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  • [抗体医薬] Regeneron社の抗NGF抗体 fasinumab 開発中止/NGF単独では開発は難しい [2023/12/11]

    [抗体医薬] Regeneron社の抗NGF抗体 fasinumab 開発中止/NGF単独では開発は難しい [2023/12/11]

    はじめに

    神経成長因子 (nerve growth factor ; NGF)を抗体で抑制することで変形性膝関節症の疼痛治療薬として開発が進められてきたリジェネロン社 (Regeneron)のファシヌマブ (fasinumab)が中止された.2016年当初,Regeneron社は,Teva社と共同開発を開始した.日本での開発にはMTPCが加わっていた(2017/8/17).

    NGF製品の終焉

    2020/8/18, Regeneronはfasinumabの第三相試験 (安全性,有効性)のデータを取得しているが,今後,fasinumabによる積極的な治療について独立モニタリング委員会からの勧告に従い中止すると発表した.また,長期安全性試験を継続し2021年に報告するとしていた.

    関節の状態が悪化する副作用が観られNSAIDsとの比較で有意な鎮痛効果はなかったとされた.競合するのはファイザー (Pfizer)のタネズマブ (tanezumab)EUとUSで販売申請までこぎつけたものの副作用問題により当局から却下された.

    2022/11/3, Regeneronはfasinumabの開発を中止した(*4, *5)

    雑感

    NGFのみをターゲットにした疼痛治療薬の開発は世界的にも少なくなったと考えられる(*4).

    その理由として考えられることは,NGFを抑制する抗体によるOA治験では,疼痛が無くなることで被験者の行動が活発化し逆に膝への負担が増えることで症状を悪化させてしまうものと推察できる.

    NGFは神経を再生させる生体内に備わった因子である.それを抑制することは,生体にとって合理的な事象ではないのではないと考えられる.

    アストラゼネカは,NGFとTNFの2つを抑制できる2価抗体の開発を進めている.TNFは炎症因子であることから,OA治療には炎症も同時に抑制する必要性が考えられているのかも知れない(*4).

    *1, Regeneron, Teva provide update on fasinumab clinical development programs, 2016/10/17

    Regeneron, Teva provide update on fasinumab clinical development programs | Reuters

    *2, Notice of the Start of a Japanese Phase 2/3 Clinical Study of the Anti-NGF Antibody MT-5547 in Osteoarthritis – Mitsubishi Tanabe Pharma, News Release, 2017/08/17

    e_MTPC170817.pdf (mt-pharma.co.jp)

    *3, Regeneron provides update on fasinumab program, 2020/08/18

    e5ebab0a-f9b3-461c-aeaf-47fcb4e00242 (regeneron.com)

    *4, And then there wore none: Regeneron cans last late-stage NGF drug – pharmaphorum – 2022/11/3, by Phil Taylor.

    And then there were none: Regeneron cans last late-stage NGF drug | pharmaphorum

    *5, Regeneron社がNGF阻害剤fasinumabの開発中止~猫アレルギー薬のPh3も中止 – biotoday –

    Regeneron社がNGF阻害剤fasinumabの開発中止~猫アレルギー薬のPh3も中止 (biotoday.com)

    編集履歴

    2023/12/08, Mr.HARIKIRI
    2023/12/11, 文言整備
    2024/01/03,文言整備