カテゴリー: BIOLOGICS

  • [Bio-Edu] Surfactant – PF-68, PS80 の添加は常識 – 凝集の抑制 – ID12904 [2021/06/19]

    [Bio-Edu] Surfactant – PF-68, PS80 の添加は常識 – 凝集の抑制 – ID12904 [2021/06/19]

    界面活性剤

    タンパク質の凝集抑制には、古くから界面活性剤 (surfactant)の添加で改善されることが知られている。いろいろな界面活性剤の研究実績が積まれて、現在では、プルロニック (Pluronic)とポリソルベート (Polysorbate)の2種類が、その役割を代表するようになった。抗体医薬品では、殆どがPolysorbate 80が使用されるまでになっており、添加することは常識的なナレッジである。

    凝集と一口で表現しているが、実は、「Aggregate」、「Visible Particle」及び「Sub-visible Particle」に分けて考えられることが多い。凝集抑制剤の効果は、それぞに得意な対象がある。昔は、粒子サイズを測定することができなかったが、今では、目に目えないサイズの粒子を観測できる装置があり、今では、科学的に凝集抑制剤の評価が可能となった。

    • Pluronic
    • Polysorbate

    Pluronic F-68 (ploxamer 188)

    F-68は、凝集抑制に多用される

    特許において、0.001% PF-68の添加することは、常識のようで有る

    – AAVベクターの凝集を防ぐための組成物およびその方法 (特許, 2012)
    【課題】凝集なく、ビリオン、特にAAV(アデノ随伴ウイルス)ビリオンの高濃度ストック溶液を調製するための組成物および方法の提供。

    【解決手段】ビリオン調製物におけるビリオンの凝集を防ぐ方法であって、少なくとも約200mMのイオン強度を達成するためにビリオン調製物に1種類以上の賦形剤を添加することを含む、方法。高いイオン強度および適度な浸透圧のこの組合せは、クエン酸ナトリウムのような高い価数の塩を用いて達成される。

    https://patents.google.com/patent/JP2014111625A/ja

    AAV Purification by Iodixanol Gradient Ultracentrifugation – イオジキサノール勾配超遠心によるAAV精製

    https://www.addgene.org/protocols/aav-purification-iodixanol-gradient-ultracentrifugation/

    その他情報

    製品情報、毒性関連、分析手法など。

    • molecular weight : 8.4kDa (approx.)
    • 製品
      Non-ionic surfactant (100x) – Thermo Fisher Scientific –
      https://www.thermofisher.com/order/catalog/product/24040032
    • 哺乳類細胞培養液中の界面活性剤プルロニックF-68の測定のためのアッセイの開発 (1998)
      • 動物細胞培養液中のプルロニックF-68の比色測定法
      • 以前に肝臓組織でプルロニックを測定するために開発された「チオシアン酸コバルト」との複合体の形成に基づく
      • 複合体の吸光度を328 nmで測定にり感度アップ
      • 複合体を酢酸エチルで洗浄 → アッセイの再現性が向上
      • 培養液の未知の成分によって引き起こされる干渉を低減には、臨界量のエタノールの添加が必要
      • 無血清培地でのプルロニック濃度が0.01から0.2%(w / v)の間で直線的
      • 0.01%(w / v)の低い検出レベルでは、相関係数(R2)は0.998
      • 培地中血清の存在は、感度を低下させるが、0.04から0.16%(w / v)プルロニックまで直線的
      • https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9735146/
    • F-68は、試験した範囲の用量で末梢運動、感覚、または動機付けの影響を混乱させることなく、神経伝達物質の取り込みと放出を減らし、ラットに学習と記憶障害を引き起こす
      https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC311314/
    • 細胞培養の攪拌翼により生じる剪断力から細胞を保護、トリプシン損傷細胞を修復し膜の多孔性の減少、細胞付着を低減する :
      Pluronic Enhances the Robustness and Reduces the Cell Attachment of Mammalian Cells –
      https://www.researchgate.net/publication/5523814_Pluronic_Enhances_the_Robustness_and_Reduces_the_Cell_Attachment_of_Mammalian_Cells/link/09e414fa0ed97088ed000000/download
    • プルロニック F-68の分析方法 (2010):
      Determination of Pluronic F-68 in High Protein Matrices by HPLC-RAM-ELSD, – Helen Chung, Melissa Khor, and Jinshu Qiu* Amgen Inc., One Amgen Center Dr., Thousand Oaks, CA 91320
      http://imtakt.com/jp/Support/UserReport/@USA-Amgen/2010-05-18_HPLC_2010_Poster_v3.pdf
      • Cadenza HS-C18 (150 x 3.0 mm, 3μ)
      • restricted access media (RAM) 固定層
      • HPLC system
        • pump, 0.4 mL/min
        • autosampler
        • column switching valve
        • evaporative light scattering detector (ELSD)
      • 0.1% acetic acid (HAc)
      • 0.1% HAc in acetonitrile
      • gradient elution
        • 0 – 5.0 min : 0% B
        • 5.1 – 10.0 min : 10% B
        • 10.1 – 15.0 min : 45% B
        • 15.1 – 25.0 min : 100% B
        • 25.1 – 35.0 min : 0% B
      • Proteins eluted in the void volume
      • while PF-68 eluted at 14.5 min
      • sensitivity (10 mg/L quantitation limit)

    Polysorbate

    特にPolysorbate 80は、日本油脂から高純度品が市販されたことで、多くのバイオロジクスで使用されている。

    molecular weight : 1,310 Da

    Information for the package leaflet regarding polysorbates used as excipients in medicinal products for human use – EMA/CHMP 2018

    https://www.ema.europa.eu/en/documents/scientific-guideline/draft-information-package-leaflet-regarding-polysorbates-used-excipients-medicinal-products-human_en.pdf

    BIoPharm International 22(6) 32-48 Best Practices for Formulation and Manufacturing of Biotech Drug Products

    https://www.researchgate.net/publication/279558359_Best_Practices_for_formulation_and_manufacturing_of_biotech_drug_products

    Concise Review: Considerations for the Formulation, Delivery and Administration Routes of Biopharmaceuticals

    https://www.heighpubs.org/hjb/abb-aid1004.php

    参考 UF/DF関連

    Control of Protein Particle Formation During Ultrafiltration/Diafiltration Through Interfacial Protection (2014)

