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  • [用語] biosimilar ; バイオシミラー

    [用語] biosimilar ; バイオシミラー

    biosimilar

    biosimilar; バイオシミラー : バイオロジクスの後発医薬品。低分子医薬でもバイオ医薬でも後発品は先発品の特許が切れると後発品が市場に出てくるが薬価は先発品よりも低く抑えられる。これにより日本の場合、後発品に置き換わり易なっている。政策として医薬品の薬価はある一定期間が過ぎると何年かおきに薬価が引き下げられる。この制度は新製品の開発圧力である。

    後発品でもバイオシミラーを開発するには低分子医薬と比較して数倍から10倍のコストが必要であるため、バイオシミラーの開発は大手企業に限定されている。

    編集履歴
    2020/07/12 Mr.HARIKIRI
    2024/01/17 追記(後発品について)
  • 気になる企業 – Celltrion – 韓国をベースとするバイオロジクス企業 – Biosimilarを加速させる  [2020/07/12]

    気になる企業 – Celltrion – 韓国をベースとするバイオロジクス企業 – Biosimilarを加速させる [2020/07/12]

    Celltrion Healthcare

    • 韓国企業、日本語サイト
    • Mammalian cell culture facillity(source)
      • 韓国・仁川の松島(Songdo)に2サイト (年間19万リットル製造能力 + 5万リットル) : DPからDP
        • Plant 1 : 年間10万リットル
          • 12,500L x 8 ライン
        • Plant 2 : 年間90万リットル
          • 15,000L x 6ライン
        • Plant 3 : 製造能力アップ(年間5万リットル) (source)
      • Lonza Singaporeでは、Remsima(EU市場用)を製造委託で合意(2018/06)
    • 2019年、総売上高は、約1,000ビリオンウォン(約1000億円, レート:0.1として)のバイオロジクス企業(annual repport)
    • 2020/01, 中国の武漢にバイオロジクスの製造工場を開設する計画を発表(5年間、約500億円)。CMOサービスを提供する
      • 製造能力は年間12万リッル(source)
    • 同時に、Biosimilarへの投資はEUの販売企業のネットワーク構築にも使われる
    • 今後、10年でグローバルな新しいBiosimilarに進出する。同社製品は、Remsima SCは、infliximabの市場 (RA and Crohn disease, 追加の適応症も含め)が約5兆円になると予測している
    • 2030年までに、18のBiosimilarを市場に投入するとしている

    製品

    • Remsima SC (infliximab biosimilar, FDA, 2022承認予定)
      • RA疾患
      • 2018/06 Lonza Biologicsと連携合意
      • 2019 EMA申請完了
    • Inflectra (infliximab biosimilar (infliximab-dyyb), FDA, 2016)
    • Truxima (rituximab biosimilar)
      • 白血病治療薬
    • Herzuma (trastuzumab biosimilar)
      • 乳がん治療薬

    Celltrion Amps Up Its Biosimilar Launch Schedule, 2020/01 – JP Morgan Healthcare Conference in San Francisco –

    https://www.centerforbiosimilars.com/conferences/jp-morgan-2020/celltrion-amps-up-its-biosimilar-launch-schedule
    編集履歴
    2020/07/12 Mr.HARIKIRI
  • [サイト運用] これまで使ってきたTooltipプラグインであるEncyclopedia Proを今後は使わないことにした – その後、再インストールして復活させた理由 [2020/12/16]

    [サイト運用] これまで使ってきたTooltipプラグインであるEncyclopedia Proを今後は使わないことにした – その後、再インストールして復活させた理由 [2020/12/16]

    はじめに

    WordPressの投稿において,登録したワードに吹き出しをつけることができる「Encyclopedia」というプラグインに関する内容です.現在,このサイトでは,Encyclopediaによる吹き出しはしなくななりました.自分でphpコードを作り代替できるようになったこと,および,EncyclopediaはAMP対応ではななかったこと,更にサイトのレスポンスを向上させたいためです.

