カテゴリー: BIOLOGICS

  • [Bio-Edu] BiTE抗体 – 6 x His tagで精製を容易にする [2020/07/27]

    [Bio-Edu] BiTE抗体 – 6 x His tagで精製を容易にする [2020/07/27]

    BiTE抗体とは

    二重特異性抗体(BiTE)は、がん細胞と免疫細胞を引き合わせる。近寄った免疫細胞は、がん細胞を攻撃できるようになる。抗体は2つのそれぞれ異なる特異抗原と結合する「手」を持っている。

    ブリナツボマブ (Blinatumomab) by https://www.pmda.go.jp/drugs/2018/P20181015001/112292000_23000AMX00811_H100_1.pdf

    ヘムライブ

    血友病Aの血液凝固因子第VIIIの代替品となる「ヘムライブラ」も同技術による。ヘムライブラは、抗血液凝固第IXa/X因子ヒト化二重得意抗体モノクローナルである。

    BiTE抗体の基本原理は、1つの「手」に、がん細胞に特異的な表面抗原に対する「手」を、もう一方の「手」に、免疫細胞に特異的な表面抗原に対する「手」を持たせる。

    がん免疫療法に新たなアプローチ…二重特異性抗体でT細胞を誘導「ビーリンサイト」が発売, 2018

    https://answers.ten-navi.com/pharmanews/15289/

    歴史

    • BiTE抗体は、実用化は2014/12米国で始まった
    • 2018/11には日本でも上市された
    • Amgen、Sanofi、Rocheなど

    ブリナツボマブ – pmda –

    分子量54kDa, scFv型の二重特異抗体である。6xHis タグを持っている医薬品

    https://www.pmda.go.jp/drugs/2018/P20181015001/112292000_23000AMX00811_H100_1.pdf

    ブリナツボマブ (Blinatumomab) – KEGG –

    薬価 約28.6万円

    https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00067773
  • [Bio-Material] Planova 20Nは金コロイドによる完全性試験が必要だが、BioExでは必要ない

    [Bio-Material] Planova 20Nは金コロイドによる完全性試験が必要だが、BioExでは必要ない

    ウイルス除去フィルター

    もう約40年前、「ウイルスを除去できるフィルター」としてPlanovaは開発された。原理は、除菌フィルターのようにろ過すれば、ウイルスは、膜にトラップされ、ウイルスより小さい分子サイズの物質は膜を通り抜ける(パススルーする)。除ウイルスフィルターと言ってもいい。

    1980年代に本格的に開発が始まり、当時、製造工程でのウイルス除去を確実な技術で確保したかった血漿分画製剤会社と共同研究が行われていた。膜は、再生セルロース膜で、形状はASAHI KASEIが持っていた技術で容易に作ることができるフォローファイバーである。今でもそれは変わらない。

    Planova シリーズは、再生セルロースであり、強度がそれほど高くないため、ウイルス除去処理した膜が、その後の検査でも完全性を維持しているのかの確認として金庫ロイドを使った検査が必要となる。製造現場でのその検査の手間を省略でき、しかも、より高速で処理が可能となる、新しい除ウイルスフィルターが開発されている(BioEXシリーズ)。BioExシリーズについても世界のCMOにおいて実績が蓄積されている。

    競合品

    milliporeのTFF製品に使われている平膜を使った除ウイルスフィルターが競合品となる。圧倒的な処理時間の短縮が可能であるとのこと。ただし、世界での使用実績は、やはり、ASAHI KASEIのPlanovaである。

    Planova™ BioEX ウイルス除去フィルター

    編集履歴

    2020/07/27, Mr.Harikir
  • [Bio-Equip] iCELLis – Single-Use Fixed-Bed Bioreactor system – by PALL [2020/07/27]

    [Bio-Equip] iCELLis – Single-Use Fixed-Bed Bioreactor system – by PALL [2020/07/27]

    Bio-Equipment

    iCELLis

    吸着性の細胞を培養するシングル・ユース・システム。iCELLis 500+ bioreactor(500m2)では、1700cm2のローラーボトルの3,000個に相当する。

