wore none: Regeneron cans last late-stage NGF drug – pharmaphorum – 2022/11/3, by Phil Taylor.

    And then there were none: Regeneron cans last late-stage NGF drug | pharmaphorum

    *5, Regeneron社がNGF阻害剤fasinumabの開発中止~猫アレルギー薬のPh3も中止 – biotoday –

    Regeneron社がNGF阻害剤fasinumabの開発中止~猫アレルギー薬のPh3も中止 (biotoday.com)

    編集履歴

    2023/12/08, Mr.HARIKIRI
    2023/12/11, 文言整備
    2024/01/03,文言整備

  • [医薬品] 医薬品開発に関係する職種MA/MSL, PV/PMS, Clinical/RA, QA/CMC

    [医薬品] 医薬品開発に関係する職種MA/MSL, PV/PMS, Clinical/RA, QA/CMC

    はじめに

    医薬品開発に関係する職種の仕事内容をまとめました.Lab研究から創薬,そして臨床開発し市販,その後という医薬品のライフサイクルがあります.先に,すなわち,下流に進むほど,その対応する職種の責任を大きくなってゆき報酬もそれに従います.以下にまとめた医薬品開発に関係する職種の順番は,最下流から上流への順番でリストしレジュメとしました.今回は,個人的にあまりファミリアでなかったMA/MSLについてまとめています.それ以外は,その内に...

    就職活動・再就職活動では有名な転職サイトの内容を引用しました.

    MA/MSL

    MA : Medical Afairs; メディカル・アフェアーズ

    1. MAの特徴
      • MSLを含む(以下に解説)
      • MAの機能は、DXを取り入れて進化し役割が多様化
      • エビデンス構築 (Evidence Generation): 臨床研究のプランニングからオペレーション、統計解析手法を駆使したデータベース研究
      • メディカル・エデュケーション (Medical Education) : 医師・医療従事者向けの学会イベントを通じた情報提供
      • メディカル・インフェメーション (Medical Information) : 顧客からの問い合わせに対応 (さらに、アンメッドニーズの収集・分析)
      • メディカル・ぱぶりケーション (Medical Publication) : 臨床研究の結果を文献化 (アカデミア出身者、臨床研究・MSL経験者)
    2. 背景
      • MAは、欧米で20〜30年の歴史がある。日本では15年ほど前から導入され始めた。
      • 日本の法律に合わせたローカライズが必要
      • エビデンス構築、データベース研究、メディカル教育の活性化が課題
      • R&D早期からMA活動と臨床開発の協働

    JAC Recruitment 〜【2023年下半期】メディカルアフェアーズ(MA/MSL他)の転職市場動向|ハイクラス転職のJACが徹底解説 〜

    https://www.jac-recruitment.jp/market/msl/

    MSL : Medical Science Liaison ; メディカル・サイエンス・リエゾン

    1. MSLの特徴
      • 専門的な知識、語学力、コミュニケーションスキル
      • 高度な医学・薬学・科学的知識 (広範囲の最新医学・製品情報を収集・精査し、医学・薬学・科学的観点を持ち)
      • 疾患や薬物治療また研究について学び
      • 製薬企業と臨床現場(Key Opinion Leader; KOL)へのアプローし中立的立場で信頼関係を構築、エリア担当あり。
      • 情報提供し自社製品や自社の価値を高める
      • 臨床研究や論文投稿の支援 (論文作成、学会発表)
      • MSLは、処方の誘導、自社製品フロモーションは禁止
      • 一方MRは、自社製品のプロモーションを行う
    2. 背景
      • 医療現場への訪問規制、2010年頃から外資系企業を中心に活発なMSL採用の増加、欧米では50年以上の歴史ある職種

    マイナビ薬剤師 〜 MSL(メディカル・サイエンス・リエゾン)とは?MRとの違いや仕事内容について紹介 (2022/07/19) 〜

    https://pharma.mynavi.jp/knowhow/workplace/msl/

    PV/PMS

    PV : Pharmacovigilance

    PMS : Post Marketing Surveillance

    Clinical/RA

    RA : Regulatory Affairs

    QA/CMC

    QA : Quality assurance

    CMC : Chemistry Manufacturing and Control

    編集履歴

    2023/11/24, MR.HARIKIRI (個人的にあまりファミリアでなかったMS/MSLについてレジュメとして公開)

  • [遺伝子治療] Casgevyという遺伝子編集型の遺伝子治療薬が世界で初めてイギリスで承認 [2023/11/17]

    [遺伝子治療] Casgevyという遺伝子編集型の遺伝子治療薬が世界で初めてイギリスで承認 [2023/11/17]

    世界で初めての遺伝子編集技術による治療薬

    遺伝子編集技術 (gene-editting tool)としてクリスパー(CRISPR)というツールが使用される.今回,イギリスのMHRAによって承認されたCagevy(TM)の価格は,100万ポンドを超えるものと考えられている.

    • 英国の医薬品・医療機器規制庁(MHRA)が、鎌状赤血球症(SCD; sickle-cell disease)と輸血依存性地中海貧血(TDT;transfusion-dependent β-thalassemia)を治療することを目指した世界初の遺伝子治療をCasgevyという名前で承認した.
    • SCDでは体の重度の痛みの改善,TDTでは輸血の回避が治療効果として評価されました.
    • この遺伝子治療は、患者の骨髄から幹細胞を採取し,クリスパーでDNAを切断して,欠陥 (faulty)のある遺伝子を無効化します。修正された細胞を体に戻すと,正常 (healty)なヘモグロビンの産生が始まります.
    • この治療法は一回性の個別化された治療法であり,製造や研究に高いコストがかかります。
    • 臨床結果では,少なくとも1年間は輸血が必要なくなりました.
    • 価格は,NHSが負担できる価格になるかどうかは不明ですが,100万ポンドを超えるものと推定される.
    • この遺伝子治療は、現在は臨床試験の段階にあり、英国ではまだ一般的に利用できるものではないが、将来的にはこれらの病気の根本的な治療法となる可能性がある.

    MHRA authorises world-first gene therapy that aims to cure sickle-cell disease and transfusion-dependent β-thalassemia

    Casgevy (exagamglogene autotemcel) is based on the innovative gene-editing tool CRISPR, which won its inventors the Nobel Prize in 2020

    MHRA authorises world-first gene therapy that aims to cure sickle-cell disease and transfusion-dependent β-thalassemia – GOV.UK (www.gov.uk)

    Casgevy: UK approves gene-editing drug for sickle cell

    Casgevy: UK approves gene-editing drug for sickle cell

    編集履歴

    2023/11/17,MR.HARIKIRI