    以下の記載は,Encyclopediaを使用しないくなるまでのプラグイン導入記です.備忘として残します(2022/11/18, by Mr. Harikiri)

    Encyclopedia Pro

    Encyclopedia Proは、有料版です。Tooltip(用語を登録しておけば吹き出しを出したり、hyper linkへ飛ぶことが可能となる)プラグインです。Encyclopediaは、ページへのアクセスがあった場合に、表示の際に登録リストから、そのページに記述されているワードを検索して、リンクを付ける処理をリアルタイムで行うプラグインです。そのため、Encyclopediaに登録されている数が多くなるほど表示レスポンスが低下することが予想されますが、しぱらくは運用を続けてみます。

    Disable期間と再開

    Pro版を購入して半年以上運用してきましたが、以下の理由のから、このプラグインを外すことにして、2020/07/11から2020/12/13までDisableにしていました。Diableの理由は、以下の通りですが、今回、Enableにした理由は、十分ではないものの対策が得られたためです。

    Disableとした理由

    • 英語と日本語が併記されたページで不具合がある
      • 日本語で単語が一致してするように設定すると、英語単語において一部の一致でも認識されてしまう
      • 原因は、日本語では単語と単語には空白がありませんが、アルファベット圏の文章では、単語と単語の間には、必ず空白があります
      • この処理が丁寧にコードとして盛り込まれていないと日英の併用は難しいことを理解しました。今後のバージョンアップで対応できる内容出ないことも理解しました
    • 登録していたほとんどのエントリーの記述内容(excerption)が消えてしまっていた
      • 原因は、よくわかりませんが、以下のイベントがありました
      • WordPress ServerをDS918+からDS920+に載せ替えた
      • WordPressのバージョンアップをした
      • Encycropedia Proのバージョンアップをした
    • Tooltipプラグインを導入する当初から懸念していた問題を、自分の中で払拭できなかった
      • 投稿ページを表示する場合、Tooltipプラグインは、その内容を登録されたワードの全てを使って検索してhtmlのhyper lineを作ると考えられるが、登録ワードの数,または/および,投稿に出で来る単語のガスが増えてきた場合、その処理にかかる時間が,その数に応じて増えていくと考えられる
      • この問題はサイトの応答速度に影響するため、登録することの足かせとなってくるのではないかとの懸念を持っていた
    • 代替案を具体化できるphpコードを書けるようになってきた
      • 説明したいワードについて、必ずしもhyper linkや吹き出しにせずとも、投稿の最後に一括して、キーワードとして表示されることでも良いのではないかと納得できるようになってきた
      • 投稿の最後に一括して、必要なワードの表示を可能とするコードを実際にサイトに載せてみたところ、使えそうであることが確認できた

    今回、Enableして再開した理由

    • 以下のように、Case sensitivityを有効にすることで、ある程度の対策となるため。
    • 例えば、AMPを登録していて、Sampleという文言があった場合、Sampleのように赤字のampが当たっていまう。そこで、大文字のAMPで無い限り当たらないようにすることで、Sampleのampには当たらないようにした。
    • この対策は、完全ではないですが、登録ルールの徹底によって、途中マッチングを相当数を抑制できると思われる。この運用でしばらく継続していこうと考えている。

    まとめ

    • Encyclopedia Proを2020/07/11~2020/12/13まで、disableとして、Encycropediaによる機能を停止していた。
    • Encyclopedia で登録してしていた、ワードについては、投稿ページに再登録してきたが、投稿ページには、豊富な情報の登録のために使用することを今後も継続する。
    • phpコードの概要 : 登録する投稿ページのタグには、タイトルと同じワードを登録する。このタグを離床して投稿ページを表示した後、タグ検索により関わるワードを一括表示される。今後も継続する。
    • 運用しなが、phpコードの成熟を図っていく。今後も継続する。

    そして、サイトはの作りは、単純化されていくことをEncyclopediaの無効化と「投稿ページにキーワードを登録する方法」で目論んだものの、やはり、インタラクティブな単語の意味の理解が可能となるEncyclopediaプラグインを外すことは残念であると考えていた。今回のEncyclopediaの再開を許容できたことは、満足している。

    Simple is best, but additional better function is wonderfull!