    製品ラインナップ

    • iCELLis Nano
    • iCELLis 500+

    PALL Botech

    iCELLis Single-Use Fixed-Bed Bioreactor Systems, USD3262a

    https://shop.pall.com/INTERSHOP/web/WFS/PALL-PALLUS-Site/en_US/-/USD/ViewProductAttachment-OpenFile?LocaleId=&DirectoryPath=pdfs%2FBiopharmaceuticals&FileName=18_07243_USD3262a_iCELLis_DS.pdf&UnitName=PALL
    編集情報
    2020/07/27 Mr.Harikiri
  • 気になる企業(だった) – New Brunswick Scientific (NBS)  [2020/07/26]

    気になる企業(だった) – New Brunswick Scientific (NBS) [2020/07/26]

    New Brunswick Scientific (NBS)

    NBSの培養装置(Fermentor)を日本に輸入してテストプラントを作り、そこであるリンフォカインを培養・精製していたプロジェクトに参加していたことがあります。もう、1980年代の大昔のことです。

    Pall and NBS jointly supply single-use bioreactors

    In the USA, filtration, separation and purification company Pall Corp and New Brunswick Scientific (NBS), an Eppendorf company, have announced that they have formed a joint product development and marketing agreement to create and supply disposable bioreactor systems.

    そのNBS社がどうなっているのか、調べてみると、2010の文書には、Pallと共同でシングルユースのバイオリアクターの供給に関して提携したとあリマした。現在(2019)ではどうなっさているかわからないが、もうすでになくなっているようです。バイオシェーカーのメーカーであるという情報もあることから、バイオシェーカーに特化したメーカーになっている可能性もあります。Bioreactorメーカーとして、この2010年の時点でまだ潰れずに残っていることは感慨深かったですが、現在はもうBioreactor製造メーカーとして存在していないことは、確かのようです。

    以上

  • [Bio-Edu] Good Manufacturing Practice (GMP) guidelines

    [Bio-Edu] Good Manufacturing Practice (GMP) guidelines

    EudraLex – Volume 4 – Annex-13

    EudraLex – Volume 4 – Good Manufacturing Practice (GMP) guidelines

    主な要求事項

    • Specifications / analytical method: 出発材料、原材料、パッケージング
    • 中間体、バルク、最終プロダクト
    • 製造方法
    • 許可ラベルのコピー
    • 臨床試験の認可とランダマイズに関する
    • Technical agreements by CMO
    • 安定性データ
    • 保管と輸送の条件

    IMPD

    医療機器の最近の請求事項を知るための教育ページ。FDA > CDRH (Center for Devices and Radiological Health)。規制の枠組み、費用、UDI(機器固有識別子-認識システム)、登録方法、市販許認可要件、市販後調査

    https://www.fda.gov/training-and-continuing-education/cdrh-learn

    Qualification of Development Tools for Medical Devices – Guidance for Industry (FDA, 2017)。510(k) : 市販前認可、IDE : Investigational Device Exemption; 治験用医療機器に関する適用免除

    https://www.fda.gov/medical-devices/science-and-research-medical-devices/medical-device-development-tools-mddt

    https://www.fda.gov/medical-devices/workshops-conferences-medical-devices/webinar-q-submission-program-medical-device-submissions-june-11-2019-0611

  • [Bio-Edu] mAbの不安定性について – タンパク質全般に当てはまる情報  [2020/07/31]

    [Bio-Edu] mAbの不安定性について – タンパク質全般に当てはまる情報 [2020/07/31]

    mAbの不安定性

    mAbの不安定性に関する論文をもとに、レジメとしてまとめた。関連する情報は,末尾の文献リストに記する.

    Physicochemical Stability of Monoclonal Antibodies: A Review, Published: August 26, 2019 – Journal of Pharmaceutical Sciences

    https://jpharmsci.org/article/S0022-3549(19)30506-4/fulltext

    IgG抗体の構造

    バイオ医薬品は、遺伝子組換え技術の発展とともに80年代以降劇的に拡大しました。モノクローナル抗体(mAb)は、ジスルフィド架橋で連結された4本の鎖(2本の軽鎖と2本の重鎖)で構成されるタンパク質です。

    • 軽鎖は、2つのドメインからなっている
    • 重鎖は、4つのドメインからなっている
    • 抗体の結合機能を有する腕 (Fab) は、軽鎖の2ドメインと重鎖の2ドメインで構成される
    • 直接抗原と接触して結合する領域5~10程度のアミノ酸を含む相補的決定領域 (CDR; complementarity-determining region)は、可変領域(Fv)と呼ばれ、軽鎖と重鎖のそれぞれに3つずつ(CDR1~CDR3)存在する。
    • 各ドメインは、SS結合により固い構造になっている
    • 重鎖は、Hinge regionでCDR側とFc側に分かれている
    • Hinge Regionは、重鎖同士をSS結合している
    https://jpharmsci.org/article/S0022-3549(19)30506-4/fulltext

