[健康] 疾患名: ALS; 筋萎縮性軸索硬化症 – 年間3,000人の内、孤発性は90% – ロピニロールは発症を半年遅らせることができる [2021/05/20] ID19911

ALS

ALS; 筋萎縮性軸索硬化症

  • 日本では、9000人の患者数
  • 毎年3,000人が発症
  • 孤発性は、全体的の90%を締める
  • グルタミン酸受容体に生ずべきRNA編集が不十分であるため→運動ニューロンの死により発症する
  • 2020/10, 新説として、ミトコンドリアDNAの細胞質内への放出による神経細胞ロス(以下の新説参照)

筋萎縮性側索硬化症(ALS)の病態機序解明および特異治療法の開発研究、東京医科大学

http://square.umin.ac.jp/teamkwak/message.html

原因

新説

TDP-43が、ミトコンドリアに侵入しmPTPを介してミトコンドリアDNA (mtDNS)の放出を引き起こし細胞質内で蓄積しcGAS / STINGを活性化することで、ALS特有の炎症・神経変性が引き起こされる(Cell, 2020/10)。

  • 神経炎症は、そのアップレギュレーションである核因子κB(NF-κB)とI型インターフェロンに関係している
  • mtDNAは、細胞質DNAセンサーであるcGASが感知 → cGAMP → STING (TBK1)に伝わる (Innate Immune activation) → IFNβ、TNF, IL-6 → Neuron Loss (source:cell)
  • TDP-43 : ALSやタウ陰性のFTLDの変性部位のニューロンやグリア細胞に認められるユビキチン陽性封入体の主要構成タンパク質 (source:実験医学online)

現説

ADAR2という酵素が減っているとされる(東京大学医学系研究科の郭伸先生) source: Telescope Magazine

ロピニロールの臨床試験結果

2021/05/20, パーキンソン病の適応薬であるロピニロールを投与する(下リンク参照)ことで、発症を約半年間遅らせる効果が見られたとの報道があった(NHK総合)。iPS細胞を用いた試験の成果です。

筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者を対象としたロピニロール塩酸塩徐放錠内服投与による第Ⅰ/Ⅱa相試験

https://rctportal.niph.go.jp/s/detail/jm?trial_id=JMA-IIA00397

ロピニロール, ドパミンD2 受容体系作動薬

https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00066192.pdf

ロピニロール – PMDA –

https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/1169013G1049_1_03/

参考文献

ALSを引き起こすタンパク質の新機能発見 (2020)

TDP-43は、メッセンジャーRNA(mRNA)と結合する性質を持っており、数多くのmRNAと結合し細胞内での成熟や輸送に働くことが示されています

https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2020/20200828_1

筋萎縮性側索硬化症病体におけるTDP-43(2017)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnt/34/2/34_72/_pdf/-char/en

TDP-43の生理的機能とALS病態における意義 (2015)

https://www.kitasato-u.ac.jp/ktms/kaishi/pdf/KI45-2/KI45-2p079-085.pdf

-遺伝性ALS患者81人の臨床情報と生化学的特性の相関を解析- (2012)

https://www.riken.jp/press/2012/20121218/

TDP-43 蓄積症の概念と病態解明への展望 (2009)

https://www.neurology-jp.org/Journal/public_pdf/049110783.pdf

シンポジウム 3 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
司会の言葉

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnt/34/3/34_257/_pdf/-char/en
編集履歴
2020/07/27 Mr.HARIKIRI
2020/10/10 追記 (ミトコンドリアの放出が神経損傷に繋がる新説)
2021/05/20 追記 (パーキンソン病の適応薬であるロピニロールの有効性が確認された)