[用語] DNA; Deoxyribonucleic acid – Histoneを介した染色体の折り畳みまでを順を追って解説 [2020/09/23] ID21446

DNA

DNA; Deoxyribonucleic acid; デオキシリボ核酸。DNAは塩基の相補的結合によって2本が結合し二重螺旋 (DNA double helix)を形成します。人の23本の染色体に収められているDNAの長さは、総長30億塩基対です。卵子と精子を除く細胞は、2倍体なので、染色体は、46本(うち性染色体が2つ、DNAの総長は60億塩基対になります。

機能の有無で分けた場合、DNAには、イントロンとエクソンのそれぞれの領域が存在する。

昔々のバイオロジクス生産細胞株の品質管理

もう40年も前のことですが、IFNをリンパ芽球で生産していた頃、細胞の染色体数を先輩がカウントしていたことを思い出します。当時は、それくらいしか検査する項目が無かったからです。

1) DNAから染色体までのパッケージングについて、わかり易い図があります。クロマチン構造のDNAの巻き数は1.65回とありましたが、また、以下の2)の文献では、1.75回とありました。どちらが正しいのかは不明です。

DNA Packaging: Nucleosomes and Chromatin – Scitable by nature EDUCATION

https://www.nature.com/scitable/topicpage/dna-packaging-nucleosomes-and-chromatin-310/

2)DNA-Histone結合体の分かり易い図があります。

クロマチン構造 – 分子遺伝学研究所 広島大学 –

http://www.mls.sci.hiroshima-u.ac.jp/smg/chromatin/chromatin1.html

塩基対の幅は、2nmです。塩基対の長さは、約0.34nmです。60億を掛ける (0.34nm x 6e9 = 約2m)と、2倍体の細胞には、2mのDNAを含んていることになります。

人体には、約50兆個の細胞があると推定されるているので、人には、100兆メートルのDNAが含まれている計算です。

1. Nucleosomeの形成

DNAは、8 x Histone protein (2 x (H2A-H2B二量体) + (2 x H3, 2 x H4, オセロのチップのような平たな円柱構造の円周にDNAが巻きつく)の円周に1.65回巻かれます。

この1つのDNA-タンパク質結合体の単位を「Nucleosome」といい、DNAの長さ分だけ形成されます。この紐状のものを「Chromatin」と言います。実は、Chromatin線維は、細胞周期の間期に観察可能です source

すなわち、

  • 二重螺旋の紐状のDNAは、以下の流れで最初の太い紐になります
  • 8 x Histone (Histone Octamer) および1 x H1 histone proteinの球体に、糸巻きのように巻かれて、多数の基本単位であるDNA-Histone 結合体であるNucleosomeを作ります、
  • 一つのNucleosomeには、146塩基対のDNAが含まれます
  • DNA-Histon結合体の直径は11nmです

1: Histone H1° (NEB #M2501) 1 μg; 2: Histone H2A (NEB #M2502) 1 μg; 3: Histone H2B (NEB #M2505) 1 μg; 4: Histone H3.1 (NEB #M2503) 1 μg; 5: Histone H3.2 (NEB #M2506) 1 μg; 6: Histone H3.3 (NEB #M2507) 1 μg; 7: Histone H4 (NEB #M2504) 1 μg; 8: Histone H2A/H2B Dimer (NEB #M2508) 2 μg; 9: Histone H3.1/H4 Tetramer (NEB #M2509) 2 μg; 10: NEB Protein Ladder (NEB #P7703)

図 Histoneの分子量 (SDS-PAGE)

2. Chromatosomeの形成

  • Nucleosomeに1つのHistone 1 (H1) histone proteinが加わり
  • Chromatosomeになります

2. Chromatinの形成

  • おそらく、H1の追加により、Chromatosomeの12~13個を一周とする構造を形成するための方向性を持つようになると考えられます
  • Chromatosomeが、12~13個を一周として配置されハッキングされた、この全体の構造体線維をChromatinと言います
  • その一週の直径は、30nmです

3. Chromatinの螺旋・ループ形成

Chromatinは、「ねじれ」て、更に太い紐状になりパッケージングされます(便宜上、Chromatin螺旋、と称します)。Chromatin螺旋は、更に、ループ状に短縮されます(便宜上、Chromatin螺旋・ループ、と称します)。このループの長さは300nmです。

すなわち、

  • Chromatinは、螺旋状にねじれて太い紐状に短縮され、
  • さらに、その太い紐状は、ループに折り畳まれれてパッキングされます
  • そのループの長さは300nmです。
  • Chromatin螺旋・ループが完成します

4. Chromatin螺旋・ループの最後の螺旋形成

  • Chromatin螺旋・ループは、更に螺旋を形成します(便宜上、Chromatin螺旋・ループ・螺旋、と称します)。
  • 螺旋を形成することで、Chromatosome螺旋ループの幅は、コンプレスされて、300nmから250nmに縮小されます。
  • Chromatin螺旋・ループ・螺旋の直径は、700nmです

5. 最後、染色体への形成

染色体 (chromosome) は、染色分体; chromatidを形成するために、Chromatin螺旋・ループ・螺旋は、最後の折り畳みが行われます。

分裂期の染色体は、一対の姉妹染色分体(それぞれを染色分体; chromatidという)からなるためXの形をしています。また、分裂期には、短腕と長腕の間にある「セントメア」に微小管のキネトコアにより姉妹染色分体は、両極に引き寄せられて分裂を完了します。source:wiki

編集履歴
2020/09/21 Mr.HARIKIRI
2020/09/23 追記 (Histone分子量)