中耳炎による難聴
慢性中耳炎の一つである真珠腫性中耳炎では、耳の骨が溶けて難聴・めまいを発症する。
大阪大学では、真珠腫性中耳炎の患者から手術で得た患部組織の遺伝子解析を実施しその原因を特定した。解析の結果、アクチビンA (Activin A)というタンパク質が過剰に作られていることが分かった。
骨の破壊を誘導するアクチビンAは、今回、初めて同定した新しい「病原性線維芽細胞」からも産生される。アクチビンAは、古くなった骨を壊すことに関わっているタンパク質として知られており、破骨細胞を刺激して骨を溶かすように刺激する。真珠腫性中耳炎は手術でしか治療法がなかったが、治療薬の開発に繋げたいとのこと。
真珠性中耳炎の機序
マクロファージや破骨細胞は、体の新陳代謝には欠かせません。しかし、パランスを崩すと病的な状態を生じます。耳の骨が破壊される機序について、今回の結果から、次のように進むと考えられます。
マクロファージ (分泌: IL1-β、PGE2、TNF-α) → 炎症性サイトカインを分泌 → 病的繊維芽細胞 (分泌: RANKL、Activin A過剰産生) → Acitivin A → 破骨細胞の過剰な活性化 → 耳の骨(破壊)
中耳真珠腫で骨破壊を促す線維芽細胞を発見(石井優 G が Nat Commun. に掲載)— 石井 優、大阪大学 —
http://www.ifrec.osaka-u.ac.jp/jpn/research/20230804-0900.htm
編集履歴
2023/08/18, Mr. Harikiri