はじめに
製造・試験を外部に委託する医薬品の開発や製造において、委託先との間で交わされる「品質取り決め書(Quality Agreement)」は、GMP省令やGQP省令に基づく品質保証体制の構築に不可欠な文書です。通常、品質取り決め書自体はCTDの必須添付資料ではありませんが、日本においてはCTD M1.2.2の「外部委託管理に関する補足資料」等に、取り決めの概要や責任分担表を要約形式で記載することが実務的に求められる場合があります。特に委託先が海外CDMOである、複数の製造所・試験機関が関与する、またはPMDAによるGMP調査が予定されているようなケースでは、品質契約の内容をCTDに適切に反映させることで、承認審査および照会対応を円滑に進めることができます。本記事では、CTD M1.2.2に記載すべき品質契約の要点と、そのサマリテンプレートを紹介します。
CTD M1.2.2 における品質取り決め書の扱い
M1.2.2-3に補足資料として提出できる.
Q: 品質取決め書はCTD M1.2.2に記載されるのか
ChatGPT: はい、品質取り決め書(Quality Agreement)は、CTD(コモン・テクニカル・ドキュメント)のモジュール1.2.2に記載対象となる可能性がありますが、必須添付文書ではなく、状況に応じた任意提出文書です。
項目 | 内容 |
---|---|
対象セクション | CTD Module 1.2.2 「製造販売承認申請における添付資料」(日本の場合) |
記載種別 | 任意提出(必須ではない) |
提出目的 | 委託製造・試験に関するGMP遵守体制の補足資料として使用 |
使用タイミング | 製造委託体制が複雑、あるいはGMP調査対応で補足が必要な場合 |
具体的記載先 | 「製造所の管理体制」または「委託業務の管理に関する記載」に添付可能 |
【日本のCTD M1.2.2構成】との関係
日本のCTD M1.2.2には以下のような文書が含まれます(PMDA様式):
セクション | 内容 | 品質契約との関係 |
---|---|---|
M1.2.2-1 | 製造業者の一覧 | 委託範囲と関連付け可 |
M1.2.2-2 | 製造販売業者・製造業者の管理体制の概要 | 品質取り決め書のサマリ内容と整合性が必要 |
M1.2.2-3 | 外部委託管理に関する補足資料 | 品質契約書の提出が推奨される領域 |
M1.2.2-5 | GMP調査資料 | PMDAが照会した場合、品質契約の実物提示が求められることあり |
提出の実務ポイント(PMDAとの関係)
- CTD本文には品質契約書の**内容要約(例:責任分担表、変更通知体制など)**が反映されていれば十分な場合もあります。
- PMDAがGMP調査時に照会事項として要求することがあり、その場合、原本または写しの提出が必要になります。
- 特に複数の製造所や試験機関をまたがるケースでは、体制明示のために添付を推奨。
提出事例(参考)
製品状況 | 品質契約書の提出例 |
---|---|
海外CDMOとの委託 | 英文Quality Agreement(要和訳)を添付するケースあり |
複数の委託試験機関が関与 | 試験別に責任範囲を明確化した文書を添付 |
製造販売業者が出荷判定責任を負うが、製造委託先が逸脱調査等を実施 | 品質契約書の該当条項を引用・要約して説明 |
まとめ
項目 | 回答 |
---|---|
品質取り決め書はCTD M1.2.2に記載されるか? | 原則は任意添付。ただし補足資料として提出されることがある。 |
提出が求められるタイミングは? | PMDAのGMP調査時、または複雑な委託体制の場合の補足説明時 |
内容として求められるものは? | 責任分担表、変更管理体制、出荷判定の役割などが整合していること |
~メンバー専用 ↓
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
↑ メンバー専用~
無料登録は右の握手ボタンからかできます.
Q: 品質取決め書の内容をCTDのM1.2.2に記載する場合のテンプレートを示して
ChatGPT: 以下に、**品質取り決め書(Quality Agreement)の内容をCTD M1.2.2(日本)に記載する場合のテンプレート(サマリ形式)**を示します。これは、**M1.2.2-3「外部委託管理に関する補足資料」**や、**M1.2.2-2「管理体制の概要」**に添付・記載されることを想定した形式です。
【テンプレート】品質取り決め書のCTD M1.2.2記載用要約書
(日本語・必要に応じて英語併記可能)
【表紙】
- 書類名:品質取り決め書に関する概要(CTD M1.2.2 添付資料)
- 対象製品名:◯◯◯◯(一般名/製品名)
- 製造販売業者名:◯◯株式会社
- 委託先(CDMO)名:◯◯ BioManufacturing Inc.
- 作成日:YYYY年MM月DD日
1. 契約の目的
本資料は、当該製品に関する製造・試験業務の外部委託において、品質保証に係る責任分担および運用体制を記載するものである。
This document summarizes the responsibilities and quality assurance system in place for outsourced manufacturing and testing of the subject product.
2. 品質取り決め書の締結状況
- 契約書名:品質取り決め書(Quality Agreement)
- 締結日:YYYY年MM月DD日
- 最新改訂日:YYYY年MM月DD日
- 言語:日本語/英語(和英併記)
- 双方の責任者により署名済み
3. 委託内容の概要
委託業務内容 | 委託先機関名 | 担当部署 | GMP適用範囲 | 契約の有無 |
---|---|---|---|---|
原薬製造(培養〜精製) | BioX CDMO Inc. | Biologics Div. | 製造・保管 | 有(締結済) |
製品試験(無菌試験) | TestLab Inc. | QC部門 | 試験 | 有(締結済) |
4. 責任分担の要約(表形式)
項目 | 委託者(MAH) | 受託者(CDMO) |
---|---|---|
出荷判定 | ◎(最終責任) | △(判定情報提供) |
バッチ製造記録作成 | 確認 | ◎(作成責任) |
試験結果の確認 | ◎ | △(報告) |
逸脱の一次調査 | △(レビュー) | ◎(実施) |
変更管理 | ◎(承認) | ◎(通知・提案) |
安定性試験 | ◎(設計・評価) | △(実施) |
回収判断 | ◎ | △(情報提供) |
5. 変更管理体制
- 全ての重要変更(工程変更、原料変更、試験法変更等)は事前に委託者へ通知・協議の上、承認を取得する運用
- 軽微変更については、年次報告で取りまとめる
6. 苦情・逸脱・回収への対応体制
- 苦情の受付・評価は委託者が主導し、必要に応じて受託者が技術的調査を実施
- 回収判断は委託者が行い、ロットトレース等の情報提供は受託者が行う
7. 査察・監査体制
- 委託者による年次監査を実施
- 規制当局の査察時には、受託者が必要な対応を行い、結果は委託者と共有される
8. 添付資料(必要に応じて)
- 別紙1:責任分担マトリクス
- 別紙2:連絡体制図(逸脱・回収等)
- 別紙3:契約書抜粋(署名ページ、改訂履歴)
注意点(実務)
- 本要約は品質契約書原本の提出代替とはならないが、提出時にPMDAの照会対応を円滑化できる
- 複雑な委託構成(製造・試験・保管が複数拠点にまたがる場合)では特に有効
- 必要に応じてGMP調査(M1.2.2-5)資料とも整合を取ることが重要
編集履歴
2025/04/30 Mrはりきり