    抗体の種類

    アイソタイプ

    • IgG : 抗体医薬に用いられる
      • IgG1: 一般的な抗体医薬
      • IgG2
      • IgG3
      • IgG4: ADCC活性が低い
    • IgA : 粘液関連
    • IgM : 初期反応
    • IgE : アレルギー関連
    • IgD : 高IgD血漿

    サブタイプ

    アイソタイプは、Hinge RegionのSS結合の数などで分類される。

    翻訳後修飾の違い

    抗体の生産細胞株は、一品物です。低分子医薬品でいうジェネリックというものは、バイオ医薬品にないのはそのためです。代わりに「バイオシミラー」と呼ばれるものがあります。遺伝子配列上で同じで合っても、作り直されたバイオ医薬品は、生産細胞株の違いから、翻訳後修飾に違い(例えばグルコシル化の違い)が生じます。

    バイオシミラーの類似性

    • 構造 structure
    • 生物活性 biological activity
    • 有効性 efficacy
    • 安全性 safety
    • 免疫原性プロファイル immunogenicity profile

    バイオシミラーの承認要件

    • 分析 (物理科学的および生物学的)
    • 臨床 (薬物動態、pharmacodynamics)
    • 安全性 safety
    • 効力 potency

    不安定化の局面

    • 容器の移し替え
    • 凍結
    • 静脈投与時の輸液による希釈と投与ラインへの接触

    原因

    安定性に影響する要因(input factor)が、以下のように考えられます。

    • タンパク質の構造(物性)
    • 濃度
    • 界面
    • 光暴露
    • 賦形剤と不純物
    • 攪拌

    結果

    Input factorによって影響を受けたmAbへの変化は、Output factorとして以下のような項目が考えられます。

    • 凝集
    • 断片化 (ペプチド、糖鎖)
    • 構造変化(1次、2次、3次など)

