CAPAを開始(宣言)しないリスク
たとえ同じ行動(調査・是正)をしていても、それをCAPAと定義しない/文書化しない場合は、以下のリスクがあります:
- 査察時に「対応していない」と見なされる
- 再発時に「組織として管理していなかった」と評価される
- 横展開や継続的改善の機会を逃す
補足:GMP・ICH Q10・FDAの考え方
- **ICH Q10(医薬品品質システムガイドライン)**では、CAPAは「組織としてのシステマティックな対応」であり、「是正や予防に必要な情報(逸脱、OOT、内部監査等)を用いて評価・計画・実施・フォローアップすること」と定義されています。
- FDAの警告書では「CAPAプロセスが立ち上がっていない、または文書化されていない」ことがしばしば指摘されます。
→「対応した」という“行動”だけでは不十分で、「CAPAとして管理したか」が問われます。
まとめ:CAPAと呼ぶ基準
行動 | CAPAになるか? |
---|---|
原因調査、修正対応のみ実施(記録なし) | ❌(CAPAではない) |
是正処置実施、逸脱票等に記録のみ | △(軽微対応として) |
原因評価後、CAPA報告書を発行し追跡管理 | ✅(正式なCAPA) |
CAPA管理システムに登録し、QMSで進捗追跡 | ✅ |
CAPAを「正式に開始する」とは、単に是正や予防の行動を始めることではなく、GMP/QMSの運用において“CAPAとして管理を開始する”ことを公式に文書で宣言することを意味します。
回答まとめ:
CAPAの開始とは?
CAPAの開始は、通常、所定の「CAPA文書」または「CAPA報告書(フォーム)」を発出・起案することで公式に開始される。
これは組織として「この問題はCAPA管理の対象とする」と明確に位置づける行為です。
このとき、CAPA報告書の書式や運用手順はSOP(標準作業手順書)で定義されていることが必須です。