はじめに
2021年の薬機法改正に伴い、GxP制度における規制文言や実務運用に重要な変更がなされました。特に、GMP、GCTP、QMSの各省令では、それまで使用されていた「製造管理及び品質管理の基準」という表現が廃止され、「遵守すべき事項」という法的義務を明示する文言に統一されました。これは、従来の「基準」が行政指導的性格を持ち、法的拘束力の曖昧さを含んでいたことを是正するためのものであり、製造販売業者や製造業者に対する法令遵守責任の明確化を図った改正です。
この文言変更は、単なる表現の更新ではなく、適合性調査や行政処分において、明確な遵守義務があることを示すための重要な制度的転換です。そして、それを支える手段として、各作業の標準化と再現性を担保するSOP(標準作業手順書)の整備と運用の重要性が大きく高まりました。GMPでは製造・品質試験の標準化、GCTPでは無菌操作や細胞操作の一貫性確保、QMSでは設計管理や是正措置の明確化など、SOPはGxP活動の中心的な要素として位置づけられています。改正以降、SOPは単なる参考資料ではなく、「遵守すべき事項」を実務で実行している証拠=法令遵守の根拠文書として重視されています。
一方で、GDP(流通管理)、GVP(製造販売後安全管理)、GPSP(製造販売後調査)などのGxP領域では、引き続き「基準」という表現が使用されています。これらは製造承認要件とは異なり、ガイドライン的・行政指導的性格が強く、2025年現在においては「遵守事項」への変更は行われていません。ただし、GDPでは温度管理や偽造品対策の強化が求められており、将来的に法的拘束力の強化や「遵守事項」化の動きが進む可能性があります。
総じて、今回の薬機法改正を契機に、GxP運用の実効性と信頼性を担保する要素として、SOPとその実運用の整備がかつてないほど重視されるようになったことは明白です。企業にとっては、SOP体系の整備、教育訓練の履歴管理、実作業との整合性確保が、品質保証と法令遵守の両輪として求められています。
GxPにおける「基準」文言廃止の背景・目的・影響比較表
区分 | GMP(医薬品) | GCTP(再生医療等製品) | QMS(医療機器・体外診断用医薬品) | 備考 |
---|---|---|---|---|
旧文言(改正前) | 製造管理及び品質管理の基準 | 同左 | 同左 | 各GxP省令の正式名称にも「基準」が含まれていた |
新文言(改正後) | 製造管理及び品質管理における遵守すべき事項 | 同左 | 同左 | 省令名は変わらず、内部表現が変更された |
変更時期 | 2021年8月1日施行(2021年7月30日公布) | 同左 | 同左 | 薬機法(令和元年改正法)の施行にあわせて一斉に施行 |
法的背景 | 改正薬機法(令和元年法律第63号) | 同左 | 同左 | 安全対策強化を目的とした法改正に基づく省令見直し |
目的①:法的拘束力の明確化 | 「基準」は努力義務とも取れるため、「遵守すべき事項」とし法的義務化 | 同左 | 同左 | 「行政指導」との線引きを明確にし、処分の根拠とする |
目的②:適合性調査の明文化 | 適合性調査は「遵守事項」の確認として明確化 | 同左 | 同左 | 調査の法的根拠を省令内に明示 |
目的③:国際整合性 | PIC/S GMPとの整合を図る | EU再生医療規制・米FDA対応 | ISO13485との整合 | 海外査察や相互承認に対応しやすい構成に |
目的④:不適正製造の再発防止 | 例:小林化工事件など | 再生医療等製品の無届製造事例 | 医療機器の安全性問題 | 信頼確保と社会的説明責任の明確化 |
実務への影響①:SOP修正 | 「GMP基準に従う」→「遵守事項に従う」などへ修正必要 | 同左 | 同左 | 省令や社内文書の文言精査が必要 |
実務への影響②:教育訓練 | 「基準」概念の再定義、法令遵守強化の教育が必要 | 同左 | 同左 | 教育・文書・記録類の見直しが推奨される |
該当省令名 | 「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理に関する省令」(厚生労働省令第179号) | 「再生医療等製品の製造管理及び品質管理に関する省令」(厚生労働省令第93号) | 「医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理に関する省令」(厚生労働省令第169号) | 名称には「基準」が含まれていないが、条文で「基準」という語が使われていた |
解説まとめ