    この研究は、限外濾過/ダイアフィルトレーション(UF / DF)中のタンパク質粒子形成のメカニズムを調査し、攪拌がタンパク質界面の吸着と脱着を促進することにより粒子形成を促進することを発見しました。導電率が低く、界面活性剤が存在しているため、小規模の攪拌試験では粒子形成のレベルが低下し、ポンプとUF / DFでも同じ傾向が見られました。ポリソルベート80(PS80)およびヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPβCD)は、UF / DFでの粒子形成をそれぞれ15倍および4倍減少させました。構造安定性、コロイド安定性、および表面張力の測定により、PS80がタンパク質界面の吸着を防ぐことで粒子形成を防ぎ、低導電率がタンパク質のコロイド安定性を改善し、HPβCDの作用メカニズムが不明であることを示しました。

    Control of Protein Particle Formation During Ultrafiltration/Diafiltration Through Interfacial Protection
    編集履歴
    2020/04/07 はりきり(Mr)
    2020/05/26 追記 (PF-68の事例)、誤記訂正
    2021/06/19,追記 (Aggregate, Visible particle, Sub-visible particleについて少し解説)
  • 気になる企業 – BioMarin – 世界の開発競争を尻目に、難しいとされいた血友病Aに対する遺伝治療薬をAAV5で開発 – BLAリジェクト、P3追跡データ2年を求められる –  [2020/09/02]

    気になる企業 – BioMarin – 世界の開発競争を尻目に、難しいとされいた血友病Aに対する遺伝治療薬をAAV5で開発 – BLAリジェクト、P3追跡データ2年を求められる – [2020/09/02]

    ID12872

    BioMarin

    血友病Aに対する遺伝子治療薬が現実なもにとして世の中に出ます。待ち望まれた患者さんは多くいらっしゃると思います。遺伝子サイズが大きいことから、世界の大手医薬品メーカーすら開発を見送っていた血友病Aです。#バイオテクノロジー.画期的です。素晴らしいです。偉業を達成したのは、ニッチ領域のオーファンドラッグを手掛けている小さなバイオテクノロジー企業、Biomarin Pharmaceuticalです。

    P1/2の4年のデータで製造承認申請(BLA)を申請していましたが、2020/08/12のBioMarinの発表ですsource。FDAはBLAを許可しませんでした。追跡データとしてP3終了後の2年間のフォローアップ・データを求めました(~2021/11)。今後、販売開始については更に先になります。

    BioMarin Pharmaceutical Incは、1997年に設立されたバイオテクノロジー企業。市場に7つの製品があり、多国籍組織が整備されている。アンメッドニーズを持つ患者に革新的な治療法を提供している。

    Financial Report (BioMarin site)

    1. 2019 : 売り上げ $1700m(1700億円)
    編集履歴
    ID 12872
    2020/04/04 はりきり(Mr)
    2020/06/12 追記 (FVIIIについて)
    2020/06/20 追記 (販売開始の許可、4年間の臨床データ、競合他社:Roche(中外製薬、Spark)、Pfizer(Sangamo) )
    2020/09/10 追記 (BMN-270の開発概要)
    • CIO : Hank Fuchs
    • カリフォルニア州ノヴァト
    • 社員 3000人
    • 2017年に業界最大の遺伝子治療薬製造工場を拡張建設し遺伝子治療用の素晴らしいGMP製造所になっています。

    investing.com – より

    https://www.investing.com/search/?q=biomarin

    血友病A-遺伝子治療薬

    BioMarin Pharmaceutical Inc.(ナスダック:BMRN)は2020/02/20、米国食品医薬品局(FDA)が優先審査の生物製剤ライセンス申請(BLA)を承認したことを発表しました。しかし、08/19のBioMarinの発表では、FDAカラの審査完了の通知は受けたものの、更に2年間の追跡データの取得を求められたことで、このライセンスの許可は、2年先の2021/11以降になる見込みとなった。

    • 血友病Aの成人向けの調査用AAV5遺伝子治療
      (成人で治療効果と予後を見ながら、今後拡大されていくと思われる)
    • Valoctocogene Roxaparvovec (BMN 270) for Hemophilia A
    • 抗体保有率が低いAAV5を選択
    • FDAによるこの承認は、米国であらゆるタイプの血友病の遺伝子治療製品として受け入れられた最初のマーケティングアプリケーション
    • 3年間のClinical Phase 1/2とPhase 3の中間段階での分析 (2020/06現在の最新)
    • その他情報
      • FDAによるBreakthrough Therapy指定
      • FDA, EMAからのオーファンドラッグ指定
    Table 1. Summary of BMN-270 development
    Code No.BMN-270
    TargetHemophilia A
    VectorAAV5
    Promoter
    GOI
    Production CellSf9, source(1)
    Competitor(1) SB-525 by Sangamo/Pfizer
    (2) SPK-8011 by Roche-Spark

    Valoctocogene Roxaparvovec – BioMarin – より

    https://www.biomarin.com/products/pipeline/bmn-270/

    BMN-270とは

    ネットで調査しても、BMN-270がどのような薬剤なのかその詳細がよく掴めていませんが、以下、BMN-270について推測してみます。

    血友病Aは、血液凝固因子VIII (FVIII)の機能不全により止血が難しくなっている遺伝子疾患です。日本止血学科から、FVIIIの分子量は300kDaです。下記の参考文献には、プレ体が250kDaです。更に成熟型は、細胞内で200kDa (7kb)になります。この分子量でもAAV(4.9kb)に封入ができません。

    そこで、活性型のとしてA1-A2のHeavy ChainとA3-C1-C2のLight Chainを別々にAAVへ封入させる戦略もありますが、シンプルにBドメインを削除した(BDD)をGOIとしている様ですsource(1)

    血液凝固因子VIIIのドメイン

    日本止血学科

    血液凝固因子第VIII因子の構造

    Light Chain of Factor VIII Is Sufficient for Accelerating Cleavage of von Willebrand Factor by ADAMTS13 Metalloprotease

    https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC23069/

    参考文献 – AAVは5.2kB以下のゲノムしか封入できないが戦略はある

    Expressing Transgenes That Exceed the Packaging Capacity of Adeno-Associated Virus Capsids

    Hum Gene Ther Methods. 2016 Feb 1; 27(1): 1–12. Published online 2016 Jan 11. doi: 10.1089/hgtb.2015.140PMCID: PMC4761816PMID: 26757051
    Kyle Chamberlain, Jalish Mahmud Riyad, and  Thomas Weber*

