GxPにおけるデータインテグリティ(DI)と日米欧での違い 及び監査 [2025/04/17]

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はじめに

データインテグリティ(DI)の観点から、装置から出力される印刷物を原記録として扱うことは、現在では原則として認められにくくなっています。これは、印刷物には改ざんリスクがあり、監査証跡の欠如、記録のタイミングの不一致、原本性の不確実性など、ALCOA+の原則(真正性、完全性、一貫性、永続性等)を満たすことが困難であるためです。かつては電子記録機能のない機器では印刷物が原記録として扱われることもありましたが、現在は米国FDAや欧州MHRAでは「印刷された記録は原記録ではない」と明確に否定され、日本でも原則として電子記録が求められる傾向にあります。例外として、電子保存機能を有しない古い機器に限り、印刷物を原記録とする場合は、正当な理由とともにSOPの整備、記録の改ざん防止措置、操作履歴の明記、レビュー体制が必要です。また、将来的な電子化の計画も求められます。従って、装置の出力紙を原記録として扱う場合には、リスク評価と運用の正当化が不可欠です。

AIに聞いてみた!


ChatGPT:

DI(Data Integrity:データ完全性)に関する監査は、GxP(Good Practices)環境下で取り扱われるデータの信頼性と正確性を確保することを目的としています。以下に、監査の目的、範囲、GxPとの関連、さらに実施時の要点について体系的に解説します。


🔍 1. DI監査の目的(Purpose)

DI監査は以下の目的で実施されます:

項目内容
信頼性の確保データが真正(authentic)、正確(accurate)、完全(complete)であることを確認する
規制順守GxP(GMP、GLP、GCP等)の要求事項を満たしているか確認する
リスクの把握データ改ざん、不備、漏洩のリスクを特定し是正する
監査証跡の評価監査証跡(Audit Trail)や電子記録の管理状況を確認する
継続的改善不備の是正、CAPAの実施と教育を通じて、継続的改善を促す

📌 2. 監査の範囲(Scope)

DI監査の範囲は、紙媒体/電子記録の両方にわたり、以下が含まれます。

対象内容例
システムLIMS, CDS, MES, ERP, e-QMSなどの電子記録・電子署名(ER/ES)を含むシステム
手順データ入力・確認・保存・改ざん防止などに関するSOP
インフラサーバ、ネットワーク、バックアップ体制など
文書管理原記録、実施記録、変更記録、監査証跡などの文書の保管・取扱
教育訓練操作者・管理者に対するDI教育の履歴や内容

📘 3. GxPとの関連(GMP/GLP/GCPなど)

GxP分類DIとの関連
GMP(医薬品製造)バッチ記録、分析記録、機器ログなどの真正性と監査証跡が重要
GLP(非臨床試験)試験記録、動物管理記録、データ取得タイミングが対象
GCP(臨床試験)電子CRF、SDV(Source Data Verification)、電子同意取得など
GDP(流通)出荷・保管温度記録、トレーサビリティ管理が対象
GVP(安全性)安全性データベースの改ざん防止、データ修正の透明性の確認

すべてのGxPに共通して重要なのは、ALCOA原則およびALCOA+拡張に基づいた管理です。


📂 4. ALCOA / ALCOA+原則

項目説明
A:Attributable誰が実施したか特定できる
L:Legible判読可能である
C:Contemporaneous実施と同時に記録されている
O:Original原本が保存されている
A:Accurate正確である
+拡張要素完全性(Complete)、一貫性(Consistent)、永続性(Enduring)、可用性(Available)

🛠 5. 実施時の監査チェックポイント(例)

チェック項目内容例
権限設定データ削除・変更が誰でも可能になっていないか
監査証跡適切に記録・確認・レビューされているか
SOP遵守記録手順、レビュー手順に逸脱がないか
システムバリデーション電子記録・電子署名を使用するシステムのCSVが実施されているか
バックアップデータのバックアップが定期的に行われ、復元可能か
教育訓練操作者がDIに関する教育を受けているか、証跡が残っているか

🧭 6. 規制ガイダンス・参照文書

機関ガイダンス文書例
MHRA(英国)“GXP Data Integrity Guidance and Definitions”(2018)
FDA(米国)“Data Integrity and Compliance With CGMP”(2018)
PIC/SPI 041-1「Good Practices for Data Management and Integrity in Regulated GMP/GDP Environments」
WHO“Guidance on Good Data and Record Management Practices”
日本(PMDA)Q&A形式でGMP事例集・CSV関連通知にDIの言及あり

✅ まとめ

DI監査は、データの信頼性を通じて製品の品質や試験結果の正当性を保証するために必須です。GxPの実施主体である製造業者・試験機関において、日常的な業務の記録管理がDI監査対象であり、電子システム化が進む現在ではCSVとの連携が不可欠です。


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ChatGPT:

以下に、**Data Integrity(DI:データ完全性)監査チェックリストのテンプレート(GxP環境全般向け)**を示します。GMP、GLP、GCPなどの要件に対応できるように、ALCOA+原則とCSV(Computerized System Validation)観点を組み込んだ内容になっています。


📋 DI監査チェックリスト テンプレート(例)

