[GMP] CAPAとは?GMP/QMSにとって重要なツール/プロセスである.是正措置のみに止まっていないか? – 運用体制を含め具体的にどうするか [2025/04/03]

Gmp

CA / PA の実行責任の分担例

CAPAの対応は多部門にまたがることが多く、役割と責任(R&R)の明確化が非常に大切です。
以下に代表的なパターンをご紹介します。

実行責任分担の一例(部門別)

役割実行責任備考
CAの実施(是正対応)該当工程の現場部門(製造、分析など)実務としての改善対応、設備調整、再教育など
PAの実施(予防対応)品質保証部門+該当現場部門全社的な横展開、教育体系見直し、SOP整備など
原因調査(RCA)品質保証部門主導、現場部門協力5 WhysやFMEAなどを用いて、文書化
文書改訂・教育QAがレビュー、実務部門が実施SOP改訂後の教育の実施確認
効果確認QAまたは品質システム担当トレンド確認、再発の有無、数値的モニタリング
CAPA全体管理・承認QAまたは品質システム責任者ステータス管理、記録保存、査察時対応など

補足:責任明確化のコツ

  • CAPA様式(計画書や完了報告書)に、**「各アクションの担当部署・担当者」**を明示する欄を設ける。
  • 複数部署が関わる場合は、「主担当」と「支援担当」を明確にする。
  • 教育部門や文書管理担当も巻き込む場合は、早期にスケジューリングする。

まとめ

項目目的活用例
CAPA効果確認チェックリスト対応の妥当性・持続性・再発防止効果を検証CAPA完了判定時、監査対応時
CA/PAの責任分担表役割分担を明確化し、実行とフォローアップを確実にSOPに記載 or CAPA様式に明記

CAPA運用SOP:ドラフト構成例(見出し+記載内容)


1. 目的(Purpose)

  • 本手順書は、品質マネジメントシステムの一環として、逸脱、不適合、監査指摘、傾向外(OOT)などから発生する是正措置および予防措置(CAPA)を効果的に管理・実施することを目的とする。

2. 適用範囲(Scope)

  • 本手順は、製品品質に関わる全ての部門(製造、品質管理、品質保証、技術、購買、供給等)に適用する。
  • 対象事象:逸脱、OOS/OOT、内部監査・外部監査の指摘、顧客苦情、トレンド異常、その他のリスク事象。

3. 用語の定義(Definitions)

用語定義
CAPACorrective and Preventive Action(是正措置および予防措置)
CA発生した問題の再発を防ぐための対策
PA発生する可能性のある問題を未然に防ぐための対策
RCA根本原因分析(Root Cause Analysis)
OOS/OOT規格外/傾向外

4. 責任と権限(Responsibilities)

部門/役職主な責任
起案部門(製造・QC等)CAPA立案・実施・記録の初期対応
品質保証部門(QA)CAPAの妥当性評価、承認、進捗管理、効果確認
管理者/責任者各対応の承認、SOP改訂・教育対応の判断
文書管理/教育部門(必要に応じ)SOP改訂、教育履歴の管理

5. 手順(Procedure)

5.1 CAPA発生のトリガーと評価

  • 以下の事象発生時、CAPAの要否を検討:
    • OOS/OOT、逸脱、苦情、監査指摘、製品回収、トレンド逸脱、装置故障
  • 初期評価で「CAPA対象」と判断した場合はCAPA立案書を起案。

5.2 CAPA立案と承認

  • CAPA立案書に以下を記載:
    • 発生事象、初期評価、想定原因、必要性、担当者など
  • QA部門がレビューし、CAPA開始を承認。

5.3 原因調査(RCA)

  • 起案部門またはQA主導で、5Whys、FMEA、Fishboneなどの手法を用いて原因分析。
  • 分析結果をCAPA計画書に記録。

5.4 是正/予防措置の計画と実施

  • 是正措置(CA):対象事象の再発防止策
  • 予防措置(PA):他への横展開、未然防止策
  • 実施責任者、期限、完了予定日を明確化

5.5 効果確認と完了判断

  • 効果確認手段(モニタリング、トレンド分析、再発有無、教育評価など)を明記
  • QAが実施結果と効果を確認し、**CAPA報告書(完了報告書)**を承認

5.6 フォローアップと再評価(必要時)

  • 特定期間後の再評価、再発チェック、定期レビュー対象とすることも可能

6. 記録管理(Documentation)

  • 各ステップの文書(立案書、計画書、アクション記録、完了報告書)はCAPAファイルとして保管(電子または紙)
  • 保管期間:該当SOPまたは法規制に準ずる(例:5年または製品有効期間+1年など)

7. 添付様式(Appendices / Attachments)

  • CAPA立案書フォーム
  • CAPA計画書フォーム
  • CAPA完了報告書
  • RCAフォーマット(5Whys、Fishboneなど)
  • 効果確認チェックリスト(上記のもの)

まとめ:SOP構成ポイント

セクションポイント
目的・適用範囲どの部門・事象に使うのかを明確に
用語定義CAとPAの違いは必ず入れる
手順トリガー、立案、調査、実施、完了までの流れを体系的に記述
記録管理査察で問われる“追跡性・保存性”を担保
様式実務で使うフォーム類をすぐ使える形で添付するのがベスト

FMEA(エフ・エム・イー・エー)は、CAPAの**原因調査(RCA:Root Cause Analysis)予防措置(PA)**に使われる非常に有効な手法のひとつです。
以下に、FMEAの定義・目的・使い方を詳しく解説します。


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