僕は、
「愚者は経験から学ぶ」ことを繰り返しながら長らく生きてきました。
COVID-19で入院する患者さん、特に重症の方のことを慮る(おもんばかる)。体はしんどくて、呼吸は息苦しくて、いつまで続くのか?この苦しさ、と。
ICU (集中治療室)では、今が朝なのか昼なのか夜中なのか、全く分からない。僕の場合は、看護婦さんに朦朧(もうろう)としながら、いちも時間を聞いていた。重症患者さんに対して医療スタップは、24時間体制で、それぞれの患者さんの治療活動を行なっているため電灯は基本的、ONでした。
もう何年前になるだろうか。僕がバイクで事故したのは。1991年。
ICUには、2週間程度いたと思う。もう30年も前のことで細かいことは忘れてしまっているが、思い出しながら、以下に記録しましょう。
僕は運が良かった。運ばれたのは、救命救急センターという、今では、そのような専門とする組織の呼び名は無くなった。
事故では、突然に身体が拘束される。僕は、内臓破裂であったため、食事など、1ヶ月後になることも知らずに過ごしていた。
翌日なのか数日経ったのかは分からないが、面会に来た (というか、危篤の連絡で病院に、別世帯だったファミリーが集まり、それぞれが、思い思いに待合の椅子で寝たり座ったりして待っていてくれていた)家族に対して放った一言は、
「腹減った」
であった。
夕食前の事故であったので、その日の昼食が、次の食事までの最後の食事となった。
入院中は、食事無しに付け加えて、水分も口からとってもいけなかった。
食事無しは、何で代替しているのか? それは、鎖骨の下にある太い静脈 (鎖骨下中心静脈) に栄養点滴により供給される。
水分補給は、点滴によって賄っているので、口からの水分補給は、基本的には必要ない。が、喉は乾くので欲求は伝えるものの、受け入れられない。
徐々に回復して体力が戻りつつある時期、ドクターから流動食をしましょうと言われた。
しかし、期待したものとは全然異なっていた。まずは、記憶に浅いが、その時期は、数週間から1ヶ月の間、食事をしていなかったため、「食べ物などの固定物や液体」の飲み込み方を忘れてしまっているのである。
これまで通りに、水分を飲もうとしても飲めない。ストローで少し吸って、その少しの量を飲み込むのすら誤飲して気管に入れてしまう程だった。
人間の能力の劣化は、身動きができず呼吸をしているだけの生活では、凄まじいほど速い。
水の後の食事と言うべきか、最初の食事は流動食とは程遠く、
ネクターの「ピーチ」
でした。
鎖骨下中心静脈カテーテル
鎖骨下中心静脈カテーテル挿入 – 慈恵ICU勉強会 (2011) より
http://www.jseptic.com/journal/jreview_088.pdf
2020/04/08 はりきり(Mr)