はじめに
マイコプラズマ肺炎(感染症)について,厚生労働省からQ&Aが改定されました.以下にその内容を簡単にまとめました.
お隣の中国では.小児の間で呼吸器疾患がアウトブレークしており,WHOは2023/11/22,正式に中国に対して情報提供を求めました.原因は,マイコプラズマ、RSウイルス、インフルエンザウイルス、新型コロナウイルスなどの既知の病原体によるものと考えられています.
WHOによるリスク評価の結果でるまでは感染予防などの注意が必要です.
- マイコプラズマ肺炎は、「肺炎マイコプラズマ」という細菌に感染することによって起こる呼吸器感染症である.
- 小児や若い人の肺炎の原因としては、比較的多いものの1つである.
- 例年、患者として報告されるもののうち約80%は14歳以下で、成人の報告もみられる.
- マイコプラズマ肺炎は1年を通じてみられ、冬にやや増加する傾向がある.
- マイコプラズマ肺炎は周期的に大流行を起こすことが知られており、日本でも1980年代では昭和59(1984)年、昭和63(1988)年に比較的大きな流行があった.4年周期での流行が報告されている。
- 1990年代以降はかつて見られた大きな流行が見られなくなった
- 一方で、平成12(2000)年以降は徐々に定点当たり患者報告数が増加傾向にある.
- 平成23(2011)年は年間の定点当たり累計報告患者数が、平成12(2000)年以降の最多報告数(2010年)を大きく上回わった.
- 平成24(2012)年は第1週から第37週まで平成23(2011)年の報告水準を上回った状態が続いている.
- 平成23(2011)年から平成24(2012)年にかけてこのような状態がみられている原因はよくわかっていない.
- 感染は,患者の咳のしぶきを吸い込んだり、患者と身近で接触したりすることにより感染すると言われている.
- 家庭のほか、学校などの施設内でも感染の伝播がみられる.
- 感染してから発症するまでの潜伏期間は長く、2~3週間くらいとされている.
- 症状は,発熱や全身倦怠感(だるさ)、頭痛、痰を伴わない咳などの症状がみられる.
- 咳は少し遅れて始まることもある.
- 咳は熱が下がった後も長期にわたって(3~4週間)続くのが特徴である.
- 多くの人はマイコプラズマに感染しても気管支炎ですみ、軽い症状が続くが、一部の人は肺炎となり、重症化することもある.
- 一般に、小児の方が軽くすむと言われている
- 予防は,感染経路はかぜやインフルエンザと同じであり普段から、手洗いをすることが大切である.
- また、患者の咳から感染するので、咳の症状がある場合には、マスクを着用するなど咳エチケットを守ってください。
- 治療方法は,抗菌薬(抗生物質)によって治療する.
- 抗菌薬のうちでも、マイコプラズマ肺炎に効果のあるものは、一部に限られている.
- 近年、マイコプラズマ感染症に通常使用される抗菌薬の効かない「耐性菌」が増えてきているとされるが、耐性菌に感染した場合は他の抗菌薬で治療するなどする.
- 軽症ですむ人が多いですが、重症化した場合には、入院して専門的な治療が行われる.
- 長引く咳などの症状があるときは、医療機関で診察を受けるようにしましょう。
(注)マイコプラズマ肺炎は、マクロライド系などの抗菌薬で治療されます。
マイコプラズマ肺炎に関するQ&A 平成23年12月作成、平成24年10月改訂 ~厚生労働省~
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou30/
中国の北京や遼寧省における原因不明の小児の肺炎のアウトブレイクについて ~Yahooニュース~
中国の北京や遼寧省における原因不明の小児の肺炎のアウトブレイクについて(忽那賢志) – エキスパート – Yahoo!ニュース
編集履歴
2023/11/26, MR.HARIKIRI