はじめに
その頃、PCいじりも飽きてしまっていました。NASは、まだ、おもちゃのROCKDISKを使用していた頃です。PCでメディアサーバも構築していましたが、常時稼働は消費電力が大きく、常時稼働には覚悟が必要でした。おもちゃのNASには、PCのHDDデータのバックアップの役割を担わせていました。その頃、オモチャでないNASというものの存在を知りました。自宅でサーバーとしてメディアサーバになるとか、チャンとしたデータバックアップの使い方もあるとか、色々と知るにつれて、オモチャではなくチャンとしたNASを自宅に設置して、メディアサーバーや高度なデータバックアップの用途に使用したいと考えるようになりました。そしてWordPressを構築するに至るのでした。
Synology NASの導入の最初の理由
それでも、本格的なSynology NASを購入した当時は(2018 / 11)、まさか、blogをするとは思っていませんでした。選択したNASはSynology NASには、まず、メディアサーバーを構築して家庭内で楽しんでいました。Synologyを選んだのは、ソフトウェア性能が高いと思われたからです。やっぱり使い勝手にも関わるソフトウェアは重要です。
NASを導入した当時、DiskStation Manager (DSM)に用意されているパッケージをインストールして遊んでいたアプリは以下の通りです。Audio Station、Video Station、Photo Station、などでしたが、それでも、出先から繋いで喜ぶ程度で十分でした。
Audio Station: 音楽ストリーミング
Video Station: ビデオストリーミング
Photo Station: 写真閲覧・共有
数ヶ月経過したくらいからblogでも、と思い立ったわけですが、今となっては、パックアップの選択肢が多い、BtrfsやRAID 6にも対応できるDS918+を選んだ事は、間違いではなかったと思います(2020/04/24追記)。ただ、RAID6は、個人ではやり過ぎですね。RAID6では、パリティHDDが2つ必要です。個人では、パリティHDDは1つのRAID5にしておいて、追加で古いHDDにバックアップを取る体制にしておけば十分です。
世の中は進んでいた
2018年まで10年以上の間、NASがこんなに高性能となっていたことを知りませんでした。それに、オープンソースソフトウェア(OSS)のWordPress(※)というものがあって、blogのサーバーの基本中の基本ということも。
基本的にNASのOSはLinuxが採用されています。実は、「blogのサーバー」と表現しましたが、WordPressの機能は、blogの内容の編集、訪れたネットユーザーへのレスポンス(ワン・カラムやサイド・カラムにしたり)、画像の表示、広告の表示など、いわゆる、ホームページを作成するアプリケーションです。実際にパケットを処理してレスポンスするサーバーは、実は、Apacheというwwwサーバが担っています。WordPressは、Apacheを介してinternetの世界に発信されるのです。便宜上、以下では、WordPressをblogサーバと表現します。
blogサーバは、WordPressだけではない
実は、WordPressというのは、CMS (Content Management System)と言って、その他類似するシステムがあるようです。
https://baremetal.jp/blog/2019/08/26/913/
シェアは、WordPressがトップ(34%)ですが、その他のCMSも上記のリンクに記載があります。2位は「Joomla」, 3位は「Drupal」, 4位は「Shopify」と続き、それぞれのシェアは5%以下です。詳細は、リンクをご参照ください(2020/09/24, Mr. Harikiri)。
- WordPress
- Joomla
- Drupal
- Shopify
おもちゃのNAS
これまでの約10年間、オモチャのNASやDesk TopのWindowsをメディアサーバーにしたりして遊んでいました。オモチャのNASとは、IO-DATAのRockDiskを意図していますが、もちろんOSはLinuxです。NASに採用されているLinuxでは、最小限の機能でシンプルに稼働できるようにチューンされています。
WordPressはデータベース・システム(MariaDB)を使う動的なWebサイトです。昔は、静的なフォルダー形式でページを配置していました。
それは、IBMが開発したOS/2というPC用のOSがWindowsに対抗して頑張っていた時代のことです。MicrosoftのWindows NTとIBMのOS/2には、一部同じコードが使われていた時期がありました。この事実は、MicrosoftとIBMは一時期、Windowsを共同開発したしていたためです。結局、IBMのOS/2によるPCにおけるOS地位の奪還は叶いませんでした。
- MD-DOSからWindows
- WindowsとOS/2
- UnixからLinux
- Windowsは生き残った