    1990の文献には、FVIIIのA1,A2ドメインをAAVに封入し、A3, C1,C2ドメインを別のAAVに封入する研究があります。

    https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC23069/

    Valoctocogene Roxaparvovecの臨床投与量

    血友病Aの遺伝子治療薬Valoctocogene Roxaparvovec (BMN 270, Valrox)の臨床投与量は、低用量2e12 vg/kg, 高用量4e13 ~ 6e13 vg/kgでした。高容量では、その後の3年間および4年間のコホートで出血制御がうまくいっていると述べています。

    Valroxを投与すると12週後からFVIII活性は正常域に上がって来ています(正常域範囲: 50 IU/dL~150 IU/dL)。その後2年間で正常範囲を維持できていますsource(Evauate Vantage)。しかし、その後の臨床観察匂いで、依然としてFVIIIの活性は下がり続けています。

    Source: Leerink note May 2, 2019
    Source: Biomarin presentation
    • 現状の治療薬との優位性 : Roche (中外製薬) の抗体医薬 ヘムライブラ (1ヶ月に1回の投与)との差別化?
    • 治療薬の持続性 : 上図、高用量4年の結果では、FVIIIレベルは正常域を下回っているが、患者の平均出血率は治療前136件/年から1.3~16.3件/年と治療効果は持続(継続臨床観察の実施)
    • 治療効果と他社臨床動向により価格が設定される
    • BiomarinはFDAとの了解で、FVIII活性を一段階測定方法から発色法(chromogenic assay)に切り替えている
    • 競合開発品 :
      • Roche (Spark Therapeutics)のSPK-8011, 免疫原性とFVIIIレベルを正常範囲にできないという問題がある(P2/P3)、事前ステロイド投与で免疫原性に対処
      • PfizerのパートナーSangamo社のSB-525 (高い用量(3e13 vg/kgで効果、下図参照)source
    Source: sangamo presentation, 2 April, 2019

    Evaluate Vantage, 2019/05/22

    https://www.evaluate.com/vantage/articles/events/company-events/biomarin-hopes-long-term-valrox-data-can-stem-bleeding

    製造能力を試算してみる

    BIOMARINが持つNovato, California.の製造施設は、年間2,000~3,000人に製剤を届ける事が可能です。

    すなわち、3,000人 x 6e13 vg/kg x 70kgが年間の必要量。1000L bioreactor x 2 x 20年間製造数で割ると、1.5E14 vg/Lの培養生産性であることが推定できます。

    BioMarin Provides 2 Years of Clinical Data in 6e13 vg/kg Dose from Ongoing Phase 1/2 Study in Valoctocogene Roxaparvovec Gene Therapy for Severe Hemophilia A at World Federation of Hemophilia 2018 World Congress

    https://investors.biomarin.com/2018-05-22-BioMarin-Provides-2-Years-of-Clinical-Data-in-6e13-vg-kg-Dose-from-Ongoing-Phase-1-2-Study-in-Valoctocogene-Roxaparvovec-Gene-Therapy-for-Severe-Hemophilia-A-at-World-Federation-of-Hemophilia-2018-World-Congress

    BioMarin Provides Highlights of 4 Years of Clinical Data from Ongoing Phase 1/2 Study of Valoctocogene Roxaparvovec Gene Therapy for Severe Hemophilia A

    https://www.prnewswire.com/news-releases/biomarin-provides-highlights-of-4-years-of-clinical-data-from-ongoing-phase-12-study-of-valoctocogene-roxaparvovec-gene-therapy-for-severe-hemophilia-a-301068247.html

    解説

    血友病A

    • Hemophilia A
    • X染色体に由来、遺伝、1/3のケースで突然変異
    • 約10,000人に1人
    • 従来、血液凝固因子第8因子 (VIII, 分子量200kDa)の機能不全に対して、血漿分画製剤による補充療法が行われる
    • 重症な血友病A患者には、年間100~150回の点滴補充が行われる
    • 投薬の評価方法として、年間出血率(Annualized Bleed Rate)がある

    その他製品

    • ムコ多糖症I(MPS I)のアルデュラザイム(ラロニダーゼ)
    • ランバートイートン筋無力症候群(LEMS)のフィルダプス(リン酸アミファンプリジン)
    • フェニルケトン尿症(PKU)のKuvan(二塩酸サプロプテリン)
    • ムコ多糖症(galsulfacS)のナグラザイム(galsulfase)
    • ムコ多糖症IV型A(MPS IV A)のためのVI)とビミジム(エロスルファゼアルファ)。当社は、さまざまな疾患の治療のためのさまざまな製品候補について臨床試験を実施しています。その臨床製品候補には、Brineura、ペグバリアーゼ、

    参考文献

    BioMarinの現況 (2020)

    https://investors.biomarin.com/2020-02-20-BioMarins-Biologics-License-Application-for-Valoctocogene-Roxaparvovec-Accepted-for-Priority-Review-by-FDA-with-Review-Action-Date-of-August-21-2020

    ファイザー社、血友病Bの遺伝子治療に関する第Ⅲ相試験を開始, 2018/08/07

    SparkからPfizerへ血友病Bの遺伝治療薬開発に関すのライセンス契約に関することも記載あり。

    https://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2018/2018_08_07.html

    uniQure Announces License Agreement with CSL Behring to Commercialize Hemophilia B Gene Therapy, 2020

    uniQure社は、血友病Bの遺伝子治療薬をCSL behringに商用化をライセンスに関しての記載

    http://www.uniqure.com/PR_EtranaDez_Licensing_FINAL_6_24_20.pdf

    Freeline Raises $120M for Pivotal Trial of FLT180a, a Gene Therapy Candidate for Hemophilia B, 2020

    Freline社は、血友病Bの遺伝子治療のピボタル試験のために$120Mを獲得した

    https://hemophilianewstoday.com/2020/07/10/freeline-raises-120m-to-support-pivotal-trial-of-flt180a-a-gene-therapy-candidate-for-hemophilia-b/

  • [用語] フェリチン (ferritin) – 血液中で鉄分(Fe)を結合して輸送しているタンパク質 [2020/04/03]

    [用語] フェリチン (ferritin) – 血液中で鉄分(Fe)を結合して輸送しているタンパク質 [2020/04/03]

    Ferritin

    フェリチンを精製して純品にすると、その赤さからFeが結合していることが明確に感じられる。

    • フェリチン, ferritin
    • 血清タンパク質
    • 分子量450kDa
    • サプユニットはL鎖(19kDa), H鎖(21kDa)で構成
    • 第三鉄イオン(Fe3+)を4500個を結合する
    • 血中鉄濃度のバッファリング
    • 籠・球形構造
    • Feと結合していないフェリチンをapoferritin
    • 低酸素症で増加