チェック項目対象確認内容適合/不適合コメント・改善提案
1. 権限管理システム/手順ユーザーのアクセス権限は業務に応じて適切に制限されているか?管理者権限の割当は適切か?□適合 □不適合例:管理者権限が2名のみ。定期レビュー実施中。
2. 監査証跡(Audit Trail)電子記録データの変更・削除履歴は監査証跡として自動的に記録され、レビューされているか?□適合 □不適合例:システムで編集記録が残るが、レビュー記録なし。
3. 原記録の保管文書・電子原記録は真正性・永続性・可読性を維持して保管されているか?スキャン記録は原本と同等か?□適合 □不適合紙記録→スキャン後原本破棄、承認記録あり。
4. 時刻の正確性システムシステムの時計設定は定期的に同期され、タイムスタンプは正確か?□適合 □不適合NTP設定あり。ログも確認済み。
5. SOPの整備と運用手順書DI関連の手順書(記録、監査証跡確認、データ修正など)が整備され、運用されているか?□適合 □不適合SOP-123で監査証跡の確認手順あり。
6. データ修正の正当性記録修正記録には、理由、日付、署名(電子署名含む)が明記されているか?□適合 □不適合手書き修正は全件コメント付き。電子記録は一部未対応。
7. 教育訓練履歴人員管理操作者・管理者はDIに関する定期的な教育を受け、記録が残されているか?□適合 □不適合年1回実施。2024年度は未受講者2名。
8. バックアップ・リストアIT/インフラデータは定期的にバックアップされ、災害復旧計画が整備されているか?□適合 □不適合自動バックアップ+月1回復元テスト実施。
9. システムバリデーション(CSV)電子記録電子記録/署名システムに対してCSVが実施され、バリデーション報告書が保管されているか?□適合 □不適合LIMSとMESはIQ/OQ/PQ済み。証跡あり。
10. ALCOA原則の遵守状況全般Attributable、Legible、Contemporaneous、Original、Accurateの各要素に関して適切な管理がされているか?□適合 □不適合一部SOPに明示記載なし。教育資料で補完。

📎 テンプレート利用のアドバイス

  • Excel形式での運用が一般的:チェック欄に「○/×」または「Yes/No」で記入し、後日トレンド評価も可能。
  • 部門別テンプレート作成も可:製造部門、品質管理部門、QA、IT等に分けると実効性が高い。
  • GxP別の追加項目
    • GMPなら「バッチ記録・電子ログの真正性」
    • GLPなら「試験計画書・試験記録の原本性」
    • GCPなら「eCRFとEDCの監査証跡や修正履歴」

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ChatGPT:

はい、このご質問はData Integrity(DI)において非常に重要で、「装置から出力された印刷物(紙)」を原記録として扱えるかどうかは、時代の変化・GxP要件・地域差(日本・米国・欧州)によって対応が異なる部分です。以下に現状の考え方・日米欧の比較・その背景を含めて詳しく解説します。


📌 1. 結論:現在の原則としては「印刷物単体は原記録とは認められにくい」

現行のDIガイダンスでは、以下の理由により、装置から出力される印刷物を単独の「原記録」と見なすことは制限される傾向にあります:

理由内容
✅ 改ざん可能性印刷内容は改ざん・削除のリスクがあり、真正性(Attributable)や一貫性(Consistent)を確保できない
✅ 監査証跡が不可視印刷物には電子的な変更履歴(監査証跡)が残らない
✅ 遅延記録のリスク装置稼働時と別のタイミングで出力される可能性がある(Contemporaneous原則に反する)
✅ オリジナル性の喪失真正な「生データ(raw data)」にアクセスできない(Original要件を満たさない)

📖 2. 従来(過去)の考え方

以前(2000年代以前)は、電子記録の管理が未整備な装置(例:UV計、GC、HPLCなど)では、印刷紙が原記録とされることが多かったのは事実です。たとえば:

  • 紙出力しかできない古い機器
  • 記録紙に自動で時刻・パラメータが印字されるタイプ

このような場合は、「印刷物を正として運用管理する」ことが例外的に許容されていました。


🌍 3. 日・米・欧の対応の違い(2020年以降)

地域規制機関・文書印刷物の原記録扱いの可否補足
🇯🇵 日本(PMDA)明示的なDIガイダンスは少ないが、GMP事例集等に記載原則として不可。電子記録を原記録とみなす傾向例外は「電子記録にアクセス不能な古い機器」など限定的
🇺🇸 米国(FDA)「Data Integrity Guidance」(2018)明確に否定。「印刷されたコピーは原記録ではない」原記録は電子的なものであり、監査証跡の維持が必要
🇪🇺 欧州(MHRA)「GxP Data Integrity Guidance」(2018)原則不可。印刷物は「セカンダリ記録」扱い印刷内容が原記録と一致するか照合義務あり

共通しているのは「電子的記録(生データ)へのアクセスが必要」という立場


🛠 4. 特例対応の考え方(どうしても紙が残る装置の場合)

例外的に印刷物を原記録とする場合には、以下のような管理体制が要求されます:

要件管理内容
正当性装置に電子記録保存機能がなく、技術的・経済的に更新困難
SOP整備「紙を原記録として運用する」SOPが整備されている
操作履歴誰がいつ出力したかを記録(紙に署名、タイムスタンプなど)
改ざん防止出力紙への物理的封印、スキャン保存、定期レビュー
移行計画長期的には電子記録への移行を計画(設備更新含む)

📌 5. まとめ:監査/査察対応の観点

チェックポイント対応の要否
出力された印刷紙に「原記録」としての正当性があるか?✅ 評価必須
原記録とみなす場合、それを正当化する文書・手順は整備されているか?✅ SOP等で明記
電子データと紙の整合性は定期的に確認されているか?✅ トレーサビリティ要件
今後、電子記録化の検討・移行計画はあるか?✅ 推奨事項(監査で聞かれる)

🔧 補足:紙出力の例で特に問題視されやすいもの

  • 検体分析装置のピーク面積印刷物(HPLCなど)
  • 恒温槽・冷蔵庫の温度記録紙
  • QCでの装置ログ(プリンター出力)

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2025/04/17 Mrはりきり