2021年の薬機法改正に連動したGxP省令改正では、以下のような共通目的のもとで「基準」という用語が廃止されました:
- 法令遵守の実効性確保:企業の法的責任をあいまいにしないよう明確化
- 行政処分の根拠強化:不備発生時に根拠条文として機能するよう整備
- 国際規制との整合性:GMPはPIC/S、QMSはISO13485、GCTPはEU再生医療規制に対応
- 社会的信頼の回復:過去の不適正事例への対応として、信頼性を再構築
今後の動向(2025年時点)
- GMP・GCTP・QMSは明確に“遵守事項”化(義務)
- GDPはまだ“基準”としての形式が残る(指針的)
- ただし、医薬品卸売販売業者・物流業者の査察制度の強化などに伴い、GDPの義務規定化・罰則付き法制化の可能性があるとの議論も進行中(特に温度管理・偽造防止・追跡性等)。
基準の継続/廃止となったGxP
Q:
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ChatGPT:
はい、2025年現在において**「基準」という用語を継続して使用しているGxPはGDPの他にも存在します**。以下に詳細を整理して解説します。
「基準」という用語が継続使用されているGxP
GxP区分 | 現在の状況(2025年時点) | 法的文書上の表現例 | 備考 |
---|---|---|---|
GDP(適正流通) | ✅ 継続使用 | 「医薬品の適正流通基準に関する省令」 | 指針的性格が強いため、遵守事項とは未転換 |
GVP(製造販売後安全管理) | ✅ 継続使用 | 「製造販売後安全管理の基準」 | 製造販売業者に義務付けられるが、「基準」表記のまま |
GPSP(製造販売後調査) | ✅ 継続使用 | 「製造販売後調査の基準」 | 治験に準ずる調査の実施基準として継続使用 |
「基準」廃止済みのGxP(遵守事項化されたGxP)
GxP区分 | 現在の状況 | 備考 |
---|---|---|
GMP | ❌ 廃止済 | 「遵守すべき事項」に改正(2021年) |
GCTP | ❌ 廃止済 | 同上 |
QMS | ❌ 廃止済 | 同上(ISO13485との整合) |
なぜ「基準」が一部GxPで残されているのか?
理由 | 内容 |
---|---|
制度上の位置付けが異なる | GMP等は「製造承認要件」だが、GDP/GVP/GPSPは「製造販売後の活動」に焦点を当てている。 |
義務の形式が緩やか | GDPやGVPは“ガイドラインに準じる運用”であり、現時点では違反時の処分体系も緩やか。 |
国際整合性の観点 | GDP(PIC/S GDP)、GVP(ICH E2E)、GPSP(ICH GCPに類似)など、既存の国際ガイドラインに「standard(基準)」としての整合を取っている。 |
今後の展望
GxP | 今後の見込み |
---|---|
GDP | 温度管理・偽造防止強化のため、義務規定化=「遵守事項」化の可能性あり |
GVP | ファーマコビジランス規制の強化に伴い、一部法制化・遵守事項化される可能性 |
GPSP | PMS(製造販売後調査)の信頼性確保のため、義務強化が進む可能性あり(とくにPMSデータの信頼性問題対応) |
まとめ
2025年現在、「基準」という表現を継続使用しているGxPは以下の3つです:
- GDP(適正流通基準)
- GVP(製造販売後安全管理基準)
- GPSP(製造販売後調査の基準)
これらは製造承認要件とは異なる領域であり、ガイドライン的・行政指導的性格を強く残しているため、「遵守すべき事項」への置換は現時点では行われていません。
SOPの位置づけ
Q:
薬機法の改正によりGxPにおけるSOPの位置づけが重要視され明確化されたと思うが,背景と目的などについて解説して
ChatGPT:
はい、2021年の薬機法改正により、GxPにおけるSOP(標準作業手順書)の位置づけは、従来以上に明確化・重視されるようになりました。これは単なる文書整備の強化ではなく、品質保証体制の実効性確保と法令遵守の裏付けとしての重要性が強調された制度的な転換点です。
SOPの法的・制度的位置づけ強化の背景
背景 | 内容 |
---|---|
薬機法改正(令和元年法第63号) | 製造販売業者・製造業者の責任強化と法的義務の明確化が図られた。これにより、GMP省令等で要求される「遵守すべき事項」の具体的実行手段としてSOPが必須の裏付け文書となった。 |
品質不正・不適合製造の多発 | 小林化工や日医工等の事件を受け、SOPの形骸化や不備が重大な品質問題を引き起こしたことが社会問題化。文書管理・教育訓練の実効性が再評価された。 |