    似た機能の他のタンパク質としてLactoferrin

    • 分子量 : 80kDa
    • 乳タンパク質
    • αヘリックスがリッチなタンパク質
    • 1分子に2つの鉄分子を結合する。

    フェリチン – ウィキペディア

    https://ja.wikipedia.org/wiki/フェリチン

    ラクトフェリン(lactoferrin:LF)

    https://bifidus-fund.jp/keyword/kw017.shtml
  • 気になる企業 – VIROVEK (バイロベック) – AAV-toxin Vector技術 – ID12859 [2020/03/31]

    気になる企業 – VIROVEK (バイロベック) – AAV-toxin Vector技術 – ID12859 [2020/03/31]

    ID12859

    VIROVEK

    VirovekはSf9/vaculovirusをベースに独自のAAV-toxin技術を持つCMOである。

    • Hayward, CA, US
    • Sf9/BaculovirusによるAAV vectorの製造
    • 研究用のAAV, Plasmidも販売
    • 独自技術
      • 毒素遺伝子を持つウイルスベクター
        • Cell Ablation Technology
        • in vitro検証済み
        • AAV-toxin vectorが作られた時のみ毒素が活性化される技術
      • バキュロウイルス
      • 無血清培養
    • AAV製造プロセスsourc
      • Cloning GOI into AAV shuttle plasmid : 1-2 wk
      • Generation of Bacmid and purification of Bacmid DNA : 4 d
      • Transfection of Sf9 cells to generate baculovirus : 4 d
      • Amplification of baculovirus and titration : 3d
      • Production of AAV and CsCl purification : 1w
      • Desalting, filter sterilization, and AAV titration : 2d
    • カスタムメイドAAV
      • 1e13 vg scale to 3e16 vg
      • カセット
        • Single promoter expression cassettes
        • Dual promoter expression cassettes
        • (toxin genes added)
        • shRNA (with reporter gene)
        • microRNA (with reporter gene)
        • IRES expression cassettes
        • P2A expression cassettes
        • Cre-LoxP cassettes
        • Double-floxed inverted orientation (DIO)
        • Flip excision (FLEX) cassettes
    • BSL-1
      • AAV1
      • AAV2
      • AAVr
      • AAV5.2
      • AAV6
      • AAV8
      • AAV8.2
      • AAV9
      • more
    • Productivity
      • 2e13 vg/mL
      • 価格表 : 1e13 vg/$3,500 ~ 1e15 vg/$119,900

    TransfectionとPlasmid

    Rep-Cap Vectorと目的遺伝子のVectorをBaculovirusにinfectionさせる方法を採用してしている

    編集履歴
    2020/03/31 Mr.HARIKIRI
  • [Bio] 細胞の同一性試験 – DNA Finger Printing Test (Random amplified polymorphic DNA; RAPD) – ID12852 [2020/03/31]

    [Bio] 細胞の同一性試験 – DNA Finger Printing Test (Random amplified polymorphic DNA; RAPD) – ID12852 [2020/03/31]

    細胞の同一性

    アイソエンザイム解析

    細胞株の同一性試験としては、規制当局の要件としてアイソエンザイム解析がある。

    RAPD

    同様に同一性試験としてDNAを対象にしたRandom amplified polymorphic DNA (RAPD)試験がある。

    具体例として、参考文献1が参考になる。

    STR

    その他にも、Short Tandem Repeat (STR)分析がある。

    参考

    文献1

    RAPD-PCR法によるトラフグ、ハコフグ、うまづらはぎおよびアンコウの肝臓の判定

    http://www.city.fukuoka.lg.jp/data/open/cnt/3/25273/1/35-p086.pdf

    関連記事

    Post Views: 394 バイオ医薬品とは バイオ医薬品は、英語でバイオロジクスと言います。バイオロジクスには、ヒトの体内に存在するタンパク性物質をターゲット(狭義)にしているため、よく知られている「抗体」以外のタ…
    Post Views: 247 もとの設計図 天然のアデノ随伴ウイルス(AAV)のゲノムは、1本鎖DNA (single stranded DNA; ssDNA)です。両端に遺伝子複製に関わるITRがあり、その間にAAV…
    Post Views: 210 細胞の同一性 アイソエンザイム解析 細胞株の同一性試験としては、規制当局の要件としてアイソエンザイム解析がある。 RAPD 同様に同一性試験としてDNAを対象にしたRandom ampli…
    Post Views: 189 生産細胞株 通常、Cell Bankの保管は、劣化を極力抑えるために液体窒素蒸気下の極超低温で行われます. 保管容器 Nunc™ Press Out Tool for Cryobank a…
  • [rAAV-Production] – 治療用AAV Vector製造 – 考慮事項 – SM-ID12844 [2020/10/14]

    [rAAV-Production] – 治療用AAV Vector製造 – 考慮事項 – SM-ID12844 [2020/10/14]

    ウイルス・ベクターと宿主細胞の準備

    • ベクターに適合した宿主細胞(master cell bank, working cell bank)
    • ベクター
      • construction
      • generation
      • premaster seed
      • master seed
      • working seed
    • PCLとは
      • Packaging or Producer Cell Line
      • Three Plasmid Transfectionに代わる生産系である
      • 目的遺伝子以外のAAVベタクー産生に必要な遺伝子を既に組み入れた生産細胞、または、目的遺伝子さえも組み入れた生産細胞
      • Oxgene™️、Vigeneなどが持っている

    目標のAAVベタクー発現量

    15cm ディッシュ1枚から 1-2×1011 genome copies (GC)、または、1011-1012 GC/mL(各細胞あたり 2×104 – 1×105 ウイルス粒子)

    Material

    Plasmid DNA Batch

    [ignore]

    • non-GMP製造(14.0千万円/3 x Plasmid/200L/3m)
    • GMP製造(16.0千万円/3xPlasmid/200L/3m)
    • 分析(0.5千万円/3 x Plasmid/3m)
    • カルタヘナ申請 (0.5千万円/3m)

    [/ignore]

    ITRに組換えが少ないプラスミドを得る。

    プラスミドの品質: 形質転換後の ITRs による組換えは、プラスミドのサイズを減少させるので、これを抑制させる。Life Technologies社の Stbl3 コンピテントセルをプラスミドの増幅に用いる。