    不安定化のメカニズム

    • 化学的
      • 等電pH; 等電点(pI)の変化
      • CDRへの影響 : 結合活性
      • Fcへの影響 : FcRn結合性
      • SS結合の形成を含む酸化
        • 酸化剤 (過酸化物、光、金属)の有無
      • 酸化
        • 酸化またはコハク酸イミドの形成による全体的な正電荷の増加 (pI増加)
        • mAb血中半減期の減少、皮下バイオアベイラビリティの変化
        • 2つのさんがされた遊離残基の間に発生したするシステイン酸化の結果
        • チオレートアニオン中間体を伴う
        • 酸化されやすいアミノ酸残基
          • メチオニン
            • 二次構造の不安定化による凝集の可能性
          • ヒスチジン
          • システイン
      • 脱アミド (酸塩基反応)
        • 全体的な負電荷の増加(pIの減少)→クリアランス増加
        • プロトンドナー(スレオニン、セリン)による促進
        • 環状ペプチド中間体の形成 → ポリペプチド構造に歪み
        • 影響を受けるアミノ酸
          • アスパラギン
            • スクシンイミド中間体は、アスパラギン酸/イソアスパラギン酸を自発的加水分解する
          • グルタミン酸
      • 断片化
        • 発生する箇所
          • ジスルフィド結合
            • ワンアーム
            • 遊離軽鎖
          • ペプチド結合
            • (非)酵素的分解
            • Hinge region (パパイン消化部位)
            • アスパラギン/アスパラギン酸
              • スクシンイミド中間体を介した自然加水分解の影響を受けやすい(高温の場合)
      • 糖化
        • メイラード反応
          • メイラード反応とは: 還元糖とアミノ化合物を一緒に加熱し褐色物質(メラノイジン)を生じる反応.褐変反応ともいう.アミノ化合物とは,アミノ酸,ペプチド,タンパク質.(source by wikipedia).
          • アマドリ転移で安定かしたケトアミン形成→構造・機能に影響
          • シッフ塩基形成→還元糖とタンパク質が結合
          • 現在、非還元糖の添加で予防
            • 但し、非還元糖の分解により還元糖が生じる
    • 物理的
      • アンフォールディング
        • 高次構造の喪失
        • 化学的条件下による誘発
        • Hingeの柔軟性の低下、凝集促進
      • 凝集体
        • 一次構造は変化しない
        • 弱い非得意的結合
          • ファンデンワールス相互作用
          • 水素結合
          • 疎水結合
          • 静電相互作用
        • 共有結合凝集体
          • SS結合を含む
        • 不可逆的凝集
          • Lumry-Eyringモデル
          • 内山モデル
        • 免疫原性
          • 抗体の中和による活性低下
          • 内因性との交差反応によるIgEを介した過敏症、アナフィラキシー
          • 因子
            • 凝集体サイズ
              • 10μm : 非経口製剤, 第8版 欧州薬局方。巻。8.4。2015年:5013 -5015https://www.edqm.eu
              • 25μm : 粒子汚染-目に見えない粒子。で:第8版 欧州薬局方。巻。8.0。2011:342-344https://www.edqm.eu
            • グリコシル化の程度
            • 不純物
          • B細胞受容体とのクロスリンク
            • Tヘルパー細胞依存性: 抗原提示
            • Tヘルパー細胞非依存性: サイトカイン活性化
    • タンパク質構造
      • CDRの低いpI
        • 可溶性凝集隊の形成を促進
      • CDRの高いpI
        • 特に負に帯電した表面と接触している場合、不溶性凝集体の形成
      • IgG1, IgG2, IgG4のLow pH 処理(pH3.3)後、中性に戻す
        • IgG1は、monomerのまま
        • IgG2, IgG4は、2段階のオリゴマー化プロセスを経て、IgG4では、凝集に至った(59)
          • Hingeの柔軟性の増加に関わっている
          • Fc領域のアンフォールディングがトリガー
        • 結論
          • 凝集しにくい : IgG1 < IgG2 < IgG4 : 凝集しやすい
          • タンパク質のフォールディングが、完全に折り畳まれているnative状態から完全なunfolding状態がある時、中間の状態である部分的な折り畳み状態では、凝集しやすい(24, 47)
    • タンパク質濃度と自己会合
      • タンパク質濃度の低下は、弱く結合した凝集体の乖離につながる
      • 一般的に高い濃度は、凝集につながるとされるが、高い濃度による粘度の増加により凝集を促進させた結果や逆に凝集率を低下させる結果などの報告がある
      • 賦形剤とmAbの比率を変更せずに希釈していくと、賦形剤濃度が低下することで、電解組成を低下させてしまうことで安定性の低下を招く可能性がある(17)
      • イオン強度は、粘土に影響し自己会合に影響する
      • タンパク質の等電点(pI)付近では、電荷が減少することで反発する静電相互作用が減少する。これにより、粘度がが最大になる可能性がある
      • 自己会合ポテンシャルは、浸透第二ビリアル係数(非理想解の尺度)と拡散相互作用パラメータ(分子間相互作用の定量化、浸透第二ビリアル係数の成分)によって予測できる
        • dynamic Light Scattering (DLS)
        • self-interaction chromatography
        • 浸透第二ビリアル係数が強い負の場合、多量体を形成する可能性が高い : 溶質分子間の正味の引力/反発力を示すため(71)
        • ゼータ電位は、表面電荷(静電相互作用、ファンデルワールス)の良い指標
    • 温度
      • 固有のTm (平衡融解温度)
        • 立体構造の破壊は、Tmよりはるかに低い温度から始まる。なぜなら、Tmは、50%ののタンパク質の立体構造が壊れた温度を示すため
        • 一般的に、40℃から80℃
        • 一般的バイオ医薬品の保存温度は、2~8℃あるが,一部のバイオ医薬品,例えばmRNAワクチンなどは,薬効優先戦略を取り剤形をナノパーティクルとしたため,超低温での保存でしか安定性を確保できない薬剤もある.
      • 高温
        • 不可逆的立体構造の破壊