    編集履歴
    2020/07/11 Mr.はりきり
    2020/12/14、追記 (Encyclopedia Proの再開)
    2020/12/16、追記 (SPIスコアの劣化は避けられない、現時点で8~10ポイントの低下)
    2022/11/18,追記 (完全にEncyclopediプラグインを削除した)
  • [Kw] 日本で起こっている大雨と突風の被害は前線に沿っている  [2020/07/09]

    [Kw] 日本で起こっている大雨と突風の被害は前線に沿っている [2020/07/09]

    梅雨前線

    この1週間で、九州全域での豪雨による河川の氾濫・決壊が起こり、大きな被害が起こっています。今後も心配です。

    気象予報士が、よく天気図を見ながら前線がどうしたとか言っていますが、その本当の意味が分かっていませんでした。

    前線というのは、結構危ない状態であることが、分かったので、以下にまとめます。素人でも以下の内容は理解しておくのがよろしいです。

    • 日本中で大雨の被害が起こっている。その原因は、梅雨前線が日本列島の上に沿っているためです。
    • 前線とは、雲の通り道のことです。前線に雲が発生し、この前線に沿って西から東に流れていきます。
    • その雲は、ほとんどが積乱雲です。すなわち低気圧です。雲の発生が連続的で且つ規模が大きくなってきたのがココ数年ですが、「線状降水帯」という新しい概念としても定義されています。
    • 前線は低気圧なので、台風と同じようなことが起きます。豪雨、突風です。
    • 今後は、気象予報図でも前線の状態に注意して行くようにすべきです。

    気象庁

    https://www.jma.go.jp/jp/highresorad/
    編集履歴
    2020/07/09 Mr.はりきり
  • [Bio-Edu] mAbの薬物動態(PK)  [2020/10/17]

    [Bio-Edu] mAbの薬物動態(PK) [2020/10/17]

    モノクローナル抗体の薬物動態

    薬物動態(PK; pharmacokinetics)は、薬物の体内における濃度と消失の速度過程

    薬力学(PD; pharmacodynamics)は、薬物の作用部位における薬物濃度と薬理効果を定量

    • IgGの一般的な投与経路 (用語説明 wikipedia)
      • iv (Intravascular; 静脈投与)
      • sc (Subculaneous; 皮下投与)
      • im (Intramuscular; 筋肉内投与)
    • 小さい < リンパ管のリンパ液の流れ << 血管の血液の流れ <大きい
    • 血中半減期
      • 生理的IgG濃度が12mg/mLの場合、IgGの半減期は21日
      • 高濃度に投与するなどするとクリアランスは高まる
      • 薄い濃度であるほど、クリアラスンスは低くなる
    • mAbのpI (等電点)
      • pIが高くなると全身クリアランスが高くなる
      • pIが高くなるとバイオアベイラビリティも低くなる
      • pIが高くなると細胞表面の不電荷とインタラクションする

    グリコシル化

    グリコシル化は、エフェクター活性と半減期に影響を与える。

    • グリコシルパターン (Glycosylation) 1)
      • 小胞体(ER)では、Mannose (Man)が付くだけ付加される
      • 次のGolgiでは、Manが外され、3つになり、Glactose, Fucose, シアル酸が付加される
      • 5個以上のHigh Mannoseでは、Fucoseが付かないことが原因の可能性も否定できないが、FcγRIIIaとの結合親和性が高まりADCC活性が強くなる
      • Fucosylationは、FcγRIIIaとの親和性を弱めることでADCC活性を低下させる。これを狙った抗体を生産させる産生株がある
      • CDCに影響
      • Asn297アミノ酸
      • アフコシル化 (脱フコース)
        • ADCC活性が高まる
        • クリアランスが高まる
      • ガラクトシル化型
        • FcγRIへの結合性増大する
      • 高Man5, Man8, Man9
    • IgGは腎臓でろ過するには大き過ぎる
      • 腎臓でのクリアランスは無い
    • トランスサイトーシス
      • 血管上皮細胞(neonatal Fc receptor)
      • FcRn
    • エンドサイトーシス
    • ピノサイトーシス
      • 内皮細胞による比較的非特異的な液相エンドサイトーシス
    • 間質空間
      • 細胞外マトリックスで満たされている
      • ゲル状
      • 正電荷
      • 成分は、グリコサミノグリカン(ヒアルロン酸など)、コラーゲンなどの構造タンパク質
    • IgGの排除体積(excluded volume) : ~50%
    • FcRnと結合親和性があるIgG1, IgG2, IgG4の消失半減期は、18~21日で、これは、同等の分子量を持つ他のタンパク質よりかなり長い。
    • IgG3は、FcRnと結合親和性が低く、半減期は、7日と短い
    1)