国際規制(PIC/S、ICH)との整合 | PIC/S GMP、ICH Q10等では、「品質システムの根幹は文書化された手順である(=SOP)」とされており、日本の制度もこれに歩調を合わせた。 |
SOP明確化の目的
目的 | 説明 |
---|---|
法令遵守の実効性確保 | 省令で定める「遵守事項」を実際の業務として確実に履行するために、SOPを通じて業務を標準化・定型化。これにより、誰が実施しても逸脱のない業務運用を保証。 |
説明責任(アカウンタビリティ)の強化 | 調査や査察時に、「なぜその作業を行ったのか」を説明するには、SOPに基づいた行動であることの証明が必要。法的・倫理的な説明責任の根拠となる。 |
教育訓練との一体化 | SOPは単なる手順書ではなく、教育・力量評価の基礎文書。GxP改正では、教育訓練の実施記録とSOPの整合性も確認されるようになった。 |
変更管理・リスク管理との接続 | 改訂履歴・変更理由が追えるSOP体系が、リスクベースアプローチや変更管理プロセスの信頼性を支える。品質マネジメントシステムの根幹として重視。 |
実務上の具体的な強化ポイント
項目 | 対応例 |
---|---|
SOPの改訂管理 | 版管理、承認履歴、定期見直しの実施(例:2年に1回の見直しルール) |
教育訓練との整合 | SOP改訂時の再教育、訓練記録とリンク付け |
適合性調査の対応 | 「SOPに基づく作業証拠」を記録類から提出できるよう準備 |
実態との一致 | 「SOPどおりに現場が動いているか」の実地確認が査察で重視される |
まとめ
薬機法改正により、GxPで求められる「遵守すべき事項」が明文化されたことで、それを現場で具体的に実施・保証する手段としてのSOPの重要性が飛躍的に高まりました。SOPはもはや「参考資料」ではなく、「法令遵守の証明手段」そのものです。
SOPは、品質システム、教育訓練、変更管理、監査対応などの中心的な文書として、GxP実務の基盤となっています。
SOPが重視されるGxP
Q:
SOPが重要視されるように改定された具体的なGxPについて解説して
ChatGPT:
SOP(標準作業手順書)が制度的に「重要視されるように改定されたGxP」には、特に以下の3つが該当します。これらは2021年の薬機法改正および関連省令改正を契機に、SOPの明確な法的位置づけが強化されました。
1. GMP省令(医薬品)
項目 | 内容 |
---|---|
改正内容 | 2021年改正により、**「基準」→「遵守すべき事項」**に変更され、SOPは「製造管理・品質管理の遵守事項を実行するための具体手段」として明確に位置付けられた。 |
SOPの役割強化 | 品質試験、製造記録、逸脱管理、変更管理、教育訓練などすべてにSOPの整備・運用が求められる。 |
査察上の指摘傾向 | 「SOPが存在しない」「SOPと実作業の不一致」「SOP未訓練者による作業」などが重大なGMP違反とみなされる。 |
2. GCTP省令(再生医療等製品)
項目 | 内容 |
---|---|
改正内容 | 2021年8月の改正により、GMPと同様に「遵守すべき事項」が明文化され、細胞・組織の取り扱いに関するSOPの必要性が明記された。 |
SOPの特殊性 | 無菌操作、細胞培養、工程内の判定基準など、技術的再現性とヒューマンエラー防止の観点でSOPが不可欠。また、施設特有の作業も多く、個別最適化されたSOPの整備が重要。 |
リスク管理との連動 | 再生医療は製品特性上バラツキが大きいため、SOPによる手順管理がリスク低減の要とされている。 |
3. QMS省令(医療機器・体外診断用医薬品)
項目 | 内容 |
---|---|
改正内容 | ISO13485と整合性をとる形で改正され、「プロセス管理に関する手順書=SOP」の整備が制度上必須に。 |
SOPの強化ポイント | 設計管理、文書管理、トレーサビリティ、是正・予防措置(CAPA)など全てのQMSプロセスにSOPが必要。 |
実務上の注意点 | ISO認証・GVP準拠を求める市場もあるため、英文対応や文書構成の整合性も重視される。また、電子記録・電子署名(ER/ES)との接続性も求められる。 |
SOPが重要視されるようになった主な理由(共通事項)
観点 | 説明 |
---|---|
法的義務化 | 「基準」から「遵守すべき事項」へ改正され、実行の裏付けとしてSOPが必須の法的根拠に。 |
