[Bio-Edu]腫瘍溶解性ウイルスの発見と体内における免疫系の活性化について – ID12670 ID12670

はじめに

英文の参考1(2017)を元に、周辺情報も含めてまとめました。

脳腫瘍

脳を形作る細胞 (神経組織 : Nervous tissue)

  • ニューロンとグリアの比率は、1:10
  • ニューロン : nerve cells (neurons)
    • 神経伝達の主役
    • 分裂しないためDNA変異の機会がなく腫瘍化しない
  • グリア細胞 (glia): 星細胞 (star-shaped astocytes)
    • 増殖能を有しており、癌化すれば脳腫瘍の主役となる(gliomas)
    • 空間を作るために存在しているのみではなく、ニューロンを動かすエネルギーを供給している
    • その数は、ニューロンよりはるかに多い
    • アインシュタイの脳の大きさは有名ですが、ある研究機関の調査では、ニューロンの数は健常人と変わらないものの、グリア細胞の数が多いという調査結果を出したらと聞いたことがあります(個人的知識)

腫瘍溶解性の発見

  • マンハッタンの医師ウィリアム・ゴーリー (ゴーリーの毒素: Coley’s toxins)
    • 皮膚に感染した連鎖球菌による感染症で首の腫瘍が溶けることを発見(19世紀末)

ウイルスの免疫系との接触と免疫系

  1. 病原体(pathogen)は、抗原提示細胞(antigen-presenting cell : sentinel)、マクロファージ、樹状細胞(dendritic cell)に遭遇 (sentinelにも感染)
  2. pathogenは、これら細胞の表面にあるtoll-like receptor (TLR)に結合(ちなみに、TLRはRNAにも結合する)、この記事では、この細胞が腫瘍細胞であることを想定している。
  3. TLRは細胞内にシグナル(danger signal,etc.)を発信
  4. 好中球(neutrophils)は、抗ウイルス物質(補体系のタンパク質、コレクチン、インターフェロン)を放出
  5. やって来たT cell (T細胞)が、更にインターフェロンを放出する(腫瘍細胞を殺す)と共に、B cell (B細胞)を活性化

ポリオウイルスによる腫瘍攻略を試みた最初の事例

医者であるMatthias Gromeierは、再発性神経膠腫をポリ王位するで治療することを考えた。

  • ポリオウイルス (改良されたSabin-Rhinovirus)ワクチン: PVSRIPO (病原性を示さないウイルス株)
  • Neuronには感染しない
  • 再発性神経膠腫には感染する (神経膠腫細胞には、CD155が多く発現している)
  • 野生型のポリオウイルスは、霊長類の脳幹と脊髄のNeuronにのみ感染し、1~2%の確率で「弛緩性麻痺」を起こす。感染のための細胞表面の受容体(receptor)は、CD155。

特許技術へと進展

2017/08/03、Dr. Gromeierらによる「ヒト腫瘍の腫瘍溶解性ポリオウイルス」: OncPoの特許を取得 、とありますが、この記事を介している今現在(2020/3)の段階で、その技術の成果がどうなっていの情報は、まだ、持っていません。今後、調査します。

参考1
Poliovirus To Treat Brain Cancer: A Curious Chronology , Ricki Lewis PhD – PROL BLOG – より

https://blogs.plos.org/dnascience/2017/09/28/poliovirus-to-treat-brain-cancer-a-curious-chronology/

以上