    小胞体(ER)での糖鎖修飾、Golgiの各部位での修飾について解説がある。Gorgiの特にくTrans Golgiでは、Galactose、更にシアル酸が付加される。
    シアル酸が多い程、血中濃度Cmaxが高くなる。

    IgGサブクラス毎のFc受容体タイプとの結合性の強さ。

    ヒト血清のIgGのシアル酸付加率は、一般的に10未満であるが、CHO細胞の組換えIgGでは、殆どシアル酸は付加されない。マウス・ハイブリドーマで得たIgGでは、シアル酸比率は50%を超える。



    Antibody Glycosylation and Its Impact on the Pharmacokinetics and Pharmacodynamics of Monoclonal Antibodies and Fc-Fusion Proteins (2020)

    https://www.researchgate.net/publication/274967692_Antibody_Glycosylation_and_Its_Impact_on_the_Pharmacokinetics_and_Pharmacodynamics_of_Monoclonal_Antibodies_and_Fc-Fusion_Proteins

    Biosmilarを作る場合、Glycationのコントロールは重要である。糖鎖付加について、培養添加物を詳細に検討している文献である。

    Impact of cell culture media additives on IgG glycosylation produced in Chinese hamster ovary cells (2019)

    https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6590254/

    Pharmacokinetics of Monoclonal Antibodies, 2017

    https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5613179/
    編集履歴
    2020/07/08 Mr.HARIKIRI
  • [医薬品] ノボエイト – 遺伝子組換え型血液凝固因子第VIII因子  [2020/07/08]

    [医薬品] ノボエイト – 遺伝子組換え型血液凝固因子第VIII因子 [2020/07/08]

    ノボエイト

    総称ノボエイト
    一般名 ツロクトコグ
    慣用名n/a
    分子量 176kDa
    効能分類名遺伝子組換え型血液凝固第VIII因子製剤
    効能効果血液凝固第VIII因子欠乏患者
    における出血傾向の抑制
    3000単位¥199,636
    製造会社Novo Nordisk
    用量1~20単位/食前

    KEGG
    ノボエイト

    https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00062708
    編集履歴
    2020/07/08 Mr.HARIKIRI
  • [アニメ] 長年、機会があれば見たいと思っていた2010年作「GOSICK-ゴシック」大戦の間、平和な異国の学園で日本男児の少年 – Boy meets Girl、やがて・・・全24話 [2020/07/07]

    [アニメ] 長年、機会があれば見たいと思っていた2010年作「GOSICK-ゴシック」大戦の間、平和な異国の学園で日本男児の少年 – Boy meets Girl、やがて・・・全24話 [2020/07/07]

    GOSICK – ゴシック

    2011年作のアニメです。1話だけYouTubeで見たことがありました。面白そうだと思っていましたが、数年が経ち、8年が経過し今回、Amazon Primeを彷徨(さまよ)っていると「dアニメストア forAmazon Prime」にGOSICKを発見しました。即、加入して、24話を数日かけて見ました。謎解きは中々面白かったし、エンディングはなお良かった。

    時は、大戦の合間のある学園が舞台です。日本男児の少年が異国に留学生としてやって来ました。ここから、ワクワクする謎解き、そして明かされていくヒロインの24話が始まります。

    2つのエンディングソングも良いです。ラストまで見ないと勿体ない。

    今のamazon Primeからさらに「dアニメストア for Amazon Prime」に加入して皆さんもどうぞ。

  • [Anime] 3年かけないと13話を全て見れなかった独特の雰囲気を放つ1998年作「Lain」[2020/07/07]

