はじめに
AAVを活用した遺伝治療薬では,AAVの殻の中に封入させる遺伝子をいかに効率よくできるかが重要な品質項目となる.
Full & Empty ratio
rAAV Vectorの実製造にあたって、ウイルス粒子に封入させたい目的の遺伝子をパッケージングしている完全体粒子(full)と遺伝子をパッケージングしていない、又は部分的である不完全体(empty)の比率を改善するすることは、生産性の効率化に避けては通れない課題である。
今回参照する文献によると、図1に示す実験条件で、Full/Empty比率を培養工程において確認した結果がある。
表1のようにTransfectionから時間が経過するほどFull particlesの絶対数はMediaとPelletを合計しても低下した。
- MediaにおけるFull particles数は、Transfectionから日数が経過するほど増加した(1)
- PelletにおけるFull particles数は、Transfectionから日数が経過するほど減少した(2)
- MediaとPelletを混合してrAAVベクターを製造する場合を想定すると、Empty particles数は、日数が経過するほど増加、すなわち、Full particles数は、減少した(3)
図1. TransfectionからHarvest期間
Sample | (1) Full in Media | (2) Full in Pellet | Empty in Media | Empty in Pellet | % Empty in Pellet | % Empty in Media | (3) %Empty in Pellet & Media |
3 day | 1384 | 1518 | 184 | 172 | 10% | 12.1% | 11% |
5 day | 1466 | 1337 | 281 | 172 | 19.1% | 16% | 13% |
7 day | 1512 | 1181 | 228 | 406 | 25.3% | 13.2% | 19% |
Continuous Collection of Adeno-Associated Virus from Producer CellMedium Significantly Increases Total Viral YieldMatthew J. Benskey,1Ivette M. Sandoval,1and Fredric P. Manfredsson
https://www.researchgate.net/publication/293825466_Continuous_Collection_of_Adeno-Associated_Virus_from_Producer_Cell_Medium_Significantly_Increases_Total_Viral_Yield
考察
MediaとPelletでのFull Particle数の合計が、Transfection後の3日後が最も高かったが、その後、7日後まで減少が続いた。この減少する原因について以下のように考察する。
- Pellet内のFull Particleの減少傾向は、Full Particleの合成効率が低下している
- 又は、Pellet内でのFull Particleの安定性が不良である
- Full ParticleのTransfectionからHarvest工程までの期間での安定性が不良である
編集履歴
2019/09/18 はりきり(Mr) 2020/06/12 整備(Gutenberg blockに変換) 2021/10/15,追記(考察) 2023/10/05,追記(はじめに)