品質不正の再発防止 | 文書化されていない手順による独自運用や逸脱行為が問題視され、SOPの整備・運用の厳格化が必須に。 |
査察重視 | PMDA査察や海外査察(FDA、EMAなど)でSOP不備が**重大な指摘(Major/critical finding)**となる傾向が強まっている。 |
まとめ
GxP省令 | 改正でSOPが重要視されたポイント |
---|---|
GMP | 製造・品質管理のあらゆる作業の文書化義務。逸脱・教育訓練との接続も強化。 |
GCTP | 無菌・細胞操作における作業再現性・安全性担保のためのSOPが必須。 |
QMS | 医療機器の全ライフサイクルにおけるSOP整備が国際規格と一体化して要求。 |
GMP, GCTPおよびQMSとは
GMP, GCTPおよびQMSとは?
Q:
GMP, GCTPおよびQMSについて比較し解説して
ChatGPT:
以下に、GMP(Good Manufacturing Practice)、GCTP(Good Cell and Tissue Practice)、QMS(Quality Management System)の3つの制度(いずれも薬機法に基づくGxP)の目的・対象・適用製品・運用特徴などを比較しながら解説します。
GMP・GCTP・QMSの比較表
比較項目 | GMP(医薬品) | GCTP(再生医療等製品) | QMS(医療機器・体外診断薬) |
---|---|---|---|
正式名称 | 医薬品および医薬部外品の製造管理および品質管理に関する省令 | 再生医療等製品の製造管理および品質管理に関する省令 | 医療機器および体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理に関する省令 |
法的根拠 | 薬機法第14条、第43条等 | 薬機法第23条の21〜24 | 薬機法第23条の2〜5 |
適用対象 | 医薬品、医薬部外品 | 再生医療等製品(細胞加工製品・遺伝子治療製品など) | 医療機器、体外診断用医薬品 |
主な対象業態 | 医薬品製造業 | 再生医療等製品製造業 | 医療機器製造業、体外診断用医薬品製造業 |
目的 | 医薬品の品質の一貫性と安全性の確保 | 細胞・組織由来製品の個別性・変動性に応じた安全確保 | 製品の設計から出荷後までの品質確保 |
品質保証の特徴 | 製造記録・試験結果に基づく一貫性管理 | 原材料〜患者投与までの工程全体の追跡と管理 | 設計管理・リスク管理・文書管理が中心 |
リスク管理の視点 | 工程管理・逸脱管理 | ヒト細胞・組織の感染リスクや個体差管理 | 設計時点でのリスク評価(ISO14971ベース) |
適合性調査 | GMP調査(PMDA/都道府県) | GCTP調査(PMDA/都道府県) | QMS調査(PMDA/都道府県) |
関連国際規制 | PIC/S GMP、ICH Q7、Q10 | 特段の国際統一規制はない(日本独自制度) | ISO 13485:2016 に準拠 |
主な管理項目 | 製造管理、品質試験、逸脱・変更・教育・文書 | 細胞操作、培養、無菌管理、バリデーション、文書 | 設計・文書・供給者管理・CAPA・内部監査 |
改正の影響(2021) | 「基準」→「遵守すべき事項」、SOP・訓練強化 | 同上(細胞特有の管理も含む) | 同上(設計・文書・リスク管理との接続強化) |
補足解説
● GMP(医薬品向け)
- 主に化学合成品・バイオ医薬品などの製造に関する規範。
- 品質試験や設備管理が中心で、品質の再現性と均一性を重視。
- 改正後はSOPの運用記録、逸脱管理の厳格化が必須。
● GCTP(再生医療等製品向け)
- 対象は細胞・組織・遺伝子治療製品など、個別性の高い医薬品類型。
- 無菌性、感染防止、投与前の確認工程が重視される。
- 記録性・トレーサビリティの確保が特に重要。
● QMS(医療機器・体外診断薬向け)
- 設計・開発段階から出荷後までの製品ライフサイクル全体を対象とする。
- ISO13485準拠の文書管理・リスク管理システムとして構築。
- 設計変更管理やCAPA(是正予防措置)が重視される。
まとめ
GxP制度 | 品質管理の中心視点 | 管理対象の特異性 |
---|---|---|
GMP | 製造・試験の一貫性確保 | 医薬品・バイオ製品の「均一性」 |
GCTP | 細胞・組織の工程管理 | 個体差・無菌性・感染リスク |
QMS | 設計・開発から出荷後まで | 設計品質・安全性の予防的管理 |
その他改定により重要視された項目
Q:
そのた重要視されるようになった項目はあるか?
