はじめに,CAPAとは?
CAPAはGMPにおける中核的な品質保証活動の1つであり,QMSにおける4つの主要プロセス (品質リスクマネジメント,CAPA, 変更管理およびマネジメントレビュー) の1つで,継続的な品質改善とリスク管理のツールである.CAPAの本質,運用/しないリスク,必要な文書整備,などについて掘り下げて解説する.
- CAPA = Corrective and Preventive Action
(是正措置および予防措置)
- 問題(逸脱、不適合、OOS、クレームなど)が発生した際に、原因を調査し、再発防止・未然防止のために講じる対策を体系的に実施する活動です。
- **CAPA(Corrective and Preventive Action)**は、GMP(Good Manufacturing Practice)において中核を成す品質保証活動の一つであり、単なる「問題対応」ではなく、継続的な品質向上とリスク管理の仕組みそのものです。
CAPAは「品質マネジメントのエンジン」
CAPAは、GMPにおいて次のような役割を果たしています:
「問題から学び、品質を改善し、将来のリスクを未然に防ぐ」ための体系的な仕組み
➡︎ GMPの“予防・改善文化”の中核機能
目次
- はじめに,CAPAとは?
- CAPAは「品質マネジメントのエンジン」
- GMPにおけるCAPAの位置づけ(根拠)
- GMP上でのCAPAの意味と目的
- 実務的なGMP運用での位置づけ
- CAPAが不十分な場合のリスク
- CAとPAとは?
- CAPAの流れ(一般的なプロセス)
- 製薬業界でのCAPAの重要性
- CAPA開始の例(具体的)
- CAPAを開始するか/しないか.
- CAPA不要と判断され得る事例
- FDA警告書におけるCAPA不備の指摘事例
- OOTにおいてCAPAを実施しない場合=「容認」なのか?
- CAPAを開始するとは:
- 似て非なる対応:日常的な是正 vs CAPA
- CAPAを開始(宣言)しないリスク
- CAPA開始に必要な文書とSOP
- CAPA開始時の文書に適した名称
- CA (是正措置)とPA(予防措置)の切り分け
- CAPA効果確認のチェックリスト(例)
- CA / PA の実行責任の分担例
- CAPA運用SOP:ドラフト構成例(見出し+記載内容)
- FMEAとは?
- 編集履歴
GMPにおけるCAPAの位置づけ(根拠)
1. ICH Q10(医薬品品質システム)
ICH Q10は、国際的な医薬品品質マネジメントのガイドラインであり、CAPAを以下のように位置づけています:
- CAPAは**「品質マネジメントシステム(QMS)」の4つの主要プロセスの1つ**
- 品質リスクマネジメント (QRM)
- CAPA
- 変更管理 (CC)
- マネジメントレビュー (MR)
- CAPAは、「逸脱、OOS、監査指摘、トレンド異常などの品質情報」から始まり、「原因調査 → 是正・予防措置 → 効果検証」という一連の流れを管理する。
📎【引用】ICH Q10:
“An effective CAPA system is essential to quality management and to continuous improvement.”
2. GMP査察での評価ポイント
- FDA(米国)、PMDA(日本)をはじめとする規制当局の査察では、CAPAの有無・質・運用の実効性が重点的に評価されます。
- 不備があると「Warning Letter(警告書)」や「GMP不適合」の重大指摘に直結。
GMP上でのCAPAの意味と目的
観点 | CAPAの役割 |
---|---|
品質保証 | 問題が再発しないようにする仕組み(信頼性保証) |
継続的改善 | トレンド・リスクをもとに、手順・設計を改善 |
教育と再発防止 | 問題を共有・分析し、組織としての成長に活用 |
データ活用 | OOS/OOT、苦情、監査結果などを品質改善に反映 |
査察対応 | 「問題を把握し、対策し、記録している」ことの証明 |