[Bio-Edu] タンパク質の沈殿化法の原理 [2022/12/20]

有機溶剤

古くからDNA/RNAの沈殿材として用いられてきた。タンパク質への応用はアルコールによる血漿タンパク質の沈殿法から始まっている。

原理は、水溶液の伝導率を低下させ、タンパク質間の静電反発力を強める結果、溶解度が減少するといわれるが、それだけではなく、有機分子とタンパク質の相互作用についても考慮する必要がある。

エタノールとジオキサンの検討では、アミノ酸やペプチドの有機溶剤に対する溶解度を調べた論文では、疎水性側鎖を安定化させ、親水性の側鎖やペプチド結合を不安定化させることがわかっている。

還元Albの検討では、エタノールは、タンパク質の疎水性部分と相互作用し変性させながら溶解度を上げるが、荷電残基の影響によりタンパク質の溶解度は低下した。

ハロゲン系アルコールの検討では、50%トリプルオロエタノール中では、主鎖の間にできる水素結合が弱められる結果、αベリックス構造に富んだ構造に変性するが、溶解度は高くなり、最終的には、透明なゲルになる。

エタノール中でのタンパク質の凝集の制御は、わずかなpHシフトにより可能である。凝集を防ぐにはpHをpIから外すことである。

①構造変化を伴う疎水性の変化

②溶液の伝導率の低下

③相互の非極性領域の相互作用

④相互の荷電残基の相互反発

高分子

高分子の中でもPEGは無毒であり、よく使用され、無荷電である。PEGは、タンパク質の選択的水和を促す。

芳香属アミノ酸では、その溶解度は増加する。高分子が存在すると、タンパク質が存在できる空間が狭くなる。これを排除体積効果という。

PEGは、以下の2つの作用を有する。

① 排除体積効果によるタンパク質の安定化と凝集

②弱い変性作用(疎水性アミノ酸に結合)によるタンパク質の不安定化と溶解促進

また、高分子は、タンパク質のFoldingにも影響し、高濃度のPEGや多糖では、変性状態を不安定化させるので、ネイティブ構造が安定化し、Folding速度が増加する。

参考

逆に沈殿化させない方法の原理や応用は,以下の記事にも解説している.

[Bio-Edu] 沈殿化法によるタンパク質の回収・分離 – 検討方法 – ID4376 [2025/04/21] – MR.HARIKIRI-INSIGHT

編集履歴

2020/11/02 追記 : はじめに
2021/05/21 文言整備
2021/06/01,追記(「はじめに」の説明を更に補充)
2022/09/04,文言整備(課題として「取扱いとして液状での操作が悪いこと」を削除,遠心機は自動連続遠心機などの機種が開発されてきたことから,遠心機の取り扱い上の課題は低くなっていること,を追記)
2022/11/24,文言整備
2022/12/20,追記(カオトロープ,コスモとロープの英単語)
2025/04/21,追記(参考記事)

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