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昭和30年代、その男は、大型トラックの長距離運転手でした。北は青森、西は鹿児島と陸が続く所へはどこにでも荷物を運びました。ある日、大型トラックを整備していました。フロント周りの点検をしていた時、向かい合わせに停車していたもう一台の大型トラックが動き出しました。その人は、びっくりして突差に肩をすぼめ両肩で挟まる形で体の位置をとりました。両手は、下に向けたまま二台の大型トラック挟まれました。徐々にトラックは動いていました。肋骨・鎖骨が折れる音が聞こえました。その人は、やっとの思いで、同僚の名前を叫びしました。やっとのことで、トラックは、止まりました。昭和30年代のはなしです。上半身にギブスをして1~2ヶ月間入院しました。食事を取るのも両手が動かせないので、1人では食べれませんでした。その人のパートナーが、病院に通って、食事を食べさせました。もしも、挟まれる瞬間、両肩で挟まれる体勢にしなかったら、内臓は、すぐに潰れていたでしょう。悪運が強い人のはなしでした。
後日談。ギブスが取れてからは、背中に電気を受ける治療が始まりました。電気治療といっても患部を温める装置のことです。背中の接触部分が暖かくなります。その人は、熱ければ熱いほど治りやすいと思いました。我慢をし続けました。背中に火傷を負いました。火傷の跡は、その後、30年以上残りました。