    [Anime] 3年かけないと13話を全て見れなかった独特の雰囲気を放つ1998年作「Lain」[2020/07/07]

    serial experiments lain

    1998年作の全13話のアニメです。動きは少なく独特の雰囲気で話は進んでいく。10話くらいまで意味不明のまま続く。3年前に6話まで見たまま、Amazon Primeから姿を消したので、続きを見ることなく今日にまで見なかったが、dアニメストアに加入したことをきっかけにリストに表示されたので視聴を再開した。

    この数日で、7話から13話まで視聴した。

    1998年ごろの時代を感じさせる作画と内容だった。13話まで全て見て、良さが理解できた。逆に好きになった。エンディングソングもいい。

    3年も掛けてよくストーリーを覚えているな!ッと突っ込みがありそうだが、話はほとんど進展しないし、だが、今のアニメにはない、「間」があり(長く)インパクトはあるため、見返す必要もなく大体のストーリは覚えていた。

    もしも、視聴を開始したのなら、ラストまで見ないと勿体ない。

    最近になって再度見ることができたのは、別の見たいアニメがあって、今のamazon Primeからさらに「dアニメストア for Amazon Prime」に加入したからだ。皆さんもどうぞ。

  • [Bio-Edu] 組換え大腸菌で造らせたタンパク質のリフォールディングおよび、その後の精製手順  [2020/08/19]

    [Bio-Edu] 組換え大腸菌で造らせたタンパク質のリフォールディングおよび、その後の精製手順 [2020/08/19]

    はじめに

    研究段階のタンパク質の取得は、組換え大腸菌(E.coli)から取得することが多いですが、そのタンパク質は、un-foldingしていることが殆どです。可溶性として取得できたとしても、その活性は非常に低いことも良く知られています。そこで、Re-foldingという手法により、un-foldeしたリコンビナント・タンパク質を立体構造として自然な状態に巻き戻してあげます。巻き戻すという表現は、タンパク質が複数のアミノ酸が1本の鎖状になった構造をしていることから用いられます。

    Re-foldingは、バッファー組成が一般的な組成に置換できて、初めて成功です。置換で濁るようではRe-foldingは失敗です。

    Re-foldingできたタンパク質は、クロマト・レジンを使用して精製します。

    Refoldingとは

    タンパク質は、アミノ酸の数珠つなぎでできています。酵素が活性化するときは、一般的には、ある活性化酵素によって、その前駆体の酵素のどこか一か所が切断され、二本鎖と呼ばる構造になり、立体構造が変化して活性化します。

    タンパク質の機能は、構造にあるということです。

    そのタンパク質が、その本来の機能を発揮するには正しい立体構造になっている必要があります。立体構造を構成する要素はいくつかあります。キーワードは、αヘリックス、βシート、SS結合などです。

    • アミノ酸配列のαヘリックスとβシートのインタラクションによる構造
    • システインとシステインによるSS結合による強固な構造

    組換え大腸菌の産生タンパク質

    組換え大腸菌でタンパク質を産生させると、ほとんどが不溶化してInclusion Bodyと呼ばれる不溶物として大腸菌内に溜まります。これをリフォールディング(refolding)する方法を以下に示します。

    1. ただし、refoldingできるタンパク質の分子量に制限があります。分子量が10kDa未満のInsulinなどは、比較的簡単です。
    2. 分子量20kDa程度のInterferonは、refoding可能です
    3. 分子量が30kDaに近づくとrefolding効率は次第に低下してしてきます。

    Inclusion bodyの回収

    インクルージョンボディは、大腸菌の菌体内に存在します。インクルージョンボディーを取得するには、まず大腸菌を破砕して、大腸菌の細胞内からイングルジョンボディーを細胞外に出てくるようにします。細胞を破砕した後は、遠心により不溶性のインクルージョンボディーを沈殿として回収します。