    Plasmidの精製

    1. プラスミドDNAをE.coliに形質転換
    2. シングルコロニー
    3. 拡大培養
    4. アルカリSDS法による粗精製
      • アルカリ-SDSは、大腸菌染色体DNAを細胞壁とともに除去するため、プラスミドDNAのみを得るのに信頼性の高い方法 (Lab向き)
    5. クロマト精製
    6. 脱塩
    7. 濃縮
    8. Sterile Filtration
    9. 分注
    10. 凍結保存(-30℃)
    11. 二種カルタヘナ法対応(GMP製造開始前)

    pDNA培養特許

    大腸菌中でプラスミドdnaを製造規模で生産するための流加発酵法及び培地 (特許, 2011), link

    pDNA精製特許

    プラスミド精製 (2007), link

    Cytivaによる精製ストラテジー

    ヒトおよび動物の遺伝子治療用プラスミドの精製プラスミドDNA (2007), link

    アルカリSDS法レジメ

    ラボでの調製のレジメを以下に示した。

    1. 大腸菌の培養
    2. 遠心/E.coli
    3. 添加・懸濁(25mM Tris-HCl, pH8.0, 10mM EDTA, 50mM Glucose), 100μL
    4. 穏やかに添加・撹拌(0.2M NaOH, 1% SDS), 200μL
    5. Incubation 4℃ for 5min
    6. 添加・懸濁 (7.5M 酢酸アンモニウム、pH7.6、氷冷)、150μL
    7. Incubation 4℃ for 5min
    8. 遠心(15,000rpm x 10min)/sup回収
    9. Sup/(100+200+150=450μL)
    10. 添加・懸濁(イソプロパノール), 270μL
    11. Incubation R/T for 10min
    12. 遠心(15,000rpm x 10min)/ppt回収
    13. 添加・懸濁(2M酢酸アンモニウム、pH7.6)、50μL
    14. Incubation 4℃ for 5min
    15. 遠心(15,000rpm x 10min)/sup回収 (pptにはタンパク質)
    16. 添加・懸濁(イソプロパノール)、50μL
    17. Incubation R/T for 10min
    18. 遠心(15,000rpm x 10min)/ppt回収
    19. 添加・懸濁(70% EtOH)、
    20. 遠心pptを乾燥
    21. 添加・懸濁; TE(10mM Tris-HCl, pH8.0, 1mM EDTA pH8.0), 25μL
    22. RNA分解: 添加(リポヌクレアーゼA)、1μL
    23. Incubation 37℃ for 30min
    24. 反応停止: 添加・懸濁(2M酢酸アンモニウム、pH7.6)、12.5μL
    25. 添加・懸濁(イソプロパノール)、37.5μL
    26. Incubation R/T for 10min
    27. 遠心(15,000rpm x 10min)/ppt回収
    28. 添加・懸濁(70% EtOH)、適量
    29. 遠心pptを乾燥
    30. 溶解: TE(10mM Tris-HCl, pH8.0, 1mM EDTA pH8.0), 25μL

    GMPグレード/pDNAの調達

    • タカラバイオ – GMPグレードでのブラスミドDNA製造受託 – サイト
    • 和研薬 – プラスミドベクター製造 – サイト
    • WAKO – GMP準拠設備での高品質なプラスミド生産 – サイト
    • メディリッジ – 高品質 プラスミドDNA製造 – サイト
    • 徳島大学医学部 – 【学外受託サービス】 プラスミドDNA精製受託 – サイト

    種類

    1. pAAV
    2. pRC
    3. pHelper

    品質試験

    • 無菌試験 (JP 4.06, USP71, Ph Eur 2.6.1)
    • Endotoxin (JP 4.01, USP 85, Ph Eur 2.6.14)
    • 純度 (紫外線分光)
    • 制限酵素地図試験(アガロース電気泳動)
    • 塩基配列 (サンガー法)
    • CCC含量試験(アガロース電気泳動)
    • 宿主DNA (qPCR)
    • pH (JP 2.54)

    日本薬局方

    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000066530.html

    薬局方の国際調和

    https://www.pmda.go.jp/rs-std-jp/standards-development/jp/0005.html

    E.coli 産生株

    治療用rAAV Vectorの調製には、3種類のPlasmid DNAが消耗品として必要である。

    Plasmid DNAの調製にもGMP製造で行う必要があるため、Plasmid DNAを増やすための産生株(E.coli)の構築が必要となる。

    [ignore]

    • 製造(1.0千万円/3m)
    • 分析(0.5千万円/3m)

    [/ignore]

    試験項目

    • ファージ否定試験(寒天培養)
    • 生菌数(コロニー)
    • コロニー形成能(目視)
    • 栄養要求試験(チアミン要求性、寒天培養)
    • 生化学反応(菌種同定試験)
    • 表現型試験(UV感受性、寒天培養)
    • プラスミド保持率試験(コロニー形成)
    • プラスミドコピー数(qPCR)
    • 制限酵素地図試験(アガロース電気泳動)
    • 塩基配列試験(サンガー法)

    Master Cell Bank

    継代数の少ない、健康な 293 細胞を使用する

    [ignore]

    • 製造(1.5千万円/1y)
    • 分析(2.5千万円/1y)

    [/ignore]

    製造に関しての考慮事項

    Transfection

    以前は、以下のリン酸カルシウムが使用されたりしていたが、最近は、ポリエチレンイミン (PEI)を使用するが、よりグレードの高いPEIが開発されている。

    • コストを抑えるためにリン酸カルシウムを使用できるが、pHにセンシティブ(0.05の変動でも影響を受ける)であるため、HBSバッファの使用を推奨する

    阻害要因

    トランスフェクションの阻害要因には、以下のDNAセンサーに関わるものが考えられるsource: invivogen.com。

    いずれも、多少なりとも細胞死に関わっている。

    • 細胞質の核酸センサー : dsDNAの感知
      • AIM2
        • AIM2は、パターン認識受容体 (その他にNLRP3)
        • dsDNAに強く反応、カスパーゼ1の活性化、炎症性サイトカイン誘導(IL-1β、IL-18)[1]
      • サイクリックGMP-AMPシンセターゼ(cGAS)
        • STING / TBK1 / IRF3シグナル伝達、1型IFN刺激因子(ISG)の発現誘導

    Post Transfection Culture

    プラスミドの濃度や比率、PEIの比率、加えて、培養条件によっては、発現効率は異なってくると考えられる。DoE手法による詳細な検討の実施が必要である。

    • 培地の血清の有無によって、発現量が異なる。Serotypeによっても異なる
    • トランスフぇクション後、72時間後まで引っ張れば、効率的であったとの報告もあるが、5日後で効率的であったとの報告もある(44)

    44)
    Lock M., Alvira M., et al.
    Rapid, simple, and versatile manufacturing of recombinant adeno-associated viral vectors at scale. Hum. Gene Ther. 2010;21(10):1259-1271. [PubMed]

    Harvest & Clarification

    目的rAAV以外の不純物は、ヒトへの投与では炎症の元となる

    • 細胞由来たんバク質
    • 細胞由来DNA
    • 血清タンパク質
    • 培地成分
    • ヘルパーDNA または、ヘルパーウイルス


    References:

    [1]. Patrick, K.L. et al. 2016. For Better or Worse: Cytosolic DNA Sensing during Intracellular Bacterial Infection Induces Potent Innate Immune Responses. J Mol Biol 428, 3372-3386.

