[GMP] CAPAとは?GMP/QMSにとって重要なツール/プロセスである.是正措置のみに止まっていないか? – 運用体制を含め具体的にどうするか [2025/04/03]

Gmp

CA (是正措置)とPA(予防措置)の切り分け

ケース1:OOTが単発で発生、再現性なし

  • 状況:安定性試験の結果がOOT。ただし、再試験や他製品では正常。原因は分析環境由来の可能性が高い。
  • 判断に迷う理由:問題が再現されず、リスクが限定的に見える。
  • 判断のヒント
    • 同様の分析環境で他製品の試験も行っているなら、PAの実施(横展開)を検討
    • 少なくとも、分析環境の点検や校正頻度見直しを推奨。

単発でも、再発リスクや他製品への波及があればPA対象に!


ケース2:OOSが発生し、是正(CA)は済んでいるが、同一設備で他製品も製造している

  • 状況:OOSが特定製品で発生し、調査により設備パーツの摩耗が原因と判明。パーツ交換でCAは完了。
  • 判断に迷う理由:その設備を使っている他製品では異常なし。
  • 判断のヒント
    • 他製品にリスクが“理論的に”あるなら、PAとして保全プランや点検周期の見直しを検討。
    • 横展開しない場合は「なぜ不要と判断したか」を文書化しておくことが重要

他製品に“可能性”があるなら、PAを立案 or 評価記録を残す。


ケース3:監査で「手順書に不備がある」と指摘されたが、問題はまだ発生していない

  • 状況:内部監査で「手順の記載に曖昧な部分がある」と指摘された。現時点でミスや不適合は出ていない。
  • 判断のヒント
    • 問題が起きていない=CA不要だが、リスクがある=PAは実施すべき
    • 手順書の見直しや教育実施は、立派なPAに該当。

問題が“起きる前に対応”できる貴重なケース=PAの本領発揮。


CAPA文書内でのCAとPAの書き分け例

以下はCAPA計画書内の記載例です:


【CAPA計画書の抜粋例】

項目内容
CAPA No.CAPA-2025-017
対象事象製剤工程における充填ミスによるOOS発生(過量充填)
根本原因充填機のセンサーずれ。定期点検が未実施だったことが原因。
是正措置(CA)・該当ロットの隔離および評価
・充填機センサーの調整および再校正
・充填担当者への再教育
予防措置(PA)・同一機種の全製品についてセンサー点検を実施
・設備保守計画にセンサー点検を定期項目として追加
・作業手順書に「点検記録チェック」ステップを追加
・新機種導入時の初期検証に「センサー感度確認」を追加
効果確認方法・充填工程での充填量トレンド監視(3ロット連続で安定していること)
・設備点検記録の確認

このように、CAは「その事象の直接対応」、**PAは「他の場所や将来の再発防止」**と明確に書き分けるのが理想です。


ワンポイントアドバイス

  • PAがない場合でも、「PAは不要と判断した理由(例:対象範囲が限定的、再現性なし)」を文書に書いておくと査察対応で安心です。
  • 「再発防止」と「未然防止」の2段構えで考えると、CA/PAの区別がしやすくなります。

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