[ICH Q5A R1/R2] 細胞バンク/安全性試験/特性解析

ICH Q5A(ウイルス安全性評価に関するガイドライン)は、ヒトまたは動物細胞株を用いて製造されるバイオテクノロジー応用医薬品のウイルス安全性を評価するための指針を提供しています。

以下に、細胞バンクおよび特性解析、安全性試験(混入の可能性があるウイルス及びモデルウイルス)についてまとめた。

1. 細胞バンク

  • マスターセルバンク(MCB)とワーキングセルバンク(WCB):
    • 細胞バンクは、製造に使用される細胞株の品質と一貫性を確保するために作成されます。
    • MCBとWCBは、ウイルス汚染の可能性を最小限に抑えるために適切に管理されます。
  • 細胞齢(CAL)と適格性評価:
    • 細胞の年齢(CAL)を追跡し、最大CALに達した状態での試験が推奨されます。

2. 特性解析

  • 遺伝子解析:
    • 細胞株の遺伝子構造やトランスジェーンの確認を行います。
    • Southern Blotや遺伝子コピー数の測定が含まれます。
  • 形態学的評価:
    • 細胞の形態やアイデンティティを確認します。
    • DNAバーコーディングや顕微鏡観察が用いられます。

3. 安全性試験

  • ウイルス検出試験:
    • In vitro試験: 細胞培養を用いてウイルスの存在を確認します。
    • In vivo試験: 動物モデルを使用してウイルスの感染性を評価します。
    • 分子生物学的手法: PCRや次世代シーケンシング(NGS)を用いてウイルスの遺伝子を検出します。
  • ウイルスクリアランス試験:
    • 製造工程でのウイルス除去能力を評価します。
    • 「関連ウイルス」と「モデルウイルス」を使用して試験を実施します。
    • 関連ウイルスの例(混入の可能性がある)
      • SV40(Simian Virus 40): サル由来のウイルスで、細胞株の汚染リスクを評価するために使用されます。エンベロープ(有).MuLV, Reovirus, Adenovirusなど.
      • Bovine Viral Diarrhea Virus(BVDV): 牛由来のウイルスで、動物由来の原材料を使用する場合に関連性があります。エンベロープ(有),モデルウイルスはこれ自体やMVM, reovirus,など.
      • Porcine Parvovirus(PPV): 豚由来のウイルスで、豚由来の原材料を使用する場合に関連します。エンベロープ(無).モデルウイルスは,MVM, CPV(Canine parvovirus), Reovirusなど.
      • Epstein-Barr Virus (EBV): ヒト由来のウイルスで、細胞株の汚染リスクを評価する際に関連性があります。エンベロープ(有)
      • Human Cytomegalovirus (HCMV): ヒト細胞株を使用する場合に特に関連するウイルスです。エンベロープ(有).モデルウイルスは,MCMV(Murine Cytomegalovirus), Herpes Simplex Virus (HSV), Pseudorabies Virus (PRV)など
      • Avian Leukosis Virus (ALV): 鳥類由来の細胞株を使用する場合に関連するウイルスです。エンベロープ(有).モデルウイルスは,MuLV, Reovirus, Sindbis Virus
    • モデルウイルスの例(評価のために試験に使用される)
      • MuLV(Murine Leukemia Virus): レトロウイルスのモデルとして使用され、エンベロープを持つウイルスの除去能力を評価します。エンベロープ(有)
      • MVM(Minute Virus of Mice): パルボウイルスのモデルとして使用され、エンベロープを持たない小型ウイルスの除去能力を評価します。エンベロープ(無)
      • Reovirus: エンベロープを持たない中型ウイルスのモデルとして使用されます。エンベロープ(無)
      • Vesivirus: エンベロープを持つウイルスのモデルとして使用されます。エンベロープ(無)
      • Sindbis Virus: エンベロープを持つウイルスのモデルで、ウイルスクリアランス試験に使用されます。エンベロープ(有)
      • Feline Calicivirus (FCV): エンベロープを持たないウイルスのモデルとして使用されます。エンベロープ(無)

まとめ表 (Copilot)

1. 関連ウイルス

ウイルス名膜の有無ゲノム科学的耐性備考
Epstein-Barr Virus (EBV)エンベロープ有DNA弱いエンベロープを持つため、化学的処理で容易に不活化されます。
Human Cytomegalovirus (HCMV)エンベロープ有DNA弱いエタノールや界面活性剤に感受性が高い。
Avian Leukosis Virus (ALV)エンベロープ有RNA弱い化学処理で容易に不活化されます。
Bovine Viral Diarrhea Virus (BVDV)エンベロープ有RNA弱い界面活性剤やエタノールで簡単に不活化可能。
Porcine Parvovirus (PPV)エンベロープ無DNA強い小型でエンベロープを持たないため、化学的処理や熱に耐性があります。
SV40エンベロープ有DNA弱い化学物質による不活化が容易。

2. モデルウイルス

ウイルス名膜の有無ゲノム科学的耐性備考
MuLV (Murine Leukemia Virus)エンベロープ有RNA弱いエンベロープを持つため、化学的処理に感受性があります。
MVM (Minute Virus of Mice)エンベロープ無DNA強いエンベロープを持たないため、化学的処理や熱に非常に高い耐性を示します。
Reovirusエンベロープ無RNA強い中型ウイルスで、化学処理や熱に高い耐性があります。
Vesivirusエンベロープ無RNA強い耐性が高く、除去試験の際に使用されます。
Sindbis Virusエンベロープ有RNA弱いエタノールや界面活性剤で容易に不活化されます。
Feline Calicivirus (FCV)エンベロープ無RNA強い化学物質や熱に対して高い耐性を示します。

耐性の強さは、化学的処理の適応やウイルスの構造特性に基づいて評価されています。これにより、ウイルスクリアランス試験や安全性評価の設計が最適化されることが期待されます。

ICH Q5A R1とR2の比較 (Copilot)

以下に、ICH Q5A R1(初版)とQ5A R2(改訂版)の主な違いを表にまとめました:

項目ICH Q5A R1 (1999年)ICH Q5A R2 (2025年)
発行年1999年2025年
対象製品バイオテクノロジー応用医薬品(インターフェロン、モノクローナル抗体、組換えDNA製品など)新たにウイルス様粒子(VLP)や遺伝子改変ウイルスベクター製品が追加
ウイルス検出手法主に従来の試験法(in vitro試験、in vivo試験)次世代シーケンシング(NGS)や核酸増幅技術(NAT)が追加
ウイルスクリアランス試験従来の試験法に基づく評価プラットフォームアプローチや既存知識の活用が推奨
連続生産言及なし連続生産におけるウイルス安全性評価のポイントが追加
動物試験の代替動物試験が主流動物愛護の観点から、動物試験の代替技術(分子生物学的手法など)の使用を推奨
新しい製品タイプ遺伝子改変ウイルスベクター製品は対象外遺伝子改変ウイルスベクター製品が対象に追加
用語集と参考文献簡易的な記載用語集と参考文献が拡充
付録(Annex)限定的な内容新しい付録が追加(例:ウイルスベクター製品の評価、既存知識の活用例など)

この改訂により、科学的進歩や新しい製造技術を反映し、より柔軟で包括的なガイドラインとなっています。

編集履歴

2025/04/01 Mrはりきり