    発現タイターの検討

    GFP コントロールウイルスでトランスフェクション効率条件を検討する。

    Process Development

    • USP/DSP

    [ignore]

    (2.0千万円/50L/6m)

    [/ignore]

    2015年現在、AAVの精製の報告

    • rAAV1
      • Poros 50HQ→Poros 10HQ→Sephacryl S-300 HR (AEX/AEX/SEC)
      • Iodixanol→HiTrap (UC/AEX)
      • AVB sepharose HP (IAC)
      • CsCl→Mustan S→Mustang Q (UC/DIAM)
      • CHT→AEX→HIC/SEC (Apatite/AEX/HIC/SEC)
    • BAP rAAV1
      • Monomeric avidin agarose (IAC)
    • rAAV2
      • Poros 20PI (AEX)
      • Poros 50HQ→Poros 50HQ (AEX/AEX)
      • Poros 50hS→Poros 50HS (CEX/CEX)
      • Poros 50HS→Q-Sepharose xl (CEX/AEX)
      • SP Sepharose HP→HiTrap Q (CEX/AEX)
      • SP Sepharose HP→Source 15Q (CEX/AEX)
      • Poros 20 HE (HEAC)
      • Iodixanol→HiTrap Q (UC/AEX)
      • Iodixanol→Herain (UC/HEAC)
      • Sulfonated cellulose (AC)
      • Iodixanol Poros HE (HEAC)
      • Poros HE (HEAC)
      • Poros 20 HE→Poros 50 PI (HEAC/AEX)
      • CHT→DEA Macroprep→Cellufine sulfate (Apatite/AEX/AC)
      • Heparin (HEAC)
      • Heparin→Phenyl-Sepharose→Heparin (HEAC/HIC/HEAC)
      • AVB sepharose (IAC)
      • Mono Q HR→Superdex 200 (AEX/SEC)
    • His6rAAV2
      • Ni-NTA agarose (IMAC)
    • rAAV4
      • Poros PI→Poros HQ (AEX/AEX)
      • Poros HQ (AEX)
    • rAAV5
      • Mustang S→Mustang Q (DEAM
      • Mono Q HR→Superdex 200 (AEX/SEC)
      • Iodixanol→HiTrap Q (UC/AEX)
      • SP Sepharose HP→Source 15 Q (CEX/AEX)
      • Poros PI (AEX)
      • mucin coupled Sepharose (AC)
    • rAAV6
      • Poros 50HQ→Poros 50HQ (AEX/AEX)
    • rAAV8
      • SP Sepharose HP→Source 15Q (CEX/AEX)
      • CsCl→Mustang S→Mustang Q (UC/DIAM)
      • Sephacryl S-300 HR→Poros 50HQ (SEC/AEX)
      • Pep8-agarose→HiTrap ! (IAC/AEX)
    • His6rAAV8
      • Ni-NTA agarose (IMAC)
    • rAAV9
      • CHT→Poros 50HS→CsCl (Apatite/CEX/UC)

    Scalable Downstream Strategies for Purification of Recombinant Adeno-Associated Virus Vectors in Light of the Properties. 2015, Curr Pharm Biotechnol. 2015 Aug; 16(8):684-695

    https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5388796/?report=classic

    Analytical Development

    • USP DevelopmentやDSP Developmentと同様に、その品目に特異的な分析法の開発が必要

    AAV Vector drug substance batch

    • non-GNP Batch
    • GMP Batch
    • Relase Test
    • Characterization ( if needed)
    • Stability Test

    [ignore]

    • non GMP Batch (13.0千万円/3m)
    • GMP Batch (16.0千万円/3m)
    • Release Test (2.0千万円/3m)
    • Characterization (??)
    • Stability Test (2.0千万円/0,1,3,6,12,24,30,36)

    [/ignore]

    AAV Vector drug product Batch

    • non-GMP Batch
    • GMP Batch
    • Release Test
    • Stability Test

    [ignore]

    • non-GMP Batch (0.4千万円/3m)
    • GMP Batch (0.6千万円/3m)
    • Release Test (2.0千万円/3m)
    • Stability Test (2.0千万円/0,1,3,6,12,24,30,36)

    [/ignore]

    編集履歴
    2020/03/31 Mr.HARIKIRI
    2020/10/14 追記(pDNAの精製、GMPグレード受託情報)

    Cell bank

    参考文献

    セルバイオラボ(Cell Biolabs)社 アデノ随伴ウイルス(AAV)発現/パッケージングシステム (コスモバイオ)

    アデノ随伴ウイルス(AAV)とは (コスモバイオ)

    STRATAGENEカタログ (コンピテントセル、トランスフェクション試薬

    Scalable Downstream Strategies for Purification of Recombinant Adeno-Associated Virus Vectors in Light of the Properties, 2015

    各SerotypeのrAAVの精製方法の文献からreviewした文献

    https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5388796/?report=classic
  • [Bio-Edu] 細胞・細菌・ファージ・ウイルスを増やす 簡単な解説 – ID20721 [2020/10/06]

    [Bio-Edu] 細胞・細菌・ファージ・ウイルスを増やす 簡単な解説 – ID20721 [2020/10/06]

    はじめに

    初学者を対象にして、バイオを研究するために必要な知識を提供する[Bio-Edu]です。この記事では、バイオ、すなわち組換え体として使用する細胞や細菌、さらに関連知識として必要な更に小さな生物であるファージとウイルスについて解説します。