    1. 組換え大腸菌の培養
    2. 菌体の回収
    3. 菌体の破砕(以下のいずれか)
      1. 超音波処理(粘度がなくなるまで十分に)
      2. フレンチプレス(圧力で破砕)
      3. ダイノミル(ビーズで砕く)
    4. 遠心によるpptを回収(Inclusion body)

    可溶化とrefolding

    • Inclusion bodyに6M 塩酸グアニジンや8M 尿素で溶解
    • 遠心または清澄ろ過
    • His-tagを付けていて、もしも純度が低ければ、Ni-NTA Sepharoseなどでbinding/elutionにて精製します。
      • 1M Imidazole(pH調整不要、pH8程度)を添加して25mM最終
      • Niカラムに添加
      • 25mM Imidazole, 6M 塩酸グアニジンで洗浄
      • 0.1M Imidazole, 6M 塩酸グアニジンで溶出
    • Niカラム精製してななければ
      • 1M Tris-HCl pH8を添加して20mM最終
    • 1M DTT添加して50mM最終 (還元剤)
      • refoldingで重要なSS結合は、pH8.3で最も効率的が高まります
    • 1M シスタミン(2塩酸塩)を添加して100mM最終 (酸化剤)
      • 後に希釈した際、DTT濃度が低下するとともに、タンパク質が本来の立体構造に戻ろうとします。その際、本来のSS結合としてシステイン同士が近づきますが、それを酸化して強固な立体構造にします
    • 即、水で6倍希釈
      • 1M 塩酸グアニジン
      • 8.3mM DTT
      • 16.7mM システイン2塩酸塩
    • 室温または15℃、あるいは4℃で一晩静置
      • 分解しやすい場合は、適宜、低温にする
      • あるいは、NaClを最終濃度として、0.15Mから0.5Mの範囲で添加すると分解酵素が抑制できる
    表 Buffer preparation
    Buffer Name調製方法
    1M ImidazoleImidazoleを水に溶かして1Mとする
    6M 塩酸グアニジン塩酸グアニジンを水に溶かして1Mとする
    1M Tris-HCl, pH8Trisを1Mとなる水より少ない量で溶かして、1M HClでpH8とし、水を追加して1Mとする
    1M DTTDTTを水に溶かして1Mとする
    1M Cistamine (2HCl)シスタミン2塩酸塩を水に溶かして1Mとする

    バッファ組成の置換

    バッファ置換により還元剤を取り除き、構造を確定させます。Refoldingがうまくいっているかの最初の判定としては、可溶性を維持しているかにかかっています。ほとんどのケースでは、説明した方法でRefoldingは問題ないはずですが、場合によっては可溶性が維持できず、バッファ組成の置換において不溶化します。そうなると結構厄介ですね。検討時間がなければ、このまま行きましょう。

    Refoldingの評価

    • UF/DF工程でバッファ置換しても可溶性を維持している
    • RP-HPLC (逆相クロマト)分析で、シングルピークであること(ミス・フォールドしていると2峰性のピークを示すことが多いので、それで判定できる)

    UF/DFの手順

    • UF/DF (タンジェンシャル・フロー)によるバッファ置換
      • 元のボリュームに戻す(6倍濃縮)
      • この濃度(ボリューム)を維持しながらDiafiltrationを実施
        • 透析バッファの例示
          • 10mM Histidine-HCl pH7
          • 10mM Tris-HCl pH8
          • 33mM Sodium Acetate pH5
        • 塩は入れない方が不溶化しないことが多い
      • 1000倍以上の希釈を目指す(8 diavolumeで1000倍希釈の計算となる)

