EUでの医薬品に関する申請資料IMPD-Qに,ウシ由来製品の使用があれば,以下のガイドラインに従いリスク評価などの記載が必要である.
目次
ガイドライン
Note for guidance on minimising the risk of transmitting animal spongiform encephalopathy agents via human and veterinary medicinal products (EMA/410/01 rev.3)
EUR-Lex – 52011XC0305(04) – EN – EUR-Lex
動物由来の伝染性海綿状脳症(TSE)エージェントが人間および獣医用医薬品を通じて伝播するリスクを最小限に抑えるためのガイドラインを提供しています。このガイドラインは、科学の進歩や世界的な牛海綿状脳症(BSE)の状況の変化を反映して改訂されています2。
緒言の日本語訳
本書は、動物海綿状脳症病原体がヒトおよび動物用医薬品を介して伝播するリスクを最小化するためのガイダンスを提供するものである。
今回のTSE(伝達性海綿状脳症)ガイダンスノートの第3回技術的改訂は、伝達性海綿状脳症の分野における科学の進歩、および牛海綿状脳症(BSE)に関する世界的な状況の進展を考慮して行われた。
BSEリスクによる国・地域の分類については、従来のGBR分類に代わり、世界動物保健機関(OIE)が定めた規則を参照する。 とはいえ、GBRの基準に従って分類され、OIEの基準にはまだ従っていない国については、BSEリスクに重大な変化の証拠がない限り、現行のGBRの分類を適用すべきである。
ヒト用または動物用の医薬品の製造に使用されるゼラチンおよび牛血液誘導体の調達および加工に関する新しい基準が導入され、ペプトンに関する新しいサブセクションも追加された。
これは、前回のガイダンス用ノート改訂版(EMEA/410/01 Rev. 2、欧州連合官報(C 24, 28.1.2004, p.6))に代わるものである。 このガイダンス用ノート改訂版の適用予定日は2011年7月1日である。
主な内容には以下が含まれます:
- 科学的背景: TSEは、異常な形態の細胞糖タンパク質(PrP)が蓄積することで引き起こされる慢性神経変性疾患です。
- リスク分類: 国や地域のBSEリスク分類が、以前のGBR基準からOIE基準に変更されています。
- 原材料の基準: 医薬品製造に使用されるゼラチンや牛血液誘導体の調達と処理に関する新しい基準が導入されています。
- 適用日: この改訂版の適用開始日は2011年7月1日です。
このガイドラインは,OIE基準でリスク評価することについて言及されている.。
評価基準
GBR基準とOIE基準は、牛海綿状脳症(BSE)のリスク評価に関する異なる枠組みを指します。前述のガイドラインではGBR基準に代わりOIE基準に従うことを推奨している.
GBR基準(Geographical BSE Risk)
- GBR基準は、欧州連合(EU)の科学運営委員会(SSC)によって開発されたリスク評価方法です。現在は,OIE基準が採用されている.
- 地理的な観点から、ある国や地域におけるBSEリスクを評価します。
- リスクは4段階(レベルI~IV)に分類され、レベルIが最も低いリスク、レベルIVが最も高いリスクを示します。
- 主に、BSE感染牛や汚染飼料の輸入リスク、国内でのBSE病原体の増幅可能性などを考慮して評価されます。
OIE基準(World Organisation for Animal Health)
- Terrestrial Code Online Access – WOAH – World Organisation for Animal Health, Section 11 (Borine) – Chapter 11.4 (Bovine spongiform encephalopathy)を参照.
- Organic Statutes – WOAH – World Organisation for Animal Health – OIEの動物健康に関する一般的な基準やプロセスが記載されている.
OIE基準とは
- OIE「Office International des Epizooties(国際獣疫事務局)」の「陸生動物衛生規約(Terrestrial Animal Health Code)
- 動物由来の伝染性海綿状脳症(TSE): ransmissible Spongiform Encephalopathy
- 人間: クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)、致死性家族性不眠症(FFI)など
- 牛: 牛海綿状脳症(BSE)
- 羊やヤギ: スクレイピー(Scrapie)
- OIE(国際獣疫事務局)は、動物衛生に関する国際基準を策定する機関です。
- OIE基準では、BSEリスクを以下の3段階に分類します:
- 無視できるリスク(Negligible Risk)
- 管理されたリスク(Controlled Risk)
- リスク不明(Undetermined Risk)
- この基準は、加盟国からの申請に基づき、科学的評価を行ってリスクステータスを決定します。
- リスク評価には、飼料規制の実施状況やBSE感染牛の発生履歴などが含まれます。
GBR基準はEU内で使用されていましたが、現在はOIE基準が国際的に採用されています。これにより、リスク評価の基準が統一され、国際貿易や動物衛生管理がより効率的になっています。
IMPD文書のどこへ記載するか
IMPDにウシ血清の使用を記載する時,OIE基準でリスクひを評価した結果はCTDではどの章に記載すべきか?
ウシ血清の使用に関する情報をIMPD(Investigational Medicinal Product Dossier)に記載する場合、OIE基準で評価したリスクについては、CTD(Common Technical Document)の以下の章に記載することが一般的です:
- モジュール3: Quality(品質情報)
- 特に3.2.S(Active Substance)または3.2.P(Finished Product)のセクションにおいて、原材料の詳細やその由来を記載します。
- 動物由来物質(ウシ血清など)に関するリスク評価や管理措置を明示します。
- モジュール2: Nonclinical Overview and Summary(非臨床情報)
- 特に2.4 Nonclinical Overviewでは、非臨床試験で動物由来物質の安全性に関する情報を総括できます。
- モジュール5: Clinical(臨床情報)
- 臨床試験において動物由来物質が使用された場合、そのリスク管理と結果について記載することも可能です。
ウシ血清のような動物由来物質については、製造工程におけるリスク管理や特定のTSEリスク評価に関する情報が特に重視されます。
調査補助 : Copilot
編集履歴
2025/03/23 Mrはりきり