その頃に市販が開始された「IBM HomePage Builer」というホームページ作成ソフトを使ってローカルに自分だけのためのホームポージを作っていました。静的にページを配置(保存)して静的にリンクを貼るタイプです。目的は、自分だけの「知識のポータル・サイト」を持つことで、いつでも参照できるようにすることでした。忘れてしまいそうなことや、今後、しっかり覚えたいことなど、どんどん追加していました。今では、Synology NASが、そのかわりになっています。当時の「静的なホームページ」の作りは、構造上では至ってシンプルです。作成した目的のhtmlファイルが存在するリンクを作っていくだけです(2020/07/10追記)。
しかし、データベースを使用できないことは、その他の関連情報の自動表示など、動的な表示は全くできなかったため、必要と思われたことは、せっせとhtml文で追加するしかありませんでした。WordPressでは、データベースを使用しているので、様々なプラグイン(plug-in)、または、知識がついてくれば自分でコーディングすることで、複雑な機能を簡単に追加することができます。本当に素晴らしいことです。
レンタルサーバーの選択肢はなかった
ブログ(blog)を立ち上げる場合、自宅のPCやNASを用いずに、プロバイダーのサーバーをレンタルすことが多いと思います(レンタルサーバー)。初期投資も少なくて済むし、知識もあまり必要ではありません。不具合の対応やバックアップサービスがあったり、何よりサーバー(機器)のメンテナンスが必要ありません。
PCを長年趣味にしてきた愚か者としては、自宅から情報発信したいと思うのは抑えきれませんでした。
データ保護の観点や速度など、自宅で構(かま)えるよりは、レンタルサーバーが効率的で良いことは明らかですが、自宅にサーバーを置くという「今は茨の道」であったとしても、その向こうには「素晴らしい世界」があることを信じて、今日までコツコツとblogサイトを構築して来ました。
セキュリティについてもコツコツとやっていくことも必要です。セキュリティに関しては、NASとしての対策、WordPressとしての対策の2つに大きく分けることができます。これらは、それぞれ必要です。
NASサーバーを構築する
ひと昔では、サーバーと言えばPCでしたが、今時は、NASでサーバーをお手軽に構築できるようになりました。個人でも十分に高性能な機種を低コストで選べます。
僕の考えでは、(1) PCは、何かの作業をするGearです。複雑な作業を短時間に実施する高性能なCPU、沢山のメモリ、高解像度のディスプレイが必要です。創造的な作業を短時間にできる性能が基準軸です。(2) NASはサービスを提供するGearです。ある程度ルーチンになったことをサービスするには、PCのように高性能は、ある意味必要ではありません。サービスに必要な性能が基準軸になります。
Synology NAS – DS918+をチョイス
NASの導入は、少し奮発して2018年末にSynology NAS DS918+を購入しました。色々調べてみるとBlogサイトには、WordPressという素晴らしいサーバーアプリを使用するのが一般化しているようでした。
2020/07から、DS920+をSSD 1TBでblogを移行しました。以下の関連記事もご覧ください。サイトのレスポンスが改善すること、および、サイトに訪れてきてくれた際のHDDのアクセス音の静音化のために新規に購入して、blogを移行させました (2020/08/01 追記)。
WordPressや関連するPHPなどの書籍やネットで調べたりして、先ずはNASの構築を開始しました。
WordPressはPHPというプログラム言語が使われています。PHPは発信するページの体裁を整えるために使われています。サーバー管理者は、少し込み入った事をしようとしない限り、基本的にこのプログラム言語を理解する必要はありません。まず、基本は、テーマと呼ばれる基本プログラムを選択し、更に必要な追加機能は、沢山のプラグインから追加すれば済みます。
- 基本を提供するのが、「WordPress」であり、PHPで作られています。以下に説明するものも「PHP」で作られいます。
- WordPressでは、さらに、表示体裁やちょっとした機能を提供するために、「テーマ」を選択します。
- さらに、機能を強化したい場合は、「プラグイン」という追加機能をインストールします。
- 更に、足りなければ自分で自信で以上のコードを書き換えて好きな機能を追加できます。ここはハードルが高いです。
- 表示系では、html文のスタイルを操作できるCSS (Cascading Style Sheets)という文法の言語で定義する方法が使われます。
個人で使用する場合、プラグインは、最低限度の範囲で使用する限り費用はかかりませんが、機能アップした有償版もあるので必要に応じて購入できます。僕も5つ程度を購入(クレジットカード)しました。
現在使用している有償版プラグイン
当初 | 現在(2022/02) | |
1 | Cool Timeline Pro | 更新せず使用継続 |
2 | Encyclopedia Pro (1年のサブスクリプション) | 更新せず使用継続 (レスポンスが遅くなるので、代替処理のための自作コードを開発注。その内アンインストール予定) |
3 | EWWW (画像数に応じた支払い) | 画像数が増えて追加支払いで使用継続 |
4 | Advanced Ads Pro (1年のサブスクリプション) | 2回の更新で使用継続 (使用していない機能が多くコスパが低いので自作コードに置き換え処理注) |
