HPLCの分離度と定量限界
分離度(Resolution)
HPLCにおける分離度(Resolution)は、隣接するピークの分離状態を定量的に表す指標であり、以下の参考文献に基づいて定義されています。
日本薬局方(第十八改正)では、分離度が1.5以上であることが、「隣接するピークが完全に分離している」とされる基準の目安となっています。
また、JIS K 0124:2011(高速液体クロマトグラフィー通則)においても、分離度の定義および評価法が規定されており、試験法の妥当性確認の一環として用いられます。
分離度の算出には以下の式が一般的に用いられます(詳細は参考文献を参照):
Rs = 2(tR2 - tR1) / (w1 + w2)
- tR1, tR2:各ピークの保持時間(早い順)
- w1, w2:それぞれのピーク幅(ベースライン幅)
この値が1.5以上であれば、ピークがベースライン上で完全に分離されていると見なされます。 ただし、分析目的や対象物によっては、1.5未満でも定量が可能な場合もあるため、試験法設定時には実用的な判断が必要です。
定量限界(Limit of Quantification, LOQ)
定量限界は、分析対象物質を定量的に測定可能な最小濃度または量を示す指標であり、以下の式によって推定されます:
定量限界(LOQ) = 10σ / S
- σ:試料中のノイズ(残差)の標準偏差
- S:検量線の傾き(感度)
この式は、分析のばらつきと感度から求められるものであり、分析法の妥当性評価において重要な指標です。
参考文献
- 分離度とは?|島津製作所
- 日本薬局方 第十八改正:一般試験法「液体クロマトグラフィー」
- JIS K 0124:2011 高速液体クロマトグラフィー通則
編集履歴
2024/06/27 Mr.Harikiri
2025/06/21 修正