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rAAVの製造
2015年時点のrAAV製造(Upstream, Downstream)に関するReview文献をもとに解説します.
基本情報
目的の遺伝子をAAVに包含させて作ったAAVベクターが、遺伝子治療薬になります。ここで、目的の遺伝子がAAVの殻に含まれていれば良いのですが、何も含まれない空の粒子も確率的には作られてしまいます。空の粒子をEmptyと言います。一途方の粒子をFullと言います。
ウイルスを精製するには、従来から遠心、特に超遠心を使われてきました。精製目的のウイルスでも、中に何も入っていない殻と目的遺伝を含む粒子を分別精製するためにも、超遠心が使われます。手技も固まっており簡単なので、よく使われます。
粒子の比重
参考文献から、AAVの比重 (密度) の情報を抽出しました。
- Full : 1.40 g/cm3
- Empty ; 1.32 g/cm3
- 可溶性タンパク質 : 1.3 g/cm3
- 核酸 : 1.7 ~ 2.0 g/cm3 (24, 48)
参考文献
- Overview of current scalable methods for purification of viral vectors – PubMed (nih.gov)
- Qu G., Bahr-Davidson J., Prado J., Tai., Cataniag F., McDonnell J., Zhou J., Hauck B., Luna J., Sommer J.M., Smith P., Zhou S., Colosi P., High K.A., Perce G.F., Wright J.F.
Separation of adeno-associated virus type 2 empty particles from genome containing vectors by anion-exchange column chromatography – PubMed (nih.gov). J. Viol. Methods. 2007; 140(1-2): 183-192. [PubMed]
パーツの分子量
rAAVの殻の部分は3種類のタンパク質でVP1, VP2およびVP3でできていますが、これらの総分子量は、600kDaです。そして、その空の中に収められるベクター遺伝子は、4.7kbpの長さで、その分子量は、170kDaです。前述の比重の差は、この分子量の差になります。
- rAAV capsid protein (VP1~VP3): over 600kDa
- rAAV vector (4.7kbp): over 170kDa
超遠心以外の精製方法
AAVは、負に荷電しています。したがって、陰イオン交換体 (AEX)に吸着性を示します。AEX resinとして、以下のものが使えそうです。ただし、最近の遺伝子治療薬としてAAVの精製方法に関する文献や特許を見ていると、その精製条件は、一般的な方法では、精製度をあげることは難しく、少し特異な条件を使用していることに目が惹かれます。例えば,pH10を超えるような条件で吸着させます。
- Poros HQレジンによるクロマト精製
- Poros PIレジンによるクロマト精製
- Source 15Q レジンによるクロマト精製
- Q-Sepharose レジンによるクロマト精製
- HiTrap Q レジンによるrAAV1,2,4,5,6 and 8の精製
文献
- Scalable Downstream Strategies for Purification of Recombinant Adeno-Associated Virus Vectors in Light of the Properties (2015)
- WO2010148143A1 – Improved methods for purification of recombinant aav vectors – Google Patents
- PEG-modulated column chromatography for purification of recombinant adeno-associated virus serotype 9 – PubMed (nih.gov)
超遠心分析
AAVサンプルを超遠心分析により、Emptyを含めた不純物を除くFullの純度分析が可能となります。
- 1波長、干渉
- サンプル量 : 260nmで0.2以上、1~2E12 vg/mL, 0.5mL以上
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- 別途
- 宿主ウイルス
- AAV Vector Plasmid
- その他、情報
編集履歴
2019/10/15 Mr.Harikiri
2020/10/01 追記 (文言整備)
2020/11/10 超遠心分析
2024/08/12 文言整備,引用文献の整備