        • 脱アミド(アスパラギン,グルタミンのアミドを含む側鎖の分解 by source)
        • 酸化 (一般的には,アミノ酸であるメチオニンの酸化を意味する)
      • 低温
        • 緩衝液のpHの変化
        • 低温濃縮
        • 界面の形成(水/氷) → 凝集体が生じやすい
        • コロイドとタンパク質の立体配座の安定性の違い
        • 凍結融解の回数増加によりmonomer SEC peakの減少(76)
        • 加熱・冷却の到達温度までの速度
        • mAbは、他のタンパク質に比べて短期の温度変化に強い
    • タンターフェース(吸着)
      • タンパク質表面の電荷、疎水性に関係する
      • 一次包装である比較的不活性なType I ガラス容器でも、比較的大量のタンパク質を吸着できる
        • 静電相互作用による
        • 二次構造の変化はない
      • ポリ塩化ピニル(PVC)またはポリオレフィンIVバッグ保管
        • 1mg/mL IgG4, 1~6時間保存で25%減少し、目に見えない粒子の増加
        • PS20を添加すると改善する(ただし、PS20は、可塑剤の溶出を増やす)
      • Fabとポリスチレン(PS)
        • PS表面に単層のタンパク質層が形成
      • 空気
        • 空気は、水分と比較して相対的に疎水性である
        • 水と空気との海面で吸着して層を形成する可能性がある(83)
      • IVバッグからベッドスペースを無くす
        • PSの有無に関わりなく攪拌で誘導される凝集体形成が減少する
      • シリコンオイル
        • 潤滑剤として使用
        • タンパク質のシリコン油層への吸着→粘弾性ゲル層形成(タンパク質濃度依存)
        • 粘弾性ゲルの破壊は、凝集体の拡散となる
        • 攪拌、最適でないpHで増強
        • 界面活性剤の添加で抑制
        • 適切な量が望まれる
      • 0.01mg/mL in 0.9% NaCl を PES膜によるろ過
        • PESおよびポリアミドは正に帯電してお、mAbが吸着した
        • 5% Glucoseを展開すると吸着減少
      • 不動態化(surface passivation, 表面コーティング)
        • 単相コーティング
        • 多層コーティング
        • 水素結合供与体が少なく、水素結合受容体が多いポリマーを使用すると吸着が少なくなる
      • 光酸化
      • 酸素化ラジカル
      • 光分解
      • 精製過程での検出器による光
      • 環境下の光
        • 液体より凍結乾燥体の方が弱い(108)
      • 芳香属アミノ酸は光に敏感
        • トリプトファン(UV光に弱い)
      • 100mg/mL IgGと8000Lxの白色光, ICH Q1B(30~78h, 推奨事項132万Lx) → 褐色
        • 純度低下
        • monomer低下
        • アミノ酸の酸化
        • 活性の低下
        • 暴露総量に依存する(112)
        • 製材組成も影響を受ける
          • PSの自動酸化
          • 光酸化ヒスチジンは、ヒスチジンと架橋
    • 賦形剤
      • pHは、タンパク質のタイプ(正/負)と総電荷により決定
      • 高いpHは、脱アミド、酸化を促進する可能性があり、重合化の可能性がある
      • pH5-6では、断片化を抑制するが、
      • 更に低いpHは、切断、異性化を引き起こす可能性
        • Aspの断片化は、<pH5で発生
      • 塩はタンパク質に結合(電荷シールド)することで、粘度低下を起こし、コロイド安定性を改善する可能性がある。同時に、タンパク質濃度が高いと短距離疎水性相互作用を起こすため溶解度の低下の可能性がある(塩析効果)
      • ベンジルアルコール (benzyl alcohol)は、凝集促進する
      • 界面活性剤で最も凝集に保護的な物(科学的シャペロン)は、polysorbate (PS) 80 (PS80)、polysorbate 20 (PS20)と比較してしても構造安定性への影響が少ない
      • PS20のミセル濃度と凝集抑制を検討した研究では、ミセル濃度に関係なく、シリコンによる凝集を抑制したことから、臨界ミセル濃度とは関係なく、タンパク質相互作用を阻害するとされる
      • 界面活性剤は、折り畳まれていないタンパク質に優先的に結合することで、天然の状態のタンパク質の安定性へ影響する可能性がある(47)
      • 1% w/v PS80は、強い光の暴露で劣化し自動酸化による過酸化物の量(メチオニン、トリプトファンの酸化)の増加が見られたという結果がある
      • エデト酸2ナトリウム(edetate disodium)は,カルシウムのキレートにより,汚染の可能性のある宿主細胞由来リパーゼによるPSの加水分解を阻害する
      • PS自体からの遊離脂肪酸粒子の形成の可能性
      • PSは、Fc領域に優先的に結合する
      • 界面活性剤に似たシクロデキストリンは、毒性が少なく、過酸化物の生成がなく、タンパク質への影響がないためPSの代替物になり得る。10mM ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンは、凝集体を抑制したとする
      • 糖とポリオール
        • 熱力学的安定性の向上(143)
        • 凍結乾燥品での安定性(144)
        • スクロースが使用されるが、グルコースとフルクトースに加水分解される可能性(低pH)があ理、糖化の可能性がある
        • ヒトでの使用登録に無い物
          • トレハロースなどの非還元糖は、メイラード反応しない
          • メリビオースを含むリツキシマブ製剤がある
        • マンニトールは、結晶化の可能性があり、使いづらい
      • アミノ酸
        • アルギニン : 酢酸塩、グルタミン酸アルギニン塩は、IgG1に安定的であったが、塩化物、硫酸ナトリウムアルギニン塩では、安定性は低下してした
        • ヒスチジン : mAb製剤の緩衝液としてよく使用される
        • プロリン : 環状アミノ酸であり、タンパク質の芳香族残基と疎水性領域に結合することでmAbの可溶性を高める
        • グリシン : マンニトールに似て凍結乾燥製剤でアモルファイ状態のままであると凝集を抑制する
        • メチオニン : 光分解から保護する可能性がある
      • 金属イオン
        • 断片化とフリーラジカルを生じる (銅)
        • 断片の影響がなかった金属
          • 亜鉛、マグネシウム、、ニッケル、コバルト、マンガン
        • バッファ種によて影響が異なる
        • タングステン : アンフォールディング、凝集
        • 対策は、キレート剤

