📖 2. 従来(過去)の考え方
以前(2000年代以前)は、電子記録の管理が未整備な装置(例:UV計、GC、HPLCなど)では、印刷紙が原記録とされることが多かったのは事実です。たとえば:
- 紙出力しかできない古い機器
- 記録紙に自動で時刻・パラメータが印字されるタイプ
このような場合は、「印刷物を正として運用管理する」ことが例外的に許容されていました。
🌍 3. 日・米・欧の対応の違い(2020年以降)
| 地域 | 規制機関・文書 | 印刷物の原記録扱いの可否 | 補足 |
|---|---|---|---|
| 🇯🇵 日本(PMDA) | 明示的なDIガイダンスは少ないが、GMP事例集等に記載 | 原則として不可。電子記録を原記録とみなす傾向 | 例外は「電子記録にアクセス不能な古い機器」など限定的 |
| 🇺🇸 米国(FDA) | 「Data Integrity Guidance」(2018) | 明確に否定。「印刷されたコピーは原記録ではない」 | 原記録は電子的なものであり、監査証跡の維持が必要 |
| 🇪🇺 欧州(MHRA) | 「GxP Data Integrity Guidance」(2018) | 原則不可。印刷物は「セカンダリ記録」扱い | 印刷内容が原記録と一致するか照合義務あり |
❗ 共通しているのは「電子的記録(生データ)へのアクセスが必要」という立場
🛠 4. 特例対応の考え方(どうしても紙が残る装置の場合)
例外的に印刷物を原記録とする場合には、以下のような管理体制が要求されます:
| 要件 | 管理内容 |
|---|---|
| 正当性 | 装置に電子記録保存機能がなく、技術的・経済的に更新困難 |
| SOP整備 | 「紙を原記録として運用する」SOPが整備されている |
| 操作履歴 | 誰がいつ出力したかを記録(紙に署名、タイムスタンプなど) |
| 改ざん防止 | 出力紙への物理的封印、スキャン保存、定期レビュー |
| 移行計画 | 長期的には電子記録への移行を計画(設備更新含む) |
📌 5. まとめ:監査/査察対応の観点
| チェックポイント | 対応の要否 |
|---|---|
| 出力された印刷紙に「原記録」としての正当性があるか? | ✅ 評価必須 |
| 原記録とみなす場合、それを正当化する文書・手順は整備されているか? | ✅ SOP等で明記 |
| 電子データと紙の整合性は定期的に確認されているか? | ✅ トレーサビリティ要件 |
| 今後、電子記録化の検討・移行計画はあるか? | ✅ 推奨事項(監査で聞かれる) |
🔧 補足:紙出力の例で特に問題視されやすいもの
- 検体分析装置のピーク面積印刷物(HPLCなど)
- 恒温槽・冷蔵庫の温度記録紙
- QCでの装置ログ(プリンター出力)
編集履歴
2025/04/17 Mrはりきり