[用語] 善玉コレステロール: HDL-C

HDL-C

善玉コレステロールと考えられてきたHDL-Cは、高くても低くても良くないことが分かってきた。悪玉であるLDL-C: low-density lipoprotein cholesterol は、低い方が良く、スタチンなどの薬剤が使用される。

コレステロールは、細胞膜の形成に必要な成分であり、ホルモンや胆汁酸の出発材料でもある「あぶら」である。しかし、エネルギーとして消費されない。

コレステロールは疎水性であり、水に溶けることはなく油玉の状態になるため、血中においても同様に油玉となり生命にとってよろしくない。そこで、体内でのあぶらの扱いは、lipoproteinと呼ばれるある種のタンパク質があぶらを包み込み、そのlipoproteinのタンパク質としての親水性を活かして、血中での問題とならない状態にしてくれている。その状態の時をHDL-CやLDL-Cと表現する。(H: high, D: density, L: lipoprotein , C:cholesterol)

HDLとLDLの比較

  • HDL
    • High Density Lipoprotein
    • 抹消組織の過剰なコレステロールを運び出し、直接的、間接的に肝臓に取り込ませる
    • 比重が1.063 ~ 1.210
    • 直径 : 7~10nm (LDLの半分程度)
    • 構成成分
      • Apo-Lipoprotein (A-I, A-II, E)
      • cholesterol
      • リン脂質
      • トリグリセライド (TG)
    • あぶら成分が少ないため、LDLより比重が大きい
  • LDL
    • 粒子が不均一
    • Low Density Lipoprotein
    • 抹消組織へのコレステロールの供給
    • 比重が1.019 ~ 1.063
    • 直径 : 18 ~ 25 nm
    • 構成成分
      • Apo-Lipoprotein B (分子量540 kDa)
      • cholesterol
      • りん脂質
      • トリグリセライド (TG)
    • 泡沫細胞 : 大量のコレステロールを蓄積した細胞
      • 酸化などの修飾を受けた変性LDLがマクロファージのスカベンジャー受容体を介して取り込まれる
    • 亜群
      • small dense LDL
        • 粒子径が小さい
        • 大きい比重
      • large buoyant LDL
        • 粒子径が大きい
        • 小さい比重
        • 動脈硬化惹起性が高い

参考文献

HLDはまだ死んでいない – 生物工学 第98巻 第10号 (2020) p536 –

総コレステロール(TC)、HCLC、LDL-C

http://www.jrcla.or.jp/kensanohanashi/img/h24_06.pdf

Small dense LDL – 心臓 Vol. 43 No.4 (2011)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/shinzo/43/4/43_444/_pdf

編集履歴

2020/11/06 Mr.Harikir