安価にカラム精製を行う
Mr.HARIKIRIからお届けするPD-10 Emptyカラムのスペシャルな使い方を紹介します。
僕が行うタンパク質精製の検討では、PD-10カラムを必ず使います.Empty columnが無い場合,プレ充填されているPD-10の中身を抜きます.
短時間でカラム検討を行うために,レジンの充填容量は0.5mL (多くて1mL)にします。吸着と洗浄および溶出の条件を決定するためです.
大学やもしかすると高校でもできるシンプルな実験設備で可能です.カラムには送液ポンプなどは必要ありません.自然落下の速度で実験を行えます.通常設定されるはずのカラムへのポンプ流速での線速より5倍程度高速になりますが、迅速検討としては、問題ありません.
PD-10 Empty Column
PD-10製品には,Emptyとプレ充填品がありますが,プレ充填品は,タンパク質の脱塩に用います.Empty品も同様のレジンをマニュアルで充填すれば,同様に脱塩に使用可能です.僕の場合は,色々なレジンを充填してタンパク質の精製検討に使用します.それは,前述したように,Rapid Purification Methodです.流速は高速です.少量のサンプルでOKです.
用途
- プレ充填のPD-10は,一般使用では,精製したタンパク質やラベル標識タンパク質、例えばAlexa標識物のバッファー交換(脱塩)に使用します.
- はりきりメソッドでは,中身のResinを抜いて、所望するresinを手詰めで充填(0.5mL)しオープンカラムと呼ぶ精製用カラムを作るために使用します.
PD-10, GE Healthcare
https://www.gelifesciences.co.jp/catalog/0062.html
レジンの充填
- からのPD-10カラムを準備する
- 上下のフィルターの内,ボトムのみ装着する
- 適量の水をPD-10カラムのトップから投入して,ボトムフィルターを浸潤させる
- PD-10カラムのボトムにキャップを取り付ける
- 改めて0.5mLの水を投入してそのカラム側面から見て水面の位置に印をつける
- 容積比率50%のレジンの懸濁液を準備する
- 水分を取り除いてから、ピペットでレジン懸濁液の1mLを取り,PD-10カラムに投入する
- トップフィルターをPD-10カラムのトップに装着する
- 直径8mmの適当な試験管(例えばマルエムチューブSS-14)のトップを装着したトップティルターに押し当てて,そのまま押し込んでゆき,レジンをパッキングする.
- 50%レジン懸濁液が正確に調製できていれば,0.5mLの時のカラム高となっており,全操作で付けた印の位置にレジンが充填されている.
- 以上で,所望のレジンが充填されたスペシャルPD-10カラムの作成が完了する.
- カラムは,レジンに対して適切な保存剤で冷蔵保存して,検討実験まで保管する.
- 僕の場合は,3M NaCl溶液をPD-10カラムが受けれる容量いっぱいを投入し,自然落下させて,カラムの側面から残り2mL程度になったときに,トップキャップを取り付けて密閉し,最後にボトムキャップを取り付け保管するようにしている.
- スペシャルPD-10カラムを使用する前には,僕の場合,どんなレジンでも,6M 塩酸グアニジン水溶液の6カラムボリューム(6CV)で洗浄し,その後,6CVの10mM NaOHで洗浄します.その後,平衡化バッファの適量で平衡化します.あとは,実験のカラム手順に従って精製条件検討を実施します.
- 精製条件検討については,以下の方法に従います.
- ロードサンプルをロードします.自然落下でロードしていきます.カラムのボトムから出で来るポストロードされたサンプルは,3mL~15mLの遠心管などで分取回収します.
- 洗浄・溶出するための準備したバッファは,6CVでそれぞれ投入して,同よょうに遠心管にて分取回収します.
- 得られたサンプルは分析に供与します.
- 分析は,一般的には,SDS-PAGE分析,A280や260のUV測定,ELISAなどによる特異的分析などがあります.当然,目的のタンパク質に対する特異的な測定方法の確立がなされている必要があります.
- まずは,SDS-PAGEによる全タンパク質と目的タンパク質の純度について分岐せすることが可能です.目的タンパク質の特異的分析方法により定量化することも必要です.
編集履歴
2020/02/04, Mr. Harikiri
2022/10/02,追記:レジンの詰め替え方法とスペシャルPD-10カラム,スペシャルPD-10カラムを用いたタンパク質の精製検討方法.
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