5 | (ポストと画像の配置を綺麗にしてくれるプラグイン, プラグイン名は失念) | AMP非対応でありレスポンスが遅くなるため、今は使用してない。 |
外付けHDD
データのバックアップとしてUSB接続で外付けHDDを使用しています。個人的な実績として信頼性があるのは、センチュリーのHDDケースです。
必要なマシーンとプログラム (基礎編)
- 自宅でNASの構築(出先からのアクセス管理、セキュリティ)
- WordPress (ページの体裁等、サーバー管理者の思いを具体化してApacheに繋げる)
- NASにインストール
- WordPress用のプラグイン・ソフト : 画像表示、投稿の表示、広告の表示、など色々あります。
- Apache HTTP Server (クライアント端末との通信を担うサーバーソフト)
- NASにインストール
- MariaDB (blogなどの文書や動画などは、個別のファイルとして、このデータベースに登録され検索される)
- NASにインストール
- 動的ホームページ構築のエンジンです
- PHP (WordPressのphpファイルをプログラム言語として処理する)
- NASにインストール
- バージョンが、5や7があります。blogサイトのレスポンスは、5は最悪です。7以降を使いましょう。
アプリ/ツール
先ずは、NASのパッケージセンターから、DSM (Disk Station Manager)用の必要な機能を選び、NAS用のアプリとしてインストールできます。アプリをインストールするとは、基本的にNAS上にサーバーを置くことを意味します。アプリには、Microsoftの「one note」と同様のことができる「note station」やメディア関連では、「メディアステーション」や「Audio Station」などがあります。出先からNASにアクセスできます。
次に、Windowsやモバイル(携帯電話など)から操作するためのアプリとしてPC用であれば、「Download Center」で取得してインストールできます。これは、基本的にNASに対するアクセス・ツールです。
Download Center – Synology –
https://www.synology.com/en-global/support/download/DS918+#utilities
最後に、モバイル用のアプリは、iPhoneを使用しているのであれば、App Storeでアプリをインストールできます。「ds」、「synology」で検索できます。これは、NASの管理ツールであったり、クライアントとしてのアプリであったりの機能が使えるようになります。
参考
結局、大変参考になったのは、ネットからでした。Synology NASとWordPressを使って基礎からシステムを構築されて、情報発信されている観音寺さんの「ホームネットワーク研究所」は、丁寧に解説されています。
私みたいな新参者でも理解が助けられます。1から10までお世話になっているサイトです。
以下の事を実現させたい方には、力強いサイトなので是非訪れてみてください。
- Synology NASの運用、関連ツールの設定
- WordPressの導入と設定
ホームネットワーク研究所 : https://nw.myds.me
Synology NASの型番について
Synology NAS製品の型番について分かっている範囲で説明します。
- DSは、「DiskStation」を意味しています。
- RSは、Rack mount型です。「RackStation」と明記されています。
- SAは、Rack mount型です。明記されていなので、憶測ですが「Storage Achiever」では無いかと、説明文から理解しました。
- FSは、Rack mount型です。「FlushStation」と明記されています。link
- 「9」は、拡張ボックスを使って可能な最大のドライブスロット数です。
- 「20」は、発表した年の下二桁
- 「+」は、不明ですが、無印の型番から少し機能を向上させたものと理解できます。
- DS920+とDS720+は、数字から拡張ボックスを使用して可能なドライブスロットの最大数の違い(9と7)だけです。CPUなどは同一なので性能は同等です。
- 因みに、DS920+のWeb Serverとしての反応性能スコアは、下のグラフから10862です。一方、DS1621xs+のWeb Serverとしての反応性能スコアは、64730です。DS920+の約6倍です。
更に高性能なNAS
現在は、DS920+でblogのサーバーを立ち上げていますが、Serverのレスポンスに不満を持っています。実は、DS920+にはHDDスロットの4つ全てを使用してSSDでRaid5を構築しているのですが、DS918+のようにメモリ(標準システムメモリ: 4GB)の追加(8BGx2)やキャッシュ(SSD)の追加はしていません。それでもSSDの構成ではシステムの再起動は数十秒で完了します。DS920+をフルスペックする手もあるかもしれません。それでも、基本性能として更に高性能なNASを触ってみたいのです。ネット回線の問題もあるかも知れないので、持っている不満は解決するかはわかりません。
DS920+のカタログ
DiskStation DS920+
https://www.synology.com/en-global/products/DS920+