ChatGPT:
はい、2021年の薬機法改正およびそれに伴うGxP省令(GMP、GCTP、QMSなど)の見直しにより、SOP以外にも複数の重要項目が制度的・実務的に重視されるようになりました。以下に、その主な項目を背景・目的とともに示します。
1. 逸脱管理(Deviation Control)
項目 | 内容 |
---|---|
改正後の強化点 | 逸脱が発生した際の報告、調査、再発防止策の記録・実施が明文化され、査察でも重点確認対象に。 |
目的 | トラブルを未然に防ぎ、継続的改善(CAPA)につなげる仕組みとして不可欠。 |
SOPとの連動 | 逸脱処理手順や記録様式はSOPに明確に定義する必要あり。 |
2. 変更管理(Change Control)
項目 | 内容 |
---|---|
改正後の強化点 | 製造・試験・設備・人員・手順などの変更に対するリスク評価と承認手続きが、遵守事項として明示された。 |
目的 | 安易な変更による品質リスクを防止し、規格外製品の発生を抑える。 |
運用要点 | 変更履歴の一元管理、変更影響評価書、SOP・記録類の整合性維持。 |
3. 教育訓練(Training)
項目 | 内容 |
---|---|
改正後の強化点 | 教育訓練の実施だけでなく、訓練記録の文書化・更新状況の監査対象化が明確化された。 |
目的 | 従業員がSOPや法令遵守の内容を理解し、正しく実行できるようにするため。 |
対応例 | 年次教育計画の策定、改訂SOPに応じた再訓練、理解度確認の試験記録など。 |
4. 記録の信頼性(Data Integrity)
項目 | 内容 |
---|---|
強化背景 | GMP違反やデータ改ざん問題を受け、「記録が真実を反映しているか」が重視された。 |
対応指針 | ALCOA原則(Attributable, Legible, Contemporaneous, Original, Accurate)に基づいた記録管理。 |
電子記録の場合 | ER/ES指針や監査証跡の記録・保存も義務対象に。紙と電子での整合性も問われる。 |
5. 品質リスクマネジメント(Quality Risk Management)
項目 | 内容 |
---|---|
強化の背景 | ICH Q9改訂の流れを受けて、あらゆる品質判断においてリスクベースのアプローチが求められるように。 |
実務対応 | 変更管理・逸脱処理・供給者管理等の意思決定にFMEAなどのリスク評価法を導入。 |
文書化 | リスク評価とその根拠、対応方針は記録に残すことが必要。査察でも重要視される。 |
6. 供給者管理(Vendor / Supplier Qualification)
項目 | 内容 |
---|---|
改正の影響 | 原料・資材・委託先等の選定にあたり、適格性評価の記録と再評価の仕組みが必要とされた。 |
目的 | 外部由来のリスク(汚染、品質不均一など)をコントロールする。 |
例 | 委託業者との品質取り決め書(Quality Agreement)、査察報告、定期監査など。 |
まとめ:SOPと並んで重要視されたGxP項目(2021年改正以降)
項目 | 重視される理由 |
---|---|
逸脱管理 | 品質トラブルの記録と是正プロセスの可視化 |
変更管理 | 品質変動やリスクの予防的管理 |
教育訓練 | 実作業者によるSOP遵守と責任の自覚 |
記録の信頼性 | データ改ざんや記録漏れの防止(ALCOA原則) |
品質リスクマネジメント | 全体品質の設計・改善の基盤 |
供給者管理 | 外部起因リスクへの予防措置 |
編集履歴
2025/05/22, Mrはりきり