    生物

    生物界での病気やバイオにおける基礎知識として、「宿主 (しゅくしゅ)」という概念があります。

    ウイルスは生物ではないと考えられていましたが、最近では、生物であるともいわれます。

    この定義は、自分で自分を複製できないものは、生物ではないとする定義です。

    閑話休題 – 遺伝子の数 –
    ヒトの遺伝子は3万、大腸菌は4千、ウイルスは10個程度であり、これら、動物細胞、細菌、ウイルスのそれぞれの粒子としての大きさは、遺伝子の数に依存しています。

    ウイルスと細菌

    http://www2.nupals.ac.jp/~fmfsc/Topics/uirusuto_xi_jun.html

    生物と呼びにくい面々

    細胞、細菌は、適切な条件のもとで栄養分さえ与えてやれば、自分自身で複製できます。

    自分自身で複製できないものには、ウイルスの他にファージと呼ばれるものがあります。

    ウイルス

    ウイルスは、細胞に感染して細胞の生存機能を利用することで複製します。一方、ファージの感染対象が、細菌であることがウイルスと異なります。ウイルスは、通常丸い形をしていますが、ファージは、下図のように数十年前に初めてアメリカが月面着陸に成功した時に使用された「月面着陸宇宙船」の形にそっくりです。ファージについては、後述します。

    ウイルスとファージの形の違いには意味があります。ウィルスとは、比較的柔らかい表面の動物の細胞に感染するためには、この形(機能)で十分です。ウイルスは、細胞の表面に「ソフト」に吸着します。細胞とウイルスの表面は、よく似た膜(脂質膜)で覆われた構造であるため、「シャボン玉」同士が接触して吸着し融合していくような感じです。生命の活動とは不思議なもので、目的である細胞に融合したウイルスは、その後、細胞中へ完全に入っていきます(感染)。

    図1. 細胞とウイルス
    細胞(左図)とウイルス(新型コロナウイルス-WHO特設サイト-、右図)

    ファージ

    ファージでは、細胞表面が硬い細菌に感染するために、「月面着陸宇宙船」の形(機能)をしています。

    ファージの足の部分で、細菌に着陸(吸着)し、その後、胴体部で穴を開けて、スポイドの頭のような部分に保管されている自らの遺伝子を細菌の内部に注入します。

    図2. 大腸菌とファージ
    大腸菌(左図)とファージ(右図)

    増殖の機構は同じ

    ウイルスとファージの増殖は、細胞や細菌の生命活動を使って増殖します。細胞、細菌の中に自分の遺伝子が入ってしまえば、後はそれぞれの宿主(細胞、細菌)の生命活動の中でウイルス、ファージの独自の遺伝子が機能することにより、ウイルスやファージのパーツであるタンパク質が作られます。そのパーツから完全な形のウィルスやファージが作られ、宿主から飛び出ていきます。

    増やす方法

    細胞・細菌を増やす

    栄養分を含む溶液(培地)に細胞や細菌を浸して、適度な条件 (温度、pH、浸透圧、酸素濃度、栄養素)で維持(培養という)してやると増殖します。

    • 動物細胞、大腸菌
    • 温度
    • pH
    • 溶存酸素濃度
    • 栄養

    増殖は、1個が2個になる、中学生の頃にに学んだあの増殖です。1個が2個、2個が4個、4個が8個、8個が16個・・・。この2個になる時間を「ダブリングタイム」と言います。

    ウイルス・ファージを増やす

    ウイルスやファージは、「細胞を増やす」で増やした細胞・細菌を用います。細胞、細菌に、ウイルス、ファージを添加して感染させます。感染とは、前述したように細胞、細菌の中に入ることです。細胞に接触させるだけで、感染させることができます。

    ウイルスやファージは、自分たちが増殖しやすい宿主を知っており、その宿主である細胞や細菌の表面に付着(これを知っていると表現)して、中に入り込みます。これを感染といいます。感染した後、宿主の細胞、細菌の生命活動を利用して自分自身のパーツをつくり、複製していきます。宿主を知っているとは、受容体が存在していると言い換えることができます。

    受容体とは、相手方(細胞など)に自分(ウイルス)のある部分を認識して結合できるある部分(一番的にタンパク質)のことを一般的にそのように呼びます。受容体が存在しなけば、感染は成立しません。

    まとめ

    バイオの初学者向けに、細胞、細菌、ウイルス、ファージの増やす方法 (単に「培養」と呼んだりする)について解説しました。

    以上

    大腸菌のイラスト – 理研 –

    http://rtcweb.rtc.riken.go.jp/DNA/sec/m1.html

    ファージに関する情報です

    ファージ — – ウィキペディア –

    https://ja.wikipedia.org/wiki/ファージ

    細胞培養の種類、培地、など詳細な基礎的な情報がえられます

    細胞培養の基礎知識 – Merck –

    https://www.sigmaaldrich.com/content/dam/sigma-aldrich/docs/SAJ/Brochure/1/j_recipeecoli.pdf

    線画培養からシングルコロー取得して液体培養までの必要な材料と手順などの情報が得られます

    大腸菌培養 – Sigma Aldrich –

    https://www.sigmaaldrich.com/content/dam/sigma-aldrich/docs/SAJ/Brochure/1/j_recipeecoli.pdf

    昆虫細胞の培養培地に関する製品情報です

    昆虫細胞培養 – Thermo Fisher Scientific –

    https://www.thermofisher.com/jp/ja/home/life-science/cell-culture/insect-cell-culture.html

    参考動画 – 細胞の説明

    編集履歴

    2020/03/27 Mr.Harikiri
    2022/05/09 追記 (図)、文言整備
    2020/10/06 追記 (培養用の培地情報)、文言整備
    2022/11/08 追記(はじめに)、文言整備

  • 気になる企業 – Yposkesi (イポスケシ) – ヨーロッパ最大のAAV/Lentivirus Vectorの生産能力を誇る – ID12817 [2020/03/31]

    気になる企業 – Yposkesi (イポスケシ) – ヨーロッパ最大のAAV/Lentivirus Vectorの生産能力を誇る – ID12817 [2020/03/31]

    Yposkesi

    YposkesiはフルサービスCDMOである。

    • フランス
    • Genenthonのスピンオフ, 2016
      • 患者団体 AFM-Telethon (イタリア)
      • SPI投資ファンド
    • 50,000 ft2 (5,000m2)
      • up to 100,000 ft2 2021
      • Start at 2022 for commercial production and EMA and FDA compliance
    • 4 suites for drug substance
    • 2 suites for fill & finish
    • 175人