Scalable NAS with SSD cache acceleration capability
DS920+ Data Sheet
https://global.download.synology.com/download/Document/Hardware/DataSheet/DiskStation/20-year/DS920+/enu/Synology_DS920_Plus_Data_Sheet_enu.pdf?_ga=2.14052148.2022724892.1636367018-1993726491.1635251237
DS920+とDS720+のカタログ比較 – Synology –
https://www.synology.com/en-global/products/compare/DS920+/DS720+
因みに、その内に導入したいと考えているNASはDS1621xs+です。DS1621xs+とDS920+の比較が、下のリンクに示されていますが、PHP反応性能は約6倍です。
DS1621xs+は、High End NASと説明されており、採用されているCPUは、DS920+搭載のものより高性能である「Intel® Xeon D-1527 4-core 2.2 GHz」です。具体的な性能比は、DS920+が10,000程度、DS1621xs+が60,000程度と約6倍のPHP反応性能差があります。それに見合うだけの周辺性能(メモリ、3つのLANポートの内1つは10G)が付加されています。価格も高価で約3倍です(DS920+が約7万円、DS1621xs+が約21万円)。
DS1621xs+とDS920+のカタログ比較 – Synology –
https://www.synology.com/en-global/products/compare/DS920+/DS1621xs+
DS1621xs+のカタログは以下のリンクを参考にしてください。
メモリーは、ECC(Error-Correcting Code)メモリーが使用できます。ECCメモリーは、金融機関や高度な化学計算において1ビットでもエラーが許されない分野で使用されているメモリーです。
DiskStationDS1621xs+
High-end scalable NAS in desktop form factor
https://www.synology.com/en-global/products/DS1621xs+
DS1621xs+は、Rack mount型の高性能なServerと比較しても、約半分の性能まで迫っています。Desk Top型のNAS Serverとしては、相当な高性能です。
Performance
Synology strives to enhance the performance of our NAS with every software update, even long after a product is launched. For enterprises and users that demand uncompromising performance from their servers, check the figures below to find the most suitable choice.
https://www.synology.com/en-global/products/performance#sa_and_xs_plus
実は、2021年年末に、DS1621xs+を購入しました。WD 8TB HDD Red Plus x 2とDS918+から抜いたRed HDD x 4の合計 6HDDの構成です。今はPlexを導入してホームサーバーとして性能を確認中です。その内、レポートします(2022/01/04, by Mr.HARIKIRI)。
まとめ
この記事では、Synology NASを使ったblogサイトの立ち上げの取っ掛かり、および、近況(2022/01/04)について記事にしました
関連記事
編集履歴
2019/05/06 はりきり(Mr)
2020/04/24 追記(関連記事)、読み返した感想です。もう1年も経ち懐かしく思い出しました。
2020/05/01 追記(レンタルサーバーの良さについて) 2020/07/10 追記(静的ホームページ)
2020/08/01 文言整備、追記(DS920+について)
2020/08/10 追記(OS/2とWindows NTは、元々同じOSだった)
2020/08/15 文言整備
2020/09/24 追記(WordPress以外のCMS)
2021/02/12 追記(文言整備、バックアップとセキュリティ関連の記事リンク)
2021/08/28,追記(アプリ/ツール)
2021/11/18,追記(その内、High End NASと銘打っているDS1621xs+を導入したい)
2022/01/04,追記(購入した有償版プラグインリスト)
2022/02/06,コード修正(Adsense関連Pluginを自前コードに置き換え)
2022/02/13,Post ID212は編集画面の表示ができず内容の修正ができなくなったため(アクセス数518)、新しいPost (ID37765)に転記し、Redirect処理した。
2022/06/10, 文言整備