    以上

    まとめ

    抗体医薬は最も研究が進んだバイオ医薬品であり,タンパク質医薬品として沢山の研究がなされており,タンパク質であるその他のバイオ医薬品のための開発に欠かせない有用な情報原である.

    編集履歴

    2020/07/26 Mr. Harikiri
    2022/10/23 文言整備,追記 : メイラード反応および関連文献

    参考文献

    メイラード反応による免疫原性の向上に関する文献

    メイラード反応による食物アレルゲンの糖化は、そのT細胞免疫原性を高めます:マクロファージスカベンジャー受容体クラスAタイプIおよびIIの役割 – The Journal of allergy and climical immunology 2010Jan01 Vol. 125 issue(1) –

    [概要]
    オブアルブミン(OVA)とグルコースをメイラード反応させたAGE-OVAは,CD4(+) T細胞の活性を増強させた

    https://bibgraph.hpcr.jp/abst/pubmed/19864011?click_by=p_ref

    メイラード反応による免疫原性の低下に関する文献

    メイラード反応により糖鎖修飾したソバ全タンパク質が脾臓細胞の免疫応答に及ぼす影響

    [概要]
    Fag e 1にグルコマンナンやキシログルガン等の多糖鎖を付加するとソバアレルギー患者血清中のIgE抗体にたいする反応性が顕著に低下する

    [keyword]
    データベースに登録されているソバアレルゲン名: Fag e 1~

    chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjfcs/23/2/23_90/_pdf

    メイラード反応における反応は主にリジン

    加工処理中に起こるメイラード反応がエビ・カニ筋肉の消化性とアレルゲン性に及ぼす影響 – 北海道大学・大学院水産化学研究部 –

    [概要]
    メイラード反応条件(60℃,相対湿度35% or 65%)

    chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.sapporoholdings.jp/foundation/record/list/2017/pdf/list_2017_04.pdf

    特異的IgE(CAP-アレルゲン)のAllergen種類

    ビール酵母

    http://uwb01.bml.co.jp/kensa/search/detail/3810128
  • [Bio-Edu] マイコプラズマ(レジメ) [2020/07/24]

    [Bio-Edu] マイコプラズマ(レジメ) [2020/07/24]

    マイコプラズマ(ヒト)

    • Source
    • 自然界では、真核生物(主に脊椎動物)の細胞に付着して寄生、一部で細胞内に侵入するものもある
    • ゲノムサイズ : 550kb ~ 1,400kb
    • サイズ : 200 ~ 300 nm (0.2μm ~ 0.3μm)だが、0.22μm除菌フィルターを通過(漏れる)する
    • 顕微鏡で確認することは難しい
    • コンタミネーションの確認は、PCR、EIA、核染色法(Hoechst Stain Method)やマイコプラズマが持つ酵素を測定する方法(マイコアラート法; MycoAlert Mycoplasma Detection Kit, Lonza社)
    • 細胞壁は欠損
    • TCA回路、脂質合成系、アミノ酸合成系を欠損
    • 合成培地で培養増殖できないので、
      • 添加剤が必要
        • ステロール
        • アミノ酸
        • 脂質
        • 核酸
        • 成長因子

