ポリオウイルス
脳のグリア細胞に感染するウイルス。数%で弛緩性麻痺を引き起こす。
- 直径30nm、RNAウイルス
- 約7,500bpからなる1本鎖RNA(ssRNA)のブラス鎖ゲノム
- プラス鎖RNAを鋳型としてマイナス鎖RNAが複製される
- マイナス鎖RNAから多数のプラス鎖RNAが合成され、カプシドに封入され、娘ウイルス粒子が完成し、細胞外に放出される
- エンベロープを持たない
- カプシドタンパク質で、正20面体を構成
- 感染は、受容体CD155を介する (脳のGlioma Cellに多い)
- CD155に結合した後、エンドサイトーシスで細胞内に侵入し、細胞内でRNAが放出される
- ウイルスRNAは、IRES(リボソーム進入領域)依存的に翻訳される
- IRES : internal ribosome entry siteは、ポリオウイルスの740塩基あまりの5’-NCRのうち5つのstem-loop構造にまたがる400塩基程度の領域。
- 弱毒株は、消化管では増殖し免疫誘導するが、神経毒素としては低い。その理由は、IRESの変化にあると言われている
細胞溶解性を利用して
脳の細胞に感染することを利用して、脳腫瘍の治療用ウイルスとして開発が行われている。
- IRESをヒトライノウイルスに置き換えて、ポリオを起こさない組換えたポリオウイルスを作り、悪性脳腫瘍グリオブラストーマを溶解し殺す治療法の臨床試験が行われている
悪性脳腫瘍(グリオブラストーマ)をポリオウイルスで治療する – Yahoo News, 2018/7/19, 西川伸一 | NPO法人オール・アバウト・サイエンスジャパン代表理事
https://news.yahoo.co.jp/byline/nishikawashinichi/20180719-00089821/
Poliovirus To Treat Brain Cancer: A Curious Chronology (2017)
ポリオウイルスはグリア細胞のCD155抗原と親和性があり感染することができ。脳腫瘍の一種である「」の腫瘍細胞を溶解させて腫瘍の治療効果があり、臨床試験も行われている。
https://dnascience.plos.org/2017/09/28/poliovirus-to-treat-brain-cancer-a-curious-chronology/
ポリオウイルス – Wikipedia –
https://ja.wikipedia.org/wiki/ポリオウイルス
6. ポリオウイルスの標的組織特異性決定構造 – ウイルス 第54巻 第2号, pp.205-212, 2004 –
IRESに関する記述がある。
http://jsv.umin.jp/journal/v54-2pdf/virus54-2_205-212.pdf
編集履歴 2020/11/14 Mr.Harikir