[GMP] CAPAとは?GMP/QMSにとって重要なツール/プロセスである.是正措置のみに止まっていないか? – 運用体制を含め具体的にどうするか [2025/04/03]

Gmp

CAPAを開始(宣言)しないリスク

たとえ同じ行動(調査・是正)をしていても、それをCAPAと定義しない/文書化しない場合は、以下のリスクがあります:

  • 査察時に「対応していない」と見なされる
  • 再発時に「組織として管理していなかった」と評価される
  • 横展開や継続的改善の機会を逃す

補足:GMP・ICH Q10・FDAの考え方

  • **ICH Q10(医薬品品質システムガイドライン)**では、CAPAは「組織としてのシステマティックな対応」であり、「是正や予防に必要な情報(逸脱、OOT、内部監査等)を用いて評価・計画・実施・フォローアップすること」と定義されています。
  • FDAの警告書では「CAPAプロセスが立ち上がっていない、または文書化されていない」ことがしばしば指摘されます。
     →「対応した」という“行動”だけでは不十分で、「CAPAとして管理したか」が問われます。

まとめ:CAPAと呼ぶ基準

行動CAPAになるか?
原因調査、修正対応のみ実施(記録なし)❌(CAPAではない)
是正処置実施、逸脱票等に記録のみ△(軽微対応として)
原因評価後、CAPA報告書を発行し追跡管理✅(正式なCAPA)
CAPA管理システムに登録し、QMSで進捗追跡

CAPAを「正式に開始する」とは、単に是正や予防の行動を始めることではなく、GMP/QMSの運用において“CAPAとして管理を開始する”ことを公式に文書で宣言することを意味します。


回答まとめ:

CAPAの開始とは?

CAPAの開始は、通常、所定の「CAPA文書」または「CAPA報告書(フォーム)」を発出・起案することで公式に開始される。

これは組織として「この問題はCAPA管理の対象とする」と明確に位置づける行為です。
このとき、CAPA報告書の書式や運用手順はSOP(標準作業手順書)で定義されていることが必須です。



CAPA開始に必要な文書とSOP

要素内容管理の有無
CAPA報告書(様式)是正/予防措置の計画、原因、対応者、期日などを記載する✔ 必須(様式定義が必要)
CAPA手順SOPCAPAをどのような判断基準で立ち上げるか、プロセスの詳細✔ 必須
管理台帳/追跡システムCAPAの進捗・期限・効果確認を記録✔ 推奨(多くは電子化)

CAPA報告書に含まれる主な情報(SOPで定義)

  1. CAPA番号・発生日・起票者
  2. 対象となる事象の概要(例:OOT/OOS、逸脱、監査指摘)
  3. 根本原因(RCAによる分析結果)
  4. 是正措置と予防措置の内容
  5. 実施担当者・期日
  6. 効果確認の方法と予定日
  7. 上長またはQAの承認

なぜSOPが必須なのか?

  • GMPの要求事項:文書化された手順に基づき、再現性・一貫性をもって実施することが義務付けられています(=「再発防止の体系的アプローチ」)。
  • 査察対応:FDAやPMDAはCAPAが「体系的に実施されているか」「記録・追跡があるか」を必ず確認します。
  • CAPAの乱立や抜け漏れ防止:SOPがあることで、どのタイミングでCAPAを開始すべきか判断基準が明確になります。

まとめ

質問回答
CAPA開始=文書の発出か?✔️ はい。CAPA報告書の起案が公式な開始。
CAPA様式・手順のSOPは必要か?✔️ 必須。GMP/QMS上の根拠文書として必ず必要。
文書がなければどうなる?❌ 非体系的な管理とみなされ、査察で指摘されるリスクが高い。

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