満を持して新世代PCR装置発売、コロナウイルスを15分で測定 – ジーンソック (GeneSoC) – キョーリン製薬 (PCR原理を含めたまとめ) – △ID10926 ID10926

GeneSoC

GeneSoc

遺伝子検査定量装置 GeneSocは、キョーリン製薬が販売する。

  • 原理はリアルタイムPCR法による目的遺伝子の増幅
  • マイクロ流路型サーマルサイクルによる増幅反応サイクルの短時間化に成功
  • 測定時間は、最短5分(~15分)
  • 3波調の蛍光で検出
  • 右側にある4代の検出ユニット構成により最大4検体同時測定

PCRの手順

  • 検体の前処理
    • 血液からウイルスのDNAを抽出。ウイルスがRNAウイルスの場合RNAを抽出 (手作業)
    • RNAの場合、逆転写酵素というもので、DNAに変換
    • DNA増幅用の酵素(耐熱性)を添加して測定用サンプルとする
  • DNAの増幅(ジーンソック、その他RPC装置)
    • 2重螺旋となっているDNAを1本ずつに解く反応 (denature: 95℃)
    • 目的ウイルスの配列に相補する配列断片(primer)をウイルスDNAに結合させる反応 (annealing: 60℃)
    • primerを足がかりにウイルスDNAの複製化する反応(extension: 75℃)
    • denatureに戻る
    • 以上のサイクルを数十回と重ねてDNAを複製する
  • 最大限増幅されたDNAを定量する

リアルタイムPCRの原理

改良されたリアルタイムPCRは、最終産物としてDNAを定量するのではなく、DNA増幅の1つ1つの過程でリアルタイムに増幅されたDNA量を測定するものである。

人工的にDNAを合成するために添加している原料に蛍光標識してあり、DNA合成に使用された際に蛍光を発するように設計されている。

最終産物としてのDNAの測定工程が必要でない分、判定結果までの時間が短縮化される。加えて、増幅率としてその傾きがある程度安定した時点で、早期の予測値も可能である。

今回のGeneSocでは、PCR反応そのものを短時間化した装置となっている。装置が達成する高速化の理由を考察する。

高速化できた理由

PCR反応は、denature (例えば95℃), anneal (例えば60℃)及びextension (75℃)にの3つの反応工程で構成されている。すなわち、単純に温度と維持時間の設定をシーケンシャルに変換させていくのみである。

GeneSocでのマイクロ流路型サーマルサイクルとは、何か。

因みに、「サーマルサイクル」とは、上記の温度で言えば、95℃→60℃→75℃を1サイクル又は複数サイクルを意味する。

おそらく、従来より小さな反応空間として少ない反応液量で済む「マイクロ流路」というものを開発したと考えられる。瞬時の温度調節が可能になり、反応温度設定にかかる時間の短縮化も可能となる。

具体的に検証してみる。

サーマルサイクルとして一般的な回数30サイクル、GeneSocが謳う15分で測定が完了すると過程する。

1サイクルは、0.5分となる。各温度調節工程であるdenature, annealing及び extensionに10秒ずつかかる計算となる。

測定時間が5分のケースでは、1/3の時間になるので、各温度調節工程にかかる時間は3秒ずつとなる。

参考文献

PCRを始めませんか、長崎大学医学部附属動物実験施設、大沢一貴さん

http://www.med.nagasaki-u.ac.jp/lac/PCR.html