    マイコプラズマ肺炎 (ヒト)

    • source
    • 肺炎の10% ~ 20%はマイコプラズマ・ニューモニアエ由来と言われている
    • 感染経路 : 唾液の接触による
    • 乾燥咳
    • 潜伏期間 : 2~3週間
    • 治療薬
      • マクロライド系の抗菌薬
      • マクロライド耐性マイコプラズマ肺炎
        • ニューキノロン系
        • テトラサイクリン系
        • テトラサイクリン系抗菌薬
          • 小児の歯の着色
          • 骨の形成への影響
    • 治療期間は、軽症の場合1週間
    • 重症例の場合は1カ月以上の入院治療

    その他参考文献

    牛マイコプラズマ乳房炎 (2015)

    hokkaido-juishikai.jp/wp/wp-content/uploads/2015/03/1503-01.pdf

    以上

    編集情報
    ID 15551
    2020/07/24 Mr.はりきり
  • [Vc] Moderna – COVID-19 ワクチン臨床(Phase 3の中間結果は94.5%の有効性を示した – ID19527 [2020/11/16]

    [Vc] Moderna – COVID-19 ワクチン臨床(Phase 3の中間結果は94.5%の有効性を示した – ID19527 [2020/11/16]

    ID19527

    ワクチンの臨床結果による有効性の比較

    世界の製薬企業であるPfizer, ModernaおよびAstrazenecaの臨床試験の成績の比較は、以下のをご参考にしてください。

    Moderna社のCOVID-19/Phase I Preliminary Report

    COVID-19ワクチン

    Modernaが開発しているmRNAを用いたCOVID-19ワクチンの臨床結果について途中結果が出ています。

    • 2021/05/23, インド変異株(デルタ株)に対する有効性について、1摂取では、AstrazenecaとPfizerとも33%, 2回摂取でAstrazenecaは60%, Pfizerは88%であると、イングランド公衆衛生庁(PHE)が発表, BBC News(ファイザー製とアストラゼネカ製ワクチン、2回接種でインド型変異株に有効=英研究, 2021/05/23))
    • 2020/12/17, mRNA-1273の臨床結果の詳細 : 3つの年齢層にわたる4つの用量レベルのmRNA-1273の安全性と免疫原性を評価、有効性の評価では94.1% (Vaccine Efficacy)と評価された。
      • Study 101
        • デザイン : 非盲検の進行中の第1相用量設定試
        • 結果 : フェーズ2およびフェーズ3の研究で使用される100μgの用量の推奨容量を得た
      • Study 201
        • デザイン : ランダム化プラセボ対照の安全性および免疫原性試験
        • 結果 : 大規模な第3相試験である試験301の開始をサポートする追加の安全性データを取得
      • Study 301
        • デザイン: 30,000人以上で、有効性、安全性、および免疫原性評価、ランダム化プラセボ対照試験

    MRNA-1273 SPONSOR BRIEFING DOCUMENT VACCINES AND RELATED BIOLOGICAL
    – MEETING DATE: 17 DECEMBER 2020 AVAILABLE FOR PUBLIC RELEASE –

    https://www.fda.gov/media/144452/download

    • 2020/11/16, Phase 3(30,000人以上を予定)の中間結果(95人に実薬投与、90人プラセボ)、94.5%の有効性が示された。2020年末までに、2,000万回分の提供を予定している source

    HomePage

    An mRNA Vaccine against SARS-CoV-2 — Preliminary Report

    https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2022483

    • 2020/07/14
    • ワクチン : mRNA-1273 (S-2P antigen encoded), as SARS-CoV-2 spike protein encoded
    • 投与 : 0.5mL (deltoid muscle), days 1 and 29
    • Phase 1 : 45人、18 ~ 55 years of age, 28 days
    • 評価: Anti-S-2P antibody geometric mean titer(GMT) ELISA
      • 以下の29日と57日のデータから投与量が多いほど、抗体価が上昇しているのがわかる
      • 29 Days
        • 25μg: 40,227
        • 100μg: 109,209
        • 250μg: 213,526
      • 57 Days
        • 25μg: 299,751
        • 100μg: 782,719
        • 250μg: 1,192,154
    Good agreement was noted within and between the values from binding assays for S-2P and receptor-binding domain and neutralizing activity measured by PsVNA and PRNT