    • プロセス開発
      • 2 to 10L bioreactor (suspension)
      • Adherent
      • トランスフェクション
        • DOE
        • Ratio of Plasmid DNA/Transfection reagents/Cell density
        • Ration Full/Empty
        • vector constructionの比較
    • 分析法開発 (analytical development)
      • assays qualification
      • validation
    • ウィルベクターGMP製造 (BSL 2)
      • 33 batches / year
      • 2 x 200L single use bioreactor
      • 500L single use bioreactor
      • 24 Cell Factory 10
      • purification
        • Depth→UF/DF→Affinity→IEX→Size exclusion
    • Fill & Finish
      • Crystal(R) Closed Vial Technology
        • AsepticTechnologies(R), 1mL (Cyclo-Olefin Co-polymer)
      • glass vials
        • 250μL to 4.5 mL
      • 100%目視検査 → Labeling
      • BSL2 class C area, and grade A containment isolator
      • 手動/半自動
      • 300 vials/batch
    • QC
      • capability
        • IR detection western blot
        • DLS
        • subvisible particle counting(light obscurantism or microscopy)
        • and general
      • GP QC team
        • environmental monitoring test
        • utility test (water system)
        • Controls of all incoming raw material
        • in-process control and release assays
          • internally lab
          • subcontractors
        • Runs stability studies
          • <-135℃, <-80℃, <-20℃, 2~8℃, 15℃ to 25℃
      • Analytical development, tech transfer, validation
    • QA
    • Regulatory Support
      • 臨床ロットに必要な文書の作成
        • Bill of material
        • 新しい原材料の登録

    編集履歴

    2020/03/31 Mr.HARIKIRI
  • [GT] 非臨床試験 (遺伝子治療) – SM-

    [GT] 非臨床試験 (遺伝子治療) – SM-

    非臨床安全性試験

    1. 一般毒性
    2. 遺伝毒性
    3. 腫瘍形成及びガン化の可能性
    4. 生殖発生毒性
    5. 免疫毒性
    6. AAV Vectorの場合 : 増殖性ウイルス出現の可能性

    上記の1~3は、 既存の研究参照で省略可能

    投与量

    [ignore]

    Glybera
    単回(筋肉)・急性毒性(マウス, 1e13 gc/kg): 90 ~ 180 days

    Luxtuma
    単回(硝子体)・急性毒性(イヌ/サル, ~1e23/eye, 1e11/eye) : 3m ~7m

    Zolgensma
    単回(硝子体)・急性毒性(イヌ/サル, ~1e14/kg) : 12w

    [/ignore]

  • [GT] 承認された遺伝子治療薬 – まとめ – ID10658 [2020/06/09]

    [GT] 承認された遺伝子治療薬 – まとめ – ID10658 [2020/06/09]

    まとめ

    2020年3月現在、承認された遺伝子治療薬の数は、一桁であるが、既に世界は、「抗体医薬」から「遺伝子治療薬」にカジを大きく切っている。

    ほぼ全ての抗体医薬に関する技術は、コモディティ技術となり、新規参入CDMO/CMOが、この業界に低いリスクで参画が可能となった。

    大手CDMO/CMOは、これからプラットフォーム技術の構築が開始される「遺伝子治療薬の製造技術」を用いた委託製造業に参入を進めている。

    大手の医薬品メーカーは、遺伝子治療薬の製造が可能な小さいCDMOや開発ベンチャーを傘下に収める段階を完了した。

    今や遺伝子治療薬の開発は本格化し加速していく。

    2016

    http://www.nihs.go.jp/mtgt/section-1/gene-therapy-drug-20160914.pdf

    ウイルスを基盤とした遺伝子治療薬の臨床開発の
    現状と今後の展望 – 2019 – JSTAGE –

    https://www.jstage.jst.go.jp/article/dds/34/2/34_99/_pdf/-char/ja
    製品名適応症企業導入遺伝子、ベクター投与経路/導入遺伝子承認年
    Glyberaリポ蛋白質リパーゼ(LPL)欠乏症uniQure社
    欧州での販売を2017年10月25日の特許切れをもって終了
    AAV1ベクターin vivo/LPL2012
    IMLYGIC切除不能性悪性黒色腫Amgen/BioVex Inc.GM-CSF遺伝子搭載腫瘍溶解性Herpes Virus 1in vivo/GM-CSF2015
    Strimvelisアデノシンデアミナーゼ欠損症GlaxoSmithKlineADA/レトロウイルス(自家CD34+細胞)ex vivo/ADA2016
    Zalmoxis移植片対宿主病(GVHD)の合併予防MolMedHerpes VIrusスチミジンキナーゼ(HSV-TK)遺伝子、欠乏型ヒト低親和性神経成長因子受容体、CAR-T療法/レトロウイルスベクターin vivo/HSV-TK,ΔLNGFR2017
    KymriahB細胞性リンパ腫NovartisCD19標的キメラ抗原受容体遺伝子/レトロウイルスベクターEx viro/CD19-CAR2017(US)
    2019(JP)
    YescartaDLBCLGilead Sciences/Kite PharmaCD19/レトロウイルスベターEx vivo/CD19-CAR2017
    LuxturnaRPE65突然変異網膜ジストロフィSpark TherapeuticsRPE65/AAV2ベクターin vivo/RPE652017FDA
    Zolgensma (AVXS-101)骨髄性筋萎縮縮小NovartisSMN1遺伝子/AAV9in vivo/SMN12019
    Zynteglo輸血依存βサラセミア(TDT)Bluebird BioβA-T87Q-globin遺伝子/レンチウイルス(自家CD34+細胞)in vivo/βA-T87Q-globin2019
    Colategen慢性動脈閉塞症Angesペルプラスミドin vivo/HGF2019
    Valoctocogene RoxaparvovecHemophilia A (血友病A)BioMarin PharmaceuticalAAV5ベクターin vivo/FVIII見送り(2020/8)
    • 血友病A : 4,000~5,000人の男児出生に1人の割合で実証する血液凝固第VIII因子欠乏遺伝子疾患。現在の治療は、血漿分画製剤を週3回の投与が必要です。
    • Valoctocogene Roxaparvovecは、Roche/Sparcの競合、3年間のP2では、年間出血率0~0.7source。投与量は6e13 vg/kg, 4e13 vg/kg source
    編集履歴
    2020/03/30 Mr.Harikiri
    2020/06/09 追記(BIOMARINのvaloctocogene roxaparvovec(血友病A遺伝子治療薬)
    2020/09/17 誤記修正