    タンパク質の精製

    タンパク質の精製を行います。決して、二度目のNiカラム精製はNGです。精製特製が同じクロマトの使用は意味がありません。

    1. 陰イオン交換体による精製
      1. タンパク質の等電点pIが中性以下なら、その等電点より高いpHでパススルーさせるだけでも、DNAやEndotoxinが取り除けます。
      2. 回収率が悪い場合は、NaClの添加濃度を検討します
    2. ハイドロキシアパタイトによる精製
      1. BIO-RADのCHTが多用される
      2. リン酸が含まれていないバッファなら、取り敢えず、タンパク質は吸着します
      3. K2HPO4濃度(1M K2HPO4-HCl, pH7)を1mM, 5mM 10mM, 20mM 50mM 100mMと順番に、ステップワイズで処理します。どこかで、タンパク質が出てきます.
      4. 十分な濃度のK2HPO4にはせず、最低必要濃度に設定します
      5. その後、回収率や不純物の分布を知るために、0.3M K2HPO4でpost eluation/回収します。
      6. 更に、6M GuHClを1カラムボリュム(CV)添加、5 CVの水を添加して押し出してpost elution/回収します(なべく低いGuHClとしたいので。SDS-PAGEサンプルバッファーでGuHClが析出しますが、お湯で加熱して可溶化したら即、SDS GEL WellにInjectionできます。Wellで析出しても分析を強行します。多少の泳動の乱れは気にしません)
      7. 更に、0.1N NaOHを1カラムボリュム(CV)添加、5 CVの水を添加して押し出してpost elution/回収します(酢酸でpH中生にする)

    編集履歴

    2020/07/06 Mr.はりきり
    2020/07/10 追加(Buffer preparation)
    2020/07/11 追記(Refoldingの結果の評価)
    2020/08/19 追記(「はじめに」を追加、ハイドロキシアパタイト;CHT操作の追加、SDS-PAGE分析の注意点)

    以上

  • [Bio-Edu] Man5化抗体 (mAb)のPKクリアランスは2倍高い  [2020/07/04]

    [Bio-Edu] Man5化抗体 (mAb)のPKクリアランスは2倍高い [2020/07/04]

    論文の概要

    • ほとんどの抗体のアミノ酸位置297(Fc)にはグルコシル化部位がある
    • グリコシル化のパターンによっては、薬物動態(PK)、薬力学(PD)に影響を与える
    • その種類は、(1)マンノース、(2)シアル酸、(3)フコース(Fuc)及び(4)ガラクトース(Gal)が含まれる
    • 特に、マンノシル化(Man5, Man8/9)は、PKに影響しクリアランスが高くなる。その結果、薬効が不十分になる
      • 0timeで100~200μg/mLになるように投与(i.v. 10mg/kg)
      • 99% Fuc抗体では、28日後に10μg/mL
      • 99%以上Man5抗体と99%以上Man8/9抗体は同等の半減期であり、14日後に10μg/mL (図1)
    • シアル酸、N-アセチルノイラミン酸(NANA)のレベルによっては、PKに影響する可能性がある
    • グルカンであるFuc付加は、FcRIIIaとの結合性を低下させっ、ADCC活性を低下させる
    • Galレベルが低ければ、CDC活性も低くなる
    • NS0やSP2/0細胞では、「Gal1-3Gal1-4N-アセチルグルコサンミ-R」、「N-グリコリルノイラミン酸(NGNA)」などが含まれる(ヒトには存在しない)が、NS0やSP2/0の遺伝子組換え体で作られた抗体医薬品が存在している
    図1. Fuc化抗体とMan5化及びMan8/9抗体のPK

    参考文献

    Antibody Glycosylation and Its Impact on the Pharmacokinetics and Pharmacodynamics of Monoclonal Antibodies and Fc-Fusion Proteins (2015)

    https://www.researchgate.net/profile/Liming_Liu4/publication/274967692_Antibody_Glycosylation_and_Its_Impact_on_the_Pharmacokinetics_and_Pharmacodynamics_of_Monoclonal_Antibodies_and_Fc-Fusion_Proteins/links/5a5e6026458515c03ee0b245/Antibody-Glycosylation-and-Its-Impact-on-the-Pharmacokinetics-and-Pharmacodynamics-of-Monoclonal-Antibodies-and-Fc-Fusion-Proteins.pdf?origin=publication_detail

    市販の抗体とそのpIと血中半減期に関する文献。FcRnとIgGとの結合についてシミュレーションのデータあり。FcRnと結合親和性が高い抗体ほど、血中半減期は低くなる。

    Charge-mediated influence of the antibody variable domain on FcRn-dependent pharmacokinetics (2015)

    https://www.pnas.org/content/pnas/112/19/5997.full.pdf