    Safty

    • 有害事象が低い確率
      • Fever (発熱)
      • Arthralgia (関節痛)
      • Nausea (吐き気)
      • Chills (悪寒)
      • Size of erythema or redness (紅斑または発赤)
      • Size of induration or welling (
    • 有害事情が中程度の確率
      • Fatigue (倦怠感)
      • Headche (頭痛)
      • Myalgia (筋肉痛)
    • 有害事象が高い確率
      • Any systemic symptom (全身症状)
      • Any local symptom (局所症状)
      • Pain (痛み)
    編集履歴
    2020/07/24 はりきり(Mr) Phase Iについて
    2020/11/16 追記 (Phase 3中間報告で94.5%の有効性)
  • [Bio-Edu] 自然免疫と獲得免疫 (レジメ)

    [Bio-Edu] 自然免疫と獲得免疫 (レジメ)

    自然免疫と獲得免疫

    病原体に対する生体防御は、自然免疫と獲得免疫という免疫システム分類です。

    • 自然免疫
      • 網羅的
    • 獲得免疫
      • 特異的

    細菌に対する免疫

    自然免疫

    • 粘膜上皮細胞
    • リゾチーム
    • 補体
    • 好中球
    • マクロファージ

    獲得免疫

    • T細胞
    • B細胞
    • 抗体によるオプソニン化と細胞貪食
    • Th1活性化による細胞性免疫

    ウイルスに対する免疫

    自然免疫

    • 粘膜上皮細胞
    • インターフェロン (α、β)
    • NK細胞 (Natural Killer cell) stimulated by interferon
      • 感染細胞の破壊
      • インターフェロンγ産生
      • マクロファージ、樹状細胞の活性化
    • マクロファージ、樹状細胞による貪食
      • 貪食による抗原性の確認
      • 獲得免疫につなげる

    獲得免疫

    • T細胞
    • B細胞
    • 中和抗体 (IgG, IgA)
    • キラーT細胞

    獲得免疫の主体

    液性免疫

    • 細菌
      • 毒素産生菌 (ナイセリア属)
        • 抗体 (IgG, IgM) (+ 補体) → 毒素の中和、溶菌
      • 細胞外寄生細菌 (グラム陽性菌)
        • 抗体 (IgGによるオプソニン化) + 食細胞(好中球など) → 貪食(どんしょく)
      • 蠕虫 (線虫、吸虫などの多細胞)
        • IgE + 好酸球 → 好中球の脱顆粒(抑制物質)
    • ウイルス
      • ポリオウイルス
        • 抗体 (IgG, IgA) → 中和反応
      • ヘルペスウイルス
        • 抗体 + NK細胞 → ADCC

    細胞性免疫

    • 細菌・原虫・真菌
      • 細胞内寄生病原体
        • Th1(感作リンパ球)のサイトカイン放出 → IL2, IFNγ) → 活性化マクロファージ(貪食: 活性酸素、リゾチーム、塩基性タンパク質、脂肪酸)
      • ヘルペスウイルス、ボックスウイルス
        • キラーT細胞(Tc)活性化 (抗原認識)→ Tcによる感染細胞の排除

    参考サイト:

    学術情報〜感染症に対す生体防御〜、vaxxinova (ワクチノーバ株式会社)

    【出典】
    動物用ワクチン-その理論と実践-
    動物用ワクチン・バイオ医薬品研究会編
    P15、P16、P18

    http://www.vaxxinova.co.jp/academic_info/immunology_001/
    編集情報
    2020/07/18 Mr.はりきり
  • [用語] VLP; ウイルス様粒子

    [用語] VLP; ウイルス様粒子

    VLP

    VLP; Virus Like Particle; ウイルス用粒子。ウイルスの殻であるカプシドタンパク質は、それをコードする遺伝子を宿主細胞に組込んで生産させると、生産されたカプシドタンパク質は、自然にウイルス粒子に構成される。これを利用して、感染性の無いウイルス粒子を作りワクチンを開発することができる。Source(日経)